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2010.10.25 (Mon)

My Dear Wife 2


【More】



「んもう!どうしてこんなことに!」
ゴシゴシとコトリーナが擦っているもの、それは…五右衛門風呂だった。
そしてコトリーナの恰好はなぜかメイド姿である。

婚約寸前までの関係だった女性のいる邸へ向かったナオキヴィッチを追いかけてきたコトリーナ。
が、どういうわけか新入りのメイドと間違えられ、あれよこれよという間にオーイズミ伯爵家でメイドとして働く羽目になったのだった。

「それだけ公爵夫人に見えないってことかしらね…。」
ゴシゴシと五右衛門風呂を擦りながら溜息をもらすコトリーナ。すなわち、自分がナオキヴィッチと似合いの夫婦ではないということも意味する。

「でも、もしかしたら先生が入るお風呂かもしれないし。」
ナオキヴィッチがこの五右衛門風呂に入る姿を想像すると思わず笑ってしまうコトリーナ。そう思うと自然と力も入る。

「終わりましたか?」
先輩メイドが風呂場へとやってきた。
「はい。あの…。」
「なあに?」
「このお風呂ってその…どなたがお入りになるのですか?」
胸をときめかせながらコトリーナは訊ねた。
「ああ。このお風呂は伯爵様専用ですよ。」
「そうですか…。」
ナオキヴィッチの姿ではなく見たことのない老人の裸体が浮かんできてしまう。それをパッパッと払い、コトリーナはがっくりと肩を落とした。



が、これしきでへこたれている場合ではない。
何とかしてナオキヴィッチに会わなければ。
コトリーナは邸内の清掃にモップを手に向かう。が、
「ちょっと、どこへ行くの!」
と肩を掴まれた。振り返ると先輩メイドが数名目を光らせてこちらを見ている。
「どこって…お掃除ですけど?」
コトリーナはモップをかざす。
「冗談じゃないわ!!」
両手を腰に当て、メイドが叫んだ。
「え?え?」
一体なぜ叱られるのか理由が分からない。

「ここから先のフロアはVIP専用フロアです!」
「び、びっぷ…?」
「ここはどこかのホテルか?」と突っ込みたくなったが、その言葉を呑みこむ。
「あなたのような新入りに掃除をさせて、大事なお客様に粗相があっては大変です!」
「大事なお客様…。」
それがナオキヴィッチのことだということはすぐに分かった。

「そんなに大事なお客様がおいでなのですか?」
ナオキヴィッチのことだと知りつつも、コトリーナはとぼけてみた。
「そうです!」
そして「ここでは何だから」と、コトリーナはメイド達に引っ張られるように別の場所へと移動させられた。

「このお邸にご滞在されているのは、イーリエ公爵様です。」
「やっぱり…。」
思わず呟いてしまうコトリーナ。
「え?」
「あ、いえ。何でも。」
コトリーナは誤魔化す。
そして、
「伯爵様のお客様ですよ…ね?」
と訊ねてみる。
「ええ、そうだけどね。」
「でも」とメイドたちは続け、顔を見合わせにんまりと笑った。

「きっとサヴォンヌ様に会いたくていらしたのよ!!」

「ええ!?」
驚くコトリーナ。
「そ、それは…。」
コトリーナの声は興奮するメイド達の声にかき消されてしまった。
「絶対そうだわ!だってお二人は古くからのお知り合いなんだもの!」
「そうそう!ナオキヴィッチ様もよくこちらへ足を運んでおいでだったし。」
「サヴォンヌ様も伯爵様とご一緒にナオキヴィッチ様のお宅へお出かけになってたわ!」

(あのカントリーハウスにもおいでになったことがあるのね…。)
コトリーナと出会う前のナオキヴィッチが明らかになっていく。

「本当にお似合いのお二人ですもの!」
「今回だってお手紙を出したらすぐにナオキヴィッチ様は飛んでいらして!」

(それは私が先生に勧めたからだもん。)
声に出せない言葉を心の中で呟くコトリーナ。

果てしなく続くように思える、ナオキヴィッチとサヴォンヌへの賛辞にコトリーナは終止符を打とうと試みた。
「で、でも、先生…じゃない、公爵様は確かご結婚されたばかりでは…?」

コトリーナの発した台詞に、ざわついていた部屋が一瞬で静かになった。
メイド達が一斉にコトリーナを睨みつける。

(しまった、私が先生の奥様だってばれちゃった…?)

