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2010.05.02 (Sun)

触られるとびくっとする


【More】


―― 入江くんが、松本姉の髪に触っていた…。

「ほ、本当か!それ、相原!!」
須藤さんに思わずこぼしてしまったあたし。
「…はい。」
「入江のやつ!!あいつ、スケベな奴だったんだ!!」
須藤さんは顔を真っ赤にして、今にも入江くんの元へと走ろうとする。それを慌てて止めるあたし。
「何で止めるんだ!お前だって悔しいだろうが!!」
「そりゃあそうですけど…。」
今のあたしには悔しいというより、悲しいという気持ちの方が勝っている。

入江くんが松本姉の髪に触ったのは、松本姉の髪についた葉っぱを取ってあげてたから。その様子が絵になるようで…凄くお似合いだった2人。
だから、あたしも同じようにしてほしくて…髪に葉っぱ、いっぱいつけたんだ。
だって、一枚や二枚じゃ、入江くん、気がつかないふりしているかもしれないでしょ?いっぱい付けたら、気が付いてくれるだろうって。
そしたら、入江くん…。
―― お前、いい年して木登りなんかするなよ。
って、冷たく一言言っただけ…。ショックだった…取ってもくれなかった。

「そりゃあ、お前…こんなに髪に絡むくらい付けて前に現れたら、ちょっと引くぞ?」
須藤さんはあたしの話を聞き、呆れ果てた声を出し、でも髪についた葉っぱを取ってくれた。これを入江くんにしてほしかったのに…。
「そんなにお前、あいつに触ってほしいのか?」
「はい…。」
だって入江くんの手、とっても綺麗で…あたしだって触ってもらいたいんだもん。

「それならさ、お前があいつに触ったらどうだ?」
須藤さんがとんでもないことを言い出した。
「え?」
「ほら、お前から入江の奴に触るんだよ。そしたらあいつのことだ、“てめえ、何しやがる!”って怒って追いかけて…つかまえてくれるとか?」
それって…海岸とかで「待てよ」「ウフフ、つかまえてごらんなさい」ってやつですか?須藤さん?

あの入江くんが、そんなことしてくれるかなあ…?

入江くんは今、リビングで新聞を読んでいる。
あたしは背後から入江くんに忍び寄る。

ツン…。
ツン…。

だめだ。怖くてこうして、ばれないように背中をつつくのが精一杯だよ…。



「何してるのかしら…?琴子ちゃん。」
さっきから、お兄ちゃんの背中をツンツンしているんだけど。
そんな姿も可愛らしいわ。
こんなに可愛い子が四六時中、傍にいるというのに、どうしてお兄ちゃんは何とも思わないのかしらね?
それにしても…用事でもあるのかしら?
お兄ちゃんたら、わざと気がつかないふりして!



「一体、お前は何の用なんだ!!」
入江くんが振り向いて、雷を落とした。
「いや、別に用は…。」
「じゃあ、どうして俺を突く!」
「それは、その…。」
「何だよ、邪魔なんだよ!!」
「それは…入江くんに触りたくて…。」
ああ…正直に打ち明けてしまった。
これは変態だと思われても仕方ないかも…。

「変態だな。」
入江くんの声が頭上に冷たく響いた。
はい、変態です、あたし…。

「そんなことないわ!!」
へ?この声は…?
「お兄ちゃん!減るもんじゃないんだから、触らせてあげなさいよ!!」
お、おばさん!!
あたしが驚いている間に、おばさんは入江くんの肩をつかむ。
「さ、琴子ちゃん!どこでもいいから、好きな所を触ってよくてよ!!」
「おい!!」
すごい!おばさんの細い体に、あんな力があるなんて…!
って、感心している場合じゃないわね。
「い、いや、おばさん、そんな!」
さすがにそれはちょっと。
「遠慮せずに、さあ!!どこ?どこがいいのかしら?」
「おい!!」
何だか、すごい光景に!!


入江くんはおばさんの腕をふりほどいた。
あたしはおばさんと入江くんに、どうして入江くんに触れたかったか、事情を話した。勿論、松本姉との出来事、そしてあたしは触れてももらえなかったということも含めて。
「んまあ、お兄ちゃんたら!!」
入江くんを睨むおばさん。
「葉っぱくらい取ってあげなさいよ!!」
「やなこった。」
ああ、やっぱり。あたしって入江くんに何とも思われてないんだなあ。
須藤さんのアイディアなんて、信じたあたしが馬鹿だった…。
何だか悲しくなって、早々にこの場をあたしは後にした。



「よ、入江!」
テニスコートには、須藤さんがいた。
「どうだ?相原に襲われなかったか?」
そう言って、イヒヒヒヒと下衆な笑いを浮かべる須藤さん。ったく、この人にも困ったもんだ。
「お前も罪な男だよなあ。大体、女に触ってもらいたいなんて言われて、無視するなんてさ。」
「ねえ、須藤さん。」
「何だよ?」
「…須藤さん、松本の髪とかに触れます?」
「な、何だって!?」
松本の名前を出した途端、顔が真っ赤になる須藤さん。
「そんな、そんな触るなんて…俺が松本になんて…。」
一人でごにょごにょと言い、そして何だか妄想の世界へ入る須藤さんを放置し、俺はラケットを握る。

だったら、分かりそうなもんだけどな、須藤さんも琴子も。自分たちがそうなんろ?だったら、俺だってそうなんだ。

…好きな人間には触りたくとも触れないものなんだよ。たとえ、葉っぱの中に頭を突っ込んだような姿で現れてもね。
そして…好きな人間に触られると、たとえそれが突くだけでも、相当ドキドキしているってことを、あいつは知らない。









