日々草子 君と交わした約束 7
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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「もういいから、帰って!」
「琴子!」
病院の応接室から聞こえる怒声に、直樹は思わず足を止めた。
ドアが音を立てて開かれる。直樹の姿は丁度ドアの陰になって中から出てくる人間には見えない。
「だけど、お前…。」
「疎開したければ、お父さんだけすればいいわ。私はこの病院に残るの!」
「看護婦だって次々と疎開してるって聞いたぞ?」
「人は人、私は私。」
二人は騒ぎながら、玄関へと向って行った。

―― 疎開…。
どうやら琴子の父親は娘を疎開させたくないらしい。が、琴子はここに残りたいらしい。

「疎開?しませんよ?」
屋上で、いつものように琴子に食べ物を食べさせながら直樹が訊ねると、琴子からはきっぱりとした返事が返って来た。
「だってここには子供たちもいるし、患者さんもいる。それに…。」
言いかけて、琴子はチラリと直樹を見た。
「まあ…手のかかるお医者様もいますし。」
「そんな医者いたか?」
「とにかく、ここに残ります。」
琴子は誤魔化した。琴子の答えを聞き、直樹はなぜか安堵感を覚える。それがなぜかは…分からなかったが。

「じゃ、口開けて。」
琴子の口に食べ物が入っていないことを確認する直樹。同様に両手、白衣のポケットと確認していく。
「よし。」
そして直樹は院内へと戻って行く。
―― だって…先生と離れたくないもん。
先程、直樹に言えなかった台詞を琴子はそっと心の中で呟いた――。

「入江先生、すっかり子供たちと仲良くなったわねえ。」
直樹が子供たちと遊ぶ様子を見ながら、幹が言った。
最初は怖がっていた子供たちだったが、子供相手だからと甘やかすこともなく、大人のように扱う直樹をすっかり気に入ったらしかった。

「やっぱり、入江先生のお嫁さんになりたいな。」
女の子たちが琴子に話す。
「かっこいいし、何でもできるし。」
「うーん…。」
琴子は言葉につまった。が、本当のことを口にする。
「あのね…先生、お嫁さんになる人、もう決まってるの。」
「ええ!本当!?」
子供たちが一斉に叫んだ。
「それって…琴子姉ちゃんじゃないよね?」
誰かが訊ねる。
「違う、違う。すっごく綺麗な女の人。」
琴子の言葉を聞き、一人前に溜息をつく女の子たち。

その様子を、部屋の中で直樹は聞いていた。

「…姉ちゃんも、好きなのかと思ってた。」
勇の言葉に、琴子は驚く。
「私が?まさか!!」
否定する琴子。いくらなんでもそこまで正直に口にはできない。
「まあ、姉ちゃんが嫁に行くのは無理だけどな。」
「ひどい!」
琴子は勇を睨んだ。部屋の中で直樹は笑いを堪える。
「だから…姉ちゃんはしょうがないから…俺がもらってやってもいいよ?」
勇が真っ赤になりながら言った。
「おお、勇、勇気ある!」
「すごいね、怖い物知らず!!」
口々に勇をからかう子供たち。
「ちょっと、あんたたち、失礼じゃないの!」
琴子は子供たちを窘め、そして、
「ありがとう、勇。それじゃあ、誰も姉ちゃんを嫁にしてくれなかったら、考えてあげてもいいよ。」
と、なぜか偉そうに勇に話した。勿論、琴子とて勇は冗談を口にしていると思っている。
「偉そうに…。」
勇は口を尖らせた。


「おい、勇。」
琴子が仕事に戻り、子供たちも家へ戻ろうと門へ向っていた時、直樹が勇を呼び止めた。
勇が振り返ると、ボールが顔面に直撃する。
「…忘れ物。」
「だったら、ちゃんと投げてくれたっていいじゃないか!!」
顔を擦りながら、抗議する勇を無視して、直樹は背を向ける。
なぜか、勇の「姉ちゃんを嫁に…」の言葉が面白くない直樹だった――。


そしてまた、直樹と琴子は屋上にいた。
「…お前の汚い口の中を見るのも飽きたな。」
いつものように、琴子の口の中を見て直樹は呟いた。
「先生がさせているんじゃないですか!!」
琴子は怒りだす。だが、今日の直樹はどこか元気がない。
「どうかしました?あ、お腹でも壊しました?」
いつかの仕返しをする琴子。
「…お前、俺がいなくなった後もちゃんと食えよ。」
「…え?」
直樹の言葉に、琴子は驚く。
―― 今…俺がいなくなった後って…?
直樹は琴子に告げた。
「あと少ししたら…結婚式を挙げるんだ、俺。」
「結婚式…。」
許嫁がいて、このご時世、結婚を急ぐのも何の不思議もない。
「それは…おめでとうございます…。」
琴子はそれだけを口にするのが精一杯だった。
「でも…いなくなるって?」
結婚するだけなら、別にそれ以外は何も変化がないのではと琴子は疑問に思った。
「結婚したら、俺は別の病院へ移ることになってる。」
「病院を変わる…んですか?」
頷く直樹。
「彼女の家の知り合いの経営している病院にね…最初からその約束だったから…。」
その方が勤務も融通が利くからとのことだった。許嫁から見れば、新婚生活を少しでも一緒に過ごしたいだろう。
「そうですか…。」
琴子は言葉少なく呟くことしかできない。
「子供たちもがっかりしちゃいますね。入江先生とせっかく仲良くなれたって喜んでいたのに。」
子供たちにかこつけているが、本当は自分ががっかりしている琴子。だが、それを口にするわけにはいかない。
「俺も楽しかったよ。久しぶりにボールで遊んだりできたし。」

