日々草子 大蛇森殺人事件 上
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

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「被害者は大蛇森…。現場の病院に勤務している脳神経外科の医師…。」

都内にある斗南大学医学部付属病院で事件は起きた。

「なるほど…凶器はこれかいな?」
現場検証をしていたのは池沢金之助刑事。倒れている人間の傍に落ちていたのは「山田とうふ店」の看板だった。
「犯人は…余程の恨みがあるんやろうな。」
こんな看板で殴ったというのは穏やかではない。

「よし、関係者に事情聴取や!」
「池沢刑事!」
警察官が金之助を呼び止める。
「いやいや、俺一人で平気や!ここには知り合いもおるしな。」
金之助は手をひらひらと振って歩き始めた…。



「大蛇森先生が!?」
病院のカンファレンスルームに集められた関係者は仰天した。
「そんな…あの先生が…。」
その言葉を聞き、金之助は「あんなにいい先生が…」と続けられるのだろうと思った。

「あの先生…もっと長生きするかと思ったけどね。」
「そうね。憎まれっ子世にはばかるっていうし。」
「ていうか、不老不死の薬を調合して飲んでいるって噂だったけどな。」
「まあ、変わった人でしたからね。」
「看板で殴られるって、どんだけ恨みをかってたのかしらね?」
しかし、関係者の口から語られていくのは、金之助の予想を裏切る、とんでもないことばかり。

「ねえ、どうして私たちがここに集められたの?」
金之助に疑問をぶつけたのは、同級生であった看護師の入江琴子だった。

「もしかして金ちゃん、私たちを疑っているの?」
琴子は金之助に不満を口にする。
「すまんなあ、琴子。これも一応決まりなもんで。」
事件が起きた時に近くにいた人物を逃がさないように確保する、捜査の鉄則である。

「…金ちゃん、そのコート、何?」
「ん?これか?」
琴子は金之助の身につけているコートを胡散臭そうに見た。
金之助のコートはヨレヨレで、どんな協力なアイロンを使っても伸びないだろうと思わせるくらい皺だらけである。その皺は半端なく、ちゃんと伸ばせばほどよい丈のはずが、丸まって腰のあたりで止まっている。

「この皺だらけのコートが名刑事の証なんや!」
琴子の嫌そうな顔など目に入っていないかのように、金之助は胸を張った。
「このコートのおかげで、俺は“浪速のコンパス”って呼ばれているくらいや!」
「こ、コンパス?何、それ?」
ますます金之助を胡散臭く見る琴子。

「…それは“コロンボ”って言いたいのか?」
そんな琴子の背後から、金之助を軽蔑するかのような声が聞こえた。いや、完全に軽蔑している。

「入江…お前、こんな所まで!」
その声に、金之助の顔が一変する。
口を挟んだのは、入江直樹。この病院の勤務医であり琴子の夫である。
「ていうか、コロンボだってもっとまともなコート着ているけどな。まあお前と頭の出来が違うってことは分かっていると思うけど。」
「うるさい、うるさい!!」
金之助は直樹の台詞を遮った。この男はどうしていつも、自分の邪魔をしてるのか。



「ええ、改めて。」
金之助はコホンと咳払いをした。
「俺がこの事件の指揮を取る池沢です。」
「おい、金之助。」
せっかく決めようとした金之助にまたもや邪魔が入る。

「事件の事情聴取ってのは、一人一人個別に部屋でやるもんじゃないのか?」
「え?そうなの?」
直樹の言葉に琴子が驚く。
「さすが入江先生ねえ。捜査方法まで熟知しているなんて。」
直樹を尊敬のまなざしで見つめるのは、この病院の看護師、幹。
「まあ、それくらい推理小説とかサスペンス見てれば分かるけどな。」
大して驚くようなことではないと言わんばかりの態度は、やはり看護師の啓太である。

「うるさい、うるさい!!」
直樹に集められた視線を蹴散らすように、金之助が怒鳴った。
「無駄をはぶくんや!うるさい!一般人は黙って従え!!」
金之助の怒声に一同は不満を漏らす。

「警察の横暴だわ。」
「民間人にそんなことしていいと思ってるのか?」
「入江くんが天才だからって嫉妬しないでよ、金ちゃん。」
「馬鹿は馬鹿だな。」

険悪な雰囲気(もっともそれを作りだしたのが刑事なのだが)の中、事情聴取は始まった。

「ええと、まず…大蛇森さんのことを恨んでいる人物に皆さん、心当たりは?」
金之助の問いかけに、一同は一点を見た。

「わ、私!?」
その中心にいたのは、琴子だった。
「だって…ねえ?」
幹は啓太を見る。
「琴子と大蛇森先生のバトルは有名だったしな。」
啓太は頷きながら、直樹を見た。
「…。」
直樹は黙って琴子を見ている。

「ちょっと待ってよ!!」
今度は琴子が大声を上げた。
「そりゃあ、確かに大蛇森先生のことは嫌いだったわよ。だって、入江くんにちょっかい出すから!」
「ほうほう。入江を巡っての愛情のもつれかいな。」
金之助はメモを取る。
「そうね。入江先生を巡る三角関係…ってとこかしら?」
幹は琴子の立場を不利にする言葉を付け加える。
「違うもん!三角になんてなってないもん!私と入江くんの間は誰も邪魔できないんだもん!」
琴子は直樹に抱きついて、幹を睨んだ。

「まあ、琴子は違うやろな。」
メモを取り終えた金之助は、琴子に笑顔を向けた。
「琴子とは付き合いが長いさかい、こんなことをする奴じゃないってのは俺がようわかっとる。」
「金ちゃん…!!」
琴子は金之助に感謝の眼差しを向けた。

