日々草子 秘密 第15話
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水玉

Author:水玉
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多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

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そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

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秘密 第15話

結局その夜は直樹は戻ってこなかった。患者に一晩中ついていたのだろう。元々そういう話だったので琴子は別段気にしなかった。
それより、直樹がいつ帰ってきてもいいように風呂やベッド、それに軽食の準備など忙しい休日を過ごした。もしかしたら今日も戻らないかもしれないけれど、とにかく帰宅してすぐに寛げるようにしておきたい。

大方の準備を終え、時計の針はもうすぐ夕方の時刻をさす頃、玄関の鍵を開ける音がして、直樹が帰ってきた。
「お帰りなさい。」
琴子が声をかけた。
「ただいま。」
さすがに疲れている様子だった。
「また病院に戻るの?」
「…シャワーを浴びて着替えに戻っただけ。」
そう言って、さっさと直樹はバスルームへと行ってしまった。数分後、バスルームから出てきた直樹に琴子は声をかけた。
「コーヒー、飲む時間ある?」
「ああ。」
「簡単な食事ならすぐに用意できるけど?」
「…悪い。疲れすぎて食欲ない。」
それならせめてコーヒーだけでもとびっきりの味を淹れようと、琴子はいそいそと準備を始めた。そんな琴子を直樹は目で追っていた。

「入江くん、あとどれくらい病院に泊まり込む感じ?」
琴子が話しかけた。
「どうだろう?まだ容態が安定しないからな。しばらくこんな調子かも。」
「そう…。」
沈黙が訪れた。やけに時計の針が部屋に響く。余程疲れているのだろうから、あまりうるさく話しかけない方がいいかなと琴子は直樹を気遣う。

「お前さあ…。」
直樹が切り出した。
「あの薬剤師と仲いいよな。」
突然の直樹の言葉に、琴子は少し驚いた。
「そう?普通でしょ。ほら、やっぱり同じ年齢の人って話しやすいじゃない。」
琴子は思っていることを率直に話した。
「ふーん。」
相変わらず、直樹の返事は素っ気無い。
「でも、一緒に食事するほど、仲がいいんだろ?」
「いや、あれはね。たまたまお店の中で会ったの。ほら、前に水沢くんにお礼をしたいって話したでしょ?だからちょうどいいから、お礼の意味で私が御馳走したのよ。」
どうも今日の直樹の様子はおかしいと琴子はますます強く思った。もしかしたら、気分でも悪いのかもしれない。
「…どこか具合悪いの?」
琴子が心配して直樹に尋ねた。
「別に、どこも悪くないよ。」
「…そう?」
琴子は、それでも心配そうに直樹を見つめた。そんな琴子の視線が辛くて、直樹は琴子に顔を背けてしまった。

そんな直樹の頭の中は、プレイルームで子供たちと仲良く遊ぶ琴子と水沢の姿や、昨日二人で食事していた様子を先輩の医師がからかった言葉がぐるぐると回っていた。そして今まで病院に詰めていた疲れも加わり、もはや苛立ちは爆発寸前になっていた。

「…水沢くんって、ご両親亡くしていて、一人暮らしなんだって。だから家で一人で食事するのが寂しいって言うから。私も入江くんの家に来る前、お父さんが仕事でいない間、一人で食べていたからその気持ちすごく分かるの。」

別に言い訳するような悪いことをしているとは思えないが、何となく事情を説明したくなって、琴子は独り言のように話した。

「…本当かよ?」
思わず直樹の口からこぼれた。
「え?」
琴子は直樹の言葉の意味がよく分からなかったので、訊き直した。
「水沢が両親いないっていう話、本当かって言ったんだよ。案外、お前の気を引くための作り話なんじゃねえの?」
とうとう自分の中で今まで抑えていた感情が爆発したことを直樹は悟った。本当はこんなこと言いたくないのに、口が勝手に喋る感覚を直樹は感じた。脳裏にいつも病院で仲良く喋っている水沢と琴子の姿が浮かんでいた。そして、昨日の二人の姿。

「ひどい!何でそんなこと言うの?水沢くんはね、そんなこと言う人じゃないわよ!亡くなられたご両親のような温かい家庭を作りたいって…。」
冷たい直樹の言葉に琴子は耳を疑った。そして、琴子は怒りのあまり叫んだ。
怒りのあまり琴子の顔は真っ赤になっている。そんな琴子の顔を見ずに、直樹は言った。
「なら、お前が神戸で永久就職して、温かい家庭とやらを作ってやったら?」

その瞬間、琴子の手が直樹の頬を叩いていた。
「…!」
何かを言い返そうとした直樹を遮るように、琴子が叫んだ。

「ひどいよ!入江くん!言っていいことと悪いことがあるよ!大体ね、入江くんには分からないでしょう?誰もいない家に一人で鍵を開けて入って、お父さんが作り置きしてくれた夕食を電子レンジで温めて食べる寂しい気持ちが。夜も怖くて怖くて、でも一人で我慢して留守番してなきゃいけない気持ちが分かる?入江くんみたいにね、帰るとお義母さんが温かく迎えてくれて、お義父さんや裕樹くんと賑やかに食卓を囲んできた人に、私たちの気持ちなんて分からないわよ!」
そこまで一気にまくし立てて、琴子は床に座り込んだ。直樹は上着を掴んで、一言も言い返さずに、部屋を出て行ってしまった。
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