日々草子 円舞曲 14
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

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二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

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円舞曲 14

「琴子、帰らなくていいの?」
「…大丈夫。お店閉める時間まで働いていいってお義母様に許可取ったから。」
「…入江様には?」
幹の問いに琴子は黙って首を振った。
「最近、話もろくにしてないから…。直樹さん、課題が沢山あって部屋に籠ってるし。」
客に呼ばれたので琴子は急いで席へと行った。
「やっぱり飲ませたのはまずかったかしらね?」
心配そうに啓太へ顔を向ける幹。酔いつぶれた琴子を入江家へ送り届けたあの夜から二週間が過ぎていた。
「あいつが勝手に飲んだんだし。」
「だけど…。」
幹は明るく振る舞う琴子を見やって溜息をついた。

店じまいの時間が来た。
琴子は暖簾を外そうとするが、背が届かない。そこへひょいと誰かの手が出された。
「お前には無理だよ。」
啓太が軽々と暖簾を外し、店の中へ入れる。幹は一足早く帰っていた。
「ありがとう。」
琴子の笑顔に啓太は照れてしまい、
「ちびっこは早く家に帰れ。」
と言ってしまった。

片づけも一通り終え、厨房へ入った琴子がある物を発見した。
「どうしたの?これ。」
そこにはザル一杯のサツマイモが置かれていた。
「ああ。何かおすそわけでもらって。何か料理に使えないかなって考えているんだけど。」
説明する啓太の横で琴子は一本手に取った。
「すごい。これなかなかいいお芋だよ。」
「お前に芋の善し悪しが分かるのかよ。」
「分かるって。だって私、お芋の料理得意だもん。」
胸を張る琴子。
「ほお。どんな料理か教えてくれよ。」
啓太は琴子の言葉を素直に受ける。
「…蒸し芋だけど。」
先程までの威勢の良さを消した琴子が、ぽつりと呟いた。
「それは…料理じゃないよな?」
「だけど、私の蒸し芋は美味しいって評判だもん!今から作ってあげるよ!」
そう言って琴子は芋を数本手に取った。

「どう?」
琴子が心配そうに啓太を見ている。
「うまい。」
確かに、自信を持っているだけの味はする。
「よかった!」
啓太の返事を聞き安心した琴子は、自分も食べ始めた。

「家でも作ってるのか?」
何気ない啓太の質問に、琴子は表情を陰らせた。
「あ、悪い。作るわけないよな。華族の若奥様がこんなもん。」
啓太の言葉に琴子は首を振る。
「ううん…前は作ってたの。直樹さんのお夜食に。」
「あ、華族様食うんだ。」
思わず芋を食べる直樹の姿を啓太は想像し、笑いそうになった。どう見ても…似合わない。
「でも最近は全然作ってない。」
「嫌がられたとか?」
あの冷たい顔ならそれくらい言いそうだと啓太は思ってしまう。そして言われた琴子を想像し胸が痛くなってしまった。
が、琴子はまたもや首を横に振る。
「作ってって言われるけど…私が作らないの。」
「そりゃまた、なぜ?」
どう見ても直樹に夢中な琴子が、その直樹の頼みを断ることが啓太には信じられない。

「…似合わないから。」
先程自分が思ったことと同じことが琴子の口から出されて、啓太はびっくりしてしまった。
「直樹さん、美味しいって言ってくれたからつい私も調子に乗ってたんだけど…こういうのを食べていることってあんまりいいことじゃないみたい。直樹さんの住む世界では。」
誰かに何か言われたんだろうとすぐに啓太は想像がついた。何があったのか訊ねたい気持ちは山々だが、無理に話をさせて再び悲しい思いをさせるのも可哀想だと思い、啓太はそこは何も訊ねないことにした。
「可哀想に…。」
しかし、つい琴子への気持ちが口をついて出てしまった。
「え?」
聞き返す琴子に慌てて誤魔化す。
「いや…こんなうまいもんが食えないなんて、華族様が可哀想だって。」
琴子は啓太の本心に気づくことなく、黙って微笑んだ。

芋を食べる啓太の胸に、ふと懐かしい思い出が過った。
「これ食ってると…お袋を思い出す。」
「お母様?」
そういえば、啓太の家族について何も聞いたことがないなと琴子はこの時初めて気がついた。
「お袋が一度だけ作ってくれたから。」
「そうなんだ…。」
どんな人なんだろうと琴子は啓太の母親を想像する。
「俺さ。」
啓太が話し始めた。
「…俺、母親に名前を呼ばれたことないんだよね。」
「え!?」
名前を呼ばれずに育てられたというのはどういうことだろうと、琴子は不思議に思った。なのでつい訊いてしまった。
「お母様は…?」
今度は啓太が首を横に振った。
「死んじまった。だいぶ前に。」
「私と同じだね。」
どうやら自分と似た境遇らしい。
暫く二人は芋を食べることに夢中になった。

