日々草子 新妻の家出 上
FC2ブログ

プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

現在の御訪問者

現在の閲覧者数:

御訪問ありがとうございます

このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事

新妻の家出 上



今日も洗濯に励む、新聞記者の妻時々王女の琴子。
「あら?」
直樹のパジャマのズボンを干そうとした琴子が何かに気がついた。
「ゴムが…。」
忽ち、琴子の顔が輝く。そう、とうとう琴子の長年の夢である「夫のパジャマのズボンのゴムを入れ替える」日が来たのだった。
「じゃ、後でゴムを買って入れ替えましょう。」
琴子は機嫌よく、ズボンを干したのだった ――。

数時間後。
エコバッグを抱えて買い物から戻った琴子。そして待ちわびた瞬間がやってくる。買って来たゴムを手に、琴子はすっかり乾いたパジャマのズボンを手にした。

しかし…。

「…え?入れ替えられている?」
琴子はパジャマのズボンを引っ張った。…いい感じのゴムの張りである。
「え?何で?」
不思議がる琴子に、
「俺が入れ替えた。」
と、直樹が声をかけた。
「ええ!?」
大声で叫んだ琴子。直樹は思わず耳を塞いだ。
「ちょっと…どういうこと!?」
琴子の剣幕に、直樹は一瞬たじろいだ。が、すぐに、
「どういうことって…別に何もないだろ。」
と冷静な返事を返した。
「何もないって…何もないって…。」
涙目になりながら、何度も何度もズボンのウエストを引っ張る琴子。そして、
「ひどい…。」
と、恨めしそうに直樹を見た。
「ひどいよ…入江くん…。黙って入れちゃうなんて!!」
「ひどい…だあ?」
今度は直樹が憤慨する番だった。気を利かして入れたつもりなのに、怒られるのは筋に合わない。
「そうよ、ひどいじゃない!入江くん、私がどんなにパジャマのズボンのゴムを入れたかったか、知っててこんなことするなんて!!」
「そんなの、知るかよ!」
売り言葉に買い言葉である。
「大体、お前の腕じゃ今夜寝る時までにズボンが履ける状態になってるか疑問だし。」
「そんなことないわよ!すぐにチャッチャッって…。」
「どうだか。お前すげえ不器用だしな。」
「ひどい!大体、出会った時に私が言ったこと、忘れたの?旦那様の靴下の穴とか、パジャマのズボンのゴムとかを縫ったり入れ替えたりするのが夢だって言ったじゃない!」
「そんなこと言ってたっけ?」
直樹の素っ気ない態度に、琴子の怒りは増した。
「ひどい、ひどい、ひどい!!」
「うるさい!」
琴子は涙を拭くと、立ち上がった。何をするのかと思いながら直樹が見ていると、琴子は風呂敷(それも唐草模様)を取り出し、そこに自分の着替えをまとめた。
「…もう一緒に暮らせない。」
どうやら家を出る気らしい。
「…長い間お世話になりました。」
ぺこりと頭を下げる琴子。
「短い間だったけどな。」
直樹の言葉に、琴子はまた怒りで顔を赤くする。
部屋を出ようと背中を向けた琴子に、直樹が、
「ちょっと待て。」
と声をかけた。止めるのかと期待して振り返った琴子だったが、
「邪魔だからこれも持って行け。」
と直樹は琴子の風呂敷包に本を突き差した。それは『続・良き妻となるために』という本(恐ろしいことに、続編があったのだった)。
「こんな本読んでても、ちっとも良き妻にならなかったな。」
直樹の嫌味に琴子はまた泣きそうになるのをぐっと堪え…玄関を後にしたのだった。



実家に戻るべきところだが、トンブリ王国は遠すぎる。琴子が向ったのは…トンブリ王国の在日大使館だった。
「夫婦喧嘩ですか…。」
突然やってきて「しばらく置いてくれ」と言った王女を前に、大使夫妻、大使館職員は溜息をついた。
「理由は何でございます?」
大使夫人が琴子へ訊ねる。
「理由…理由は…。」
さすがにパジャマのゴムが原因とは口にはできない。
「理由は…主婦としての私を…冒涜したの!」
「んま!」
琴子の言葉に、女性陣が眉を潜めた。それは女性としては許せない。
「だけど…程ほどにしないと、戻りづらくなりますよ?」
そんな女性陣の中で肩身を狭くしつつ、大使が琴子に告げる。
「あ、それなら大丈夫よ。」
琴子はテレビの電源を入れた。そこに流れたのは…。

