日々草子 ついていない女 4
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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最新記事

入江くんのおかげで、あたしは無事に斗南大学へ進学できそう。でも気がかりが一つある。
「入江くん…結局どうするんだろう?」
それは入江くんの進学先。センター試験には出願しているらしい。だけどT大進学を勧める周りの声に耳を貸す気配が、一向にない。
どうも本人には特にやりたいことがないらしいと、最近、あたしは気が付いている。本人もそんなこと言ってたしね。

「天才って、色々大変なのかもね。」
その夜も一人部屋であたしは呟いた。エスカレーターで斗南大へ進学する以外に道が残されていないあたしと、どこへでも進学できる力を持ちながらやりたいことのない入江くん。どちらが幸せなのかしらね?
「何か力になれないかな?」
入江家に来てからというもの、勉強面では入江くんにかなりお世話になっている。今こそ恩返しをする時じゃない?

「そうだ!将来を決めるお手伝いができないかな?」
あたしは手を叩いた。こういうことは、意外と他人のアドバイスが効果があることって、多いのよね。自分では気がつかなかったことを、他人の台詞で気付かされることも多いはずよ。

「入江くんをずっと見てきたあたしだもん。他の人には分からない何かを見つけられるはずよね!」
そしてあたしは机に紙を広げた。一番上に、『入江くんの将来設計』と大きく書く。

「ええと、まずは性格を見ないとね。長所を生かせるように…と。」
そして考える入江くんの長所。
「長所…長所…怒りっぽい。あ、これは短所だわ。冷たい。これも短所ね。昔女装していた…これは黒歴史だわ。長所、長所…。」
うーん。どうも短所ばかりが思い浮かぶなあ。入江くん、長所あるの?ていうか、あたし、入江くんのどこが好きなんだろう?このままじゃ、あたしの男性の趣味まで疑われちゃうじゃない!

「あ!面倒見がいい!」
あたしといい、F組といい、入江くんは何だかんだ文句を言いつつ、きちんと勉強を最後まで教えてくれたんだよね。これは面倒見がいいと言っていいはず。『面倒見がいい』と書き込む。

「さて、面倒見がいい性格を生かすお仕事、お仕事…。学校の先生、だめ。勉強が苦手な子の気持ちが分からず、登校拒否の生徒が続出するわね。予備校や塾…これもだめ。ハチマキが似合わないもん!となると…。」
暫く考えた末、あたしはある職業を思いついた。面倒見がいい性格を生かす職業。
「幼稚園の先生!または保育士さん!小さい子が相手なら入江くんだってさすがに言葉を選ぶでしょう!」
そして『ようち園の先生または保育士』と書き込む。

「これだけではイメージが湧かないかもしれないわよね。絵、入れたほうがいいか。」
そして、入江くんの全身像を書き始めるあたし。

「背が高いから、子供とかぶら下がったら楽しいわよね。“やっぱりイリエ、百人乗っても大丈夫!”なあんてね。あ、いけない。人間だから百人は無理か。右腕に五人、左腕に五人、合計十人くらいでいっか。」
フンフンフンと歌いながら絵を書くことに夢中になるあたし。

「あたしも幼稚園の先生なら、なれないかなあ…。」

『ことこせんせい、ぼくとけっこんして!』
『ずるい!ことこせんせいはぼくとけっこんするんだよ!』
腕白な男の子にモテモテのあたし。
『だめだよ。ことこせんせいはなおきせんせいのものなんだから。』
そこへ登場するのが、直樹先生こと、入江くん。意外とエプロン姿が似合ってたりするのよね。胸に「なおきせんせい」って名札つけてたりなんかして!キャッ、可愛い!
『入江くんたら、子供の前で。』
照れるあたし。んもう、入江くんたら子供がいようがいまいが、関係ないんだから!
『ことこせんせい、きれいなおよめさんだろうな。』
今度は女の子たちにうらやましがられるあたし。ああ、幸せ…。