「一度くらい…名前を呼んでほしかったな。お袋に、啓太って。」
啓太は独り言とも取れるかのように呟いた。そして琴子を見た時、啓太は言葉を失った。
「ど、どうしたんだ?」
琴子は蒸し芋を食べながらポロポロと涙を流している。
「食べ過ぎて…腹でも壊したか?」
オロオロする啓太に琴子は言った。
「違うの…お腹は痛くない。」
「じゃあ、何で…。」
「啓太くん、可哀想。お母様に名前を呼んでもらえなくて、それでもう会えないなんて…。それを考えたら涙が止まらなくて…。」
しゃくり上げながら話す琴子の姿に啓太は驚いた表情のままだった。だが、やがて笑顔になり言った。
「お前って…馬鹿だよな。」
「どういうこと?」
相変わらず泣きながら琴子は訊く。
「他人のことでそんなに泣くなんて。馬鹿だよ。」
「だって…だって…。」
最早涙が止まらない琴子の頭を撫でて、啓太は言った。
「ありがとう。そんなに泣いてくれて。」
暫く二人は見つめ合った。が、気がついたように啓太が口を開いた。
「さ!さっさと残りも食えよ。残っても仕方ないし!」
「うん!」
そして二人はまたもや蒸し芋に夢中になった。

そんな二人の様子を物陰から…直樹が見ていた。最近の態度を少し反省し仲直りをしようかと思って琴子を迎えに来たのだったが、琴子と啓太の仲睦まじい姿に入ることができず、結局直樹は黙ってその場を後にした。



☆あとがき
『家政●は見た』のI原E子になってしまった気がする、直樹さん…。
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コメント

蒸し芋食べたいよ琴子?

水玉さん、こんばんは。
直樹と琴子はあれ以来夫婦関係はぎくしゃくしたままです。
幹はお酒飲ませたのはまずかったのではと。
啓太は自分から飲んだんだからと。
そんな時サツマイモが。琴子が蒸芋にして啓太に。
啓太、芋を食べて母親を思い出しています。
啓太の母親も琴子同様もう亡くなっていたのです。
琴子涙を流しています。
啓太の店に琴子を迎えに来ていた直樹が二人の話を
聞き、自分には最近作ってくれない蒸し芋で又嫉妬を。
直樹と琴子は危険な状況に。
どうなるのでしょうね。
琴子も早く帰って直樹との会話をしないと。

NoTitle

琴子の作った蒸かし芋を食べるのは、入江君の
特権だったはずなのに...

琴子と啓太、似た境遇にお互いに感じるものが...
でもそれを、入江君が見ていたなんて...
これからどうなっちゃうの?

今後の展開に、ますます目が離せなくなりました。

NoTitle

暫く留守にしていたら・・・・浦島太郎状態です(泣)
蒸かし芋を仲良く食べてるところを見てしまったら
そりゃ、心穏やかではいられませんよ直樹。
もう黒直樹だわ。

NoTitle

直樹さん見てしまったのね・・・・
そう!!苦しむのよ!!
けど琴子ちゃんを苦しめたらだめよ!!!
さぁ~これからの夫婦関係がとても気になるわ~
どうなるのどうなるの、かわいい琴子ちゃん~♪

NoTitle

コメントありがとうございます。

tiemさん
考えてみれば、芋で嫉妬って(笑)
芋ごときで~と思わず自分でおかしくなってしまいました^^;
本当に会話って大切ですよね♪

るんるんさん
そうなんです!琴子の芋は直樹の特権(これも笑えますが)なんです!よくぞ気づいて下さいました!ありがとうございます^^
盗み見の達人な直樹さんですが(^^ゞ

さくやさん
大丈夫、大丈夫^^いつでもさくやさんのことを私はお待ちしています(笑)
黒直樹!!何て素晴らしいフレーズ♪←ナオキスト様のブラックリスト入り(笑)
黒くしよう~♪

ゆみのすけさん
そう!苦しむがいい…って一体何様な私(笑)
でも苦しんでいる直樹は…やっぱり素敵♪
本当に私たちの可愛い琴子ちゃんを苦しめるなんて、許すまじ、直樹!

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