―― 見ていて放っておけない看護婦と過ごすのも、楽しかったし。

直樹も口にできない想いを心の中で呟いていた ――。

黙りこんでしまった二人の間を、風が通り抜けた。
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コメント

切ない~(ノд<。)゜。

入江せんせ、子供にまで嫉妬を焼くくせに、嫉妬だと…琴子にラブvだなんて気付かずにモヤモヤしてるんでしょうね…☆
そして、結婚して琴子ちゃんの前からいなくなっちゃうなんて~(>◇<)
琴子ちゃんも可愛そうだし、入江せんせも後悔しちゃうよ、って言いながら読んでました☆☆

早く、琴子ちゃんへのラブvに気付いて、幸せになってほしいです☆

うぅぅ…

こんばんは~☆

最後の描写、二人とも言葉にならない想いを抱えてる感じがすごく
伝わってきます。。。
どうしても沙穂子さんがからむとせつなくなりますね。
(沙穂子さんには悪いけど)
琴子が、子供たちががっかりすると言いながら、ひきつり笑いをしている様子が、また入江くんはそれを聞いてはいるけど、上の空の様子が目に浮かぶようです。

入江くんはどんなふうに自分の気持ちに気付くんでしょうか。
そこはやっぱり入江くんらしく、琴子を失う直前?
はたまた失ってからでしょうか?

2人は、別々の職場になっちゃうの?

こんばんは。

せっかく琴子と入江先生が、仲良くなってきたのに、先生の結婚が近付いてきて、結婚後の職場も離れてしまうなんて・・・

琴子にとって好きな人に婚約者がいて結婚するのは仕方がないと自分の気持ちを抑えたのに、職場を変えると言う入江先生。

もう二人は会えなくなっちゃうのかな・・・
琴子の恋は実らないのかな・・・

切ないですね。

そんな琴子にプロポーズをしてくる勇くん。
そんな二人に自覚なく嫉妬をする入江先生。

早く、琴子が好きなことに気付いて、勇君から琴子を奪還してね、入江先生。(笑)

水玉さん、おはようございます

入江先生、琴子の前から、居なくなるのですね
勤務先が、変わるから
琴子、寂しくなるね
入江先生も琴子の事、少しは気になっていますよね。
勇君に嫉妬ですか?
入江先生と琴子、離れ離れに???
切ないですね、本当に。

だんだん切なく、悲しい展開になってきましたね。琴子と出会う前に既に許嫁がいたから諦めるしかないのかも知れないけど(時代が時代だし)でも、直樹、自分の気持ちに気付いて琴子を幸せにしてあげて!

また病気だ~

水玉さん~っ!免疫がつかないのか?また胸キュ~ン病です
どうしてキュ~ンって切ないのに心地いいのかな~何だか今度は切ないまま終わっちゃうんじゃないか・・・だって~「君と交わした約束」ってなんか・・心配

このまま

お互いを、気になり始めたのにお別れなんて寂し過ぎるよー!

邪魔な沙穂子が疎開してくれないかな?

本当は2人で幸せになってもらいたいけど
入江くんとじゃなくても良いから
琴子が幸せな終わり方
幸せじゃなくても切なさや入江くんへの思いを抱えて生きていく終わり方じゃなければ
と思います。

コメントありがとうございます。

コメントありがとうございます♪

愛結美さん
なんで子供にイラついたのか、自分では理由が分かっていないんでしょうね…この時は。
琴子ちゃんは自覚しているんですけれど。
でも入江先生が自覚したところで、もう動けない所まできちゃってるし…という感じでしょうか?
私もラブラブが恋しいです(笑)

rinnnさん
というか、入江くんの婚約者って沙穂子さん以外に考えられない(笑)なんだか沙穂子さんも悲劇の女性ですよね…毎回二次に出ては失恋するという(笑)
このころって好きでもその気持ちを打ち明けられなかったらしいですから…その辺のもどかしさが少しでも出せたらいいなと思って無謀にも挑戦しておりますが…無理そう(笑)

