日々草子 秘密 第4話
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Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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秘密 第4話

「やっぱり、ダメ…?」
上目遣いに琴子は直樹を見上げた。この琴子の仕草に正直、直樹は弱い。

「…分かったよ。勝手にしろ。」
結局、直樹は琴子の作戦に乗ることにした。お互いの直属の上司には「夫婦で同じ職場だと周囲が余計な気を遣うから」というもっともらしい理由をつけて話を通すことにして。

「本当!嬉しい!ごめんね、わがまま言って!」
琴子は飛び上がるばかりに大喜びした。

「お義父さんの会社でバイトした時はうまくいかなかったけど、今度はいろいろ恋人っぽいことやってみようね。ああ社内恋愛かあ…、いや、会社じゃないから社内じゃないわね。病院…院内恋愛、秘密の院内恋愛よね!」

なんて、センスのないネーミングだ、大体“院内恋愛”なんて、“院内感染”を思い起こさせて、病院関係者としては縁起が悪いこと、この上ない。直樹はそう思ったが、そんなことは知らない琴子はいろいろお得意の妄想をして、自分の世界にすっかり入ってしまい、ため息をつく直樹のことなんて眼中にないらしい。

「あ、入江くん。秘密なんだから、病院で私に気安く“琴子”とか声かけないでね。“相原さん”って呼んでね。それから、当然二人で暮らしていることは秘密だからね。誰にも言わないでね。」
琴子は無邪気に直樹に命じた後、「ムフフ…」と不気味な笑い声を上げ始めた。この笑い声は琴子が自分の世界に入り、周囲が目に入っていない状態になっていることを知らせるサインである。

直樹は昔、ほぼ同じことを琴子に言ったことを思い出した。まさか同じ言葉を今になって琴子から言われるとは思わなかった直樹が少し腹を立てていることなど、自分の世界に入ってしまった琴子は気づかない。

「おい、もう遅いから寝るぞ。」
しばらく自分の世界に浸りきっていた琴子は直樹の声で、ようやく現実の世界に戻ってきた。
「あ、そうそう、寝るで思い出した、入江くん。もう一つ提案があるんだけど。」
「今度は何だよ?」
今度は何を言い出すのかと直樹は思いながら琴子に聞いた。
「考えたんだけど、やっぱり一つのベッドに二人で寝るって狭いんじゃない?」
二人で暮らす部屋は1LDKだ。そしてベッドは琴子が神戸で一人暮らしのときに使っていた物をそのまま持ってきただけ。
「やっぱり、お布団もう一組用意しようよ。」
「何で?」
「だって、東京の家と違ってこのベッド、シングルサイズじゃない?入江くん体大きいし、二人で寝ると、疲れが残っちゃうと思うのよね。これから手術とかいろいろ入江くんは忙しくなるのにゆっくり寝られないと大変でしょ?だから二人別々に寝た方がいいと思うの。もちろん、布団に寝るのは私ね。私、寝相悪いから、今朝みたいにベッドから落ちる度に入江くんを起しちゃうでしょ?布団だと落ちる心配ないしね。」
琴子は今朝直樹に叱られたことを気にしているようだ。

「…いいよ、このままで。」
「えー、でも…。」
納得いかない琴子の体を直樹は抱き寄せた。

「こうやれば、狭くないし。」
「えっ、えっ?」
琴子の顔がたちまち真っ赤になる。
「それに、こうやってしっかりと俺がお前を抱きしめれば、いくらお前の寝相が悪くてもベッドから落ちる心配ないだろ?」
からかうように琴子の顔を直樹が覗き込んで、琴子を抱く力を直樹は強めた。
「そりゃ、そうだけど…。」
直樹の腕の中で琴子がつぶやく。

「入江くんがいいなら、このままでいいか…。」
そう言いながら、琴子は目を閉じた。
かくして、琴子命名“秘密の院内恋愛作戦”は、こうしてスタートすることとなった。

そして二人が神戸で働き始めて数日が経過した。今のところ、“秘密の院内恋愛作戦”は無事進んでいた。琴子にとっては同じ職場で再び直樹と働けることが嬉しくてたまらない。そして、直樹の方も琴子と働けることは嬉しかったが、やはり神戸でも始終看護師たちに囲まれていた。
琴子もそうなることは予想していたので、別に特別驚きはしなかった。東京では直樹に群がる女性は追っ払っていたが、ここでは直樹と結婚していることは秘密のことなので、そんなことはできない。看護師に囲まれている直樹を横目にしつつ、「みんな何も知らないで入江くんに群がっちゃって。」と琴子にしては珍しく、妻としての余裕を見せた視線を送っていた。
一方、直樹は琴子がまとわりつかないことに若干、物足りなさを感じつつも適当に看護師たちをあしらいながら働いていた。

ある日、直樹が白衣のポケットに手を突っ込んだところ、とうとう恐れていたものが手に触れた。それは、琴子が入れた手紙だった。
「とうとう入れてきたか。」
あきれながら、その手紙を周囲に分からないよう、こっそりと直樹は開いて読んだ。そして、琴子の方を伺ってみると、琴子の白衣のポケットに、いつもいろいろ挿さっているペン類が全くないことに気づいた。どうやら、直樹が返事を入れやすいようにポケットを空けているらしい。
「くだらないことだけは、気の回る奴。」
そう思いつつ、直樹は手紙に目を通すと、再び自分のポケットにしまった。

「入江先生!!」
直樹が階段を下りていると、上から琴子が追いかけてきて声をかけた。

「…何か用?相原さん。」

琴子との約束どおり、直樹は旧姓で呼んだ。
「あー、入江くんから“相原さん”って呼ばれると、高校時代に戻ったみたいで懐かしいな。やっぱりこの作戦立てて良かったかも。」
「早く用件言わないと、誰か来るぞ。」
琴子は周囲を見回して、人がいないことを確認し、そして、
「入江くん、手紙見てくれた?返事は私のこっちのポケットにこっそりと入れてくれればいいからね!ほら、ちゃんと入れやすいように空けておいたから。」
と、嬉しそうに小声で説明した。そんな琴子に直樹は話し出した。
「人参、玉ねぎ、じゃがいも、カレー粉、牛乳、食パン…。」

「…何言ってるの?入江くん?」
「俺にこれらを買って帰れって意味かと思ったけど?」
直樹はそう言いながら、手紙を琴子の目の前に突き出した。

「えっ?何それ?嫌だ!それ、私の買い物メモ…。」
「今夜はカレーで明日の朝はトーストなわけね。十分伝わったよ。俺の返事はOKということで、今伝えたぞ。」
そう言って直樹は歩き出す。
「待って、待って!えっ、どこに行っちゃったの?」
琴子は必死になってポケットやらあちこちを探している。そんな琴子に直樹は一言、
「バーカ。」
と言い残し、琴子をその場に残して立ち去って行った。
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