日々草子 新妻の帰郷 4
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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新妻の帰郷 4




スピーチを無事に終え、琴子は王宮に戻ってきた。
「入江くん…どうしてるかな?」
ここ数日、直樹と話をしていない。今日の公務で一段落したので、ゆっくりと話をしようと思い、琴子は直樹の部屋をノックした。
「いない?」
何度ノックしても、名前を呼んでも直樹は出て来ない。そっとドアを開ける。部屋の中には誰もいなかった。

「入江様でしたら、図書室の方においでです。」
爺やに訊ねると、そのような答えが返ってきた。琴子が図書室へ行こうとすると、爺やが止める。
「お勉強中は、どなたも入れないようにと。」
「何の勉強を?」
「トンブリ王国の歴史、経済、地理等だと伺っておりますが。」
そう答える爺やだが、詳しくは聞いていないらしい。
「叙勲式まで図書室に籠られるそうです。」
「叙勲式までって…あと三日も?」
驚く琴子。だが邪魔するなと言うのだから従うしかない。だが、心配になり琴子はこっそりと図書室に向かう。
「な、何、あれ…。」
図書室の前には警備の人間が立っていて、物々しい雰囲気である。
「そこまでして、邪魔されたくないって一体…。」
もしかして顔を出してくれるかもと淡い期待を抱いてやって来た琴子だが、この様子では出てくる気配は皆無である。琴子はトボトボと戻った…。




その日、夜遅く…厨房に設置した警報が鳴り響いた。
「何事!?」
料理長を始めとする料理人たちが厨房へ駆けつける。そして…。
「お、王女様!?」
料理長は叫んだ。そこにいたのは、黒ずくめの衣装に身を包んだ琴子だった。
「ごめんなさい…そうね、夜中は警報機が設置してあるのよね。」
それをすっかり忘れてしまい、琴子は厨房に足を踏み入れてしまったのだった。
「一体、なぜこちらに?」
そう言いながら、料理長は辺りを見回す。フライパンや皿が出されている。
「ごめんなさい、片づけたら戻ります。」
立ち上がろうとする琴子。そこへ、
「侵入者は?」
と、警備の者が駆けつけて来た。
「あ…。」
大事になってしまったと青ざめる琴子。
ところが料理長は、琴子が驚くことを口にした。
「…新人が警報機の存在を忘れて入ったようです。」
この言葉には、琴子だけでなくその場にいた料理人全員が驚いた。
「…何を作られるんですか?」
と、料理長は訊ねた。琴子は、
「チャーハン!隠し味にトンブリを入れたチャーハン!」
と答える。
「食材は御自由にお使い下さい。王女様は…今夜一晩、新人の料理人でございます。」
と、料理長は笑顔で自分の帽子を琴子の頭へ被せた。そして洗い立てのコック服を琴子に渡すと、
「今夜は新入りが料理の練習をするから…誰も邪魔しないように!!」
と、料理人たちに告げた。
「はい!!」
料理人は全員、笑顔で返事をした。
「…ありがとう、みんな!」
琴子はコック服を抱きしめ、頭を下げた。

コック服に着替えた琴子は、心を込めて、トンブリ入りのチャーハンを作った。それを手に…その恰好で図書室へ向かう。
「あの…入江く…入江様にお夜食を。」
入口に立っている警備の人間に、チャーハンが乗ったお盆を渡す。警備はコック姿の琴子を見て何の疑いも抱かずに、お盆を受け取った。
「頑張ってね、入江くん。」
図書室の中の直樹にエールを送りながら、琴子は戻った。

図書室の中は直樹と、教師の二人だけだった。警備は夜食の乗った皿にかぶせられた覆いを取る。
「これは…。」
教師が思わず声を上げた。そこには焦げた謎の食事。
「これは酷い…料理長に申しつけて作り直しを。」
警備が皿に再び覆いをかぶせようとしたその時。
「いや、そのままで。」
と、直樹は止めた。
「でも…このようなものを召し上がるとお体が…。」
警備の人間は心配する。だが、
「大丈夫です。慣れているから。」
と直樹は言う。
「え?慣れている?」
思わず聞き返す警備と教師。
「あ、いや…却って目が覚めるからいいかと思って。」
慌てて言い繕う直樹に警備と教師は、
「そこまで仰るなら…。」
と手を引っ込めた。
直樹はチャーハンを口へ運ぶ。
「苦い…。」
だがその顔は不思議と笑顔であり、それを見て教授と警備は顔を見合わせたのだった。




そして叙勲式を翌日に控えた日。直樹はまだ図書室に籠っている。
琴子は直樹の部屋に入った。部屋には明日直樹が着る服が吊るされていた。
「あ…ボタンが。」
そのボタンが取れかかっていることに琴子は気がついた。付けようと思い、上着を手に取った時、
「王女様。」
と、直樹付きの侍女がやってきた。琴子が手にしている上着のボタンが取れかかっていることに気がつく。
「お付けしますわね。」
と、琴子から上着を受け取ろうとした。が、琴子は上着を手にしたまま。
「…。」
その様子を見た侍女は、手を叩いた。
「そうでした!私、老眼で針に糸が通らないんでしたわ!」
「え?」
琴子は侍女を見る。
「ああ、年を取るって辛いものですわ!肩凝りもひどいですし…嫌だわ!」
と、一人叫びながら、侍女は部屋を出て行く。去り際に、
「…ボタンつけられたら、元へお戻し下さいませね。」
と、ウィンクした侍女。
「ありがとう…!」
上着を抱きしめ、琴子は侍女に心から礼を言った。




