日々草子 新妻の稽古
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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新妻の稽古




「終わってしまった…。」
テレビの前で琴子はがっくりと肩を落としていた。
琴子が毎朝欠かさず見ていた「朝のマダム劇場 めでたいな」がとうとう最終回を迎えてしまったのである。
「最終回まで訳のわからないドラマだったな。」
コーヒーをすすりながら、直樹が言った。

だが直樹がそう言うのももっともな結末ではあった。
「めでたいな」の最終話はヒロインの亀子が最愛の鶴夫と共に…南米アマゾンに渡るというとんでもないストーリーだったのである。

「私は明日から何を楽しみに生きれば…。」
「取りあえず、料理をまともに作れるようになってくれ。」
直樹はカチカチの目玉焼きをフォークでつついた。
「すごいな、これ。びくともしない。」
セメントで固めているんじゃないかとか言うと、琴子が睨んだ。



その日の夜。
帰宅した直樹が見たのは…真剣に雑誌を読みふける新妻の姿だった。
「“おケイと学三”…?」
琴子が夢中になって読んでいたのは、さまざまな習い事を紹介する雑誌であった。

「マダムはお稽古ごとをやらないと!!」
鼻息荒く琴子が告げる。
「マダムって…せめて奥様にとどめておいてくれ。」
なんだか「マダム」と言われると、鎖のついた眼鏡をかけ、虎柄のカットソーを身につけ、頭を紫とピンクに染めた女性を浮かべる直樹。

朝のドラマという楽しみが終わった琴子は、どうやらその穴を稽古事で埋めるつもりらしい。

「さ、何を始めようかしら?」
歌を歌いながらページを楽しそうに捲る琴子。
「…料理。」
「あ、お花なんて素敵ね!」
「…料理。」
「お茶もいいなあ!大和撫子って感じで!」
直樹の願いなど全く耳に入らない琴子。

「何が大和撫子だ。トンブリ人のくせに。」
そして直樹はふと思う。
「お前、王女なんだから何か習い事やってただろ?」
「うっ…。」
それまで威勢のよかった琴子が言葉に詰まった。

「ええと…英会話。」
「へえ。」
一応、語学も習っていたのかと直樹は驚く。その割には琴子はトンブリ語と日本語しか話せないと思うが。
「…でも、三日で終わった。」
「三日!?」
「先生が好みのタイプじゃなかった。」
「どんだけわがままな王女だ、お前は!!」
「入江くんみたいな先生だったら、今頃英語ペラペラだったもん。」
「他には?」
それから琴子は、ピアノ、乗馬、フランス語と名前を上げては、それらが全て一週間続かなかったことを直樹に打ち明けた。
「…飽きっぽい奴。」
直樹は呆れ果てる。
「あ、でも、あれはマスターしたよ!」
琴子が思い出したように声を上げた。
「あれ?」
「トンブリダンス!」
「…。」
「よかったら踊ってみせようか?先生にもね“王女様、とってもお上手ですわ”って褒められたから!」
「いや、遠慮しておく。」
なんだか見ない方がいいような気がした直樹は丁重に断ったのだった。

「おケイと学三」で紹介されているレッスンは、ほとんどが初回無料体験を設けているとのことで、琴子はいくつかピックアップし予約の電話を入れた。



「ただい…何だ、これは!」
数日後。帰宅した直樹は部屋のテーブルに置かれている奇妙な物体を見つけ驚いた。
「お前、今日は…。」
「…パン作り教室の体験に出かけて来た。」
そのテーブルの傍にて、琴子はしょんぼりとしていた。
「…レンガ職人の道にでも進むのか?」
直樹がそう言うのも無理はなかった。それはどこから見てもパンには見えない真っ黒なもの。
「でもね、外は固くて中はふんわりだから!」
琴子は主張しながら、包丁をパンに入れた。

