日々草子 円舞曲 9
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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円舞曲 9

「大体琴子だって華族じゃない。」
その日もぶつぶつと幹は文句を言い続けている。あの貼り紙が出されてから毎日がこんな調子である。
「琴子はこの店の奉公人だからいいんだよ。」
「おかしいわよ、それって。」
幹は啓太の返事に全く納得していない。琴子がいるからこそ、足繁く直樹が通うと期待していただけに、啓太の行動は腹が立つことこの上ない。
「アンタが大の華族嫌いってことは、長い付き合いだからよく分かってるわよ。でも…。」
「そんなに入江に会いたければ、あの家で女中奉公でもしてこいよ。」
「それも悪くないか…。」
本気で考え始める幹。だがすぐに真顔になった。
「でもアンタが思っているような人間じゃないと思うわよ?入江様。だってあれを嫁にするような方よ。」
幹が顔を向けた方へ、啓太も顔を向ける。そこには割った皿を片づける琴子の姿が…。
「あのどんくさい子を嫁にするって…男としてかなりの決断よね。」
「まあな…。」
「どうやって結婚へこぎつけたのかしらね?」
「さあ…。」
啓太は箒を手にして琴子を手伝う。ここでの琴子は確かに、啓太の思う華族の姿とはかなりかけ離れていた。

「あ!痛い!」
欠片を拾っていた琴子が声を上げた。
「あーあ。アンタって本当にどんくさいわね。」
幹が呆れて琴子の傍へ近づいた。
「そんな言い方しなくても…。」
琴子は切った指を見ながらしょんぼりする。
「薬はと…。」
仕方なく幹が薬を探しに行こうとしたその時。
「あ、いいよ!啓太くん!」
琴子の焦る声が聞こえ、幹は再び二人を見た。そこには切った琴子の指を自分の口にくわえた啓太の姿があった。
「幹、何か傷を覆う物持ってこい。」
琴子の手を握ったまま、幹に声をかける啓太。
「あ、大丈夫、大丈夫。放っておけば治るから。」
突然の啓太の行動に、琴子は驚き戸惑っている。
「バーカ。ちゃんと手当をしないと破傷風になるぞ。」
「そうね。一応、アンタも女のはしくれだしね。傷跡が残ったら大変だし。」
そう言いながら幹は薬箱を取りに行く。歩きつつチラリと見ると琴子の顔は赤くなっている。
「啓太の奴…もしかしたら。」
そんな不安が幹の胸を過った。

「明日の朝、私ちょっと出かけるから。隣にいなくても驚かないでね。」
琴子が直樹に告げる。
「別にお前がどこへ行こうと驚かないけれど。」
直樹は絵を描く手を休めず、そして琴子の顔も見ないで答えた。
「…ちょっとくらい気にしてくれたって。」
口を尖らせる琴子。そんな琴子の指に巻かれた包帯に直樹は気がついた。直樹に訊ねられ、琴子は説明する。
「お皿を割っちゃって、片づけている時に切っちゃったの。大したことないんだけれど、啓太くんがちゃんと手当しないとえーと…は、ハリセンボンになっちゃうとか。」
「破傷風だろう?」
「そう、それ。それになると大変だからって。実は明日出かける理由もこれと関係あるんだよね。」
訊かれもしないのに答え始める所が琴子らしい。
「そうだな。破傷風の菌が脳にまで回って、お前のその馬鹿がますますひどくなったら大変だし。」
「ひどい…。」
そう言って琴子は怪我した指を見つめる。啓太が口にくわえた様子を思い出してしまい顔が熱くなってくる。
そんな琴子の様子を訝しげに見る直樹。勿論、琴子はそんな直樹の様子に気がつかない。

「あのね、私…実はお店のお皿、殆ど割っちゃって。」
琴子の説明に言葉を失う直樹。普段からドジだとは思っていたがまさかそれほどとは…。その時、一瞬だけ直樹は啓太に詫びたい気持ちになった。
「だけどね、弁償しなくていいって。わざとじゃないからって。お給金も減らさないし、クビにもしないって。啓太くん、本当にいい人だよね。」
そしてその詫びたい気持ちを一瞬にして憎しみへと直樹は変える。

「だけど、新しいお皿を買わないといけないじゃない?啓太くん、瀬戸物市でいつも安く食器とか買ってるんだって。明日その市が開かれるから、私も荷物持ちとして一緒に行くことにしたの。それくらいさせてもらわないと申し訳ないじゃない?そういうことで、明日の朝は早いから、私、もう寝るね。」
そう言って琴子は部屋を出て行った。