「そうよ…。」
先ほどとは明らかに違う、ドスの効いた声が響いた。
「どこの誰だか…ううん、どこの猿だか分からない猿とね!!」

(猿!?)

「聞けばどこぞやの山から下りて来た野生の山猿だっていうじゃない!!何でそんな猿にうちのサヴォンヌ様が負けないといけないわけ!?」

(人間扱いされてないのね、私…。)

メイド達はどうやら目の前にいるコトリーナがその山猿…いや公爵夫人だとは全く気が付いていないらしい。

「珍しくて公爵様はつい手を出してしまわれたのよ!」

(そんな、先生はウェスト男爵様とは違う!)

その時、男爵は大きなくしゃみをしていた。

「そうよ!お育ちのいい大貴族様だから、ちょっと気まぐれにね!」

(気まぐれで結婚したわけじゃないよね…先生?)

何だか不安が広がりつつあるコトリーナ。

「猿は高崎山に帰れ!!」
「そうよ!!サヴォンヌ様に公爵様を返せ!!」

何だかストライキのようになってきたメイド達。コトリーナはそっとその中から抜け出した。



コトリーナがオーイズミ家であてがわれている部屋は、屋根裏部屋だった。
新人メイドはこの部屋からスタートするとのことである。

コトリーナはひびが入った壁をコツコツと叩いた。が、返事はない。
「誰もいないって知っているもん。」
そしてベッドの上に置いた本を手に取る。タイトルは『小公女』。今コトリーナは、この本をナオキヴィッチに読み聞かせてもらっているのである。しおりは丁度主人公のセーラが屋根裏部屋で苦労しているページに挟まれている。
「セーラみたいにベッキーが傍にいてくれたらなあ。」
ベッドに腰掛けると、その古さにギイギイと音が鳴った。いつもナオキヴィッチと一緒に眠っているベッドとは天と地の差。

部屋の前の住人が置いて行ったのだろう。欠けた手鏡にコトリーナは自分の顔を映した。
「…せめてモンキーセンターに帰れって言ってほしかった。」
同じ猿のいる所でも屋根のある場所にしてほしい。そんなことをつい思ってしまうということは、それだけ気分が滅入っている証拠だ。

「先生、今頃何してるのかなあ?」
コトリーナは持参した鞄の中から、また本を一冊取り出した。
こちらのタイトルは『人間失格』である。
最近この本を読んでいたナオキヴィッチ。コトリーナはもしナオキヴィッチから、どうしてついて来たと問われたら、この本を届けに来たという、すぐにばれる言い訳をするつもりだった。

「確かに先生の性格はちょっと難しい所あるけど、そんな自分で自分を“人間失格”と責めるほど酷い性格じゃないと思うんだけどな。」
別にナオキヴィッチは自分の性格を反省してこの本を読んでいるわけではないのだが…。

コトリーナは服の中からネックレスを取り出す。それにはこの間ナオキヴィッチから贈られたイーリエ家代々の公爵夫人に伝わる指輪が通されていた。
「先生に会いたい…。」
掌に乗せた指輪の上に、涙がポツリ、ポツリと落ちた ――。









☆あとがき
はい、はい、はい~!!
しょうもない話が通りますよ~!!!

また書いてしまいました、しょうもない話。
すみません。
どうも最近、こういったくだらない話を無性に書きたくなって!
いえ、どの話もくだらないってことは自分でも分かっているんですけれどね♪

お付き合いして下さる方、絶賛募集中(笑)
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21:01  |  My Dear Wife  |  TB(0)  |  CM(17)  |  EDIT  |  Top↑

*Comment

★こんばんは

やっぱり・・・。琴子は直樹を追っかけて伯爵家に行ったのね・・・・!?

しかも・・・メイドに間違われちゃって・・・・・
お風呂掃除する羽目になるとは・・・。

なんと気の毒な・・・!?直樹と琴子は伯爵家で逢えるのでしょうか…?


でも・・・直樹の奥さんが琴子だとわかった時のメイドさん達はさぞかし
おどろくでしょうね・・・・?!



ゆう |  2010.10.25(Mon) 21:16 |  URL |  【コメント編集】

★はーい

メイド、得意じゃないですか?

どんな風に、ナオキヴィッチにばれるのか楽しみにしています。

指輪、どうしたのかと思ってたら、ネックレスにしてたのね!

コトリーナにしては、ナイスアイデア!
kobuta |  2010.10.25(Mon) 21:41 |  URL |  【コメント編集】

★は~い!

