日々草子 続・君と綴る文字 12
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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「…まだ起きていらっしゃいますか?」
ためらいがちに、琴子は隣の直樹に話しかけた。
「…ああ。」
直樹はやっと琴子を取り戻すことができた喜びからなかなか寝付けない。それはきっと琴子も同様だと思う。

「西垣先生のことなのですが。」
いい機会なので、琴子はこれまで感じたことを直樹に聞いてもらおうと思っていた。
「西垣先生?」
「はい。」
琴子は体ごと直樹に向けた。直樹は顔だけを琴子に向けた。

「大変言いにくいのですが…あの先生は日替わりで女の方と楽しまれたり、家を滅茶苦茶にされたりと、とんでもない方ですけれど。」
「言いにくいという割には、お前、ずばずばと言ってのけるな。」
「だって本当のことですから。」
「…で?」
笑いがこみ上げるのを堪え、直樹は琴子を促す。

「私にお芝居してほしいとかお願いしたり…よく分からない方なんですが、何か裏があるような気がするんです。」
「裏?」
琴子は頷く。
「何て言っていいか難しいんですけれど、わざとハチャメチャなことをしているような…。」
そこまで話すと、琴子は少し考える素振りを見せた。直樹は黙って続きを待つ。
「…わざと自分を傷つけているような気がします。」
琴子の出した答えはそれだった。

「お前って結構鋭いよな。ボケッとしているように見えて。」
「ボケは余計です。」
琴子はぷーっと頬を膨らませた。
直樹はそんな琴子に笑いかけると、
「…俺とあの人が大学時代は同じ寮だったって話したよな?」
と、話し始めた ――。



*******


『ねえ、君が天才くん?』
入学式を終えた直樹が寮に戻った時、出迎えた西垣の第一声はそれだった。

実家を継ぐことを拒否して医学部へ入学した直樹。幼少時代から成績は常にトップで、この医学部へも満点の成績で入学したこの男の噂は、大学から寮の至る所に広まっていた。

そして、この寮には直樹がこの世で最も苦手とするタイプの男がいた。
それが西垣である。

寮に入ったその日、直樹は食堂にて初めて西垣の顔を見た。
西垣は大勢の仲間の輪の中心にいて笑っていた。
その能天気な笑顔は、実家の父親と揉めに揉めた直樹のささくれ立っていた心を更に不愉快にした。

しかし、大学創設以来の天才ともてはやされた直樹を、そんな西垣が目をつけたのは言うまでもなかった。

『…。』
関わりたくない直樹は、西垣を無視して中へ寮の中へ入ろうとする。
『ちょっと待ってよ。』
西垣は笑顔で直樹の肩を掴んだ。
『先輩を無視しないの。』
『別に俺は天才でも何でもないんで。』
直樹はその手を乱暴に払う。そもそも「天才くん」という西垣の呼び方には揶揄が込められている。
『まあまあ。』
後輩の失礼な態度に西垣は大して気分を害していないらしい。自室へと向う直樹の後を追いかけてくる。

『ねえ、君、どうして友達を作らないわけ?』
『…別に。』
『嘘だあ。だってもう、“自分に近寄るな”って顔しているじゃない。』
西垣は自分の両目をつり上げて見せる。その態度が更に直樹を不快な気分にさせる。

『まあ、分かるけどね。下手に頭がいいと勝手に決めつけてくるもんだから。』
西垣はうんうんと、こちらも勝手に頷く。
『どういう意味です?』
直樹は足を止め、西垣を見た。自分の話に乗ってきた直樹を見て西垣はにんまりと笑った。
―― しまった。
どうやらこの調子のいい男の雰囲気に巻き込まれてしまったらしい。直樹は後悔したが時、すでに遅し。

『“こいつは天才だから俺たちと付き合う気はない”“どうせ、何を言っても鼻で笑われる”って決めつけられてきたんだろってこと。』
『…。』
まるで直樹のこれまでの人生を見透かしてきたような西垣の鋭い洞察力に、直樹は目を見張った。

