日々草子 別冊ペンペン草 9
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プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事


「可愛い!」
そう言って琴子は奇妙な代物を抱きしめ、頬ずりしていた。
「その気持ち悪い物は何だ?」
コーヒーを飲みに来た直樹は、琴子に訊ねた。
「何って!これ、コトッペ抱き枕でしょうが!」
琴子は怒って直樹に抱き枕を見せた。それは直樹の作品『それいけ!ナオキン!』に出てくる、主人公ナオキンの相棒、カエルのコトッペだった。
「これ、来月号の全員プレゼントなの!こんなによくできていて、お値段何と1980円!」
どこかの通販会社の社長みたいなことを言う琴子。

「…で、お前の目にくっついているムカデは?」
「ムカデじゃないの!これは、『愛はオホーツク海の彼方に』のヒロイン、カトレアになれるという、つけまつげ!」
直樹が眉をひそめるのも無理はない。どこから見ても琴子の目につけられたつけまつげはムカデそのもの。しかもまばたきする度に、バサバサと音がしそうなオーバーさ。
「これはね、来月号の全員プレゼントなの。お値段、1500円!勝ったね、入江くん!」
何が勝ったんだか、直樹はよく分からない。
そのムカデまつげをつけ、カエルに頬ずりする怪しい琴子に、直樹が溜息をついていると、玄関のインターフォンが鳴った。
「はーい…。」
「おい!ムカデは外せ!」
そんな目で出たら、新聞の勧誘も腰を抜かすだろう。琴子は慌ててつけまつげを外して、玄関へと急ぐ。

「いらっしゃい!待ってたのよ!」
ご機嫌な琴子の声が聞こえ、やがて戻って来た。
「どうも…こんにちは。」
琴子は一人じゃなかった。琴子の後に入って来た人物、それは、
「ヒガンバナ船津?」
直樹が首を傾げながら訊ねる。
「違うわよ、入江くん。ドクダミ船津くんでしょ?」
「…ローズマリー船津です。」
先日、琴子が持ち込み原稿をチェックした、ローズマリー船津だった。

「あのね、入江くんのアシスタントをしてもらおうかって思って呼んだの。」
琴子の説明に、直樹はまた眉をひそめた。
「アシスタントなんていらないけれど。」
「んもう!入江くん、今月は手をちょっと怪我しちゃったでしょ?」
琴子は直樹の右手を手に取った。手のひらはまだちょっと赤みが残っている。料理をしていた琴子を庇って、熱したフライパンに触ってしまい、火傷をした痕だ。

「だからお手伝いをしてもらおうって思って!」
「…よろしくお願いします。」
気の利いたことをしたと思っている琴子に、どこか不安そうな船津…。直樹は溜息をついた。

琴子が船津を直樹のアシスタントにしようと思った理由には、もう一つあった。
それは…自分の手で新人漫画家を育ててみたいという、大それたことを考えていたのだった。
「私は入江直樹という看板作家の担当なんだもの!新人の一人や二人、育てられるわ!」
そして繰り広げられる妄想の世界へと突入する。船津がデビューし、賞を受賞し、担当として二人で壇上に立つ。「この入江琴子さんのおかげで、今の僕は…!」とむせび泣く船津。もらい泣きをする琴子。会場の隅でそんな琴子に優しい視線を送る直樹…想像しただけで涙が出てくる。

「あの…入江さん…あ、奥さんの方です…。」
船津にアシスタントを依頼した時、琴子は直樹を結婚していることを教えている。
「アシスタントの席は…?」
「あ、ないの!そこのダイニングテーブルを使ってね!」
琴子はダイニングテーブルを指さした。1LDKの部屋にアシスタント専用の机が入る余地はない。というより、入江直樹にアシスタントがついたことは今まで一度もない。
「漫画家って、意外と儲からないのかな?」
1LDKに二人で暮らしていると知った船津は、ばれないようこっそりと溜息をついた。

「入江くん!船津くんに手伝ってもらうものは?」
仕事部屋兼寝室に入った直樹に、琴子は両手を差し出した。
「ない。」
「ないって…それじゃ来てもらった意味がないじゃない。」
直樹の素っ気ない返事に口を尖らせ、抗議する琴子。
「大体一人で十分なのに、お前が勝手に連れてきたからだろうが!」
「私は入江くんの体を心配したから!」
ギャーギャーやり合った末、琴子は背景を描く仕事を直樹からもぎ取った。

