日々草子 オルゴール(仮)
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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オルゴール(仮)

琴子が妊娠した。入江家は歓喜に包まれた。
特に大喜びしたのが紀子だった。

「琴子さん、これ見て!」
そう言って広げて見せたのは、腰回りがゆったりとした洋服。それも何着もある。
「早速取り寄せたのよ。」
着物よりはお腹の周りがゆったりとしていて、大きくなるお腹にはいいと紀子は勧める。
そうは言っても、琴子はまだ妊娠が分かったばかり。お腹が大きくなるのはまだまだ先のこと。
だが紀子の気持ちが嬉しい琴子は、さっそく着て見せた。それを見て大喜びする紀子。

「お帰りなさい、直樹さん。」
帰宅した直樹は妻の姿に驚く。確か朝見送ってくれた時は、いつものお下げに和服姿だったはず。それが今は髪の毛も上に纏め上げ、見慣れない洋装姿。
「お義母様からお洋服を頂いて…髪の毛も合わせてみたの。」
恥ずかしそうに説明する琴子。直樹はそんな琴子を見た後、
「あ、そ。」
とだけ言い残し、自室へと戻ってしまった。

「ね、直樹さん。」
数日後、琴子は直樹に声をかけた。
「赤ちゃんの名前、何か浮かんだ?」
「浮かぶって…。」
まだ生まれてくるのは先のこと。
勿論、琴子にだってまだ名前を考えるのは早過ぎると分かっている。だがそれでも敢えて直樹に訊ねたのは、直樹がどうも琴子の妊娠を喜んでいる感じがないからだった。

この間から髪と服装を変えてみせたのも、直樹の反応が見たかったから。だが直樹の反応は素っ気ないものだった。

「男だったら…。」
「男の子だったら?」
「…パリ夫。」
「パリ…夫?」
変わった名前だなと思う琴子。
「女だったら…。」
「女の子…なら?」
何となく想像がついてきた琴子。そしてその想像は当たる。
「パリ子。」
「ひどい…。」
あまりの適当さに泣きたくなってくる琴子。
「パリから浮かんだんだよ。」
「何もパリから取らなくても…いいのよ?」
「今浮かんだのはそれだけ。」
そう言い残し、直樹はどこかへ行ってしまった。
「パリ夫…パリ子…。」
後に残された琴子は、その名前をブツブツと呟いていた…。

それからも、琴子の周囲は気の早い紀子によって変化していく。
早くもお餅を山のように食べさせられるは、胎教にとクラシックコンサートへ連れて行かれるは…勿論、初孫の誕生をずっと待ちわびていた紀子の喜びを痛いほど、琴子は知っていたので黙ってついていっている。

だが、そんな中、肝心の直樹だけがその喜びの輪に入っていないようだった。

とうとう、琴子は心を決める。
「直樹さん。」
ベッドへ入った時、琴子は直樹にぶつけた。
「赤ちゃん…本当は欲しくなかったの?」
琴子の質問に、直樹は驚いた顔を見せた。
「何でそんなことを?」
「だって…直樹さん、あんまり喜んでないでしょ?」
「そんなことは…。」
「嘘!」
琴子は強く直樹の言葉を遮る。
「ちっとも嬉しそうじゃないんだもん。名前だって…パリ子だとかパリ夫だとか適当だし。」
「あれは…。」
「…ね、直樹さん。」
琴子は本を手にしている直樹の手に、自分の手を重ねた。
「私…頭も良くないし、不器用だけど…頑張るから。」
「何を一体…。」
琴子は、話し続ける。
「だから…頑張っていい母親になるから、お願い。赤ちゃん生まれること、喜んで?直樹さんに迷惑かけないから。」
琴子は、あまりにも自分がふがいないために直樹が母親になることを心配しているから、だから子供ができたことをあまり喜んでいないのではと思い、このようなことを口にしたのだった。

「琴子。」
直樹はそんな琴子の頭を自分に引き寄せた。そして、
「ごめん、心配させて。」
と口にする。
「…子供だったのは俺。」
「え?」
驚いて直樹の顔を見上げる琴子。
「ちょっと…戸惑ってたんだ。あまりに周りがどんどん変化していくことに。」
「戸惑う?」
直樹は少し困ったように、琴子に笑顔を向けた。
「そんな…。」
「勿論、子供ができたことはとても嬉しかった。だけど、どうも実感が湧かないというか…ま、体に変化がない分、男はみんなそうなのかもしれないな。」
「そうなの?」
「一番戸惑ったのは…今まで当たり前のようにお下げを結って、着物で走り回っていた琴子が、突然髪を上げて洋服を着て現れたこと。…俺の知らない琴子になったみたいで。」
正直に本音を打ち明ける直樹。
「私は…何も変わってないけど?」
「うん、それは分かっているつもりなんだけど…見た目が変わるとどうしても…。」
そう言って、直樹は琴子の髪を優しく撫でる。
「…駄目だな、俺。こんなに琴子を不安にさせて。父親失格。」
「そんなことないわ。私だって…まだまだ不安だもん。ちゃんと赤ちゃん育てられるか。」
不安だが、琴子は直樹が素直に自分の気持ちを打ち明けてくれたことが嬉しかった。完璧な直樹も…どうやら父親になることに対しては不安だらけだということ。それは自分と全く一緒だと知り、安心する。