そしてあたしと入江くんは結婚。
『琴子、話があるんだけど。』
『なあに?あなた。』
職場では直樹先生と呼ぶあたしだけど、家では「あなた」って愛情を込めて呼んでいるあたし。
『俺…独立しようかと思ってるんだ。』
『独立?』
突然の夫の話に驚くけれど、でもそれを顔に出すと、まずいことをちゃんと知っている、賢い奥さんのあたしは笑顔のまま。
『俺の…理想の幼稚園を作ろうかと思って。』
そう。あたしの入江くんは天才だから理想も高いの。いつまでも雇われている身ではなく、自分が描く理想の幼稚園を創ろうとする、スーパー幼稚園教諭!
『とうとう、夢を実現する日が来たのね!』
勿論、あたしは愛する旦那様の夢を前から承知している賢い奥さん。
『都会の喧騒を離れた…自然が溢れた場所でのびのびと子供たちを育てたいんだ。』
そう。入江くんはお受験なんて関係のない、のんびりとした教育方針を持っているの。
『素敵!』
『場所も理想通りの場所が見つかったんだ。』
そして地図と設計図を見せてくれる入江くん。勿論、入江くんのやることだから問題点は一つもなし!パーフェクト!
『あたしは入江くんについて行くわ!どこまでも!』
『琴子…!』
ひしっと抱き合うあたしたち…。


これ、これよ!!
何て素晴らしい将来設計!!
感動しすぎて、涙が出てきちゃった!ティッシュ、ティッシュ。

これなら入江くんも…「まいった」と言うに違いないわ!ムフフフフ…。
出来上がった『入江くんの将来設計』を見て、あたしは笑いが止まらなかった。


「入江くん!」
リビングでテレビを見ている入江くんに、あたしは封筒を差し出す。
「また変なこと書いてるんじゃねえだろうな…?」
「違うわよ!」
どうもラブレター事件が尾を引いているらしく、入江くんはなかなか受け取ろうとしない。
失礼な!
あたしだって、そんなしょっちゅう、ラブレターを渡さないわよ。
押してばかりじゃなく、引いてみることだって知ってるんだから!

「これ、入江くんの今後にとっても役に立つことが書いてあるの!見てみて!」
「役立たずのお前が一体何を?まさか宗教の勧誘じゃねえだろうな。お前、自分の力じゃ何もできないからって、神の力を頼り始めたとか…。」
や、役立たずって。いちいちどうしてそういうことを口にするのかなあ?

「ま、いいから、いいから。」
あたしの好意に負けた入江くんは、封筒を受け取り中を開けた。
「“入江くんの将来設計”…?」
うわ、途端に嫌な顔しちゃったわ。いや、読んでみれば驚くって!

『すごいな、これ、お前が書いたのか?』
素晴らしい出来栄えに、目を見張る入江くん。
『そう。下手で恥ずかしいんだけど…。』
謙虚なあたし。
『いや、お前、美大でもやっていけるんじゃないか?』
『そんな、入江くんってば褒めすぎ!それにこれは、入江くんの為だから書けたんだもん。』
『琴子、お前って…。』
そして入江くんはあたしの良さに気がついてくれ、今まで気がつかなかったあたしへの愛が沸々と燃え上がる…なあんて、うまくは行かないか。

でも、少しでも入江くんの役に立つといいのだけど…。

「うわ、すごいな。」
あら?あら?想像通りの反応じゃありません?
「お前、幼稚園も漢字で書けないのかよ?」
あら、そこか!
「ド忘れよ、ド忘れ!」
慌てて誤魔化すあたし。

「俺、物置になるわけか…。」
ん?物置?何のこと?
あたしは入江くんの手元を覗き込む。
「あ!」
そこには矢印が引かれ、『十人乗っても大丈夫な物置』と書かれていた。うわ、あたしってば、CMのフレーズ、そのまんま書いちゃったんだ!
「あの、これは…。」
「何だ?この崖の上の掘っ立て小屋は。」
掘っ立て小屋?そんなのあたし、書いたっけ?あ、これのこと?
「違う!これは幼稚園なの!」
あたしは説明を始める。
「入江くんはね、スーパー幼稚園の先生なの。それで、都会の喧騒を離れた自然溢れる場所に、自分の理想の幼稚園を作って…。」
「この崖が、都会の喧騒を離れた場所ってか?」
「そう!やっぱり海も見えた方がいいかなって。山と海に囲まれた素敵な幼稚園!」
「勿論、そこにはあたしもいるのよ」とは言えない、奥ゆかしいあたし…。

「自然溢れるっていうか…この世の果てって感じな場所だろ、これ。」
「こ、この世の果て!?」
何ちゅう、縁起の悪いことを!あたしの力作に失礼じゃないの!