大好きなコトリーナちゃんに逢えて嬉しいです♪
メイト゜に間違われるなんて、プププ・・・です

さて、次の点界もたのしみです
kinchan |  2010.10.25(Mon) 23:27 |  URL |  【コメント編集】

★ビックリな展開(^O^)

今晩は~(*^_^*)

コトリ-ナちゃんの行動力とビックリな展開とっても面白くて大好き(*^_^*)

まさかメイドさんに……(*^-')ノ

コトリ-ナちゃん、誰もが知っている、あのご隠居様になりそうな勢いです~(*^_^*)

楽しみにしています(*^_^*)
ナッキ― |  2010.10.25(Mon) 23:53 |  URL |  【コメント編集】

★応募します♪

水玉さん、こんばんは!

コトリーナ”横綱と蝶”とちょっと自信をなくし、急にナオキヴィッチに会いたくなったのね!!
で、、、なぜかメイドに(笑)
で、、、メイドさん達の話に傷つき、可愛いコトリーナを知らないメイドさん達からは”猿”呼ばわりをされるし。。。
知らない間に涙を流す状況が整い!!!(笑)

オーイズミ家の屋根裏部屋から新人メイドとしてスタートをする?つもりに?
小公女セーラを参考に~?
早く『人間失格』の本(笑)をナオキヴィッチに渡す事が出来るといいんだけど。

続きにわくわく!!~♪

サヴォンヌの名前の由来があったら教えてください!
あお |  2010.10.26(Tue) 00:23 |  URL |  【コメント編集】

★心の紅葉

水玉さん、おはようございます~
もあ~コトリーナ相変わらず愛らしいお脳!こんな娘だからナオキヴィチ毎日が楽しい?んだろうな~?いや~しょうもなくないです!!!!!
メッサ愉しい~~~!何やらかしてくれるのか・・・・ムズムズして来ちゃいます♡(*・∀-)☆ !ぎゃ~想像できない~((((o゚▽゚)o))) ドキドキ♪期待
・・・・で流石水玉さん!五右衛門風呂、モンキーセンター、高崎山、小公女セーラー人間失格・・・言葉に色彩を見ましたよ♡紅葉します私のハート
美優 |  2010.10.26(Tue) 09:08 |  URL |  【コメント編集】

★ えげつない なぁ~

こんにちは
コトリーナは、自信がないから伯爵夫人に見えないんだろうなぁ。
間違えられたといえ、簡単に潜入できちゃぅたねぇ。メイドだけど
 でも、コトリーナの正体知ったら みんな ぶったまげるだろうなぁ。
ナオキウ``ッチは、どないするんかなぁ・・・ 楽しみです。
 山猿は、えげつない よぉねぇ。  最後はナオキウ``ッチが 救って欲しいなぁ
ギャフンとぉ・・・。   
吉キチ |  2010.10.26(Tue) 12:43 |  URL |  【コメント編集】

★ビックリしました

メイドに間違われても、素直に働くところがコトリーナですよね。
それにしても、ブログのバックヤードがこれまでと全然違う雰囲気なので、
ビックリしました。
花子 |  2010.10.27(Wed) 22:12 |  URL |  【コメント編集】

★ゆうさん、ありがとうございます。

ある意味、本当についていない琴子ちゃん…。
入江くんもまさか自分の妻が、すぐそばで五右衛門風呂を洗っているとは思ってないでしょうね(笑)
なかなか二人が会えるためには、越えなくてはいけないハードルがありそうですが、そこは琴子ちゃんのいつものガッツで乗り越えるんじゃないかなと私は思います♪

散々猿呼ばわりした奥さんが目の前にいると知ったら、メイドたちも腰を抜かすでしょうね!
水玉 |  2010.10.27(Wed) 23:05 |  URL |  【コメント編集】

★kobutaさん、ありがとうございます。

挙手して下さってありがとうございます!

結構書くのは好きなんですけどね←メイドさん♪
ナオキヴィッチにばれる方法…それはもうギャグ路線で!!
今回はどこにギャグを入れ、そして滑るのか…ドキドキしてますよ~。

指輪ネックレス、ちょっと素敵ですよね^^
水玉 |  2010.10.27(Wed) 23:07 |  URL |  【コメント編集】

★kinchanさん、ありがとうございます。

あ、ここにも挙手の方が!!うれしい、ありがとうございます!!