暫く二人で黙りこんだ後、直樹が口にした。
「これから…一緒に頑張ろう。」
「うん…二人でいっぱい赤ちゃんを愛してあげようね。」
お互い、本音を吐露した二人は見つめ合い、笑い合った。

それからしばらくして、琴子は実家を訪れた。
母に手を合わせ、妊娠したことを報告する。

「でも…よかった。」
向かい合ってお茶を飲みながら、父がポツリと呟いた。
「お前に子供ができて。」
「お父様…。」
「いや、できなくとも…と言い聞かせてきたけどね。でも…やっぱり子供がいるかいないかでは、お前に対する風当たりが大分違うだろうから。」
それは琴子にも十分理解できることだった。華族という家柄、入江家がいくらそのようなことを気にしないとはいえ、口さがない連中はただでさえ、平民出身の琴子を馬鹿にする。それで子供も産めないとなると…何を言い出すかは予想がつく。父は密かにそんな娘を心配していたのだった。
「たとえ女でも…子供を生んだか生まないかでは全然違うだろうから。」
「ええ…。」
そういう世界に嫁いでしまったのだから、覚悟するしかない。きっと父は…できることなら跡取りになる男の子が生まれることを望んでいるに違いない。入江家の両親はどちらでもいいと本心から言っているが。

「赤ちゃん…。」
実家からそう遠くない入江家へ帰りながら、琴子はそっとお腹に手を当てる。父の心配の他に、琴子にはもう一つ気がかりがあった。
―― 赤ちゃん生まれても…私、あの家にいられるのかな?
勿論、重樹も紀子も追い出すようなことは決してしない。それは琴子にも分かっている。だが…。
―― もしも…お義父様たちが周りの人間からうるさく言われたら…。
子供が生まれた、もう琴子には用がない、しかるべき家から嫁を直樹に迎え、子供はその嫁に育ててもらえ…そう言われるのではないかと、密かに不安に思う琴子。
華族の中には、身分低い、例えばその家に使える女中から子供が生まれた場合、子供は父親の元に、母親はそのまま女中として働く。子供は生母の名を呼び捨てにして育つ…そういうことを聞いたことがある。

―― 私なんかには任せられないとか言われたら…どうしよう。

そんなことを考えている琴子の頭が、軽く小突かれた。
「お前、ぼけっとしながら歩くな、危ない。」
「直樹さん。」
琴子を迎えに来た直樹だった。

「ね、直樹さん。」
直樹の腕にそっと自分の手を添えながら、琴子が直樹を呼んだ。
「一つ、聞きたいんだけど…。」
直樹が琴子を見る。
「私、赤ちゃん産んだ後も…あの家にいてもいい?直樹さんの傍にいてもいい?」
直樹は琴子の目を見つめた後、
「何、お前。赤ん坊産み逃げして、どっかへトンズラするの?」
と、意地悪く訊ねる。
「トンズラって…。」
そんな琴子に直樹は、
「何馬鹿なこと口にするんだか。」
と言う。勿論、琴子が何を言いたいのかは直樹にはよく分かっている。きっとそのことは…今までも、そしてこれから先も琴子を苦しめるということも。だからこそ、わざと軽い調子で返事をした直樹。
「お前がいなかったら…俺一人で赤ん坊育てるなんて無理だよ。」
「でも…。」
「約束したろ?一緒に親になって、一緒に赤ん坊を愛するんだって。」
「うん…。」
直樹の力強い言葉に勇気づけられる琴子。
「それに…。」
「それに?」
少しの間があった後、直樹が言った。
「何年も帰って来ない俺を黙って待っていてくれたお前を大事にしないと、罰が当たる。」
「直樹さん…。」
直樹は添えているだけの琴子の手を、しっかりと腕ごと、自分の腕に絡ませた。
「大丈夫。これからは俺がお前を守ってやるから。だから安心してお前は子供のことだけ考えてればいいよ。」
「…うん!」
それだけ言われれば、もう何もいらないと思う琴子。嬉しくて堪らなくなり、直樹の腕にギュッとしがみつく。
「あ、でも…。」
何か思い出したように、直樹が口を開いた。
「何?」
「…俺のことも考えてほしいかも。」
琴子は一瞬、キョトンとしたが、すぐに噴き出した。
「んもう…しょうがないお父様!!」
「ほっとけ。」
口と裏腹に、直樹は琴子に優しい笑顔を向けた。