「ちょっと、友人だからって容疑者じゃないっておかしいんじゃないの?」
「そうですよ。真里奈さんの言うとおりです。」
この病院の看護師、真里奈と医師、船津が反論する。
「うるさい、うるさい!」
また怒鳴る金之助。



「今までの話を総合すると…一番容疑が濃い奴は…お前や!!」
金之助はビシッと指をさした。その先に立っているのは直樹。
「何で俺が?」
金之助に指されても、直樹は全く動じていない。
「そうよ、金ちゃん!入江くんが犯人なんてひどい!」
さっき自分をかばってくれた金之助を平気で裏切る琴子。

「愛情のもつれや!」
「はあ?」
怪訝な顔の直樹と、得意気な金之助。

「お前はガイシャにつきまとわれて迷惑していたんやろ?」
「いや、無視していたし。」
「いいや!」
直樹の言葉を金之助は聞き入れない。
「お前はつきまとわれて、ガイシャが邪魔やった。それで殺した。間違いない!」
「おい、金之助。」
鼻息荒く自分を犯人と決め付ける金之助に、直樹は冷たく声をかける。

「お前、大事な捜査の鉄則を忘れてないか?」
「何や?んなもん、素人のお前に言われんでも…。」
「アリバイの確認はどうした?」
直樹の言葉に、一同は「あっ!」と声を上げた。その中には金之助の声も含まれていた。

「アリバイ…。」
真っ青になる金之助に、直樹は淡々と続ける。
「大蛇森先生の事件が起きたのは、何時だ?」
「ええと…。」
金之助は慌てて手帳を捲る。
「今日の…午後10時…。」
「その時間、俺は手術中だった。確認してみろ。」
「うっ…!」
金之助は悔しそうな表情を浮かべ、確認をする。

「…確かに、お前は手術をしておった…。」
金之助はがっくりと肩を落とした。
「ばあか。」
付き合ってられないと直樹は呆れる。



金之助は一人ずつ、アリバイを確認していく。
「私は啓太と一緒に休憩してた。ね?」
琴子が啓太を見ると、
「ああ。二人でジュース飲んでいた。」
と啓太も言った。
―― そんな啓太を睨む直樹がいたことに、二人は気が付いていない。

「アタシは…ナースセンターにいたわ。」
幹が言う。
「私も一緒だったわね。」
真里奈がそう言えば、
「僕は夜間外来で患者を診察していました。」
と船津が話す。

全員、アリバイがあった ――。


「いや、そうとは限らないな。」
悩む金之助の耳に飛び込んで来たのは、意外な声だった。
「…疑わしいアリバイもある。」
「入江くん、一体何を!?」
琴子は直樹がどうかしてしまったのかと驚いている。それは他の人間も同じだ。

「鴨狩。」
縋りつく琴子をよそに、直樹は啓太を見た。
「お前のアリバイは疑わしい。」
「はあ!?」
突然名指しされた啓太は素っ頓狂な声を上げた。
「何だよ、いきなり!!」
「…確かにそうかも。」
突然の直樹の発言に同意したのは…幹である。

「だって…啓太は…。」
そう言いながら、幹はチラチラと琴子と啓太を交互に見る。
「この二人、何かあるんか?」
怪しげな幹の様子に、金之助が訊ねた。

「啓太と琴子はただならぬ関係だったのよね。」
幹に代わって答えたのは、真里奈だった。
「ええ!そ、そうだったんですか!?それじゃあ…不倫!?」
その横で、啓太以上に素っ頓狂な声を上げるのは船津。
「ええ?船津先生、知らなかったんですか?」
幹が今頃何をという顔を船津に見せた。

「ちょっと待ってよ、二人とも!」
それを制止するのは琴子。
「私と啓太は今も昔も友情だけなんだから!」
「どうだか。」
そんな琴子に冷たい声を浴びせるのは直樹。

「そう考えると…。」
幹は考え込む。
「啓太のアリバイがないと琴子のアリバイも成立しないわよね。」
「そう、そうよ!」
琴子はやっとそのことに気がついた。
「この事件、一番疑われるのは琴子よね。」
幹は真里奈に話しかける。
「そうね。琴子が一番クロだわ。」
「待ってよ!!」
琴子は半泣き状態で直樹に縋りついた。
「入江くん、私はやってないわ!!信じて!!」
「琴子、それは俺に言う台詞やろう…。」
完全においてきぼりをくらっている金之助は悲しく呟く。

「待ちなさいよ、琴子。」
パニック状態になっている琴子を幹はなだめた。
「何もアンタ一人が犯人だと言ってはいないでしょ?」
「ちょっと待て!!」
そこに飛んできたのは、啓太の声である。

「その話だと…俺も共犯ってことか!」
「だから、私が犯人だと決めつけないでよ!」
琴子は啓太に抗議する。
「だって琴子一人じゃ、その看板は持てないわよ。」
「いや、俺だってそんな労力をあの先生に使う気はねえよ!」

「何や?この髪のきれいなお兄さんにも動機があるんか?」
もう好きにしろといわんばかりの金之助が啓太に疑いの目を向ける。
「そりゃあ…啓太だって大蛇森先生に…ねえ?」
真里奈が幹に同意を求める。
「そうよねえ…。」
幹は啓太を見る。

「ふうん…あのガイシャ、男なら誰でもいいんやろか?」
またメモを取りながら金之助は一人呟き、船津を見た。
「そうなると、あんたもか?」
「いや、僕にはそんなことはありません。」
「ふうん。男なら誰でもいいわけじゃないと。」
またメモを取りながら金之助は、
「一応好みがあったってわけか。あのガイシャさん。」
と話を締めくくった。

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