『でもさあ。』
西垣はまた人懐っこい笑顔で直樹を見る。
『せっかく大学に入ったんだから、もっと楽しもうよ。』
『結構です。』
そこまで言われ、直樹の心は逆に頑なになってしまった。
『大学へは勉強をするために入ったんです。あなたみたいに…。』
言い過ぎたと思って直樹は口をつぐんだ。先輩に向かってそこまで口にするのは失礼である。
『僕みたいにチャラチャラ遊ぶために来たんじゃないって言いたいんだろ?うん、うん。分かるよ。』
まるで他人事のような西垣である。
『でもね、天才くん。』
西垣は払われた手を、また直樹の肩に置いた。
『僕と天才くんは気が合うんと思うんだよね。』
『…はあ!?』
勝手に決めつけているのはそちらじゃないかと直樹は眉を潜めた。
『ま、僕は天才くんと仲良くなりたいんだ。それじゃあ、今後もよろしくね。』
『ちょっと!』
西垣はヒラヒラと手を振り、声をかけた時と同じ顔で直樹の傍から去って行った ――。



宣言どおり、西垣は「天才くん」と直樹を呼び、何かと構い続ける。直樹は殆ど相手にしないのだが、周囲はそれを見て変わって行く。

やがて、気が付いたら直樹の周囲には友人ができていた ――。



*******

「この間来た奴らも、その時の友達なんだ。西垣さんが構う人間がどんな人間かって気になって近づいて…気が付いたら。」
「…お友達の輪の中に入っていたのですね。」
琴子は微笑んだ。琴子の知らない直樹を垣間見ることができたようで嬉しい。
「そして…それからは?」
「それから…。」
これまで淡々と話していた直樹の表情が、少し憂いを帯びたものへと変化した。
「…旦那様?」
心配して琴子は直樹を呼ぶ。
「あれは…俺が二年であの人が五年の時だったかな?」
直樹は少し間を置き、続きを話し始めた ――。



*******

その日、直樹は街に出かけて寮へと足早に向かっていた。
「あれ?」
ふと前方に見えた人影に目をやる。
「西垣さん…?」
そこに立っていたのは、直樹と同じ格好の制帽、マント姿の西垣だった。どうやら彼も外出をしていたらしい。
声をかけようとした直樹だが、名前を呼び掛けた口をつぐむ。

西垣の前には、和服に身を包んだ、両家の令嬢風の女性が立っていた。
その女性と西垣はとても親しそうであり、そして誰も邪魔のできない雰囲気に包まれていた。
二人は恋人同士に違いない。直樹は確信する。

そのまま気がつかないふりをして直樹は通り過ぎた。二人は直樹には気がつくことなく、笑い合っていた。



『お前、気を利かせただろ?』
その夜、風呂に入っている直樹に西垣は話しかけた。寮の風呂は共同である。そして今、そこにいるのは二人だけだった。
『何のことですか?』
『とぼけなくたっていいって。』
西垣は子供のように直樹にお湯をかけた。

『…西垣さん、あんな女性がいたんですね。』
西垣は友人は多いが、女性の影は全くと言っていいほど見えなかった。見た目もいいし、成績もいい。そして明るい性格。女性にだってもてるはずだと常日頃、寮中で噂になっているくらいなのだが、西垣はそんな噂などまるで耳に入っていないかのように振る舞っていた。
『まあな。』
その時の西垣の顔は、今まで見たことのない優しい顔だった。
『卒業して、僕が正規の医者になったら一緒になろうと言っているんだ。』
『へえ。それはおめでとうございます。』
『何だよ。全然めでたそうに聞こえないぞ?』
『そうですか?』
口ではそう言いつつも、直樹は心中では喜んでいる。あれほど鬱陶しかった存在の西垣に、いつの間にか直樹も魅了されていたのだった。
『今日のことは僕とお前の秘密な。』
『はいはい。』
照れているのだろうと直樹は解釈し、約束を交わした。









♪あとがき

「では、西垣○×の学生時代を、引き続き見てみましょう…。」(by『知ってるつもり』関○宏風で)

すみません、長くなったので一旦切ります!
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