日々草子 君と交わした約束 1

君と交わした約束 1



軍病院に、新しい医師が入る知らせが入った。
「若い先生だったらいいな。」
看護婦の桔梗幹はウットリとする。
「無理、無理。若い先生はみんな前線だもん。」
そう言ったのは、同じく看護婦の相原琴子。

「琴子姉ちゃん!!」
2人が話していた部屋の窓から、ひょっこりと子供が顔を出す。「今日はお歌、歌わないの?」
「あ、行く行く!!」
そして琴子は外へと向った。
「ちょっと、琴子!!また院長に叱られても知らないわよ!!」
幹は後ろから声をかけたが、既に琴子の姿はなかった。

病院には、広い庭があった。そこに遊び場を求めて、近所の子供たちが数人集まって来る。そして子供たちの輪の中心には、琴子の姿があった。

「あ、また相原くんは!!」
新しい医師を案内していた院長が、流れてくる歌声を聞き、眉を潜め、窓から身を乗り出した。
「相原くん!!」
だが、琴子は子供たちと歌を歌うことに夢中で院長の声は聞こえていない。
「相原くん!!」
院長の声が大きくなった。気がついた子供の一人が琴子に、
「姉ちゃん、姉ちゃん、怒鳴ってるよ。」
と囁く。
「え?」
琴子は振り返る。そこには院長が顔を真っ赤にしていた。
「ちょっとこっちへ来たまえ!!」
仕方なく、琴子は渋々窓へ寄る。
「全く、君は!!このご時世に浮ついて!!」
院長は琴子へ説教を始めた。
「こんなご時世だからこそ、明るく…。」
琴子は弁明しようとした。が、
「何が明るくだ!!不謹慎極まりない!!」
と、更に院長の怒りは増す一方だった。

院長にガミガミ叱られている間、琴子は院長の背後にいる人物に気がついた。

「あの…そちらの方は?」
白衣を着ているから、同じ医者だろうとは琴子は思った。
「ああ。こちらは今日から赴任された入江直樹先生だ。」
琴子は慌てて、
「相原琴子です。よろしくお願いします。」
と、頭を下げた。そして顔を上げ、よくその入江という医師の顔を見た。段々と自分の顔が赤くなっていくことに気がつく。
―― こりゃあ、モトちゃんが…騒ぐわ。
入江直樹は、端正な顔立ち、長身だった。
「よろしく。」
直樹は冷たく一言、言っただけだった。
「まったく、最初に紹介する看護婦がこんな人間で恥ずかしい!!」
そう言って院長は直樹とその場を離れた。
琴子は解放され、再び子供たちの輪の中へと戻った。

その時の琴子は、まだ気がつかなかった。これが運命的な出会いになることを――。









☆御挨拶
連休中、サイトが閑散としていることいいことに、挑戦を(笑)まずは、お試しUPを。
これはえま様が「軍医の話を~」と仰ったのを、私が図々しくお願いして書いてみようかなあと…。
書くにあたって、戦争中の看護婦さんの話が掲載された本を少し読んでみましたが…難しいので、その辺は…流す予定です。少しはその辺も書ければ…合格点かな?
私は日本史で縄文、弥生の次に昭和が苦手だったので、歴史に詳しい方、間違いがあっても「ああ、苦手なんだから仕方ないよね、まあ、頑張れ」と、温かい目で見守っていただけたらと思います。
というか、第一話で終了~ということになりそうな気がプンプンと漂っています(笑)
関連記事

comment

管理者にだけ表示を許可する

戦時中ですか☆

戦争の時代の話って、難しそうですよね(>_<)

苦手だと思うものでも挑戦しようとする水玉様…v
尊敬しちゃいますvv


あたしは日本史は明治~平成の近代史が好きだったのでイメージしやすいからかな、この時代の恋愛話?って好きですvvv


続きも気になりますが、水玉様の思うときにUPしてくだされば、と思います☆

休日シリーズや、他の続編とか別ペ、あと直琴軒のお話も大好きです♪

また水玉様のお話を楽しみに待ってますv

戦争中のお話なんて、涙なくしては読めないんじゃ…それにしても怒濤の連続UP。ただただ水玉さんを尊敬致します。ところで『リネン室の怪人』って完結しましたっけ?気になっているんですが…

戦争物

私は、祖父が戦死って事もあるんですが戦争物は結構、読んだり、見たりしました。

確かに、難しいですよね!

暗く、哀しい、話になりがちなこの時代ですが、水玉さんワールド楽しみにしています。

ハッピーエンドになるんですよね?