直樹たちが仕事をしている間、居場所のない琴子はリビングで『それいけ!ナオキン!』を柿ピーを食べながら読んでいた。
「あ…!」
船津が突然声を上げた。
「どうしたの?」
「あの…エジプトの背景って何か資料、ありますか?」
琴子は寝室の直樹へ訊ねる。
「ない。」
本日二度目の「ない」に琴子は、
「ないって…それじゃ今までどうしていたの?」
と直樹に訊ねた。
「俺の頭の中に入ってるから、そんなもん、必要になったことがない。」
言われてみると、確かにこの家には資料がほとんどない。

直樹に言われたままのことを、琴子は船津に伝えた。
「それじゃ困ります!」
確かに船津の言うとおりだった。普通なら困る。
「じゃあ、私が本屋で買ってくるね!」
琴子は財布を手に、家を飛び出した。

「はい!」
戻った琴子は船津に本を手渡す。
「すみません…。」
恐縮しながら受け取る船津。本屋の袋から本を取り出した船津は驚いた。
「あの…。」
柿ピーの瓶に手を突っ込もうとしていた琴子は、再び船津の元へと戻る。
「これ…エジプトじゃないです。」
船津が手にしていた本の表紙には『ジャマイカ』と大きく書かれていた…。

結局、船津自身が本を買ってくるという二度手間になってしまった。


暫くして柿ピーに食べ飽きた琴子は、
「そうだ!食事を作ってあげよう!」
と思い立った。この家の主婦として、働く男性陣に温かい食事を提供しようと、琴子はキッチンに立つ。

一生懸命、机に向かっていた直樹は火災報知機の音で顔を上げた。
「先生!大変です!」
ドアを叩いていたのは船津らしい。直樹がドアを開けると、たちまち黒い煙が寝室に入りこんできた。
「火事か?」
さすがに慌てる直樹に、
「違います!奥さんが…奥さんを止めて下さい!」
と船津が叫ぶ。
キッチンで直樹が見た光景…それは、親子丼を作ろうとして鍋から黒い煙を発し、火災報知機の音でパニックになっている妻の姿だった…。

結局、マンションの各所に直樹と琴子は火災報知機で驚かせたお詫びをするはめになった。
「忙しいのに、余計な手間を増やしやがって!」
自宅に戻った直樹は、琴子の頭に拳を落とした。
「だって…二人ともお腹が空いただろうと思って。」
言われてみると、確かに空腹を感じる。だが琴子をキッチンに立たせるわけにはいかない。直樹は船津の顔を見た。
「すみません。僕、乳母日傘で育ってますので、料理はできません…。」
それが船津の返事だった。


「先生、すごいですね!」
「本当!プロが作った味がする!」
結局、直樹が親子丼を作るはめになった。琴子と船津はキャーキャー騒ぎながら親子丼を頬張る。
「ったく…忙しいのに、なぜ俺が…。」
直樹は二人に恨めしそうな視線を送った。


「はい!お疲れ様でした!」
そんなこんなで、原稿が完成。琴子は編集者らしく原稿を確認し、OKサインを出した。
「先生、お疲れ様でした。」
ぐったりと疲れた様子の直樹を、船津は労った。色々あったがいい経験になったと、船津は思っている。
そんな船津に、直樹は手を差し出した。
「手伝ってもらったお礼に、原稿見てやるよ。」
「え?」
突然の直樹の言葉に、船津だけでなく琴子も驚いた声を出す。
「持ってきているんだろ?いい作品ならそのまま琴子に預けていけばいい。そうすればこいつがPMS(ペンペン草マンガスクール)の選考に出しておいてくれるから。」
「うん!船津くん!見てもらいなよ!」
琴子も勧める。船津は大喜びで自分の原稿を直樹に差し出した。