「悪いけど俺が親だったら、絶対こんな崩れ落ちそうな崖の上の幼稚園になんて子供を預けない。」
そう言って、入江くんは『入江くんの将来設計』を放り投げた。
「あん!」
慌てて取りに行くあたし。

「少しは、将来の役に立ちそう?」
「全然。」
素っ気なく答える入江くん。
「三時間かけて書いたのに…。」
「そんなくだらないもんに、そんだけ時間かけるなよ。ばあか。」
「ひどい。入江くんの為を思って…。」
「お前になど心配されなくても結構。今後も絶対、お前が俺の将来に役に立つことはあり得ない。」
「そんな…!」
入江くんはそう言い残し、リビングから出て行っちゃった…。

そりゃそうだけど。
入江くんの人生をあたしが考えるなんて、無謀だって思ってる。
だけど…
少しでも役に立ちたかったんだもん。

あたしが入江くんの将来に何かアドバイスなんて、無理だったんだろうなあ…。
あーあ…。

入江くんの将来に、あたしはほんの欠片でもいいから、存在したいなあ…。







☆あとがき
総決算…私もそろそろ一年です。うーん…棚卸とか?

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コメント

入江君へのアドバイス?

優秀で、どんな職業でもそつなくこなしそうな入江君に琴子からの適職アドバイスですね。
琴子の考えた入江君に最適な職業はなんと、幼稚園の先生!そして、自分も一緒に...。琴子得意の妄想、楽しく読ませて頂きました。
その素晴らしい入江君の将来設計図を本人に見せ、さぞかし感謝されると思った所...。あえなく沈没。
そんなに甘くなかったですね。
琴子のため息が聞こえるようです。


久々に

パソコンの前で、声を出して大笑いしました。
ったく、水玉さんたらギャグマシーンなんだから。
エプロン姿の直樹先生、確かに見えました。
でも・・・琴子の予想もまったくはずれではなかったですよね。子供相手の先生と呼ばれる職業ですもの。

さすが琴子!!

さすが妄想壁のある琴子。
妄想が妄想を生んでどんどんお話が進んでいっていますね。
お話を読んで大笑いしてしまいました。
入江くんのエプロン姿を想像して『似合うかも』って思ったのは私だけではないはず。

暴走中?

ココまで妄想爆走中の琴子が、ある意味羨ましいかも?

久々のツンツン冷気満載の直樹君この後どうツンデレに変わって行くのが楽しみです。

妄想は楽し

コメントありがとうございます

るんるんさん
入江くんのそばには、いつも自分がいたい、可愛い琴子ちゃん♪
でもいずれそうなるんですよね。この頃の二人はまだそれを知らないけれど^^

さくやさん
笑っていただけたことが、何よりも嬉しいです!!
ギャグマシーン、なんて名誉なお言葉!!
確かに、将来はそうなるんですよね。しかも琴子の一言が将来を決めるきっかけになるし!あの入江くんが子供相手の仕事に就くとは思えませんでしたが(笑)

りきまるさん
いえいえ。私も似合うと思ってます(笑)
だって、学祭でエプロン姿、似合ってましたもん!
ただ、ピアノを弾きながら「咲いた、咲いた♪」と歌っている姿は想像できない(笑)

kobutaさん
でもどうしても、ツンツンにならないんですよ~^^;
たまには、そういう入江くんも書いてみたいと思う時があるんですが。
そこが難しいですね^^;

No title

水玉さん!!もう面白い!!
面白すぎてパソコンに正視して読めないよ~
琴子ちゃんの妄想は必ず何かある???
と、勝手に思い込みながら読んだもので
ハラハラドキドキしちゃった。
はーー緊張したぁ~

直樹君!!そうやって君は琴子マジックにかかって
行くのね!!ウフフ

将来の二人を知っているだけに
入江君の読みの浅さと、
妄想プリンセスの琴子ちゃんに
がんばれ琴子ちゃん!!ってこっそり教えたくなっちゃいます♪

No title

ゆみのすけさん
将来の二人を知っていると、高校時代は本当にまた別の面白さがありますよね!!
そして、毎回琴子ちゃんの妄想を考えるのは本当に楽しいです♪
そういえば、琴子ちゃん、絵はあまりお得意じゃなかったような(笑)一体、どんな直樹先生を描いたんだろう…?

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