日々草子 秘密 第14話
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

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二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

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秘密 第14話

それから数日経ったある日のこと。

「うん、おいしい!!」
琴子は目の前に並んだパスタセットに舌鼓を打っていた。
目を離せない患者がいるらしく、もしかしたら一晩中様子を見ることになるかも知れないから、食事はいらないと直樹から言われていたことと、一人だと作るのが面倒という気持ちもあり、今日は外食をしていたのである。
今食べている店は、同僚から勧められた店であり、一度は琴子も入ってみたいと思っていた店だった。

「おいしい…。家でもこういうの作れたらなあ…。でも入江くんは和食の方が好きみたいだし…。」
そんな主婦っぽいことを琴子が考えながら食べていると、隣の席に客が案内されてきた。
隣の客も一人のようである。
「ここ、結構一人でも入りやすいなあ。」
そんなことを思って、また、パスタへと集中する。

その時、隣に座った客に琴子のバッグが当たったようで、琴子は、
「すみません。」
と言って、バッグを傍へと引き寄せた。
「…相原さん?」
その客に突然名前を呼ばれ、琴子は顔を上げた。
「何だ、相原さんだったんだ。」
聞き覚えのある声のような気がするが、目の前の眼鏡をかけ、やや癖のある髪の毛をふんわりとさせた男性に琴子は全く心当たりがない。
「えーと…?」
琴子が首をかしげると、目の前の男性は前髪を上げて、眼鏡を外した。
「あ、水沢くん!病院にいる時と雰囲気が全然違うから分からなかった。」
目の前に座ったのは、偶然にも水原だった。
「今日、休みだったから。仕事中はコンタクトだからね。」
水沢は再び眼鏡をかけて、琴子に尋ねた。
「それに髪の毛を上げないと、学生に間違えられることが多くて。」
「なるほど。」
確かに目の前の水沢は普段に比べ、一見大学生に見えるなと、琴子は納得した。
「ここ、結構有名でしょう?家も近いし、思い切って入ってみたんだ。」
と、水沢が言った。
「そうそう、私も他のナースから勧められて来てみたの。」
琴子も水沢の言葉に同調した。その時、琴子の頭にある考えが閃いた。
「そうだ。水沢くん、ここの食事、私に御馳走させてくれない?」
「え?」
琴子の突然の提案に、水沢は驚いた。
「ほら、本も借りたままだし、いろいろお世話になっているし。何かお礼をしないといけないと思ってたの。」
「そんなお礼なんて…。気にしないでいいよ。」
遠慮する水沢に、琴子が言った。
「そんなこと言わないで。ちょうどいいから。ね?」
琴子が必死に頼む姿に、水沢は笑った。
「…そういうことなら、御馳走になっちゃおうかな。」
「本当?良かった!」
「じゃ、前に移ってもいい?」
店内は混雑してきたので、会計が同じなら相席した方が都合が良さそうだった。
「どうぞ、どうぞ。」
琴子は快く応じ、水沢は琴子の前の席へと移った。

「相原さん、東京から来てるんだよね?」
パスタを食べながら、水沢が訊いた。
「うん。研修で。」
「じゃ、一人暮らし?」
「うん。」
若干、琴子は嘘をつくことに後ろめたさを感じつつ、頷いた。
「一人暮らしって、食事とか面倒だよね。」
「水沢くんも一人暮らし?」
「そう。」
「ご実家は?」
「実家も神戸だけど…。一人暮らしも長くなったなあ。」
「早くから自立したんだ?」
「いや…、両親が亡くなったのが早かったから、必然的にね。」
琴子は慌てて謝った。
「ごめんなさい!私知らなくて悪いこと聞いちゃった。」
「あ、平気、平気。俺の方こそ気を遣わせてごめんね。一人で食べるのってあんまりおいしくないから、一緒に食べる人が欲しいんだ。」
逆に水沢は琴子を気遣った。が、次の瞬間水沢は思いもしないものを見た。
「相原さん、どうしたの?」
琴子が目の前で涙を流していた。慌てて尋ねる水沢に琴子がポツリとつぶやいた。
「水沢くん、辛いのに私を気遣ってくれて…。それに、私も水沢くんの気持ちが少しわかるの。」
琴子は水沢の意見に同意した。
「私も母を早くに亡くして、ずっと父と二人暮らしだったから。私の父、板前やっているから夜はいないんだよね。だから私も夕食は一人で食べていたから、その気持ち、すごく分かる。」
「そうなんだ。じゃ、相原さんも一人っ子?」
「そう。兄弟がいれば、寂しくないのになあと何回思ったことか。」
ようやく琴子の涙がおさまった。
何だか水沢は自分と似ているところがあるのかも、琴子はそう思った。

「…うちの両親って、本当に仲が良かったんだよね。親父なんて毎年母親の誕生日に年齢の数のバラ買ってきちゃったりして。」
「え!素敵!」
「母親なんて、“年齢のことは忘れたいから、やめて”って言ってた割には、嬉しそうだった。」
「仲が良い御両親だったんだね…。」
琴子は、水沢の話を聞きながら、自分の父親と母親もそうだったのかなと思いを馳せた。
「だから早く俺、家庭を持ちたいんだよね。うちの両親みたいな温かい家庭。」
「水沢くんなら、きっと持てるよ、温かい家庭。」
琴子は本心から言った。水沢は、
「ありがとう。」
と微笑んだ。

「あれー?薬剤部の水沢くん、だよね?」
水沢が店の外で琴子が会計を済ませるのを待っていたら、聞き覚えのある声がした。
「やっぱり、そうだ。普段と見た目が違うから分からなかったよ。」
声の主は、小児科の立原医師だった。
「お待たせ!水沢くん。」
丁度、そこへ会計を済ませた琴子が店から出てきた。琴子は立原医師と水沢が並んでいる様子を見て少し驚いたが、立原医師の後ろに立っている人物を見て、さらに驚き、思わず出しそうになった声を呑み込んだ。
「い、入江くん?」
立原医師の後ろには、直樹が立っていた。

「何、何?二人してこんなところでデート?」
立原医師が水沢と琴子の顔を交互に見ながら面白そうに言った。
「確かに、デートするにはぴったりの店だもんな。俺らなんて、そこの定食屋だもん。」
「違いますよ、立原先生。相原さんとは偶然店内で会ったんです。」
水沢が動揺もせずに答えた。
「本当?相原さん、東京に戻らないでこのまま神戸で永久就職しちゃうんじゃないの?」
立原医師が琴子をからかう。
「いえ、そんなんじゃ…。」
そう小声で言いながら、琴子は下を向く。そんなことを言われると、さすがに気まずい。
「それより、先生方、これからまた病院ですか?」
水沢がどちらともなく尋ねた。
「俺と入江先生が診ていた患者の様子が落ち着いたから、入江先生を引っ張って、ひとまず食事してきたところ。」
「そうなんですか。よかったですね、落ち着いて。」
そんな立原医師と水沢の会話に直樹が割り込んだ。
「立原先生、ここで話していると通行の邪魔ですよ。」
「ああ、そうだな。じゃあな、お二人さん。」
そう言って、直樹たちと琴子たちは別れた。
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