日々草子 無題(今のところ)
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事

自宅まで沙穂子を送り届け、そのままタクシーで帰宅するつもりだった。
だが途中、駅が目に入りそこで下りてしまった。どこをどう来たのか、気がつくと直樹は山手線に揺られていた。
山手線に乗ったのは、終点がないから。座席に腰をおろし、ずっと電車に揺られることができる。休日だったが家へ帰る人間で混みあっている。人混みは嫌いだったが、今はその混んでいる状態が心地いい。
―― 人に囲まれていたい。
そんなことだけを考えていた。見知らぬ他人なら尚更好都合。一人になりたくはなかった。一人になると、考えたくないことだけを考え続けてしまう。

「入江くん?」
俯き、入れ替わる人々の足を見つめていた直樹は、名前を呼ばれ顔を上げた。
「こんな所で会うなんて珍しいわね。」
「松本…。」
目の前に立っていたのは、同級生の松本裕子だった。ちょうど直樹の隣の席が空いたため、裕子はそこへ腰を下ろした。
「その恰好からすると…デートだったのかしら?」
直樹はスーツ姿。
「まあね。」
「電車に乗ってるなんて珍しいじゃない。」
裕子はからかう。
「俺だって電車くらい乗るよ。」
「そうね。今のうちに乗っておかないと。大企業の重役になったら送り迎えの車にしか乗らないんでしょうから。電車の乗り方?忘れましたなんて洒落にならないわよ。」
「ハハハ。」
裕子との会話は心地よかった。頭の回転が速い者同士、会話がポンポンと出てくる。

「でも…一人の入江くんなんて久しぶりに見たわ。」
「…琴子は誰かさんとデートで忙しいからな。」
「ああ、食堂の彼ね。」
そう返事はしたものの、裕子は別のことを考えていた。
―― 私は…お見合い相手のお嬢様は一緒じゃないのかというつもりで、訊いたのよ?
少し前にデートかと確認したのだから、当然直樹の口からは相手を送り届けたとか出るのが普通だろう。だが、出たのは琴子の名前。

―― 相原さんのことで頭がいっぱいなのね。
直樹にとって、琴子が特別の存在だと気がついたのはいつの頃だったか。
大学入学の時から裕子も直樹を追いかけていた。だがその直樹の傍にはいつも琴子がコバンザメのようにくっついている。かと言って付き合っているわけではなく、一方的に琴子が追いかけているだけ。裕子も負けじと琴子に張り合った。

昔からこの美貌で男子には何度告白されたことか。でも裕子は一度として告白されOKしたことはない。自分が本当にいい男と思える男としか付き合いたくはない。そう思って過ごしてきた。
勿論、人気があることで困ったことも多い。一番多かったことは、裕子を好きだという男子を好きだという女子もいたこと。そして男が裕子に夢中なことを知ると、あっさりとそういう女子は身を引いてしまう。松本裕子という全てを兼ね備えた女にはとても敵わない、そう思ってしまうのだった。
―― 本当に好きなら、負けるもんかとくらい思えないのかしら?
身を引く女子を見て、裕子はよく思ったものだった。

だが琴子は違った。裕子が頭がよく美人でテニスが上手という全て備えた女と知っても、一歩も引かなかった。それどころか本気で裕子に食ってかかってきた。呆れつつ、裕子はそんな琴子の根性を内心は認めていた。なので裕子も今までにないくらい本気になって、直樹を追いかけたのだった。

だからこそ、直樹が琴子を特別な存在と見ていることに気がついた時、裕子は琴子になら負けても仕方がないと思ったのだった。自分には勝ち目がない、二人の間には入れない、そう気がついた後も琴子の邪魔をしているのは…琴子とじゃれあうことを自分自身、楽しんでいたからかもしれない。

