日々草子 別冊ペンペン草 8
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プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事


「もしもし、僕、僕!」
「…ボクボク詐欺ですか?」
直樹は受話器の向こうの相手に冷たく訊ねる。
「違うよ!君の親友のに・し・が・き!」
わざとらしく、点をつけて自分の名前を言うところがいやらしい。
「…いつ親友になりましたっけ?」
「今。だって、君、親友とかいないタイプでしょ?」
受話器を叩き切りたくなる。一体何度目だろうか・
「どう?進んでる?原稿。」
「おかげさまで。」
もうほぼ終わりかけている。いつもながらの完璧さ。
「そちらも追い込みでしょう?」
「え?そんなことないよ!みんな、頑張ってる?」
「がんばってまあす!」という黄色い声が受話器を通して、直樹の耳にキンキン響く。
「それはそれは。」
受話器を置こうとした直樹に、
「ああ!待って、待って!」
と西垣が叫んだ。
「何ですか?」
溜息をつきながら、直樹は受話器を再び耳に当てる。
「…つまらないの。」
「はあ?」
「“入江先生は新妻に溺れたため、今月号は休載させていただきます”と、いつ出るかって待ってるのに。」
「…そんな馬鹿な真似、するわけないでしょう。」
今度こそ電話を切ろうと思った時、
「あ、さっきね、打ち合わせで散米社に行ってきたんだよね。」
と話題を変えられた。
「君の奥さんがいたら、お茶でもどうかなと思ってたんだけど…彼女、いなかったんだよね。」
人の妻に何する気なんだと直樹は腹が立つ。
「それが…若い男とどこかへ行ってるって!」
あまりにふざけたことを言う西垣に、とうとう堪忍袋の緒を切らした直樹は電話を叩き切った。
「若い男…?」
一体誰なんだ?と直樹は気になり、原稿の手が止まってしまった…。

「うーん…。」
琴子は頭を抱えていた。
「困ったなあ…。何て言ったらいいのか…。」
チラリと前に座る男性を見る。
琴子は、入社以来初めて、持ち込まれた原稿を見ていたのだった。
「何を言えばいいんだろう…。絵柄とか?神経質そうなキャラクターばかりだしなあ…。あ、ペンネームがイマイチですね、とか?いや、ペンネームは個人の好みだし…。」
色々悩んだ末、琴子は前に座る男性に声をかけた。
「あの…ドクダミ船津さん。」
名前を呼ばれ、別冊ペンペン草の最新号を渡されて読んでいた男性は緊張した表情で顔を上げた。
「…ローズマリー船津です!」
慌てて原稿を確認する琴子。
「あ、すみません。ローズマリー船津さん。」
「いえ。」
気まずい雰囲気が二人を包んだ。

「えと…その…。」
琴子は困り果てた。そもそも、このローズマリー船津の相手は押し付けられも同然だった。他のベテラン編集部員が忙しくて手が開かず、琴子に回ってきたのである。
「私も…いよいよ新人を育てる時が来たのね!」
張り切った琴子だったが、原稿を見て、編集の難しさに直面したのだった

「あの…化石の説明に三ページも…いります?」
ローズマリー船津が持ち込んだ原稿は、何だか聞いたこともない、訳も分からない化石の説明に三ページ費やされていた。それも、文章がギッシリと詰め込まれ、読みにくいこと、この上ない。
「少女マンガですので…。」
「だからです!!」
ローズマリー船津は、手にしていた別冊ペンペン草をテーブルに音を立てて置いた。
「僕が目指す少女マンガは、今までの“惚れた、はれた”とは一線を画したいんです!」
「惚れた、はれたって…。」
困る琴子を全く気にせず、ローズマリー船津は話し続ける。
「このマンガの主人公は考古学者をめざすわけですから、化石の知識も読者に知ってもらいたい…いわば、学習マンガを目指しているんです!」
「学習マンガって…。」
それならそういう雑誌へ持ち込めばいいのにと、琴子は思った。

「あの…どちらかというと、読者は学習よりも…楽しさ、面白さを望んでいるので…。」
そう言いながら、琴子はローズマリー船津の手元にある別ぺに視線を落とす。
「そう!そこに掲載されている“それいけ!ナオキン!”みたいな面白さを!」
その途端、ローズマリー船津の眉が不機嫌に寄せられた。
「ナオキン…?」
「そうです!別ぺ一の人気を誇る、入江直樹“大”先生の作品!そういう面白さが必要なんです!」
愛する直樹の作品だけに、熱意を込めて話す琴子。

