日々草子 公爵の秘密 6(最終話)
FC2ブログ

プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

現在の御訪問者

現在の閲覧者数:

御訪問ありがとうございます

このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事

「これが先生の馬かあ…。」
馬小屋から連れて来られた馬を見て、コトリーナは感嘆の声を上げた。それは綺麗な馬だった。ひらりと乗るナオキヴィッチ。その姿にコトリーナが見とれていると、ナオキヴィッチが手を差し伸べた。どうやら一緒に遠乗りへ連れて行ってくれるらしい。勿論、コトリーナは喜んでナオキヴィッチの手を取り、馬へ。そして二人は遠乗りへと出かけた。

「…ナオキヴィッチ様が馬に人をお乗せになるなんて。」
屋敷の窓からその様子を見ていたユウキスキーは面白くなさそうに呟く。
「やっと取れた時間だからな。誰も邪魔しない所で二人きりになりたかったのだろう。」
二人を見送ったシゲキスキーが嬉しそうに頷く。

「わあ!すごい!」
小高い丘の上に到着し、コトリーナはそこから景色を見渡した。
「丁度、食事の時間なんだな…。」
ナオキヴィッチが言うとおり、あちらこちらの家の煙突からは煙が出ている。
「…子供の頃はここから見える景色が嫌いだった。」
独り言のようにナオキヴィッチが呟く声を、コトリーナは耳にする。
「きっとあの煙突の下では、家族が楽しげに食卓を囲んでいるんだろうなと思うと面白くなかった。俺は屋敷で爺さんと二人で黙って食事をするだけだったから。でも…。」
ナオキヴィッチは続ける。
「嫌いでも、どうしても来てしまうんだよな。煙を見ていつかは俺も…って無駄なことを考えたりして。爺さんが死んだ後はシゲキスキーやノーリー夫人が俺の相手をしてくれたから…まあ寂しさは薄らいだけどね。」
そこまで話していたナオキヴィッチだったが、「う…う…」という泣き声に気がつく。それはコトリーナが泣いている声だった。
「先生…可哀想…そうよね…ダンゴムシだけが先生の友達だったんだもんね…可哀想…。」
「あ、まあ…そうだけど…。」
あまりのコトリーナの見事な泣きっぷりに、ナオキヴィッチは戸惑いを隠せない。
「私なんて…小さい頃は落とし穴を掘ったり、洞穴に蝙蝠を捕まえに行ったり…木の上に秘密基地を作ったりしてたのに…先生って本当に寂しかったのね…。」
「うん、まあ…。」
コトリーナの話を聞きながら、なぜ出会ったばかりのコトリーナが山猿みたいだったのかを理解したナオキヴィッチ。
「先生…私、頑張るから。」
「何を?」
「…先生が楽しく過ごせるよう、お料理とか頑張って覚えて…あと…家族も…合唱団を作ろうね。」
「合唱団…。」
そこまで人数を増やさずともいいと思う。
「せめて…ババ抜きができるくらいでいいかと…。」
ナオキヴィッチはそう言ったが、その声はコトリーナの耳には届いていないらしい。
結局、コトリーナは屋敷へ戻るまで泣きっぱなしだった。

「ユウキスキー!」
階段を下りている途中、上から名前を呼ばれユウキスキーは仰ぎ見た。
「…何の用です?」
コトリーナの能天気な笑顔を見て、溜息をつくユウキスキー。
「あのね…ちょっと待ってて。話があるの。」
そう言って階段を駆け下りようとするコトリーナ。ユウキスキーは捕まりたくないので、その場を立ち去ろうとする。
「ちょっと待ってよ、ユウキスキー!」
「僕は忙しいんです。あなたみたいに暇を持て余していないんです。」
振りかえりもせず、行こうとするユウキスキー。本当はここで何かしなければいけない用があった気がするのだが、コトリーナの姿を見て、腹が立ち忘れてしまった。
「待ってってば…あ!」
後ろからコトリーナの悲鳴が上がった。さすがにユウキスキーは振り返った。
「あ!」
そしてユウキスキーも声を上げる。コトリーナが階段の上から落ちてくる所だった。
「危ない!ユウキスキー、どいて!」
そう言われても、すぐにはどけないユウキスキー。
…二人は一緒に階段の下まで転がり落ちてしまった。