「しょうがないお父様ですね、パリちゃん。」
琴子はお腹に向かって話しかける。
「パリちゃん?」
「そう。パリちゃんって呼んでるの。まだ男の子か女の子か分からないし。」
「パリちゃんって…。」
自分が適当に口にした呼び名を少し悔む直樹。
「でも、私気に入ってるのよ?呼んでいるうちに可愛くなってきたもの。」
「そうか?」
「そうよ。きっとパリちゃんも喜んでいると思う。」
「どうだか。」
直樹はそんなことを言いつつ、琴子のお腹にそっと手を当てる。
「…いつ動くかな?」
「まだまだでしょう。」
そんなことを楽しく話している二人の背後に、無粋にも車のクラクションが鳴り響いた。
うるさいと思いつつ、直樹が振り返る。
「直樹様、若奥様!!」
その車は…入江家の車だった。
「そういえば…お義母様が帰りは車を迎えに寄越すからって…。」
思い出す琴子に、
「お前、何を忘れてるんだ!!」
と言いつつ、直樹は、
「しょうがないのは…お母様の方だよな。」
と苦笑し、琴子の手を引いて、車へと向かった。













★あとがき
『円舞曲』の続き…です、一応。
琴子ちゃん、妊娠させてみました(させてみましたという言い方もどうなんだ(笑))
大蛇森フェスティバル→ガッキー祭り→妊娠カーニバルという感じなのですが(笑)

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コメント

サイコーですねvv

赤ちゃんにまで嫉妬?してしまう直樹(笑)

お父さんの、琴子に対する愛情を感じて、感動しました☆☆
こんなお父さん、いたらうらやましいって思っちゃいましたv

妊娠してもきっとちょっと抜けてる琴子は健在だろうから、直樹さんも心配でたまらなくなっちゃうんでしょうね(^v^)


タイトルとかって、考えるの難しいですよね…(汗)
あたしも今、考えてみてるんですけど、全く思い浮かばなくて…(@_@。

ステキなお話はもちろんなんですけど、タイトルまで考えて…って思うと、水玉様を始め色んな二次創作の作者様って凄いな…って思いました☆

妊娠、おめでとう。

おはようございます。

琴子が妊娠したんですね。
華族に嫁いだ琴子にとって、跡取り問題は気がかりだったと思います。

夫婦仲も周りが焼けそうなほど、らぶらぶなので一安心(お前何者って感じですが(笑))

続き読みたいよ~。
次回楽しみにしています。

色々と本当にありがとうございます♪

コメントありがとうございます♪
久しぶりに書いた明治の話なので、ちょっと緊張していたので、こうして読んでいただけて嬉しいです♪

愛結美さん
この話は、結構、琴子ちゃんのお父さんが語る話(笑)
でも娘をそういう世界に嫁がせると…やはり心配でたまらないだろうなと思って。時代が時代ですし。
いくら婚家がいい人たちしかいないと分かっていても、周囲の風当たりを心配して眠れない気がします。
タイトル、考えて下さってありがとうございます。
…本当、出る時はすぐに出るのに…なぜって感じ(笑)

りきまるさん
子なし三年家を去れ…でしたっけ?昔も残酷なことを言うなあ…
でも今も色々大変なところは大変なんだろうなと思います。お寺とか(この間、テレビで娘さんが尼さんになっていた話を見たので)
夫婦仲、さすがにもう嵐は訪れなかろう(笑)
色々あって、やっと穏やかな幸せをつかんだ二人が書きたかったので♪
続き、読みたいと仰って下さってありがとうございます。

拍手コメントありがとうございます
佑さん
パリちゃんの方が考えたのは先だったんですよ♪
でも、本当あちこち似たような話になってしまった…(^^ゞ
パリちゃんと言う呼び方は可愛くて私も気に行っているのですが。

foxさん
私もすごい早いです。
睡眠時間とメイク時間なら睡眠、食事時間とメイク時間なら食事って人間です(笑)
もっと自分の肌を大事にしないと~と常日頃言い聞かせつつ、何も変化のない私(笑)
どれも楽しんで下さっているとのこと、ありがとうございます♪

藤夏さん
ありがとうございます!!
お言葉に甘え、本当に自分のペースでやります(笑)
タイトルも考えて下さってありがとうございます。とりあえず…浮かんだものを仮タイトルにしておきました(笑)
最近は話だけでなく、タイトルまで私のところから消えてしまったようで…。

パリちゃん、刷り込まれちゃうぞ

胎教で「パリちゃん」という響きが刷り込まれちゃいそうだね。
啓太の過去の件もあって、琴子は不安なんだね。かわいそうに・・・
でも、このシリーズの直樹は無条件に優しいから(♪)、その不安は彼が吹き飛ばしてくれるね。

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