「…そんなことまでするんだ。」
琴子の部屋を訪れたフレディは、不器用な手つきでボタンを付ける琴子を見て呟いた。
「夜中に食事を作ったり、ボタン付けたり…それって王女の仕事かい?」
「ううん。」
琴子は首を振った。
「これは、妻の大事な仕事なの。王女の仕事じゃないわ。」
そして糸を切り、
「できあがり!」
と弾んだ声を出した。
「妻…?」
首を傾げるフレディ。
「そうよ。お料理もお裁縫も、旦那様が気持ちよく過ごせるための大事なお仕事なの。」
琴子は笑顔で言った。
「そういうことがしたいために、君は一人日本へ行ったのかい?」
フレディには、王女の地位を捨ててまで(正確には捨ててはいないが)、一人見知らぬ異国へ渡った琴子の気持ちがよく理解できない。
「そうよ!」
琴子は即答する。
「旦那様…入江くんが何を食べたいかなって考えながらお買い物したり、お洗濯したり…楽しくてたまらないわ。」
「…。」
「私、この上着を入江くんの部屋へ戻しに行くけど…。」
「僕も出るよ。」
やはり琴子の気持ちが理解できないまま、フレディは琴子の後について部屋を出た。

そして、叙勲式当日となった。
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コメント

     水玉さんへ こんばんは
  皆 琴子の気持ちを 分かってくれて 良かった。直樹も 動きだしたし・・・。ウレシイなぁ。 
 
 苦いチャーハンに ボタンつけ  
琴子は 王女よりも 奥さんしたいんだもんね。 よかったぁ。 

頑張ってね、入江君。

こんばんは、水玉さま。

琴子の努力を知った入江君。
自分も何かしなきゃと思ったようで、トンブリ王国の勉強をはじめましたね。

でも、琴子の本当の願いは、王女様でいることではなく、入江君の奥さんでいることが一番の願いだと思います。

失敗ばかりのお料理でも、不器用ながらボタンをつけたり。
こんな些細なことがきっと、琴子にとったら幸せなことなんですよね。

早く、仲が良い2人を拝みたいと思います。

エンジンかかって来た?

やっと判ってくれたのかな?

琴子の為に、とんぶりの事勉強してくれてるって事は?

琴子も、直樹の事判って、食事やボタン付けして、応援してるんですね!

宮殿の皆も応援してくれて良かったね!

勲章式うまく行く事祈ってます。

琴子の努力が またまた直樹のハートに火をつけましたね。
琴子の頑張る姿が 直樹に 勉強しようって気持ちにさせるんだよね。

王女である前に 入江君の妻… 琴子の元気の元は いつでも入江君

素敵な二人が 大好きです

チャーハンを作っている琴子ちゃんのいじらしい事!!
なんだか。。。その可愛さに感動しました!!(涙)

コメントありがとうございます^^

コメントありがとうございます♪

吉キチさん
そうです、琴子ちゃんは王女よりも入江くんの妻というお仕事をしたいんだと思います♪だから入江くんのために食事を作ったりすることが何より嬉しいんだろうな。

りきまるさん
琴子ちゃんは広い王宮にいるよりも、1DKの部屋で入江くんの服をお洗濯したり、お料理したりしながら入江くんの帰りを待っている方が絶対幸せなんだと思います。それくらい入江くんを愛しているだろうから…

kobutaさん
私も入江くんが勉強をするシーンを書く日が来るとは思いませんでした(笑)
琴子ちゃんのために頑張る入江くん…ちょっと珍しくてドキドキしちゃいました♪

さくらさん
琴子ちゃんの元気の元は入江くん…入江くんの元気の元も琴子ちゃんなんですよね、きっと!
琴子ちゃんの頑張る姿はいつも入江くんの心を動かしていますし^^

あおさん
トンブリチャーハン、どんな味がするんだろうか…(笑)
きっとキッチンの周りはご飯が飛んで大変だろうな…チャーハンは(笑)
その作る姿が入江くんには愛おしくてたまらないんだと思います。

Foxさん
分かっているんだと思います♪
お互いがお互いのことを分かれば…ゴールはもうすぐです♪

まあちさん
火を使いたくない…この季節、料理をする人は100%、そういう思いでいっぱいだと思いますよ!!
だから、シマダヤの流水麺なるものがヒットしているんじゃないですか(笑)あれはいいですね~夏は麺類が食べたくなるのに、お湯沸かすのがうんざりで…ありがとう、シマダヤ!!

佑さん
どっかで散々使ったフレーズですね(笑)二人三脚…(笑)
今後は琴子ちゃんと一緒に二人三脚(それこそ、ハチマキじゃなくて鎖のような頑丈なもので)で頑張っていくことでしょう♪

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