☆あとがき
タイトルとは最後までかけ離れてしまいました…ごめんなさい。
分かりづらいと思うので、ご説明を。
つまり、琴子ちゃんが大好きな入江くんになかなか触れないのと同じように、入江くんも琴子ちゃんには触れないんだという意味です。

触れられるとびくっとする=触れることはとてもじゃないけど…という風に、勝手に解釈してしまいました。本当はルール違反ですよね。でも書いたら、こうなってしまった…ごめんなさい。

何はともあれ、お題5つ、全て完成です!!
最初はできるか不安でしたが、励ましのお言葉もあり、仕上げることができました!!
全部仕上げるというルールがあるサイト様ではなく(そういう緩いルールのサイト様を探しました(笑))、順番も変えていいとのことでしたので、助かりました!!

お題だと、私が不得手としている普通イリコトの話が沢山(私にとっては沢山なんです、5つでも)書くことができて、本当に幸せでした!!

また、緩いルールのサイト様を探して、チャレンジしてみたいと思います♪
今度は、忠実にお題に沿ったお話が書けますように!!
最後まで読んで下さり、ありがとうございました!
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23:24  |  お題  |  TB(0)  |  CM(3)  |  EDIT  |  Top↑

*Comment

★三度目のお邪魔です。

思いが通じていな二人のもどかしさがなんともたまりませんなぁ~。

おやじになってしまいました。(笑)

本当は両思いなのに、周りからは一方通行に見える二人。
琴子は入江くん一筋なのだから、後は入江くんが琴子に気持ちを伝えるだけの状態。

入江くんにしてみたら、本当に好きな女性には、触れないって気持ちわかるような気もします。
松本姉は何とも思っていないから、普通に葉っぱを取ってあげる事も出来たんでしょうね。

もし、須藤さんが琴子の髪に葉っぱがついていたら、何のためらいもなく取ってあげていたのと同じですよね。
そんな二人を目撃してしまう入江くん。
きっと嫉妬の炎がメラメラと燃え上がり、須藤さんをやり込めることでしょう。(笑)
りきまる |  2010.05.03(Mon) 00:35 |  URL |  【コメント編集】

★触りたいけど触れない?

何時ごろのお話かな?

本当はもっと琴子に、ツンツンしてて欲しかったんでしょうね直樹は?

ママーさあ!触ってって言われてもねー触れないって普通は!

だから直樹は、結婚したら触りまくってるんでしょうか?

5つのお題完成、お疲れ様でした。

楽しかったです、またチャレンジしてくださいね!

明日から旦那の実家ですが、今回から携帯でも読めるのでうれしいです。
kobuta |  2010.05.03(Mon) 01:07 |  URL |  【コメント編集】

★コメントありがとうございます

コメントありがとうございます♪

りきまるさん
何度でも来て下さい!!もう、ポイントカード発行しますよ(笑)
いえいえ、私もすっかり親父気分で書いておりました(笑)
本当にもどかしい二人で…。
好きな人だと、普通にできることもできなくなりますよね?消しゴムとかを相手が落としても「え?拾っていいの?」とか不安になったり…だからポジティブで積極的な琴子ちゃんは見ていて気持ちがいいです。
松本姉にはものすごく優しかった入江くんですが、これは本当に友人としか見ていなかったからでしょうね。琴子ちゃんに対する態度は、完全好きの裏返しだったし。
自分の気持ちがばれないよう、わざと意地悪ばかりしていたみたいだし。
琴子ちゃんだって、須藤さんには触り放題でしょうね(笑)触りたくもないだろうけど。

kobutaさん
本当に、「さあ!」と言われても困るだろう、琴子ちゃん(笑)
そこでぺたぺた触るわけにいかないし。本当は触ってほしいんだから。
確かに、その反動で今べたべたしているのかなとも思えなくもない…。
お出かけ先でも見て下さるんですか!!嬉しい~。じゃあ、頑張らないと!!

佑さん
ありがとうございます。佑さんに励まして頂けて、何とか初お題、完成させることができました!!
入江くんもそこは純粋なんじゃないかなあと(笑)
それくらい、琴子ちゃんにドキドキしてほしいよという願望を込めつつ(笑)

まあちさん
だって、バレンタインに何もせずに我慢した人ですから!(笑)
その割に、琴子ちゃんが眠っている隙にキスしたりと…素直じゃないったら!!
だから、実は琴子ちゃんにくっついたり、くっつかれるのはドキドキしているんじゃないかなと思って。
お題、ありがとうございます!!まあちさんに褒めて頂けて、ちょっと自信がつきました(笑)←そしてまた、調子に乗る私であった…

ぴくもんさん
いや~やっぱり不得手には変わりないです!!
これくらい具体的なお題でないと、書けませんもん!!だからまた、具体的なお題&ルールが緩いお題を探して挑戦しようと思います。
でもお題って、楽しいですね♪最初はドキドキしましたが、一度話が浮かぶと他も結構クリアできるんだなって思いました。
ぴくもんさんの最新のお題も拝見してまいりました!!コメント…したいのですが、コメント下手で本当、お恥ずかしい…でもした時は「本当にしやがった」と軽く笑っていただけると嬉しいです。

水玉 |  2010.05.04(Tue) 00:28 |  URL |  【コメント編集】

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