「あれ…?」
包丁を押したり引いたりしようとする琴子。段々その額には玉のような汗が浮かぶ。だが包丁はびくともしない。

「すげえ…プラプラしてる。」
琴子が手放して諦めた包丁を、直樹は指でチョンチョンと突く。そのたびに包丁がプラプラと揺れた。
「これは漬物を漬ける時の石の代わりにちょうどいいかも。」
直樹がそう言うと、琴子の大きな泣き声が部屋に響き渡った。


数日後の夜…。
「入江くん、入江くん…。」
ぐっすりと眠る直樹は、琴子に揺り起こされた。
「…んだよ?」
途中で起こされ、不機嫌な声を出す直樹。
「…眠れないの。」
琴子が悲しそうに直樹を見つめる。
「はあ?」
「…目が冴えて眠れないの。」
直樹は思い出す。確か今日の昼…琴子は、茶道の体験教室へ出かけていた…。

「お前、抹茶で目が冴えたのか?」
コクンと頷く琴子。
「だってね、すごく苦くて…。」
「で、茶菓子をバクバクと食ってたと。」
「そんなバクバクとは…。」
直樹は開いた口が塞がらなかった。

仕方なく、直樹はその晩、眠れない琴子に付き合って…朝までトランプをしていたのだった。
朝日が部屋の中に差し込んだ頃、睡眠不足でいらつきながら直樹は怒鳴った。
「お前、茶道だけは絶対習うなよ!!」
「はあい…。」



そして…また数日経ったある日のこと。
「ああ、今度はうまくできてるじゃないか。」
「そう?そう?」
珍しく直樹に褒めてもらえて、琴子は嬉しくなった。
「ああ、でも…勿体ないな。」
「どうして?」
「うちは犬は飼ってないし、このマンションはペット禁止だしな。」
「犬?ペット?」
怪訝な顔を見せる琴子。
「だってこれ、犬の服だろ?ここに首入れて、こことここから前足と後ろ足を出させて…。」
その瞬間、また琴子の泣き声が部屋に響き渡った。
「それ…エコバッグだもん!!」
「え!?」
慌てて直樹は手にしている物を見る。それは琴子が体験教室で作ってきた代物。今日の琴子はソーイングの体験教室に出かけていたのである。

「…もう、何をやっても失敗ばかり。ダメなんだよ、私なんて。」
グスッ、グスッと泣き続ける琴子。さすがに少し可哀想になってくる直樹。

「ほら、もう泣くな。」
直樹は琴子をそっと抱きしめた。
「いいんだよ、稽古事なんてできなくても。」
「でも…マダムはお稽古を優雅にこなさないと…。」
「まだ、琴子には俺の可愛い奥さんでいてほしいな、マダムよりも。」
琴子は直樹の顔を見上げる。そこには笑っている直樹がいた。
「…今のままで十分可愛い奥さんだけどな。」
そして直樹は、琴子の首にエプロンをかけた。それは『かわいい奥さん』のロゴ入りの、琴子愛用エプロン。
「ほら、これが一番似合う。」
「…本当?」
「本当。琴子はこのエプロンを身につけて、俺を“お帰り”と迎えてくれるだけで十分だから。」
直樹の優しい一言、一言に琴子はやっと笑顔を取り戻したのだった。



そして直樹は…そのままベッドに琴子を連れ込もうとした。
ところが、
「入江くん、なぐさめてくれたお礼にダンスを見せてあげる!」
と、琴子が予想外の展開を見せた。
「ダンス…トンブリダンス?」
「そう!」
本当はそんなダンスは見たくもない。早く二人でベッドの中に入りたいのだが…ここは琴子の唯一の特技(らしい)ダンスを黙って見てやったほうが得策だろうと直樹は思った。