「いっそのことクビにしてくれればよかったのに。」
直樹はその後暫く考えていた…。

翌朝。
待ち合わせの場所で啓太はいつもの着流し姿で待っていた。
「啓太くん、おはよう。」
声がした方を啓太は見た。そして…目を見開く。
そこにはいつものように笑顔で手を振る琴子と…袴姿の直樹がいた。

「これまたお珍しい恰好で。」
啓太は直樹に嫌味を言う。どうしても啓太は直樹という男が好きになれない。
「そういう格好もされるんですね、華族様も。」
「結婚前に琴子が縫ってくれたものだけどな。」
直樹が身に着けていたのは、結婚前に琴子が真心込めて縫い上げた物。今朝この着物を着て一緒に行くと言った時の琴子の顔を思い出しながら直樹は答える。

『それ…まだ持っていてくれたんだね!』
嬉しそうに直樹の周りをくるくると見て回る琴子。
『滅多に袖を通さないしな。』
勿論、内心は啓太への対抗心からなのだが、琴子は気づくわけがない。
『嬉しい。新婚旅行以来よね。二人で着物で出かけるなんて!』
そう言って本当に嬉しそうな表情を見せる琴子を見て、直樹も嬉しかった。

「このような安物を売っている場所なんてご興味がおありではないかと思いましたよ。」
わざとらしい敬語を使いながら啓太は続ける。
「妻が迷惑をかけたことを夫として詫びないといけないと思って。それにここは君の店じゃないから俺は立ち入り禁止ではないだろう?」
こちらもわざとらしく妻と夫という言葉を強調する直樹。
一方、琴子は少し離れたところから二人を見ているので、二人の会話は耳に入って来ない。
「何かいい雰囲気かも。」
なので勘違いをしている。
「直樹さんも啓太くんも年齢近いし。二人はいいお友達になれるかもしれないわよね。」
直樹が一緒に行くと聞いた時は驚いた琴子だったが、こうして二人を眺めて一緒に来てよかったと思っていた…。

そして三人は市を歩き始める。
「これいいんじゃない?」
琴子があるお皿を手に取り眺める。
「ああ…値段がちょっと高いな。」
啓太の返事に琴子は「そっか。」と元に戻す。その値段は直樹から見るとそんなに高いものではないのだが、この辺りは啓太の事情もあるのだろうと黙って見ている。

「これいいな!」
啓太が声を上げた。
「本当だ!色も大きさもいいね!」
琴子も同調する。買うのかと思って直樹は見ていると、
「もう少しまけてくれ!」
「お願い!おじさん!」
と啓太と琴子は値切り始めた。人が値切る姿を初めて見る直樹は唖然としている。
二人の値切りが成功し、かなり安い値段で数枚の皿が手に入った。
黙って見ていた直樹に気づいた琴子は説明する。
「あのね、こういう場所ではかなり安い金額を言ってみるのが、値切るコツなの。」
「コツ?お前来たことあるの?」
「うん。昔、お父様と一緒にね。」
「へえ。」
入江家に来る前の琴子のことはあまり知らなかったことに気づかされる直樹。
「びっくりしたでしょ?値切る時って結構迫力出すからね。」
「いや、別に…。」
言葉とは裏腹に生き生きしている琴子の姿に直樹は驚いていた。
「ま、華族様は値切る生活とは無縁でしょうからね。」
啓太がまた嫌味を言う。
「確かにそうかもしれないね。」
琴子まで頷くのが、直樹には面白くない。

それから暫く啓太と琴子は色々な店を回り、値切り倒し、予定以上の枚数の皿を買い込んだ。直樹はそれを見ているだけだったが。

直樹が店で皿を眺めていると、琴子の姿がなかった。啓太は違う店で一人で見ている。琴子の姿を探すと、少し離れた店に琴子は座り込んでいた。
「色も形もいいなあ…。」
琴子が手に取って見ていたのは夫婦湯呑。それは吸い込まれそうな深い藍色の物だった。
「直樹さんと一緒に使いたいけど…こんな所で買った物なんて、失礼よね。」
店の人間が耳にしたら怒りそうなことを琴子は思いながら、だけどその湯呑を手放せずにいる。
「二人でこれでお茶を飲んだら素敵よね…。」
その時琴子の傍から手が伸び、店の人間にお金が渡された。驚いて琴子が振り返ると直樹がいる。
「それ欲しいんだろ?」
「だけど…。」
「いい色だし。」
そう言ってお釣りをさっさと受け取る直樹。店の人間が包むからと琴子から湯呑を受け取った。

