日々草子 君と交わした約束 11
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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医局の自分の机の上に手紙が置かれていた。直樹は封を開けた。

『入江先生
 この手紙を先生が読んでいる時、私はおそらく船の中でしょう。
突然ですが、異動を命じられました。これも私の看護婦としての実力が認められたからでしょうか?』

「…何が実力だ。この間だって器具を全部落として消毒し直す羽目になったくせに。」
そこにはもう琴子はいないのに、そう口にせずにいられない直樹。

『…一人先生を残していくことは心配でたまりません。』

「お前に心配されたら、もう俺も終わりだな。」

『先生にお世話になったお礼も言えずに、旅立つのは大変残念です。お世話になっておきながら、こんなことを言うのは本当に、申し訳ないのですが、お願いがあります。』

「お願い…?」
直樹は何だろうと手紙を読み進める。

『まず一つ目のお願いです。先生、あまり院長や他の先生と喧嘩しないようにして下さい。あの人たちは自分のことしか考えていない人たちです。そんな人たちと喧嘩して、先生が辞めるようなことになったら勿体ないでしょう?この病院の患者さんは入江先生を信頼しています。どうか、入江先生は患者さんたちを治すことに専念して下さい。

二つ目は、子供たちのことです。子供たちは先生のことが大好きです。ですので、時間があるときでいいので、相手をしてあげてもらえないでしょうか?どの子も父親が戦争に行ってしまい、寂しい子ばかりです。歌を歌えとは言いません。時々遊んであげて下さい。

三つ目…これはお願いというより、私の希望ですが。子供たちと遊ぶ先生は本当に楽しそうです。先生は大人相手より子供相手の方が向いている気がします。将来、子供のお医者様、小児科の病院を開くというのはどうでしょう?絶対、先生に合っている気がするのですが…』

ここまで読み、直樹は、
「人の将来を勝手に決めやがって…あのバカ。」
と、笑いをこぼした。

『…最後のお願いは…書くと叱られそう。』

「なら書くな。」

が、続きを読む直樹の目が見開かれた。

『…戦争が終わって、私が戻ってきたら…私を先生のお嫁さんにして下さい。あ、こんなこと書くと、先生はここで手紙を丸めてしまいそう…言い直します。先生が開いた小児科の病院の看護婦に、私を雇って下さい。お給料いりません。体は丈夫ですから、どんなに扱き使って下さっても大丈夫です。』

「相原…。」
直樹の心に、琴子の笑顔が浮かんでは消えていった ――。


「…あんなこと書いて、先生怒ってるだろうなあ。」
直樹が手紙を読んでいる頃、沖縄へ向かう船の上で琴子は溜息をついた。
「お嫁さんにしてくれ、だなんて…今の先生には失礼だったよね。」
だけど、戻ってこられるか保障はない。自分の気持ちを伝えればよかったと後悔はしたくなかった。
「…叶わないお願いだけどね。」
最初の二つは聞き入れてくれるだろうと琴子は信じていた。が、残りは…。
「…先生が子供の病院を開くとこ、見たかったなあ…。」
おそらく見ることはできないだろうと思うと悲しい。だが、琴子は直樹と過ごした日々を思い出す。短かったが、一緒にいられたのは楽しかった。
「最後に好きになった人が入江先生でよかった…。」
その想いは叶わなかったが、琴子は心からそう思っていた ――。


「…しかし、相原くんには驚かされましたな。」
直樹が手紙を読み終えた時、傍の廊下から声が聞こえた。院長と副院長が歩いているらしい。
「本当に。てっきり、入江先生が無断で薬を持ち出したと思っていたのに。」
あの時のことを話しているらしい。直樹は二人の会話に耳を傾ける。
そして次の副院長の言葉に直樹は耳を疑った。

「…まさか、相原くんが入江先生を脅したとは!」

―― 何だって?
一体、何がどうなっているんだと思う直樹。

「女のくせにすごいことをするもんですな。」
会話は続く。
「まったく。薬を出さないと、入江先生に襲われたって言い触らすと脅しただなんて…。」
「看護婦が医者を脅すだなんて、世も末だ。」
「あんな人間はこの病院に置いておけない。」
「だけど…。」
副院長はニヤリと笑った。
「もしかしたら、本当かも。」
「襲われたことが?」
「いいえ。彼女は…男となら誰とでもそういうことをするとか。」
「つまり入江先生と相原くんはねんごろだったと?」
院長は唖然とした。
「そう。だから彼女は入江先生の結婚を邪魔したとしたら…全て辻褄が合うのではないだろうか?」
そこまで二人が話した時、直樹は廊下へと出た。

「い、入江先生!」
そして副院長は傍の部屋が医局であることを今、知る。
「…医局の傍で医者の噂をするとは、不注意ですね。」
直樹は冷たく副院長に言い放った。
「う、噂ではない!事実だ!」
院長が言い返す。が、息子ほど年が離れた直樹の迫力に二人は完全にのまれていた。
「事実?」
「ああ。あんな看護婦は置いておけない!」
「この…!」
自分はいくら悪く言われても構わない。だが、琴子を侮辱されることだけは直樹には我慢できなかった。
直樹は院長の白衣を掴んだ。怒りが籠ったその目に、院長は震え上がる。そのまま院長を殴りつけようとした直樹。その時――。