しかし、直樹が選んだのは、裕子が負けを認めかけている琴子ではなく、突然現れた女性だった。完璧な裕子から見ても、「これは敵わない」と思わずにいられない、完璧な令嬢。
だが裕子はこの令嬢には負けを認めたくはない。何の苦労もせず易々と直樹の心を手に入れた令嬢がどうしても許せない。
―― 相原さんがあんまりじゃない。
今でも裕子はそう思っている。

電車が乗り換えの駅に到着した。裕子と共に直樹も降りた。このままグルグル回り続けていると裕子に不審がられる。

ところが電車を乗り換えた後、直樹は自分の家の最寄り駅についても降りようとしない。
「どうしたの?」
時間も時間である。裕子は首を傾げた。
「久しぶりに松本に会ったら、もう少し話をしたくなってね。」
「あら、嬉しいことを言ってくれるわね。」
そのまま、二人で電車に乗り続ける。

裕子の話に適当に相槌を打ちながら、ふと前を直樹は見た。前の座席では女性が男性の肩にもたれて眠っている。その様子を見て、直樹は思い出していた…

あれはいつの頃だったか。テニス部の飲み会か何かだったか。終電にギリギリで乗り込んだ時があった。
帰る家が同じなので、琴子と一緒だった。
飲み会でテンションが高かった須藤の扱いに疲れ果てていた直樹は、端の席で手すりに肘をついていた。ふと隣の琴子は…と思い見てみると、眠りこけている琴子は頭を左右に揺らしている。その揺れ具合を見ていると首を痛めそうだったので、直樹はそっと琴子の体を自分へ寄せ、頭を肩に乗せた。琴子は目を覚まさず、直樹の肩の上で気持ちよさげに眠っていた…。

―― あの時に戻れたら。
あの時の自分たちと同じようなカップルを見て、直樹は思った。いや、戻れるのならもっと前がいい。もっと早く、琴子に自分の気持ちを打ち明けることができていたなら…。そう何度悔んだことか。もしそうしていれば、例え今の状態になっていたとしても、少しでも琴子を笑顔にできた、幸せにできた…直樹は何度も思う。その思いは一人になる夜に強くなる。
―― もう戻れないと分かっているのに、なぜ何回も思い出してしまうのか。
何度も直樹は一人の夜、自分に問いかけた…。

―― 何が私と話がしたいよ。
隣で直樹の様子を窺いながら、裕子は苦笑する。
―― 全然、私の話なんて耳に入っていないくせに。
裕子には分かっている。直樹が今考えているのは琴子のことに違いない…。

裕子が下りる駅に電車が到着した。直樹も一緒に降りる。さすがに帰るしかない。

「じゃあね、入江くん。」
逆方向のホームへ向かう直樹に、裕子は手を振った。
「ああ、気をつけて。」
直樹も軽く手を上げる。

裕子は改札へ向かって歩き出そうとした。が、一つ思い出す。須藤が大学を休んでいる直樹の様子を気にしていたのだった。退部扱いにするのか休部扱いなのか…学内では直樹が退学するという噂まで流れていた。
須藤もこのままでは困るだろう。ちょっと連絡くらいしてもらった方がいいと裕子は考え、直樹へ伝えようと振り返った。
「入江く…。」
呼び止めようとした裕子だったが、次の瞬間言葉を失った。

そこには、歩き出さずに、反対側のホームを見つめている直樹が立っていた。そして…。

―― 泣いている?

直樹の目からは、涙が一滴流れていた…。

一体どうしたことかと思い、裕子は直樹が見つめている方に目をやる。
―― あ…。
思わず声を出しそうになり、堪える。
反対側のホームには、髪の長い女性が後ろを向いて立っていた。その姿は、
―― 相原さん?
と、裕子が思ったくらい、琴子に似ている…。

―― 琴子に会いたい。
その女性は琴子ではないことは分かっている。だがよく似ているその後ろ姿を見て直樹は、今すぐ、琴子に会いたくてたまらなくなった。
―― だけど…もう会えない。
同じ家に住んでいるのだから、会えないことはない。だが、直樹が好きな琴子にはもう二度と会えない。もう琴子があの笑顔を直樹に向けることは…二度とない。