ユウキスキーは少しぶつけただけで済んだが、コトリーナは足を挫いてしまい、医者から安静を言い渡されてしまった。
「骨が折れていたところだった。」
と医者から言われるくらい、大怪我の一歩手前だったらしい。
「ユウキスキーが受け止めてくれたから。」
ベッドの上でコトリーナが笑顔を向けた。
だがユウキスキーは笑えなかった。コトリーナが階段から落ちたのは、階段に敷かれた絨毯を留めていたピンが外れていたため。そしてあの場でユウキスキーが忘れていたこととは…その絨毯のピンの確認だった。つまり、ユウキスキーが確認していれば、コトリーナは絨毯に足を取られ、怪我をすることがなかった。

勿論、ユウキスキーはその事実を包み隠さず父に告げ、親子はすぐさまナオキヴィッチとコトリーナへ謝りに行った。コトリーナは「気にしないで」と笑っているだけだったし、ナオキヴィッチも「それでもユウキスキーがコトリーナを受け止めたから大怪我にならなかった」と言ってくれた。
主人夫妻からそう慰められても、ユウキスキーは落ち込んだままだった…。

そんな落ち込むユウキスキーをコトリーナが呼んだ。
「桃缶持ってきて。」
コトリーナの頼みに、ユウキスキーは不可解な顔をした。
「病人には桃缶でしょ?」
何の不思議がとコトリーナは思う。ユウキスキーは怪我をさせた負い目もあり、素直に桃缶を運んだ。
「じゃ、次はこれ。」
桃を頬張りながら、コトリーナはユウキスキーに本を差し出した。
「それ読んでくれる?」
その本のタイトルは『三匹のこぶた』だった。どうして自分がこんな絵本を…と思いつつ、でもやはり責任を感じ、ユウキスキーは命じられた通りに本を読み始めた。

慣れぬ読み聞かせを終えた時には、ユウキスキーは疲れ果てていた。
「ありがとう。」
きれいに桃を食べ終えたコトリーナはユウキスキーに礼を言う。
「でも…。」
「でも?」
「…先生の方が読むのは上手だわ。」
その瞬間、ユウキスキーは今まで感じていた負い目をどこかへ吹き飛ばした。
「あ、あなたが読めって言ったから!読んでやったのに、下手って一体!」
顔を真っ赤にして怒るユウキスキー。だが怒りながらユウキスキーはコトリーナが笑っていることに気がついた。
「…やっぱりユウキスキーはその顔の方がいいわね。」
「は?」
「いつまでも責任感じてしょげているんだもん。」
もしかして…落ち込んでいる自分を励まそうとして、わざと怒らせたのかとユウキスキーはコトリーナの思惑に気がついた。
「あんまり怒っていると、眉間に皺が刻まれて元に戻らなくなるから気を付けてね。」
「…知りません!」
どうしていいか分からず、叫ぶことしかできないユウキスキー。
「でもいろいろありがとうね。疲れたからちょっと眠るわ。」
そう言って起こしていた体を横たえるコトリーナ。
「あ…。」
「まだ何か?」
もう解放されたいと思いつつ、ユウキスキーはコトリーナへ訊ねる。
「…お茶の時間を一緒に過ごせないから、先生と会えなくなっちゃった。」
コトリーナは寂しそうに笑った。
「あ、でもずっと会えないわけじゃないしね。それにこの間は一緒に遠乗りにも連れて行ってもらったし。」
そう言ってコトリーナは目を閉じた。ユウキスキーは一応、音を立てないよう部屋を出て行こうとした。が、
「ユウキスキー。」
と、またコトリーナが呼び止めた。
「何でしょう?」
「…ユウキスキーが怪我しなくて、本当によかった。」
コトリーナは心から安堵した表情で、ユウキスキーに優しく言った。
「でも…僕はフットマン失格ですけどね。あなたに怪我させたんですから。」
本心を打ち明けるユウキスキーに、コトリーナは首を振った。
「だから言ったでしょ?ユウキスキーが受け止めてくれたからこれで済んだって。」
「けど…。」
「ユウキスキーは…先生の弟代わりなんでしょ?」
「恐れ多いことですが…。」
コトリーナはフフフと笑った。
「それなら、私にも弟だわね、ユウキスキーは。嬉しい。私、一人っ子だから賑やかな家族ができて。」
無邪気に笑うコトリーナに、ユウキスキーはどう接していいのか戸惑ってしまい出て行ってしまった。