「…こんなくだらない漫画を、僕に見習えと?」
地の底から響く声に、琴子はだじろいだ。
「くだらない…?」
だが愛する直樹の作品をけなされた怒りの方が勝っていた。
「ちょっと…そういう言い方はないでしょう!あなたに入江くんの何が分かるっていうのよ!」
「…初投稿にて散米社の金のペンペン草賞を受賞、即デビュー。足塚治マンガ大賞及び文化庁マンガ部門大賞をデビュー後1年も経たずに受賞。未だその記録は破られていない…そして素顔は限られた人間しか知らないという覆面作家…。」
ローズマリー船津の口から出てくる、入江直樹の輝かしい経歴に琴子は、
「すごい…そんなにすごい人だったんだ、入江くんって…。」
と息を呑んだ。

「あなた…もしかして入江直樹の担当なんですか?」
馬鹿にしたような船津の言葉に、琴子は何も言えない。担当どころか夫婦なのに、全く経歴を知らなかったのだから。
「でも…そんなに詳しいってことは…船津さん、入江く…先生のファンなんだ!」
気を取り直した琴子の言葉に、船津は叫んだ。
「ファン!?この僕が!?あの男の!?冗談じゃない!!」
そして船津はテーブルを大きな音を立てて叩いた。

「…あいつは…あいつは…突然出てきて、初投稿のくせに賞を掻っ攫って…僕なんて…僕なんて10年投稿しても、未だBクラス止まりなのに…!」
「10年も投稿…それは御苦労さまです…。」
琴子の余計な一言で、船津の怒りが頂点に達した。
「どうせ…どうせ50代の親父が会社をリストラになって、気まぐれに始めたマンガ生活なんだろ!?爪楊枝を口にくわえて、ステテコ姿で、散らかったゴミ溜めの部屋で描いているくせに…そんなマンガが、そんなマンガのどこが僕のマンガに劣るって言うんだ!!」
船津の剣幕に、琴子は驚きと恐怖のあまりに何も言えなくなっていた。
「あ、あの…。」
ブルブルと震える船津に、琴子は恐る恐る声をかける。そこへ琴子の手にしていた船津の原稿が何者かに取り上げられた。

「どうして入江くんがここに!?」
琴子の手から原稿を奪ったのは…噂の入江直樹本人だった。
勿論、驚いたのは琴子だけではない。
「い、入江ってことは…この男が…?」
そこに立っていたのは、50過ぎでもない、ステテコ姿でもない、爪楊枝もくわえていない、20代の美青年。船津は驚きのあまり言葉を失った。
「線は乱れ過ぎ。台詞は多すぎ。絵は神経質。話は山場も何もない、つまらない。…よく見てCクラスってとこだな。」
船津の原稿をパラパラとめくりながら、直樹は冷たく講評する。
「C!?」
激昂する船津など眼中にないかのように直樹は原稿を船津に押し付け、琴子の手を引いた。
「行くぞ。」
「へ?行くって?」
「家に決まってるだろ。原稿が出来上がっても取りに来ないから、迎えに来た。」
「迎えって…!」
訳が分からないまま、琴子は直樹に引きずられるようにして散米社を後にする。

「あれが入江直樹。意外に若いんだな…。」
後に残されたローズマリー船津は、ポカンとしたまま、原稿を手にして立ちすくんでいた…。

「まだ怒ってるのか。」
その夜、風呂から上がった直樹は、先にベッドに入っていた琴子を見て溜息をついた。
「だって…あのドクダミ船津、入江くんのことを50過ぎのモモヒキ愛用でバーコードな男だって言ったんだもん!」
…ローズマリー船津はそこまでは言っていない。
「ねえ、入江くん!もうみんなに姿を見せようよ!私、誤解されたままじゃ悔しくて…!」
半分泣きながら言う琴子の口を、直樹が自分の口で塞いだ。そして、人差し指を琴子の唇に当てて優しく言う。
「俺はお前だけに本当の姿を知ってもらえれば、それだけでいい…。」
「入江くん…。」
そして直樹は再び、唇を重ねた…。

