日々草子 無題

無題

誰もいない屋上で、柄にもなく大の字になってみる。
もうすぐ夕暮れの時間という空の色。
仕事で疲れた目を休めようと目をそっと閉じると…浮かぶのはあいつの顔。

大学を休学して、仕事に専念する環境を作り、そして…自分の本心とは全く逆のことをしている。そんな生活にも慣れたつもりだったけれど、こうやって一人になると必ずあいつを思い出している自分が情けなくなる…。

俺は…あいつと出会うまではずっと一人だった。
誰かに囲まれていても、誰かと一緒にいても心はいつも一人だった。
それでも全然平気だった。
だって人間は一人で生まれて一人で死んでいくのだから。
だから…所詮一人で生きていくんだと俺は思っていた。

だけど…あいつに出会ってから、俺の心の中の花はそっと開き始めた。
俺はあいつと出会うまで、そんな花の種が俺の心にあったことすら知らなかった…。
きっとあいつの中に咲いていた花が俺の枯れかけていた花を咲かせてくれたのだろう。

静かに囁く風を感じ、閉じていた目をそっと開ける。
空はすっかりオレンジ色に染まっていた。
戻らないといけないことは分かっているけれど…もう少しこのままでいたい。

夕焼けの見事さに目が痛くなる。
だから…涙が出ているのはきっとそれが理由。
そういえば…あいつの涙って何回見ただろう?
数えきれないくらい泣かせたし。
…こんなことになるなら、涙よりも笑顔を与えてやればよかったと後悔しても遅すぎるんだな。

そういえば…
あの日もこんな空だったっけ。
あれからまだ1年も経っていないというのに。
俺が…なぜかあいつに初めて持った夢を語ったあの日。
あの日と空は何一つ変わらないというのに…変わってしまったのは…俺自身。
いや、俺自身も変わってはいない。変わってはいないのに変わったふりをしているだけなんだ。

あの時、生まれて初めて夢を持った俺が、今の俺を笑っているようだな…。

あいつと一緒にいる時、何度か思ったな。
もし…もしこいつがいなくなったら…その時俺はどうするだろうと。
そしてそんなことを考えた後、俺はすぐに思った。…そんな日は決して来ないと。来るはずはないと。

だけど、その日は現実に来てしまったわけで。

もう後戻りはできない。周りはどんどん動いている。
俺一人、勝手な行動をしたら何百人の人間の運命を狂わせる所まで来てしまっているんだ…。

だから…。
こう願うしかない。
いつか…何十年、何百年経った時。
時代も今とは全く違う時代になった時。
生まれ変わっても俺はあいつと出逢いたい。
いや…。
絶対に出逢えるだろう。
だって俺はあいつがどんな姿になろうと、どこにいようと絶対に見つける自信があるから。
…その時は絶対に二度と手離さない。
…その時は絶対に意地悪は言わないから…素直になるから…だからもう一度俺を好きになってほしい。

お前が咲かせてくれた俺の中の花は、とうに枯れ果ててしまったけれど。
お前の中に咲いている花はどうかそのまま、咲き誇ったままでいてほしい…。

この空はどこまでも続いているわけで。
勿論、あいつの上にもこのオレンジ色の空は広がっているだろう。

もう俺の傍でお前が笑うことも、泣くこともないけれど。
そんな顔を見ることはないけれど。
俺はこれからもずっとこうして一人になった時は、お前のことを想い続けるから…。
いつか空が運んでくれることを思って…。

そして俺は一人呟く。
…琴子、今君に逢いたい。



☆あとがき
大変申し訳ございません!!!
とある歌を元に書いてしまいました。
と、とりあえずネタ帳に書いてあったネタを消化しようかと…。
このころ、この歌にはまっていたんです!!!!
と言っても、こんな話では何の歌か全く分かりませんよね。(分かって下さった方がもしファンでいらしたら本当にごめんなさいm(__)m

絶対に何を書いているのか意味が分からないので解説させてください。
設定は…入江くんがお見合いをした辺りです。
場所は…パンダイ本社屋上です。
あと…分からない点がございましたらご遠慮なくご質問を下さるとうれしいです(汗
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comment

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曲のタイトルが…

知っているのに思い出せないのは、やはり年のせいかしら。
この頃の直樹のお話は切ないわ~

NoTitle

曲はわからないですが、この間の入江くんの心情は想いのほかセツナイですよね。
パンダイの屋上で夕暮れの空を見上げる入江くん
二十歳の若者には重過ぎる決断ですもの。

NoTitle

こんな…情けない話にコメントありがとうございます<m(__)m>

くみくみママさん&さくやさん
そのまま御無理なさらず、思い出さないでください(笑)
心の中にしまっておいてください…。
ちなみに、このころの入江くんは昼ドラのヒロインのように思えるのは…私だけでしょうか(笑)
普通、女の子が政略結婚を決意するのが男の子だって辺りが余計切なさを感じます…。
プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

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