前回見てもらった時と違って、直樹は丁寧に船津の原稿を見ている。その様子を見て、琴子は船津に「よかったね」と小声で話しかけた。

直樹と船津の間に、師匠と弟子の、いい雰囲気が流れ始めた…。

だが、その雰囲気は次の琴子の一言で脆く壊れた。

「だけど船津くん、肩ガチガチだったね。」
「ああ。仕方ないです。マンガを描く職業病ですから。」
原稿を見ていた直樹の眉が、ピクンと動いた。

「でも、もっとひどかったのは…腰!!パンパンだったよ!」

腰…?直樹の眉は更に上がる。

「ハハハ…恥ずかしいです。だけど、奥さん…琴子さん、マッサージ上手ですね。」
「うん。これだけは上手だって入江くんにも褒められてるからね。」

マッサージ…?腰を…?
直樹の眉はもっと上がった。

「またいつでも揉んであげるよ!腰でも肩でも!」
「ありがとうございます!」

二人のその会話で、温かい師弟関係の雰囲気は僅か15分で崩れ去った…。


「終わった。」
直樹は雑に原稿を置いた。
「…ど、どうでした?」
緊張した表情の船津に、直樹は冷たく言い放った。

「選外。」

「へ?」
直樹の言葉の意味がよく分からず、船津は聞き返す。
「選外って言ったんだよ。こんなんじゃ、資源回収に出しても、トイレットペーパーにもならない。持って帰って描き直すんだな。」
「せ、選外…。」
肩を落とす船津を見て、琴子が、
「選外って…。さっき、私見せてもらったけれど、この間よりいいと思ったよ?ミイラの作り方も1ページ半で収まってるし…。」
「ミイラの作り方なんて知っても、誰も活用できないだろう。」
そして直樹は船津の荷物を出した。
「じゃ、今日は助かったよ。お疲れ様。」
「ちょっと!もう終電もないから泊ってもらおうと思ったのに!」
止める琴子に直樹は、
「あ、少ないけれどこれ、今日のアシスタント代。タクシー代にでもしてくれ。」
と封筒を渡し、強引に船津を玄関から押し出した。

「何なんだ!入江直樹!」
直樹のマンションを出て、船津は叫んだ。そして手渡された封筒を開ける。
「おい…!」
封筒の中から出てきたのは…500円玉一枚だった。

「こんなんじゃ…タクシーにも乗れない!入江直樹!タクシーの初乗り運賃くらい知っておけ!ドケチ漫画家!」
真夜中に、船津の叫び声が空しく響いた…。


風呂から上がって寝室に入ると、既にベッドの中では琴子がぐっすりと眠っていた。
「…今日は色々大変だったしな。」
琴子の寝顔を見て、直樹は微笑む。そして先程拳を落とした琴子の頭を優しく撫でた。
「ん?」
見ると琴子はコトッペの抱き枕を大事そうに抱き抱えて眠っている。
「こいつは邪魔。」
起こさないよう、琴子の手からコトッペを引きはがし、直樹は床へと投げつけた。哀れな音を立てて、コトッペは床へと落ちる。

「お前が抱くのは俺だけで十分。」
そう言って、直樹は琴子の腕を自分の背中に回す。

「おやすみ。」
琴子の額に優しくキスをすると、直樹は琴子の背中にも自分の腕を回して、目を閉じた。








♪あとがき
続けていいと優しいお言葉を頂戴したので、調子に乗って…。
でも、甘甘がなかった…(涙)
マドレーヌは出てこなかったけれど、最後はやっぱり眠りにつく入江くんでしめます(笑)
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コメント

船津君、やって来ましたね。でも、却って仕事が増えちゃったですね。
折角漫画をみてもらえるチャンスだったのに、琴子に優しくされた為に入江君のジェラシーの前にあえなく沈没。終電を逃し、追い出され、500円のアシスタント代... 
最後は琴子Loveの入江君で、ご馳走様です。
私も、コトッペ抱き枕欲しい!

最後の終わり方がとっても好き!!!!
凄くいいわ~!!
そして今回の被害者船津君、
被害の遭い方がもう!!最高!!
そんな運命なのね。。。。

ありがとうございます^^

コメントありがとうございます^^

るんるんさん
ルンルンさんのコメント『終電を逃し、追い出され、500円のアシスタント代…』こうして並べられると、ものすごい非情だ、入江先生(爆笑)
すごい可哀想すぎる!!!←自分で書いたくせに
コトッペ抱き枕、一度自分で描いてみたい…(グロテスクな絵なら描いても許されるはず(笑))

ゆみのすけさん
とことん、悲劇のアシスタントにさせてみました!船津くん!
最後はめずらしく、穏やかな入江先生で(笑)
…長くは続かないけれどね。(笑)

コトッペ抱き枕、リクエストします!

こんばんは。
水玉さん、コトッペ抱き枕、是非、是非、描いて下さい。宜しくお願いいたします!

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