包んでもらった湯呑を手にして琴子は、
「いいの?」
と直樹に確認する。
「いいも何も。一体何時間座り込むつもりだったんだよ。」
琴子の手から自然に包みを取る直樹。
「だって…こんな所で買った品物で直樹さんにお茶を出すなんてどうかなあって。」
「お前にしては悪い買い物じゃないと思うけど。いい色だと俺も思ったし。」
「…これでお茶を出したら飲んでくれる?」
「うまい茶を淹れろよ。」
琴子は笑って頷いた。
「ありがとう!直樹さん!」

二人を探しに来た啓太は、そんな様子を黙って見ていた。仲睦まじい二人はどこから見ても夫婦だった…。

買い物も終わり、店に戻るという啓太について琴子も行くことにした。
「そのお皿、洗ったりして使えるようにしないといけないでしょ?」
「割るのは勘弁してくれよ。」
「大丈夫よ。」
そして琴子は直樹に言った。
「じゃ、私お店に行くね。直樹さん、今日は本当にありがとう。」
そして手を振って琴子は啓太の後を追う。
直樹も先程の啓太同様、複雑な気持ちで琴子の姿を見ていた。夫婦湯呑を手にして…。



☆あとがき
「角●卓●じゃないから!」と一応滑ることが分かっても言ってみる…。
私の住んでいる場所はようやく晴天に恵まれました。
それと共に…あー憑き物が落ちた感じです!
久しぶりに今後のあらすじをメモってみたので、ちょっとはまともな流れになる…といいな(笑)
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コメント

啓太は華族嫌いなんですね。
何故なんでしょう?
気になります…。
でも直樹に対するものは明らかにそれとは異なってますよね…

琴子と啓太二人だけの買い物っていうのは、やっぱり直樹は気になって着いて行くんですね(笑)
しかも、琴子作袴姿で。
琴子は単純に喜んでますが、男二人は嫌味の応酬しまくってますね……。
それに気付かない所は、さすが琴子…(笑)

夫婦湯呑を買ってるシーンはほのぼのとして読んでて、ほんわかしました。
これからも二人のこんなシーンがたくさん見たいです♪

琴子は僕の妻ですよ。

水玉さん、おはようございます。
琴子が啓太と瀬戸物市に。
琴子が毎回皿を割っているようなのですね。
直樹はいっそのこと首にしてくれたらいいと想っていますが。
瀬戸物市には直樹も琴子と一緒です。
琴子の縫ってくれた袴を着て。
啓太に対する直樹の挑戦でしょうか。
やたらと夫婦を強調されています。
すごい嫉妬心です。
琴子は直樹と一緒に飲む夫婦湯飲みをみています。
直樹がそれを購入です。
嬉しそうな琴子ですね。
啓太とお店に、直樹は夫婦湯飲みを持ち二人を
見ています。
多分、嫉妬の炎がメラメラでしょうが。
琴子はそんなの全然解っていないようですが。

NoTitle

ご無沙汰しています♪
うん!きっと琴子ちゃんお茶を入れるのはだけはとっても上手だと思う!!←勝手な想像だけど・・・・
夫婦茶碗で仲良く美味しいお茶を頂いて下さいませ。
そして直樹様、美大生だから芸術的、美的センスはバッチリだよね♪

直樹様が琴子ちゃんを思う気持ちが
とても優しくて、読んでいて嬉しくなっちゃいます♪
やっぱりこのお話好きよ~~~
直樹様最高!!そして直樹様の微妙なジレンマが好きだわウフ♪

NoTitle

コメントありがとうございます^^

眞悠さん
ありがとうございます。男二人の思惑に気がつかない、可愛い?琴子を書きたかったので触れていただけて嬉しいです(笑)
たまには二人のほんわかシーンも書かないと…ね(笑)

tiemさん
嫉妬させすぎたかなあとやや反省モードなのですが(汗)
でもたまには嫉妬する直樹も書いてみたかったんです…(笑)
ちょっと気持ち良くなってきて困ってるのですが(苦笑)

ゆみのすけさん
お会いしたかった~(^_-)-☆
なあんてね←気色悪い奴
私も実はお茶を入れるだけなら上手ではないかと思います。でもお茶を上手に入れるのって、実は結構難しいのよね。
でもごめんなさいね~
ほら~私、直樹イジメ同好会の副会長だから~(笑)
ちょっと今かなり危ない状況なんです(笑)

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