唇かみしめて、涙が出るのを堪えようとした。が、無理だった。
頬を伝う涙の感触…直樹は拭うことすらできない。

裕子の視線に気がつかないくらい、直樹はその女性を見つめている。流れる涙をぬぐうこともなく…裕子は段々、視界の中の直樹がぼやけて行くことに気がついた。

「馬鹿じゃないの…。」
直樹に聞こえないよう、本当に小さな声で裕子は呟く。
「そんなに…泣くくらい好きなら…全てを捨てて相原さんを連れて逃げればいいのに…!」
だが裕子には、それが到底不可能なことだと、痛いくらいに分かっている。直樹の肩にはとてつもなく重いものが圧し掛かっていることを…。

やがてその女性は、ホームに滑り込んできた電車に乗り込み、二人の前から消えて行った。電車が去った後、直樹はそっと涙を手でぬぐい、裕子の視線に気がつくことなく反対側のホームへの階段を上り始めた。
裕子はその後ろ姿を暫く見ていたが、辛くてたまらなくなり、涙を拭うと改札へ向けて早足で歩き始めた…。








☆あとがき

…いつの頃の話だか分りますでしょうか…?
そして実はこの話はある歌を元にして書いてみました。
…多分誰も分かる方はいないと思います。
分かったら、本当、すごい嬉しいです!(一応、耳にしたことのある方は多いはず…)
本当、私の辞書には『懲りる』という文字はない…。
※『ついていない女 7』のパスワードのヒントとなるので、歌のタイトルや歌っている歌手を下記コメント欄へ記入されるのは、御遠慮下さいね!

※パスワードのヒント
うちの母がこの歌を歌っている人(2人のうちの若い方)が好きで、CMを見ると喜んでいます。
ギャラは…やはり平等?(歌っている人たちとそうではない人たち)
昨年末発売のバラードベストに収録されてます(私が昨年唯一買ったCD)
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コメント

切なくなりました。

水玉さま、こんにちは。このときの入江君と琴子ちゃんは、とっても切なくて、かわいそうでした。琴子を思って泣いている入江君に胸が痛くなりました。水玉さまの文章は本当に心にグッときますね。とっても素晴らしいお話ありがとうございます。パスワードの方は、全然分かりません。もっとヒントってありませんよね?

こんばんは。

入江くんの切なさが読んでいて悲しかったです。
後悔先に立たず・・・
ですね。
この後の結果は知っていますが、それでも悲しく感じてしまう、今日この頃です。


パスワード、ヒントを読んでも全然分からないです。
もう少しヒントを下さい。お願いします。

さすが!

久しぶりにお邪魔することができました。。
1周年&二人の記念日を迎えてさらにパワーアップしてる気が。ペンペンであれだけ笑わせておいて…で、これ。
ヤバいです。。私も思わず松本裕子になって叫んでしまいました!切なすぎます

そんな二人の愛あふれるお話を目にしながら、旦那様と大ゲンカしてる私って一体?
さっきも無視をかましながら、、せっせとパスワード攻略にいそしんでおりました。

お母様がファンということは?男の人??勝手にそう予想して片っぱしから思いついた男の人が歌う失恋ソング(これも勝手な妄想)を連打!!!しかーし、攻略できず…
この作業に打ち込んでいたおかげで、怒りが冷めてきました。(どうもありがとうございます♪)

でもでも、、そろそろ。
答えが知りたいです。
ヒントくださーい!!!