『…院長や他の先生と喧嘩しないで。』

直樹の脳裏に、先程読んだばかりの琴子の手紙の文面が蘇った。直樹は手を離し、院長を解放した。
そして、二人に背を向けると、その場を立ち去った。

―― あいつ…俺のことを庇って…それで沖縄に…。
直樹は屋上へ出て、座り込む。おそらく、沖縄へ飛ばされることになっていたのは自分だったのだろう。それを知った琴子は…直樹を庇って、自分が全ての罪を被ったに違いない。

「勝手なことしやがって…。」
これで琴子に庇われたのは二度目だった。最初は暴れる患者から直樹を庇って怪我をした。そして今度は…戻れるかどうか分からない遠い、遠い所まで行ってしまった琴子。

「…必ず、戻ってこいよ。」
直樹は琴子へと呼びかける。戻ってきたら…その時は素直に自分の気持ちを打ち明けたい。

「このまま、俺を一人にしたら絶対許さねえからな。」
届くはずのない言葉を、何度も直樹は口にした ――。


琴子がいなくなって数カ月が経った。
直樹は琴子に言われたとおり、院長たちともなるべく争わないように過ごし、時間があるときは、退院した勇を含めた子供たちの相手もしていた。

「みんな!!」
幹が嬉しそうな声を上げて、遊んでいる直樹たちに走ってきた。
「琴子から手紙よ!」
たちまち子供たちが幹の元へと駆けよる。後から直樹もついていく。

手紙には、沖縄の病院にも慣れたこと、そこでは兵隊から慕われており、やっぱりここでも自分は白衣の天使だと、琴子らしいことが書かれていた。

「…絶対嘘だよね。」
勇が呆れる。
「琴子姉ちゃんのことだもん、失敗ばっかりしてるよ。」
他の子供も同意する。それは直樹と幹も同じだと思った。
だが直樹には、きっとそんな琴子の失敗が暗い病院を明るくしているだろうと分かっている。
「返事書こう!」
幹がみんなに紙と鉛筆を提供した。子供たちは書くことに集中した。
「入江先生は書かないんですか?」
幹は直樹にも筆記具を渡そうとした。きっと琴子は直樹からの手紙を誰よりも待っているに違いないと幹には分かっていた。
「俺は…いい。」
直樹は断る。
―― 手紙なんかより…早く顔を見て話がしたい。
直樹はそう思っていた。

しかし、直樹はこの時手紙を書かなかったことをやがて後悔することになる ――。


また暫く経った頃…。

子供たちの合唱の声が、病院の庭から聞こえてくる。直樹はその声に耳を傾けながら、医局でカルテの整理をしていた。
「先生…。」
振り返ると、幹が青ざめた顔をして立っていた。
「急変か?」
立ち上がろうとした直樹を、幹が止める。その目からはやがて涙が溢れ始めた。

「何か…あったのか?」
直樹の胸に嫌な予感がよぎった。
「これ…。」
泣きながら、幹は直樹に紙を渡した。直樹は震える手で開いた。

「死亡…通知…?」
それは、琴子の死亡を知らせる通知だった。

庭から子供たちの声が聞こえてくる中、直樹と幹は黙って立ち尽くしていた――。










☆あとがき
次回で最終回…もし無理だったら、その次くらいで。
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コメント

えっえーーーーーーー!

琴子の死亡通知?

本当に死んじゃったの?

直樹は琴子の約束守ってたのに?

続きが気になります。

早く読みたいです。

水玉さん、こんにちは^^♪

琴子ちゃんが入江くんにとって、どんなに大切な存在かを、
強く思うこの回。
水玉ワールド。。。どこから湧き出るのですか?その文才!!!
と感心しつつ-------どっぷりこんです~~~^^!!!

”死亡通知”!!ちょっと待ってください水玉さん!!
うっあー。。。沈んでしまいますよ~~!!
では。。。

琴子ちゃんが直樹に告白するシーンは
どの話を読んでもジーーーンときちゃいます。
今回も涙流しながら浸っていたのに。。。。。
なになになに!!最後は!!!

水玉さん!最終話後に聞きたいことがいっぱいあるわ~
私は、ドキドキしながら毎回続きを楽しみにしていますが、書き手としては色々悩み考えながら書かれているでしょう??
最終話含め、あとがきもかなり楽しみな私です。

水玉さん、こんにちは

嘘ですよね。
琴子が死んだという通知が。
絶対に琴子が入江先生をおいて
死ぬわけがないですよね。
どうして、琴子がこんな酷い目に
琴子が、手紙で入江先生に結婚して下さいと
書いていたのに
先生との約束なのに
でも、その約束を守らないで、琴子が死んだなんて
もう、涙が止まりません。
水玉さん、この後の展開お待ちしています。

こんばんは、水玉様。
琴子 死んじゃうの?
琴子の気持ち 直樹に届いたのに?
そんな・・・・・? 悲しすぎる・・・・。
続きが、とても気になります。























ダメです!

水玉さん!ダメです!琴子は死にませ~ん
~ふあっ~息するのわすれてた~
小児科開業を切望!!!勿論琴子が看護婦&お嫁さんで~

ぁぁぁぁぁぁ(汗)

なんで~(ノд<。)゜。
琴子、死んじゃったの…?
嘘であってほしいです(>_<)

きっと、誰かと間違えられて、それでですよね!?

そうであることを祈ってます(´;ω;`)


直樹、後悔しまくりでしょうね…゜。(p>∧<q)。゜゜

えっ・・・嘘だと言ってください。

こんばんは、水玉さま。

琴子が・・・

本当なんでしょうか・・・

あの元気印の琴子が・・・

信じられません。

どうか、誤報でありますように。(T_T)

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