―― すまんかった。やっぱりわしはお前がおらんと、駄目な男さかい。
―― あんた…ええのよ。あんたにはわてが必要なんやから。

と、コテコテの関西弁で繰り広げられている芝居だった。

「そのうち、入江くんだって私が必要だって迎えにくるから!」
自身満々な琴子である。が、大使館の人間全員は同じことを思っていた。

―― 入江様は…そんなこと、口が裂けても仰らない…。



そして、大使館の人間の予想は当たった。

「…来ない。」
家出して5日が経った。しかし、直樹が琴子を迎えに来る気配は一向にない。
「おかしいなあ…あ、仕事、忙しいのかな?」
不安になる琴子。だが自分からは何があっても戻るつもりはない。
「そうだ!“あれ”をやろう!最近さぼっちゃったからなあ…。」
気を取り直そうと、琴子はDVDをセットした。が、すぐに目を見張る。
「え?どうして?ここにこれがあるってことは…?」
流れたのは…『デコピンの決断』という、直樹が録画していた経済番組だった。

そしてその頃――。

「何だ?これは?」
録画していた『デコピンの決断』を見ようと、こちらもDVDをセットした直樹。そして琴子同様驚いた顔を見せていた。

『突き出して、突き出して!!あなたの胸は今、釣り糸に釣り上げられています!それをイメージして!!』

画面の中では、インストラクターが声を張り上げながら、胸を突き出している。

『さ、夢のCカップはすぐそこ!頑張って!諦めないで!』

それは、琴子のバストアップのエクササイズのDVDだった。

「あいつ…俺がいない間、一体何をやってんだ?」
画面の中で叫ぶインストラクターを見ながら、直樹は溜息をついたのだった…。



琴子は直樹に関しては、頭が働くことがある。
「もしかして…取材にかこつけて迎えに来るのかも…。」
そう思った琴子は、夕日新聞社の取材が入ったら教えるようにと職員たちに頼んでいた。
そして…その日がやって来た。

「夕日新聞社から、大使夫人へ取材の申し込みがありました。」
その連絡を聞き、琴子は急いで取材をしている部屋へと向った。
しかし、そこにいたのは…。

「あれえ?琴子ちゃん、里帰り?」
「西垣さん…。」
直樹ではなく、西垣だった。
「だって、大使夫人の取材とくれば、僕の出番でしょう!」
「ああ…言われてみれば…。」
女性の取材なんて西垣の独擅場である。琴子は溜息をついた。
「あの…西垣さん。」
琴子はおもいきって尋ねてみることにする。
「入江くん…元気ですか?その…シャツがよれよれになってるとか…。」
妻不在だと、夫の身の回りもどこかおかしくなると噂に聞いたことがある琴子。直樹ももしかしたら…と思ってのことだった。
「シャツ…ああ、そういえば…。」
西垣は思い出したように頷く。
「そういえば?」
琴子の顔が輝いた。もしかしたら…「やっぱり琴子がいないと」と直樹が迎えに来るのでは?
「そういえば、最近はすごいピシッとアイロンがかかっているなあ。あいつのシャツ。この間までは変な皺とか寄ってたのに。」
それもそのはず。直樹は…琴子よりアイロンがけは上手である。皺一つないシャツに仕上げる。
「そんな…。」
自分がいないと駄目どころか、いない方がいいと言わんばかりの現実を西垣を通して突き付けられ、琴子はがっくりと肩を落とた。

そんな琴子を見て、西垣はやっと事情を呑みこみ、空気が読めなかった自分を責めた。

「あ、そうだ!今の嘘だよ、琴子ちゃん!いやあ、最近の入江はもう汚くて何かこう…酸っぱい匂いが漂ってきて、風呂とか入ってないのかよって感じで…シャツも黄ばんで、あ、いや、もう薄汚れて茶色になってる感じ、頭の上にこう、蠅もブンブン飛んでいて…ね、聞いてる?琴子ちゃん?おーい、琴子ちゃん…。」

西垣の言葉など聞こえていない琴子は、トボトボと自室へと戻ったのだった…。


そして琴子は居ても立ってもいられなくなり、こっそりと懐かしの我が家を覗きに出かけた。
「あ、今帰って来たんだ…。」
電柱の陰に隠れながら見上げていると、ちょうど部屋の電気がついた所だった。



部屋に入ると、当たり前だが琴子はいない。
「いつまで戻ってこないつもりなんだか…。」
割と強情だと思う直樹。家事は正直、琴子よりも上手にこなすので問題はない。だが…やはり琴子がいないと調子が出ない。
食事も一人で食べてもおいしくない。たとえどんなにまずい料理でも、琴子のおしゃべりは最高の調味料だったことに気がついていた。
「夕飯…面倒だな。弁当でも買ってくるか。」
直樹は手早く着替えると、すぐに電気を消し、部屋を出た。