「…楽しみだなあ。」
棒読みの台詞に気がつくことなく、琴子はポーズを取り始めた。

「まず“第一章 トンブリの誕生”。」
「第一章…。」
そして琴子は両手を大きく広げる。

「…と、ここまでが第一章です!」
満足そうに踊り終わった琴子は息を切らせていた。
「…何章まであるんだ?」
「ええとねえ…第5章が“ナマハゲの来襲”、第15章が“曲げわっぱの奇跡”、第33章が“ハタハタの愛情”…ええと、それから…。」
琴子は両手の指を折って説明する。
「ああ、第65章“トンブリ、宇宙へ還る”までだ!」
「65章…。」
「では第2章“アキタコマチの微笑”を始めます!」
第7章くらいでストップさせねば…そう思いながら、直樹は邪魔になっているテーブルを横へどけ、琴子の踊りっぷりを複雑な思いで眺めていたのだった。









☆あとがき
きっと私のブログでお好きな作品アンケートを取ったら、ワースト3に入るであろうトンブリ王女琴子ちゃん。
(あとのワーストはお江戸とコトリーナだと思います)。
でもそのワースト3を私はとってもとっても愛しているんです。
というわけで、書いてみちゃいました。
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コメント

琴子がいろんな習い事をしていても何一つ続かないのね・・・。
直樹は一言多いのね・パンを漬物石とかエコバックを犬の服と言ってみたり
琴子を泣かすような事を言うのね。
でも最後は、「自分のかわいい奥さんだ」慰めるのね・・・・直樹は。
その慰めが琴子にとって、とてもうれしくてトンブリダンスを踊るとは・・・・。
私も、トンブリダンスって物を一度でいいから見てみたいです・・・・?!

水玉さん、こんばんは♪

『かわいい奥さん』そのままの琴子ちゃん♪
新妻琴子ちゃんには、いつも驚かされます!!~(期待を裏切らない♪)
今回の習い事の見事な失敗ぶり。。。
入江くんは、いつでも一生懸命な琴子ちゃんにホの字だから、
その失敗にかえって愛しさが増すようですね!!~♪

最後は琴子ちゃんのペース!!
入江くんの、「…楽しみだなあ。」←(ツボ)~棒読み(笑)~♪
トンブリダンス65章。。。
韓国時代劇並み。。。(笑)
今頃 つ い 「楽しみだなあ」と言ってしまった事後悔してるのでは?~~(笑)

どこか見当違いの方向に一直線に進んで行く、一生懸命な琴子ちゃんと、
そんな新妻につい弱くなって甘甘な旦那様の入江くん大好きです!!!

可愛い、琴子。

トンブリダンスを踊る琴子を想像すると本当に可愛いんじゃないかとおもいます。
私の中ではトンブリダンス=花笠音頭or鰌すくい?
『ぷっ』
て感じです。(笑)

しかし、65章まであると踊り終わるのに何時間かかるんですか?
今宵も、徹夜にならないといいですね、入江君。

いっその事、琴子を止めるためにも襲いかかった方が、自分の為にも琴子の為にも良い方法かもしれないよ。(笑)

癒されます。

琴子ちゃん可愛すぎ!!でも疑問なのは何で料理を習わないの?料理は極めたと思っているとか…不器用な琴子をこよなく愛する直樹。最終章まで付き合ったんでしょうか?優しい旦那様ですね。

 天然・・・

こんにちは
お稽古はウゥ~ンでも、かわいいだろうなぁ直樹・・・真剣にはやってるんだから 直樹の誘いにも、サラッと交わしトンブリダンスのお披露目・・・
何番ぐらいで・・・お顔がピキピキと動くかな? 

ゆうさん、ありがとうございます

可愛くてつい泣かせてしまうんですよね、きっと。
泣かせるのも入江くんの素直じゃない愛情表現なんじゃないかなと思います。
だから最後は必ず優しくしてくれるし…。
トンブリダンス、イメージは…創作ダンスっぽい感じで!

あおさん、ありがとうございます

あ~今夜もあおさんの可愛いコメントを拝見出来て嬉しい!

入江くんは絶対琴子ちゃんの一生懸命なところが一番好きなんですよね!
だから好きなようにやらせるし、失敗してもきっと楽しんでいるに違いない。
「やっぱり予想通りか」とか逆に喜んでいそう。


> 入江くんの、「…楽しみだなあ。」←(ツボ)~棒読み(笑)~♪

絶対棒読みだっただろうなって!!