「もしもし…編集長ですか?」
翌朝、隣でぐっすり眠る琴子を起こさぬよう、直樹はそっとベッドを抜け出し、寝室のドア近くで電話を手にした。
「ええ…原稿は出来上がりました…。“徹夜”しましたしね。」
そっと琴子の方を見る。どうやら目を覚ましたらしく、ベッドの中でモゾモゾと動いているようだった。その様子を見て直樹は笑みを浮かべた。“徹夜”は事実だ。
「あ、まだ“最後の仕上げ”が残ってました。すみませんが、琴子に手伝ってもらうんで、あいつ、ちょっと出社遅れます…。」
そう言って電話を切り、ベッドへと戻る。

「あ…入江くん…?おはよう…。」
まだ眠そうな琴子を見て、直樹は微笑む。
「おはよう…。」
そう言いながら、琴子の首筋へと唇をつける。
「え?ちょっと…入江くん?私、出勤の準備をしないと…。」
慌てふためく琴子に、直樹は言う。
「大丈夫。編集長にはお前が遅れるって言っておいたから。」
「遅れるって、どんな理由で!?」
「…“最後の仕上げ”が残っているって。」
「ええ!?」
そう言いながらも、琴子はこの場から逃れられないことを悟り始めていた…。

「いや、お疲れ様!徹夜した上に朝までかかって最後の仕上げ…大変だったね、入江くん!」
タクシーで出社してきた琴子に、編集長は御機嫌で声をかける。
「はい…。」
とんだ“徹夜”で、とんだ“最後の仕上げ”。琴子は俯いたまま、真っ赤になっている。
「君も“疲れているだろう!”でも、これも人気漫画家と結婚した宿命だと思って!これからも頼むよ!」
「はい…。」
もう何と答えていいのやら分からず、琴子は自分の席に戻った。
「相原…じゃなかった、入江さん。」
隣の席の松本裕子が声をかけた。琴子が顔を上げた瞬間、琴子の首筋に巻かれていたストールを裕子が外す。
「!?」
「…全くもう。若い妻をもらったからって、程ほどにしないとね、親父先生も。血圧上がっても知らないわよ?うちの西垣先生に原稿の穴埋めとかさせないでよね!」
…琴子の首には今朝直樹がつけた印が、はっきりと残されていた…。

琴子は真っ赤になって裕子の手からストールを取り返し、グルグルと首に巻きながら思った。
「もう…入江くんの馬鹿。朝は絶対やめてって、今日帰ったらきつく言っておこう…!」

その頃の直樹はベッドの中で、いつものように朝寝をむさぼっていた。
「“入江直樹先生は、新妻に溺れ過ぎたため、今月号は休載します”…か。悪くないかも。」
そう呟き、クスッと笑う。
「だけど…琴子はあれでも会社員だから、一か月も休めないしな…。宮仕えは辛いもんだな。」
そう言って、目を閉じた。






☆あとがき
西垣マドレーヌで始まり、入江先生の朝寝で終わる…このパターンがちょっと気に入っております♪
しばらく、これで続くかもしれません…。
ワンパターンでごめんなさい。

別ペの連続でごめんなさいm(__)m
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コメント

お久しぶりです。
どんな形であれ、あたしは、琴子におぼれる入江君が大好きです♪
うーーん。ローズマリーにドクダミ。深すぎる!!
どちらもほっぽっといて咲くというのに、あたしは、ローズマリーを速攻枯らす悪魔の手を持っていた(泣)
きっとドクダミ茶を飲んでいたからだろうと思うことにする。
最近ご無沙汰だったのでちょっとだけでもと、コメです。いつも楽しませてもらってますのお伝えです。朝寝大好きです。あたし自身が・・・というより二度寝??三度寝??

ボクボク詐欺

ウケました!「ボクボク詐欺」!!
ドクダミ船津!!
あいかわらずぺんぺんは笑わせてくださいますねぇ。
笑える~。
最近お菓子を食べなくなった琴子ちゃんは、入江くんに食べられてばかりですよね。
甘い雰囲気全開モードですね。

こんばんわんこそばは美味しいよ!(笑)

 お早うございます。秋分の日ということで五時に起こされ、寝不足な暢気猫です。

 前回の返信ですが。
 読んでみたい……ですか(滝汗)私なんかでよければ、何時かそのうち。いえ、別に文体の見栄えは悪くはない……とは思います。
 ……本名が(ため息)ちなみに、暢気猫は偽名です^^ まったりしていて好きなんです。