「失礼します。」
その夜更け、ユウキスキーはナオキヴィッチの執務室のドアをノックした。
「何だ?ナオキヴィッチ様の執務の邪魔だぞ?」
シゲキスキーが眉を潜める。
「申し訳ございません。」
頭を下げるユウキスキーだが、部屋を出て行こうとはしない。その様子に不思議な顔を見せるナオキヴィッチとシゲキスキー。
「何かあったか?」
ナオキヴィッチが話を向けると、ユウキスキーは顔を上げて口を開いた。
「その…仕事はまだかかりそうですか?」
「え?」
「もし…少し時間ができるようでしたら…。」
言いにくそうなユウキスキー。
「なら?」
ナオキヴィッチに促され、ユウキスキーは覚悟を決めたように言った。
「夜だけでも…あの人と一緒にいて差し上げて下さい。」
あの人とはコトリーナのことだと、ナオキヴィッチにもシゲキスキーにも分かった。
「お茶の時間を一緒に過ごせないって落ち込んでいたみたいで…それに…そうなったのは僕のせいでもあるし…。」
ユウキスキーの話を聞き、ナオキヴィッチは微笑んだ。
「それでは…お前の言うとおりにさせてもらおう。」
そして席から立つ。続きは明日とシゲキスキーに告げ、ナオキヴィッチはユウキスキーの頭を軽く叩き、執務室を出て行った。

「どうして…ナオキヴィッチ様は…。」
翌日、シゲキスキーがいない時を見計らい、ユウキスキーはナオキヴィッチへ問いかけた。
「あんな…エフ村の女にそこまで?」
それを聞き、苦笑するナオキヴィッチ。
「だって!エフ村が何と呼ばれているか知ってますか?エフ村のFはFoolのエフって呼ばれてるくらいですよ!それくらいアホ揃いの村民で!」
まさか尊敬する主が、その村の出身女と結婚するとは思っていなかったユウキスキー。だから未だにコトリーナを公爵夫人、いやナオキヴィッチの妻とは認められない。
「そのエフ村で俺は何をしたと思う?」
「行かれたんですか?あのアホ村に?」
「そりゃあ、コトリーナの父親に結婚の許可をもらわなければいけなかったからな。」
「何をされたんですか?」
ナオキヴィッチはは笑いを噛み殺しながら、ユウキスキーへ教えた。
「エフ村での俺が寝起きした場所は馬小屋。そしてカエル獲り競争までさせられた。」
それを聞き、ユウキスキーはあんぐりと口を開けた。
「う、馬小屋…か、カエル獲り競争!?」
あの毅然とした、社交界で羨望の眼差しを受けているナオキヴィッチがそんな真似をしたのかと思うと、ユウキスキーは倒れそうになった。
「どうして、そんなことを!」
「そうしないと、コトリーナと結婚できなかったからな。」
「だったらしなければいい!あんな女のためにそこまでしなくとも!」
興奮して叫ぶユウキスキーに、ナオキヴィッチは優しく言った。
「そこまでしても…どうしても結婚したかったんだよ、俺はコトリーナとね。」
「…そんなにあの人がいいのですか?他にもナオキヴィッチ様にお似合いな貴婦人は沢山おいでですのに…望めば王家の血筋の姫君だって。」
イーリエ公爵家はそれくらいの名門である。
「…俺に似合う貴婦人は、コトリーナ以外いないよ。」
「あの人、貴婦人ですか?」
ユウキスキーの疑う声に、ナオキヴィッチは言い返す。
「そりゃ貴婦人に決まってる。何と言っても…この俺が一から育て上げたんだから。」
「え?」
そしてナオキヴィッチは微笑んだ。
「確かに見た目はもっと美しい貴婦人はいるだろうけどね。でもコトリーナほど美しい心を持った貴婦人は国中探したっていないだろう。」
それを聞き、ユウキスキーは怪我をさせても何一つ責めなかったコトリーナを思い出していた…。