メイド琴子ちゃん、洋風メイド?は初めて書くのでかなりワクワクしてます♪
水玉 |  2010.10.27(Wed) 23:07 |  URL |  【コメント編集】

★ナッキーさん、ありがとうございます。

誰もが知っている御隠居←大爆笑!!!
越後のちりめん問屋のあの方ですよね?

本当にメイドに間違えられて、そのまま黙々と働いているのが何ともコトリーナちゃんらしい♪
この話は本当に「なんじゃ、こりゃ!」という展開をおもいきって書くことができるので楽しいです^^
水玉 |  2010.10.27(Wed) 23:09 |  URL |  【コメント編集】

★あおさん、ありがとうございます。

ご応募、ありがとうございます♪

本当に知らぬ間に涙する環境が整ってる~(笑)
気分はすっかりセーラでしょうね。
それにしても自分で書いておいてなんですが、ナオキヴィッチは…『人間失格』『蟹工船』と暗い話ばかりをどうして読むのか?(笑)
何か悩みでもあるんでしょうかね?

サヴォンヌの名前の由来なんですが。
ふと浮かんだんですけれど、その理由が以前、このシリーズを書いた時にいただいたコメントで「サフォンヌ姫」というものを頂いて、どうやらそれが頭に残っていてサヴォンヌになったみたいです。
水玉 |  2010.10.27(Wed) 23:12 |  URL |  【コメント編集】

★美優さん、ありがとうございます。

毎日楽しいですよね~こんな面白い子が傍にいたら!!

美優さんに並べてもらって、自分で「すごいこと書いているな」と呆れたり笑ったりしてました!
心の紅葉、まあ…そんなに素敵なお言葉を♪
いつももったいないです。

でも小公女というと、「小公女セーラ」と続ける方多いですよね。私もそうですが。
美優さんもあのアニメをご覧になっていたのでしょうか?
水玉 |  2010.10.27(Wed) 23:14 |  URL |  【コメント編集】

★吉キチさん、ありがとうございます。

知らぬこととはいえ、山猿、山猿と連呼されたらいい気分はしないですよね。
それにしても、オーイズミ家のメイド、すごい団結力…。
気がついたら、お嬢様命って感じになっていました(笑)

全然自分に公爵夫人のオーラがないことにもコトリーナちゃんはショックなんでしょうね。
もっと自信持てばいいのに…。
水玉 |  2010.10.27(Wed) 23:15 |  URL |  【コメント編集】

★花子さん、ありがとうございます。

びっくりさせてごめんなさい~^^;
ちょっと気分を変えてみたんです。
今迄はほのぼの~とした感じが多かったから♪
でも11月になったら、またすぐに変更するので^^←とある事情により。

色々テンプレが多くて本当に目移りしちゃいます♪
水玉 |  2010.10.27(Wed) 23:17 |  URL |  【コメント編集】

★拍手コメントありがとうございます。

まいまほさん
ありがとうございます!!お付き合い下さって嬉しいです♪
小公女セーラ、私も見てました。
でもあんまり可哀想で途中で離脱してしまいましたが。親に頼んで本を買ってもらったこともいい思い出です。そして人形片手にセーラの真似をしてました(笑)

佑さん
佑さんは参加してくれると思いましたよ~!!
だってあれにも二人三脚してくれた仲ですし(笑)
猿山に帰るって(笑)、琴子ちゃんが猿山でりんご食べている姿をつい想像しちゃいました。

紀子ママさん
実は…大蛇森先生をミンチン院長にして小公女を書こうと考えたことがあったり…。でも入江くんの出番があまりにないのでやめました(笑)猿は金ちゃんだったんですけどね。
五右衛門風呂の掃除ってどんな風なんだろうか…ついそんなことを考えてしまいました。

まあちさん
ありがとうございます!!
あの会長さんが五右衛門風呂に入るところを想像したら…ちょっと笑えました(笑)
コトリーナちゃんはどこでも一生懸命なのは変わりないんですよね。
自分も王子様に求婚された過去があるんだから、自信もてばいいのに。
どう考えても王子の方が伯爵の孫娘より上だろうに。

Foxさん
ありがとうございます!!
そのお言葉でとことん突っ走ります!!
…滑りまくっている私を見て陰で笑い転げないで、いや、笑って下さい。ええ、もう思う存分に!!
そのお言葉で勇気が出ました!!
やっぱりコトリーナ最高です♪
水玉 |  2010.10.27(Wed) 23:28 |  URL |  【コメント編集】

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