 松本さんよ! 今だに五十代のおっさんだと……(笑
 あ、でも。松本さんが入江さんの正体を知るのは、私も少し嫌かな。。。いえ、決して悪いわけではないのですが。
 個人的に、ラブイチャ(?)な二人を何処までも書き続けてほしいので。

 そういう意味では、比翼の鳥とか君がためとか、もう最高でしたね!!
 もう、むぎゃーっ! って。あまりの美味しさに我を忘れました。4~5話のあたりが特別美味しいです。もう涎がじゅるじゅるって(危
 西垣に張り合おうと、鴨狩に京を走り回らせる直樹さんを想像して、笑ってしまいました。

 では、長くなりそうなので。ここまでで。お邪魔しました^^ ご馳走様でした。

ドクダミ(ローズマリー)船津登場!

こんにちは。
ドクダミ(ローズマリー)船津登場しましたね。やっぱりこちらでも、ユニークなキャラですね。入江君のことを散々けなしといて、いざ本人が現われた時は...
想像すると面白くて、笑いがこみ上げてきます。

「お前だけに本当の姿を知ってもらえれば、それだけでいい」入江君のこの台詞、今日のMVPだわ!
琴子にベタ惚れの入江君、最高!

別ぺ個人的にめちゃツボです!!♪
なんたってイリコトが新婚で、ラブラブだし(^^)
いつも楽しませてもらってます!
西垣の言葉で直樹喫茶店まですぐきちゃいましたね(笑)!
直樹・・西垣に遊ばれてるよw。
イリコトのラブラブ大好き~
松本姉には直樹の正体を知られたくないな・・・
親父だと思っとけ!!(^皿^)って感じです(笑)あはは

ご無沙汰です

某所で四次創作を拝んでまいりました。
珍しく船津・・・・それもローズマリー(うける!)
E様との絶妙のコラボ最高です。
ところで今回は大蛇森の出番はあるのでしょうか?
カプチーノ大蛇森とか、ぺスカトーレ大蛇森とか。
(なぜか私の中では彼はイタリアン)
鉄人シェフ水玉さんの・・・いや天才パティシェの
あま~いお話楽しんでます!

ありがとうございます

コメントありがとうございます

ヒロイブさん
お久しぶりです♪
ドクダミ茶は、最初抵抗がありますが、慣れると美味しいですよね。肌にもいい効果があるとか聞いたので…一時期飲んでいました。また飲んでみようかな?
ローズマリーはなんか船津くんのイメージに合わない名前を考えたら浮かんだんです。一部ドクダミ先生と呼ばれているのが受けました(笑)

KEIKOさん
今は振り込め詐欺なんですよね!ま、それは置いておいて(笑)
確かにドクダミ船津の方が、ピンと来るかも^^
そういえば、最近お菓子を食べさせてないなと、KEIKOさんに言われて気がつきました!入江くんに食べられる…なんか可愛い表現ですね♪

暢気猫さん
私も迷っています…松本姉にばらすかどうするか^^;
もう少し、琴子を親父と結婚したとからかい続けてほしい…(笑)
『君がため』ありがとうございます♪時代を変えても、vsガッキーの構図は外せないんですよ~。

るんるんさん
あの綺麗な顔でそんなことを言われたら…琴子ちゃんじゃなくてもイチコロ(死語)でしょうね^^
最近は、どうやって琴子ちゃんをベッドへ連れ込むか…それを考えるのがちょっと楽しいです。…倫理コードに引っかからない程度に(笑)

maroさん
お、ここにも松本姉にばれるの、反対派が!(笑)
もともと、ものすごーい甘ーいイリコトが書きたくて、再開した話なので、とことん甘くする予定です(笑)…ネタが続く限りは(笑)
しかも、舞台が二人の家という限られた場所なので、実は書きやすいんです(笑)

さくやさん
私も某所様で見ました!!!
イメージ通りでやっぱりE様はすごい!!
大蛇森…ちょっと考えてはいますが、なかなかストーリーに結びつかず(笑)人物設定はできているのに!
そっか…名前も考えないといけないんですね(笑)
召し上がって下さる(読んで下さる)皆様に楽しんでいただけることが、(ごくごく普通の)パティシエの喜びでございます、お客様(笑)

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