日は流れ、コトリーナの足も治り、二人が都会へと戻る日がやって来た。

「お世話になりました、シゲキスキーさん。」
「コトリーナ様…。」
目に涙を浮かべるシゲキスキー。それを見てコトリーナも涙ぐむ。
「必ず…必ずまたいらして下さいませね。」
「シゲキスキーさんもぜひいらしてね。おば様にも会いに来て。」
「…ナオキヴィッチ様をお願いいたします。ナオキヴィッチ様は…今まで大層お寂しい思いをしておいででしたから。」
「勿論。合唱団を作れるくらい、賑やかな家族を作ります。」
「いいえ!合唱団では物足りません!吹奏楽団…マーチングバンドを作れるくらい!」
「分かったわ!マーチングバンド目指します!」
そして抱きあって泣くコトリーナとシゲキスキー。その後ろでナオキヴィッチは、「マーチングバンドを作るのに何年頑張れば…?」と指を折って数えていた…。

「ところで、ユウキスキーは?」
コトリーナが辺りを見回す。居並ぶ使用人たちの中に、その顔はない。
「あいつ…今朝早くから姿を見せないんです。しょうのない奴だ!」
腹を立てるシゲキスキー。
「…やっぱり最後までユウキスキーには嫌われてたのかしら?」
コトリーナは肩を落とした。少しは距離が近づけた気がしたのだが…。

ギリギリまで待っていたが、ユウキスキーは顔を見せない。もう出発しないと汽車の時刻に間に合わないと言われ、コトリーナは馬車へと向かった。
「コトリーナ様!」
馬車へ乗り込もうとしていたコトリーナは、声がした方へと振り返った。
「コトリーナ様!」
そこへユウキスキーが息を切らして走って来た。
「ユウキスキー!」
慌てて駆け寄るコトリーナ。
「こ、これを…!」
ユウキスキーがコトリーナへ差し出した物。それはコトリーナがカントリーハウスにいる間、毎朝摘んでいた森に咲く花だった。それが見事な花束にされている。
「…コトリーナ様。」
初めて名を呼ばれ、コトリーナは驚いた。
「…必ずまたカントリーハウスへお戻り下さい。僕…いえ、イーリエ公爵家の使用人たち一同は、あなた様のおいでを心よりお待ち申し上げております。」
ユウキスキーは真っ直ぐにコトリーナの目を見つめ、告げた。
「ユウキスキー…!」
「必ずお戻り下さい。それまで僕は…絵本の上手な読み方をマスターしてお待ちしています。」
「ユウキスキー!」
コトリーナはたまらなくなり、ユウキスキーを抱き締めた。
「必ず戻るわ!また!それまでちゃんと練習しておいてね!」
そしてユウキスキーの頬にキスをする。
「!」
突然のキスに顔を真っ赤にし、驚くユウキスキー。
「このキスは都会いるあなたのお母様の分。そして…。」
今度は反対の頬にコトリーナはキスをした。
「これは私からの感謝のキスよ。愛しているわ、ユウキスキー!」
そしてコトリーナはユウキスキーを抱き締めた。

「うん、うん…よかった、よかった。」
シゲキスキーは涙ぐみながら、コトリーナとユウキスキーの和解を見ていた。
「本当に…ノーリーの手紙の通りの方だったな、コトリーナ様は。」
ノーリー夫人からの手紙を思い出すシゲキスキー。

『…コトリーナちゃんはとっても優しく素直な子なので、ユウキスキーは最初戸惑うかもしれませんが、心配はいりません…。』

「そういえば…何か気になることが書かれていたような…?」
シゲキスキーは懐から手紙をそっと取り出して読み返した。

『…ただ…心配なのはナオキヴィッチ様。コトリーナちゃんとの結婚までの道のりで分かったことですが…ナオキヴィッチ様は非常に嫉妬深く…。』
そこまで読み返し、シゲキスキーはナオキヴィッチを見た。

「…!」
抱擁し、何度もユウキスキーにキスをするコトリーナの背後で…ナオキヴィッチは世にも恐ろしい形相でユウキスキーを見ている。

「あ…コトリーナ様…。」
気が付き、シゲキスキーはコトリーナの行為を止めようとした。

が、時は既に遅し。
ユウキスキーの頭上スレスレに、ナオキヴィッチは手にしていたステッキを突き付けた。
「…お前の頭に虫が止まっていた。」
「あら!大変!」
コトリーナは漸くユウキスキーを解放する。
「…取ってやるよ。」
そう言って、手を伸ばすナオキヴィッチ。コトリーナは少し後ろへ下がり、シゲキスキーの横へ並ぶ。
「本当、兄弟みたい。よかった、私にも可愛い弟ができて。」
ニコニコと二人を眺めるコトリーナ。
「…ですね。」
対象的にハラハラしながら二人を眺めるシゲキスキー。

