日々草子 秘密 第10話
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

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二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

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秘密 第10話

次の日の夜、琴子が夜勤でナースセンターにいると、
「相原さん」
と声をかけてきた人物がいた。琴子が顔を上げると、そこに立っていたのは水沢だった。
「えーと、確かこの間の薬剤師さん…。」
琴子は必死に名前を思い出そうとしたが、出てこない。
「水沢です。この間はどうも。」
「あ、そうですね、水沢さん。ごめんなさい、私ったら…。」
謝る琴子に対して、水沢は琴子が自分の名前を忘れていたことなんて、全然気にしていない様子だった。

「水沢さん、こんな時間にどうしたんですか?」
琴子が水沢に尋ねた。
「薬剤師も夜勤があるんですよ。今夜は僕が夜勤です。それでちょっとこの間の患者さんの様子を聞いておこうかと思いまして。」
琴子はこの間の患者、中田カナのカルテを取り出した。そして二人の間に広げる。
「この間の中田カナちゃんですね。あれから水沢さんの言うこと聞いて、ちゃんとお薬、飲んでますよ。」
「そうですか、それなら良かった。」
水沢はそう言うとニッコリと笑った。

「水沢さんて子供と話すの、上手ですよね。小さいお子さんがいらっしゃるとか…?」
琴子が訊いた。この間、一緒に患者の元へ行ったとき、水沢は上手く子供の心を掴んで、薬を飲む重要さを納得させたからだ。
「僕、まだ独身なんですけど。」
「えっ、ごめんなさい。あまりに子供の扱いが上手だったので、てっきり…。」
「いやいや。たぶん僕、相原さんと同じくらいの年齢だと思いますけど。」
相変わらず笑顔を変えずに水沢は言った。話しているうちに、琴子と水沢は同年齢だということが分かった。
「じゃあ、年の離れた御兄弟がいらっしゃるとか…?」
琴子は直樹と裕樹の兄弟の姿を思い浮かべながら訊いた。
「いえ、僕一人っ子です。子供好きなんですよ。薬剤師になるか保育士になるか迷ったくらいですから。」
水沢の答えに琴子は驚いた。一人っ子であの子供の扱いのうまさ。この間の患者は結構わがままで看護師も手を焼いているのだが、水沢は簡単に患者の心をとらえていた。

「相原さんって、カルテの字、丁寧ですよね。」
水沢がカルテを見ながら言った。琴子は直樹に下手だと言われたことを思い出した。
「下手だって言われますけど。」
「そんなことないですよ。それに患者のこと、よく見ていますよね。すごく細かく書いてある。こういうのってものすごく役に立つんですよね。」
水沢の言葉に、琴子は照れた。もともと直樹にも褒められることが少ないし、東京でも怒られてばかりなので、褒められ慣れていない。
「そんな、私これくらいしかできないですから…。」
「大事なことだと僕は思いますけど。相原さん、看護師に向いていますよね。」
ますます琴子の顔が赤くなる。

「ところで、もう一つ用があってこちらに来たんですけれど。」
水沢はそう言いながら、一冊の本を琴子の前に出した。薬の本だった。
「この間、相原さん薬のことをもっと勉強したいと言ってたでしょう?」
あの時、琴子は自分ももう少し薬のことも勉強しないとだめだと水沢へ話していた。
「覚えていたんですか?」
「よかったら、この本読んでみませんか?分かりやすいですし。」
「いいんですか?嬉しいですけど、私、読むスピードとか遅いから返すのが遅くなってしまいますよ?」
琴子の返事に、水沢は言った。
「僕はもう何回も読んじゃったので、返すのはいつになっても構いませんよ。」
「そうですか?じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな。ありがとうございます!」
琴子は水沢にお礼を言って、本を受け取った。

「そうそう、もう一つ…。」
「何ですか?」
琴子は本を大事に触りながら、水沢の言葉を待った。
「僕たち同じ年なんだったら、敬語、やめません?」
水沢の提案に、琴子は何の問題もなかった。
「そうですね、その方が話しやすいですもんね。」
「それじゃ、敬語なしということで…そろそろ戻ります。あ、戻るよ、か。」
わざわざ言い直す水沢に、琴子は思わず噴き出した。
「ありがとう。水沢くん。」
敬語なしということで、“水沢くん”でいいという水沢の言葉に従って、琴子はお礼を言った。その後、琴子は水沢が戻るのを見ていたが、ナースコールの音に慌てて走って行った。

「…でね、水沢くんが言ってくれたの。“相原さんは看護師に向いている”って。」
家で琴子はコーヒーを淹れながら、嬉しそうに直樹に水沢に言われたことを報告した。
「入江くんが下手だって言った字も褒めてくれたのよ。」
「あっそ。」
さっきから琴子の話は水沢の話ばかりで直樹は正直面白くない。しかも水沢は一人っ子なのに子供の扱いがうまいとか、それに対して直樹は裕樹という弟がいるのに子供に対して愛想がないとか言い出して、直樹はますます面白くなかった。
「それで、この本も貸してくれたの。」
琴子が嬉しそうに直樹の目の前に水沢から借りた本を出してきた。
「…薬の本なら、俺だって持ってるけど。」
「入江くんの本は、難しすぎるんだもん。それに、この本ね、結構私でも分かりやすい本なんだ。」
そう言って、琴子は本を読み始めた。

その夜、琴子が寝た後、直樹はテーブルの上に置かれた水沢の本を何気に手を取った。確かに、分かりやすい本のようだ。最後までページをめくって、直樹はある一点に目を止めた。
「何だ、この本。今月発行されたばかりじゃないか。」
奥付の日付が今月のものだった。
「随分と本を読むスピードが速いんだな、水沢って男。」
どうやら水沢はわざわざ琴子のために本を選んで、買って渡したらしい。直樹は本を手にしつつ、胸騒ぎを感じた。
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