2008'12.01 (Mon)

幸運の女神 第18話

「でも、良かった…。」
琴子を抱きしめたまま、直樹がつぶやく。何が良かったのか、琴子は直樹に尋ねようとするが、直樹の力が強すぎて、話すことができない。
「俺はお前にもう必要とされてないのかと思ってた。」
少し力を弱まったが、変わらず琴子は直樹に抱きすくめられたままだ。
「お前が一人で頑張りたいという気持ちを俺は応援したいと思った。これは本当なんだ。でも…」

【More】

「でも…?」
直樹が力を少し弱めてくれたため、ようやく琴子は口をきけるようになり、直樹に聞き返す。
「でも、このままお前が戻ってこないんじゃないかってずっと不安で。」
「不安?」
「俺の方から電話しようと何度も思ったんだけれど、俺に頼らないって言って出て行った手前、お前が電話をよこさないのに、俺が一人で頑張ってるお前の邪魔するのは嫌だった。」
「そんな…」
「周りからも俺がお前に連絡取らない理由を聞かれて、お前の自立のためだとか偉そうに言ってたんだけど…。」
琴子の耳に直樹の声と共に、直樹の心臓の音が聞こえる。
「それは俺の言い訳で、本当はお前に拒否されることが怖かったんだ。」
直樹の心臓の音に、琴子の心臓の音も合わさって、琴子の耳に響いている。

「俺がお前に電話して、もしお前に邪魔しないでくれとか、もう俺を必要とせず一人で生きていけるとか、決定的な言葉を言われるのが怖かった。」
「入江くんが怖いって、嘘みたい…」
「嘘じゃないよ。」
「だって、入江くんはいつも、自信たっぷりで…」
「自信があるのは、お前の姿が見えている時だけだよ。今回のことで気がついた。お前の姿が見えないと、お前が何を考えているのか、俺のことを必要としてくれているのか、何も分からなくて不安でたまらない。もし、このままお前が俺から離れて行ってしまったらどうすればいいのか怖くて仕方がなかった。」
「…。」

「琴子に迷惑をかけられても俺は琴子を責めないって、さっき話してただろう?」
「…うん。」
「責めるわけないだろう。俺はお前から頼られて、自分で決めてお前に付き合ってるんだから。もし、嫌だったら、嫌だとはっきり断るよ。自分で決めて行動しているのに、結果お前が俺に迷惑をかけたからって、俺に責める資格はないよ。」
「そんな…。」
「それに、甘えていたのは、琴子じゃなくて、俺だよ。琴子は絶対俺から離れない、離れるはずないって、お前に甘えてたんだよな。」
「そんなことないよ!」
琴子が強く否定した。それを聞きながら、直樹は話を続ける。

「琴子がいつも俺の傍にいて、どんな時でも俺をいつも追いかけてきてくれると分かっているから、俺は自信を持っていられる。お前がどこにいても、俺の姿を見つければ追いかけて来てくれるから。だから、琴子、お前は俺の傍にずっといてくれないと困る。俺の為に傍にいてほしい。」

「入江くんの為に…?」
「そう。」
「…でも、でも、私がいると、入江くんの足を…」
琴子が直樹の胸でつぶやいた声をさえぎるように、直樹が話す。
「琴子は俺の足なんて引っ張ってないよ。」
また、琴子を抱きしめる直樹の腕に力が入る。

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Comment

No title

う~ん、やっと素直じゃない入江君が素直に話せましたね、何事もその時にならないと入江君て、本音が言えず後で後悔してしまうことがあるんですよね?今回琴子ちゃんなりに、独り立ちを使用としたけど、じっつぁい出来ましたけど、旦那様の入江君いは、素直になれずてことですか?でも離婚にならず良かったですね。v-24
なおちゃん | 2017年04月29日(土) 19:46 | URL | コメント編集

No title

またまたコメントします( ´艸`)素直になれない入江君でも、やっと入江君からの本音が聞かれました、入江君は琴子ちゃんの姿を見てるだけで安心するんですよ、これは琴子ちゃんも一緒なんですが、入江君のほうが上回るんですよ、周りもうるさすぎなんですよね、真実は当人ばかりがわかることですよ、所詮他人の噂ばかりが戦闘切ってるんですよね。
なおちゃん | 2017年05月12日(金) 11:10 | URL | コメント編集

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