「何が読み聞かせなんだ?」
周りに聞こえないよう、抑えた声でユウキスキーに話かけるナオキヴィッチ。
「あ、いえ…それは…コトリーナ様が…怪我で動けない時に頼まれたので…。」
青ざめて震えながら答えるユウキスキー。
「…それをしていいのは、俺だけなんだって知ってるよな?」
「…勿論です!」
その答えを聞き、ナオキヴィッチはステッキを下ろした。
「分かればよろしい。お前は寄り道などせず、執事を目指して邁進するがいい。」
「…かしこまりました。」
その場にヘナヘナと座り込みそうになるユウキスキーだったが、そこは未来の執事、何とか耐え、姿勢を正した。

「先生、機嫌悪くない?」
汽車に揺られながら、コトリーナはナオキヴィッチの顔を見て問いかける。
「別に。」
機嫌などいいはずがない。未だコトリーナからは頬にキスはされていないのに、なぜかユウキスキーに先を越されてしまったのだから。
「そう?」
でも気になるコトリーナは、手土産のお菓子でナオキヴィッチの機嫌を直そうと思った。
「ほら、先生!見て!可愛いひよこ!」
ひよこ型のお菓子を取り出し、ナオキヴィッチに見せようとするコトリーナ。その時、汽車が揺れ、コトリーナはバランスを崩した。
「キャッ!」
バランスを崩したコトリーナは、ナオキヴィッチへ倒れる。その瞬間、コトリーナの唇がナオキヴィッチの頬に触れた。
「あ…!」
なぜか顔を赤らめるコトリーナ。満足するナオキヴィッチ。
「何も頬にキスくらいでそんなに赤くならなくても…。この間、もっとすごいキスをしたの、覚えてない?」
からかうように、コトリーナの顔を覗き込むナオキヴィッチに、コトリーナは、
「…覚えてないもん。」
と俯く。そしてパクパクと“銘菓ひよこ”を食べる。

「あ、先生も…食べる?」
「うん。食べる。」
コトリーナは顔を上げ、ひよこを一つ出そうとした。が、ナオキヴィッチが出したのは手ではなく…
チョンとコトリーナの可愛い唇に、自分の唇を落とす。
「…!」
ますます真っ赤になったコトリーナを、ナオキヴィッチはおかしそうに見つめ、言った。

「俺が食べたいのは、ひよこよりコトリーナ。」

コトリーナはそれから…“銘菓ひよこ”を一箱食べ尽くしたのだった…。

                                                       (終)








☆あとがき
『公爵の秘密』最後までお読み下さり、ありがとうございました!!
…やっぱり難しい、外国の話(涙)
でも…懲りずに(というか、私の辞書に懲りるという文字はない気がします(笑))、また書いてみたいなあと無謀にも思っておりますが…。
コトリーナが可愛くてたまらないんですよね♪

※追記
お風呂で考えて、ちょっと追加しました。
あまりに中途半端な気がしたので…
でも付け加えて、余計だった気もします…。
関連記事

コメント

最終回!!

こんばんは。
とうとう、『公爵の秘密』終わっちゃいましたね。
でも、ユウキスキーのコトリーナへの誤解が解けて良かったです。
コトリーナのやさしい気持ちが、ユウキスキーに伝わり、
凍っていたユウキスキー心が解けたように感じました。

コトリーナは本当にやさしい公爵夫人ですね。
きっと村人のためにナオキヴィッチとコトリーナは力を合わせて
領地の人たちのために全力で尽くすんでしょうね。

しかしナオキヴィッチの嫉妬心、怖すぎです。(笑)
ユウキスキーはもう二度とコトリーナからの抱擁やキスは受けないでしょう。
だって、公爵オキヴィッチが怖いから・・・!!