「消えた…。」
ついたと思った明かりがすぐに消えた。不安に陥る琴子。そして繰り広げられるのは…お得意の妄想劇場(悲劇的バージョン)。



―― いいの?奥様のお留守中に。
直樹に連れられて入って来たのは琴子とは正反対の大人の美女。
―― いいんだよ。あいつ、出て行っちゃったんだから。
そして直樹は美女の服に手をかける。その手をやんわりと止める美女。
―― 嫌よ、奥様が寝たベッドでなんて…。
美女に睨まれて、直樹は笑みを零す。
―― 大丈夫だよ。ほら…これ…。
そう言って直樹が手にしたのは…琴子が買っておいたファブリーズだった。
―― ほら、こうやって。
直樹はシュッシュッとベッドへ噴きかける。
―― これで大丈夫。
そしてファブリーズのCMからスカウトがすぐに来るような、爽やかな笑顔を見せる直樹。
―― さ…ほら…。
そして電気は消されたのだった ――。




「ひどい…。」
自分の妄想にすっかり入り込み、琴子は泣き出していた。
「ひどいよ…入江くん…。“ファブリーズで妻の匂いも一発消臭”だなんて…。ファブリーズは入江くんのスーツの消臭のために買ったのに…。そんなことに使うために買ったんじゃないのに…。」
うっ、うっと、しゃがみこんで泣いている琴子を、通行人が不気味そうに見て行く。

やがて琴子は涙を拭きながら、よろよろと立ち上がり…大使館へと戻って行ったのだった。









☆御挨拶
ひっそりと戻ってまいりました…。留守の間は色々御心配をおかけし申し訳ございませんでした。
そして留守の間も温かいお言葉、本当にありがとうございます。
チラシ…まさかあんなに喜んでいただけるとは…(あ、実際に読まれて喜ばれたかは謎ですが(笑)、拍手の数で勝手に判断させていただきました)。
リハビリかねて、これまた「しょうもなっ!!」話を2本アップしてみましたが…果たしてどうなっているのやら…。
と、相変わらずの私ではございますが、今後ともよろしくお願い申し上げます。
関連記事

コメント

おかえりなさい~!!

水玉さん、おかえりなさぁい~!!
待っていましたよ~。
お元気そうでよかったです。
お忙しいほうはもう大丈夫ですか??
久々の更新にワックワクな私です。
こちらこそ、これからもよろしくお願いします!

あ、チラシも楽しませていただきましたよ~。
いつもの水玉ワールドからは想像もできないイリコトに爆笑をおさえられませんでしたw
いつものかわいいイリコトにとどまらず、ああいった作品までつくられる水玉さんの才能にますます尊敬!ってなりました。
チラシのほうも今後ともがんばってくださいね♪

さてさて、相変わらず、新妻琴子はかわいいですね。
ゴネ方がかわいいすぎ。その後の不安ぶりがかわいすぎ。その後の妄想がかわいすぎ。
久々水玉イリコト炸裂って感じ☆でしたねっ!!

嬉しいです。新作を2本も同時UP。新妻琴子ちゃんの可愛らしさも健在だし。いつも感じてたんですが、王女様だからなのか琴子のぶっ飛び加減が突出してて笑わせてもらってます。直樹と琴子、どちらが先に折れるのか、後編が楽しみです。

お帰りなさい(^^)

水玉さん、お帰りなさい

本当に毎日お部屋訪問を、繰り返しては、ため息を。
でも無事お帰りいただきありがとうございます。

せっかく、直樹の為に新妻のお仕事がと、思って張り切っていたのに。
直樹に先手を奪われましたか。
でも、直樹の方が早いですが。
これで、家出して大使館へ。
それでも、直樹迎えにいきませんね。
琴子も直樹のことが気になりながら、部屋を覗きに
そこで、一人妄想に、悩んでいますね。
早く、帰らないと、迎えに行かないと。
どっちもどっちですが・・・・

うれしい、待ってました。

水玉さんが、居ない間過去の作品をずーっと読んでおりました。

やっぱり何度読んでも、良いですね!

琴子、パジャマのゴムで家出?それも大使館に?

この後、どうやって仲直りをするのか楽しみです。

No title

妄想爆走中の琴子。

琴子の頭の中では『昼ドラ』が新幹線並みに走っているようで・・・
あの入江君が素直に迎えにいくとは思えないんですが、
ひとり寝の寂しさが出てきたみたいなので、
悲劇のヒロイン&昼ドラヒロイン琴子を
妄想の中から早く迎えに行ってあげてね、入江君。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://suisen61.blog77.fc2.com/tb.php/827-f55d2aeb

 BLOG TOP