りきまるさん
失恋するのなら、もう会えない所に行ってくれた方が楽といえば楽ですよね…辛いけど。
出会った時には、相手には決まった人がいた…うーん、なんか恋愛物の王道って感じですよね^^
今回の話は静かに進んでいる気が自分でもして…そろそろラブラブ欠乏症を別の何かで補いたい気分でいっぱいです。

tiemさん
離れ離れになっちゃうんですよね…その前に何かできればいいのに。
琴子ちゃんからは何もアクションを起こせないし…辛いですよね…。

祐樹’Sママ さん
せつないというか…どうしてこうも明るさのない話に(笑)
戦争=悲しいというイメージのためではあるのでしょうが…きっと書く人がもっと上手だったら、暗さの中にも明るさが…みたいな話になるんだろうなと思ってます。
力が及ばないことを痛切に感じております…。

美優さん
ああ、タイトル!!他の方にも同じようなことを(笑)
過去形だからでしょうか?私にしては…なんかこっ恥ずかしいタイトルにしてしまいました(恥)
でも自分では結構気に入っていたりするのですが^^
もっと美優さんをキュンキュンさせたいです。

kobutaさん
もう…最後の一文にkobutaさんの思いが凝縮されてますよね(爆笑)
なんだか、こっちが昼ドラめいてきました(笑)
今回はどちらかというと…沙穂子さんの件は二番目くらいの大事さなんですが(笑)
おっといけない、いけない、話し過ぎました(笑)

ひよこさん
そういう希望が持てる終わり方なら、悲恋でもOKということでしょうか?
でも結ばれなくとも、琴子ちゃんは入江くんだけを想ってほしいという感じなのでしょうか?確かに恋愛の王道にはそれもありですよね^^

佑さん
空襲…そうだった、戦争といえば…空襲…。
なんかもう時代背景を完全に無視してしまっています。考えてみれば、この時代に「ボール」と口にできないし。
ゆるゆると書いていっちゃいます、ここまできたら(笑)いや、背伸びはやめた!!(笑)

ミミ猫さん
はじめまして!コメントありがとうございます!
パスの件ですが…ごめんなさい!あれ以外はノーヒントとさせていただいております!!
当分変更する予定はないので、気長に考えていただけたらと思います♪

rinさん
そうなんですよね。というか、結婚ということ自体、今の私たちには考えられない意識で行われていたし…いや、本を読んでびっくりしました。
それが当たり前で、だれもおかしいと疑わなかったこと自体、おかしい時代だったんですよね…やっぱり戦争は人をおかしくさせるんだなと思いました…。

いたさん
私も、先を知っているとはいえ(笑)自分でも相当モヤモヤしております。
今回は琴子ちゃん目線で書いているので…琴子ちゃんのせつなさに重点を置いているつもりです…(笑)いや、いつもどうしても入江くん目線になってしまうものですから。
早く進めたい~。

foxさん
チョコ…この続きがちょっといるかな…というか、必要だと思っていただけたら嬉しいです♪
悲しい話って、自分も書いているとせつなくなります。気分はすっかり琴子ちゃんモードな私…入江くんモードにはならない私…(笑)

RuRuさん
そんな、そのむちゃぶりハードル上げは一体(笑)
そんな入江くん、書けるものなら書いてみたいですが…(笑)一体、RuRuさんの目には私ってどんな人間に(笑)
あ、でも確かに弱さを見せる入江くんは初めて…かも?たとえイメージと違っていると知りつつ、でもこんな入江くんもありかなあと書いてみました♪
琴子ちゃんも突き進めないし…可哀想。←あくまで琴子よりな私(笑)

若草智紀さん
確かに、金ちゃんのような超個性的キャラには、もはや日本人では相手は務まらないかも…(笑)
でもこの時点で、入江くん以外に男性、誰も出てないんですよね(笑)
そして、仰る通り、お江戸イリコトと逆パターンです(笑)ワンパターンな私です…。

う~ん(-"-;)

うまく言えないけれど‥
琴子ちゃんて全力投球でまっすぐな一生懸命だから
入江くんと結ばれないなら
別の素敵な人と幸せになってもらいたい感じ。

入江くんが別の人と結ばれても思い続けるのは
100%で向かっていく彼女にはすごく残酷な気がします。

ひよこさん
コメントのお返事のお返事、ありがとうございます♪
別な人か…なるほど。
確かに、その方が幸せかも。でも琴子ちゃんってきっと入江くんと結ばれなくてもずっと思い続けている気がします。原作でも「お墓に写真を」と言っていたくらいだし。
でもそれをプラスにもっていきそう。その思いを原動力に頑張って生きていく気がします。
だから、私の中では入江くんの相手はやっぱり琴子ちゃん以外に考えられないので…毎度ワンパターンな感じになってしまいます。
入江くんを泣かせるのは好きだけど(笑)、琴子ちゃんを泣かせるのは苦手なので(笑)
すみません、コメント下手で上手にお返事書けなくてm(__)m

間違い

「疎開させたくないらしい」になってるのですが、「疎開させたいらしい」の間違いじゃないでしょうか?気分を悪くしたらすみません。いつも楽しんで読ませてもらってます。

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