ブラボー

ああ、とうとう終わってしまいました。
ユーキスキー、コトリーナの優しさが分かって、よかった。ナオキヴィッチと二人で馬に乗る姿、きっと絵になるでしょうね。怪我をした事は可哀想だったけれど、この村に来て、コトリーナは収穫が一杯ありましたものね。今度来るときは、何人家族になっているでしょうか?嫉妬する公爵も最高ですね。

水玉さん、お疲れさまでした。そして楽しく読ませて頂き、ありがとうございます。
続編も書いていただけるなら、とってもうれしいです。

良かった

ユウキスキーも人は、顔や頭の善し悪しじゃなく、心だと判ってコトリーナと和解出来て良かったです。

桃缶ナイス!白桃派?黄桃派?私は白桃派です。

やっぱり!ユウキスキーにもヤキモチを焼くんですね!
ステッキ?公爵様は持っているんですね!
ユウキスキー次回からは気をつけてね。

ひよこ一箱間食したコトリーナ!
コトリーナを食べた?ナオキヴィッチ!

いつまでも仲良くね!

水玉さん、続編、番外編、お待ちしております。

終わっちゃった・・・

無事ユウキスキーとも仲良くなれたし、ナオキヴィッチの嫉妬も見れたし、最後まで楽しく読ませていただきました。
銘菓ひよこ・・・頭から食べるのか、お尻から食べるのか、いつも迷うのよねぇ~。ちなみに子供の入学式で、学校から必ず教科書とワンセットで銘菓ひよこを貰います!

お疲れ様でした^^)

こんにちは、水玉さん。

最終話なのね・・・とちょっっぴり寂しくなりました。
でもハッピーエンドってやっぱり読んでいて楽しいですね。
ユウキスキーと仲よくなれたことはよかったですが、
やはりきましたか!嫉妬ナオキヴィッチ!!
ほっぺにチュウでもダメなんですね^^;)
個人的にいつくるかなあと待っていたので嬉しかったです。

余談ですが、ウチの地元には”大のひよ子”というのが売ってあります。
(通常のひよ子よりの3まわりくらい大きかった…かな?)
琴子がみたら絶対喜んで購入してると思います。
で、直樹は「誰が食うんだそんなでかいもん」って言いそう(笑)

色々あった二人も♪

結婚を反対されたり、結婚したらしたで公爵家の奥さんとして認めてもらえなかったりと色々あった(蛙をおったりダンゴ虫に翻弄されたり^^☆)二人も…ついにみんなに認められハッピーエンドを迎えてよかったです♪
そしてハッピーエンドの象徴の銘菓「ひよこ」。
…小さい頃、なぜか身と皮と別々に食べるのが好きで、、親に「そんな行儀の悪い食べ方して!」と良く怒られたものです。たくさんの幸せと笑いを届けてくださりありがとうございました。またかわいいコトリーナと
クール&嫉妬魔ナオキヴィッチに会えることを楽しみにしています。

幸せだね二人。

水玉さん、おはようございます。
色々な事があった故郷での出来事。
コトリーナをナオキヴィッチが好きになった理由が判ったユウキスキーです。
皆を虜にしていくのですね。
公爵夫人として認めようとしなかったユウキスキーまでを夫人として認めさせたのですから。
ここに来て、初めて夫婦になれたのですから。
でも最後ユウキスキーとのキスは失敗でしたね。
嫉妬、ヤキモチがしっかりと出ていましたね。
コトリーナが頼んで本を読んであげたことまで。
だからユウキスキーに嫉妬を。
そんな事は全然知らない琴子ひよこをパクパクです。
でも汽車の中でバランスを崩した時に頬にキスが。
コトリーナ顔が真っ赤です。
そんなコトリーナにこれ以上のキスをしたと。
その後ナオキヴィッチがコトリーナに甘いキスを。
もう二人ご自由に。熱い熱い。
続き楽しみにしています。

合唱団・・・

合唱団ってトラップ一家ですかっ!
公共放送のBSでお昼に世界名作劇場の再放送をちょうどやっているので、ウケました。
秘密が終了したら、次は何になるのでしょうね?
まだまだネタが水さまの頭にはあるようですので楽しみです。
私も「ひよこ」大好きです。

最後までお付き合い、ありがとうございました。

コメントありがとうございます。

りきまるさん
とうとう…わ、そんな風に言っていただけて、とても嬉しいです。
ナオキヴィッチはいい公爵様じゃないかと私も思います。嫉妬深いのは…身近な人間が被害に遭うだけですから(笑)。
ユウキスキーが拒否しても、何も知らないコトリーナがきっと抱擁&キスを続けるのでは(笑)
最後まで読んで下さりありがとうございました。