水玉さん、こんばんは。

新しい連載ですね!楽しみ楽しみ♪
実は戦争時代のものは結構好きなんですよね。

ところで最近更新ラッシュラッシュですね~!!
すごく楽しんでいます。
ありがとうございます。
でも、せっかくのGW、お好きな?(勝手に想像)旅行は行かれなかったんですか??

こんばんは!

新しいお話に、今からわくわくします。

イリコトの運命の出会い、昭和初期頃のお話でしょうか?
戦時中のお話ということで、これからの展開がとっても、と~ても楽しみにしています。

今のところ、琴子の一目惚れではないようで、これから二人が接していく中で恋が芽生えると思うと今からうきうきわくわくしちゃいます。

ありがとうございます

コメントありがとうございます。

愛結美さん
違います、違います。
苦手だけど、書きたい気持ちの方が勝ってしまったんです(笑)
愛結美さんは近代史がお得意だったんですね~♪私は平安、戦国、江戸初期でした(笑)
パラレルを気に入ってくださってるんですね^^書いていていいのかなあという不安が消えることはないので、そんな風に言っていただけると、本当にうれしいです。

祐樹'Sママさん
うわ~覚えていてくださった方がおいでだったんですね!!
この話、ちょっと理由ありで滞ってしまっており…。
気分が切り替えられたら、書く予定でおります。
それまで待っていてくださるとうれしいです♪

kobutaさん
私は小学生の頃、自主的にはだしのゲンを全巻読みました。どんな平和教育もあのマンガにはかなわないだろうなあって感じでした。いまだに心に残ってます。あと戦争の話で読んだことがあるのはアドルフに告ぐと桜の国…というマンガです。
子供の頃は毎年8月になると戦争を題材にしたドラマをやっていて、それも見ていたような…
「リトルボーイ・リトルガール」というドラマが印象に。ずっと色鮮やかな洋服を着たいと願っていた少女たち。
ドラマの最後、主人公のお兄さんが「妹は最後になって赤い服を着られました…原爆で血だらけになって帰ってきだんです」というセリフを口にするのですが、このセリフがすごく印象に残っています…。

rinnnさん
いや~3月とかに旅行したばかりですしね(笑)
連休は日帰りでちょこちょことお出かけしておりました(笑)
買い物とか…♪
今年の連休は全国的に太陽の光がそそいで…半袖着ちゃいましたよ(笑)

りきまるさん
一応、昭和18年とか19年とかかなあと…
子供に囲まれる琴子ちゃんが書きたかったので^^
書いてみたら、妙にクールな琴子ちゃんでスタートしてしまいました(笑)

まあちさん
そんな遠慮せずにどうぞ、どうぞ!!
そんなこと言われると、更新しまくっていた私が恥ずかしいですよ
~(恥)
もう…一日に10回とか来てくださっても,OKです(そんなに足運ぶほどもサイトじゃないしとか思われそうですが(笑))
どんどん痕跡残してください!!私もすごい嬉しいんですから!!
あ、愛染かつら…その木を昨年、長野で見てきましたよ!子連れの看護婦さんとお医者さんのラブストーリーでしたよね?ツアーで立ち寄ったのですが、ご夫婦(50代以上)のみなさんが木の前で写真撮ってたのがほほえましかったです。…母娘は撮りませんでしたが(笑)

RuRuさん
看護師さんのお仕事…本当に頭が下がります。ちょっとお見舞いで足を運ぶ機会があったので。
いくら仕事だと割り切っても、根本的にお世話好きな方でないと務まらないなあと思います。しかもすごい丁寧…ガサツな私には無理…。
あ、本を読んだのは…あまりに知識がなかったからです(笑)もう「軍医?それって軍にくっついてないといけないの?」とかいうレベルだったので(笑)
まったくないと想像すらできず…でも書きたかったので。もちろん医療用語なんてはなから分かってませんというか、理解不能です!!難しいのは…あまりにリアルな内容の本だったからその辺です…。

佑さん
どんなにコメディでも、時代がそこになるとやっぱり暗くなりますよね…
仕方ないといえば仕方ないのですが…
いやあ…どうしよう、最後、ね?

遅ればせながら読み追いつきました!
今か今かとまっておりました。軍医話…。

楽しみにしています♪

ハッピーエンドで終わるって…私…信じてるっ!
#水玉様ならこのネタわかってもらえるって…私…信じてる!
プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

現在の御訪問者
現在の閲覧者数:
御訪問ありがとうございます
このブログについてのお願い
当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

カテゴリー+月別アーカイブ
 
最新コメント
最新記事
カボチャの世界
Private
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
リンク