> トンブリダンス65章。。。
> 韓国時代劇並み。。。(笑)

そうか、なんかどっかで見た覚えのある数字だとは思ったけど、時代劇の影響だったんですね、私。

> どこか見当違いの方向に一直線に進んで行く、一生懸命な琴子ちゃん

本当に毎回見当違いの方向だけど、でも入江くんが最後はちゃんと導いてくれるんですよね!
新妻琴子ちゃん、私もこういう部分が書いていてとても楽しいです!

りきまるさん、ありがとうございます

> 私の中ではトンブリダンス=花笠音頭or鰌すくい?
そのイメージに阿波踊りを足して、三で割って下さい。
そんなイメージで書いたんです!

1章、10分くらいと仮定してます。だから…10時間ちょっとかな。
ちなみに、トンブリダンスは全部踊るわけじゃなく、イベントごとに合った章を踊る…という裏設定あり。
琴子ちゃんが得意な章は、『第48章 比内地鶏の求婚』という…。

入江くんは7章でぴたりとやめさせ、今度はベッドの中で朝まで踊り続けたに違いないです。

祐樹'Sママさん、ありがとうございます

料理を習わないわけ…
多分、琴子ちゃんはマダムのレッスンは、趣味限定とか思いこんでいるのでは?
ほら、料理は生活に欠かせないものだから…。
さすがに最終章までは付き合ってないはず。7章でストップさせたことに!

吉キチさん、ありがとうございます

かわいいでしょうね!吉キチさんの言うとおり、真剣にやってるその顔にノックアウトされているに違いないですもん。
先の方々にも言ってますが…7章でお顔ピキピキとなったはず!!
トンブリダンス、激しさを増すと下の階にひびちゃいますから!(二人はマンションだし)

拍手コメントありがとうございます

拍手コメントありがとうございます

佑さん
ありがとうございます!!
なんか、一人で笑っていて他の方が「?」という話が多いので、ワーストかなあと…。
一人でもそう思って下さる方が多いと、安心して続けることができます!

meganeさん
ありがとうございます!
そうなんですよね、日本にやってきた、ものすごーく勘違いしている外国人…な設定ですから、琴子ちゃん。
今度は何を失敗するんだろうか…。

名無しさん
ありがとうございます。
去年の今頃書いた話ですよね?突然思いついて書いた、別ぺの二人の馴れ初めだったので…。
確かせんとくんも初登場だったような。
そして私のことも御心配下さりありがとうございます。
なかなか完全に元気になるのは難しいですが、もっと落ち込んでいる母を今は元気づけることで頑張っています。

紀子ママさん
多分…私が一人で突っ走っているからかと。滑っていることに気がつくことなく…。
でもこうやって続けているんですけどね。
自分ばかり楽しんでいるからでしょうか?私のベスト3といっても過言ではないんだけど…。

すーさん
ありがとうございます!!
おかげでこうやって続編が書けます!嬉しい~!

まあちさん
可愛いですよね、琴子ちゃん。
でも朝までトランプにつきあってくれる入江くんはなんだかんだと優しいかも…。
入江くんも琴子ちゃんにぞっこんだから、カチカチ目玉焼きでもレンガパンでも食べてくれるんでしょうね。レンガパンは多分食べられなかったと思いますが…。

るんるんさん
そうですか?ありがとうございます!
入江くんは琴子ちゃんのやることなすことが全て可愛いんですよね。
そりゃあ、こんな奥さんがいたら毎日楽しいでしょう…!
トンブリダンス、琴子ちゃんの情熱が伝わる激しいダンスです!

Foxさん
私、「絶対失敗しないパン」という本を見ながら家で焼いたことあります。
切り込みを入れるところを「ま、いっか」と省略したばっかりに…おしゃれなバゲットができるはずが給食でおなじみのコッペパンに…。
お茶は母が習っていて、私も習おうと探したのですが…膝を悪くしてしまい、ちょっと難しくなってしまいました。
頑張って下さいね~。

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