るんるんさん
るんるんさんも、とうとう…と言って下さって!ありがとうございます。
馬の二人乗り、ちょっと貴族ぽいイメージが私の中でありまして。でもこのころってやはり、女性が男性の前に乗るのかしら?それともバイク二人乗りみたいに背中につかまる?それがよくわからなかった…お恥ずかしい。
最後まで読んで下さり、そして私へのお気遣いコメントありがとうございます。

くみくみママさん
ひよことたいやきは私は頭からパクリといきます(笑)ただ…ひよこは実は福岡に住んでいた頃、食べる機会が多かったせいか…しばらくは見たくない!といった感じでした。今食べるとおいしいです♪
最後まで読んで下さりありがとうございます。

kobutaさん
私は両方OKです!!桃缶…開けた瞬間のあの香りがたまらないです。
いや…この時代の漫画とか読むと、男性、ステッキを持っているみたいで(笑)←おしゃれの一部?
なのでナオキヴィッチにも持たせてみました。武器にもなるし(笑)
最後まで読んで下さりありがとうございました。

藤夏さん
ほっぺにチュウもNGなんです(笑)とにかく、自分以外の男性がコトリーナに触るのが許せない…やはりお子様公爵(笑)
いつ来るかなあと待っていて下さったんですね♪お楽しみは最後まで…なあんて。
大ひよこ!!なんかお祝い事とかに出そうですね!!絶対一人では食べられなさそう…!ひよこもいっぱいあるんですね。
最後まで読んで下さりありがとうございます。

なおき&まーママさん
それは…ポッキーを先にチョコレートからなめたり、とんがりコーンを全部の指にはめたりとか…そういうのと同じでしょうか(笑)
あ、でもおまんじゅうなんかは、あんこだけ残す人、いますよね(笑)
しかし…小動物?に翻弄された二人だったと書き終わった今、しみじみと思います。
最後まで読んで下さりありがとうございました。

tiemさん
優しさは周囲に伝染していくんでしょうね♪
本当、熱いお二人…というか…バカップル(笑)
いや、そんなことはないはず(笑)
読み聞かせくらい、それこそ減るものじゃないでしょうにねえ…
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

KEIKOさん
そのアニメ、昔見てました!!あと唯一見たミュージカル映画がその原作です!まさしくそれをモデルにしてみました、合唱団ネタ(笑)
しばらくは…江戸へ戻ります(笑)ちょんまげが私を呼んでいる~(笑)
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

拍手ありがとうございます。
佑さん
そうです!あれは大佐でした!しかも…親子ほど年の離れた二人(笑)←何気に年齢差のあるカップルが好きな私
結婚して素直になれた公爵様、ちょっと可愛いでしょ?
最後まで読んで下さりありがとうございました。

いたさん
原作が結婚後も続いたので…二次もどうしても結婚後まで書きたくなります^^
すみません…本当にとんでもない、くだらない秘密で。顔を上げられません。
ただ…ここまで書いて、カタカナはもはや…問題じゃないとまで開き直れる図太い神経はゲットした気がします(笑)
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

mayさん
東京と博多、一時期もめてましたよね~そういえば!!
しかし博多のひよこ、すごいですね!マカデミアナッツチョコは食べてみたい!!おいしそう!!
教えて下さったサイトでみたひよこグミもいいですね!!博多、すごいなあ♪
最後まで読んで下さりありがとうございました。

さくやさん
ていうことは、抱きかかえて馬に乗る…でOKなんですね(笑)結論出た!よかった!
え~あれそのままじゃもったいないですって!!
全て読んでみたいところを、あえて一つに泣く泣く絞ったんですよ!
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

まあちさん
そうなんです、急遽決めた一回り設定(笑)←年の差カップル好きだから(笑)
マーチングバンドって…何人?
でもそうしたら…名前とかどうするんでしょうかね?ナオキヴィッチジュニアとか?リトル・コトリーナとか?
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

foxさん
栗入り!!それはうちの母が大喜びしそうです!!←栗大好き人間なので
福岡、懐かしいです!!
私もひよこ、食べたくなりました!
コトリーナ、可愛いって言って下さってありがとうございます。
そして最後まで読んで下さりありがとうございました。

がっちゃんさん
後味がいいですよね、ハッピーエンドは♪
読み聞かせ=寝所にコトリーナを尋ねるってことですからね(笑)そこがまた、許せないので?
最後まで読んで下さり、ありがとうございました!

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://suisen61.blog77.fc2.com/tb.php/613-02c7ee76

 BLOG TOP