このあたりのお話はあとの展開がわかっていても
いつもせつない気持ちになります。

今回は松本姉目線で、また違うせつなさ、もどかしさでした。
松本姉って、いい女ですよね。
見た目、頭脳、運動神経、全てパーフェクトなのは勿論のこと、適当なところで手を打つことなく、自分が本当に好きな人とじゃなければ付き合う気なんて無いって気概、かっこいいです。
水玉様の描かれる松本姉、イメージ通りでした。

そして入江君の涙と、それを見て自分も視界が霞んでゆくゆくあたりの描写は、私の視界も歪んでしまいました。

ステキですぅ~☆☆

仕事中に(笑)ケータイから読んで切なさにウルウルして、仕事帰りの移動中にもまた読み返して…そして今、パソコンからまた読んでます(*^_^*)
入江くんの切ないキモチが伝わってきて、何回読み返しても感動しちゃいます☆

読んだ時に、某グループの曲が思い浮かんだんですが、歌詞やメロディは分かるのに曲名が分からない~(>_<)って、悔しくて…。
それで、調べてみたらこれかな…って思ったらビンゴ♪

いい曲ですよね、あの曲♪

では、これから「ついてない女」のほうもまた読んできます~☆

セツナイ

この後どうなるか判ってても悲しい、寂しいですね。

こんなにスキなのに、どうにも成らないこの時の二人!

コメントありがとうございます♪

コメントありがとうございます。
ちーりんさん
本当にこの頃の二人は見ていて可哀想ですよね…。
あまりにつらいので、正直、めったに読まない部分なのですが…曲を聴いていたら何となしに書いてみました。
パスワードは…若干ヒントを増やしたので考えてみて下さると嬉しいです。

りきまるさん
原作を読んでいても、この後幸せになると分かっていても辛い個所ですよね…
本当、リアルタイムで連載を読んでいたら耐えられなかったなあと思います。

なおき&まーママさん
パワーアップって…もしや私のこと!?(笑)
いやいやそんな…連休でテンションがやたら上がっていただけかと(笑)連休明け、思い残すことないようにしようと…。
でもパス解読して下さったみたいで…ありがとうございます!!

ぴくもんさん
この歌を聞いた時、「あ、松本姉目線で書いたらどうだろう…」と思ったんです。松本姉ってきっといつからか「もうだめかもな…」と思っていた気がするなあ…なんて。でも入江くんを追いかけるより、どちらかというと琴子をからかうことが楽しかったんじゃないかなと勝手に想像しています。

愛結美さん
そんなに読み返して下さったんですか!!
ありがとうございます!!
あの曲、初めてCMで聞いた時「いいな~」と思って、ちょうど出るCDに収録されているということで、数年ぶりにCD買いました!
歌詞とかが分かっているのに、曲名が分からなくて探せないってありますよね!

kobutaさん
本当、何度読み返しても可哀想で…
特に原作の琴子が入江くんとの楽しい思い出の数々をお思い出しながら泣いているシーンが一番辛いです!

拍手コメントありがとうございます

拍手コメントありがとうございます

佑さん
あ、でもわかってくださり安心しました!
確かにこの辺の話は…可哀想の一言です!!入江くんがどんなに琴子を想っているかが分かるところでもあるのですが…それでも辛い!!

潤さん
そうですね。こちらでは初めましてですね(笑)
今は…おわかりになられたのでしょうか?
松本姉は私も初めて書いた気がします(別ペでチラリと出してますが)
この二人ってきっと大人な会話を交わしている気がします…入江くんも異性の友人として尊重していそう…

さくやさん
結婚式当日を松本姉視点!!それは読んでみたいです♪
結婚式、一体どんな心境だったんでしょうね…でも松本姉はさっぱりしていそうなのできっと心から祝福していたとは思いますが…。
彼女、かっこいいなあ。失恋しても友情を築いているし!

まるさん
キムヨナのボンドガールに大爆笑しました!!そういえば今シーズンはこの曲なんでしたね!!
そんな衝撃をまるさんに与えることができ、ちょっと嬉しいかも♪
そして…続き!?この続きって…何を書けば…!(笑)

No title

20歳の若い男の子の肩に重圧ですよね、いくら天才でも重すぎますよ、琴子ちゃんの思いに答えたいのに、答えられない、入江君自身の思いも、周りの大人たちは、どう思いなのか?私は周りの、大人たちに腹立たしい気分です。

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