日々草子 円舞曲 7
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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円舞曲 7

「いらっしゃい!」
店の中は混雑する時間は過ぎ、今は昼食を食べ損ねた客が数人いる程度。客から顔が見える所にいるのは啓太だけだった。
「何にします?」
幹は二階、琴子は買い物に行っているので啓太が自ら水を出す。
「か…。」
「あ、うち鴨料理ないんですよ。」
啓太の言葉を聞き「詐欺じゃないか?」と内心思ったその客は…直樹だった。
裕樹の口を割り、琴子が鴨屋という食事処で働いていることまでは知った。が、詳しいことは琴子から直接聞いた方がいいと言い残し、裕樹はどこぞへ逃げて行ってしまったので直樹は啓太という人間が一体誰を指すのかまではまだ分かっていない。

「モトちゃん!あの子元気?ほら…あの大道芸の子!」
その時二階から下りてきた幹に客が声をかけた。
「ああ!元気よ!」
大道芸をする人間までいるのかと、何を注文しようか考えながら直樹は思う。
「相変わらず…亭主に苦労してんのかね?あの…博打に目がなくて借金こさえてニシン漁へ行くかどうするか迷っている亭主。」
「そうみたい…。」
世の中にはいろいろな境遇の人間がいるんだなと直樹は思った。きっとその人間は大道芸を披露してわずかなお金を稼いでいるのだろう。
「本当に可哀想なのよね。…琴子ったら。」
直樹は飲みかけた水を思わず噴き出しそうになった。
…一体琴子はどんな理由でここで働いているのか?

「お喋りしてないでそのこお客に注文聞けよ。」
啓太の声が飛ぶ。
「はーい。お客さん、すみませんね…。」
幹は体を向けた途端、固まった。あれだけ憧れた本人が目の前にいるのだから無理もない。その瞬間、啓太のいる方へ駆け出し、啓太を連れ奥へ引っ込む。
「…何だよ!お前、お客に失礼だろうが!」
「…あ、あ、あ、あ、い、い、い、い、い…。」
「う、え、お。」
ふざける啓太の頭を幹が叩いた。
「違うわよ!あ、あれが、あの…入江様よ!」
「あのお華族様の?」
「そうよ!入江直樹様!嘘!何でこんな店に!?」
顔を真っ赤にする幹。
「いいから、さっさと注文!」
「あーん。お化粧直したい…。」
ブツブツ言う幹は放っておいて、啓太は直樹をそっと見る。確かに生まれ持った気品といおうか、その場所だけが同じ店の中でも違う。

「すみませんでした!」
気を取り直して注文と受ける幹。直樹は無難なところで親子丼を頼んだ。
「もう…琴子ったらどこまで買い物に行っているのかしら?」
そう言いながら水を足す幹。
「あ、琴子ってうちで働いている、ちょっと可哀想な子なんですけどね。」
「可哀想?」
「女一人で、亭主の両親と弟の暮らしを支えているんです。昼はうちで働いて夜は封筒張りして!」
「…へえ。」
「で、その亭主っていうのが極悪非道で!博打に目はないわ、女には目はないわ、酒はすごいわ、飲む打つ買うの三拍子揃ってるという最低男らしいんですよ。」
「…へえ。」
「あれ、絶対行きつく先は網走だわ!」
「…へえ。」
「さっさとニシン漁にでも出せばいいのに…あの子優しすぎるのよね!」
本人を前に自分の妄想をペラペラ話し続ける幹。

丁度、そこへ買い物かごを下げた琴子が戻ってきた。
「啓太くん、おじさんがお肉まけてくれたよ!」
嬉しそうに報告する琴子を、直樹が振り返る。琴子は一瞬きょとんとしていたが、
「…お店間違えました。」
とくるりと体を回転させ、店を出て行こうとした。が、
「…ちょっと待て。」
すぐに直樹に襟首をつかまれた。
「…お前、俺以外に亭主がいたんだな。…博打打ちのろくでなし亭主って誰だ?」
「そんな人知らない!」
琴子は手足をバタバタさせた。
その様子を茫然と見ている啓太と幹。
「な、何でここが分かったの?」
「裕樹に口を割らせた。」
「あーあ…。」
琴子は観念したらしく、大人しくなった。

「もしかして…。」
「琴子の亭主って…。」
そこまで言って、啓太と幹は顔を見合わせたのだった。

その後、直樹は親子丼を食べ(味はよかった)、琴子の驚異的な皿運びを目にし(確かに大道芸並みの技ではあった)、取りあえず詳しいことは明日話すという約束を啓太たちにして、琴子は直樹と一緒に帰宅した。

帰宅後、部屋で琴子は鴨屋で働くようになったいきさつを直樹に語った。
「あのね、お義母様と裕樹くんは叱らないでね。二人とも私を思って協力してくれたんだから。」
琴子はそれだけは一生懸命直樹に頼んだ。
「やっぱりお店辞めないとだめだよね…?」
黙りこんでいる直樹に琴子は小さい声でつぶやいた。

「…楽しいか?」
少しの沈黙の後、直樹が琴子に訊ねた。
「うん!凄く楽しい!二人ともいい人だし…それにやっとできた友達なんだもの!私、二人のおかげで元気になれたの!」
琴子は張り切って答えた。その答えの一部が直樹の心に小さな棘となり刺さったことに気づかずに。
「なら続けろよ。無理は絶対しないって約束できるなら。」
直樹は仕方ないといった感じに笑って言った。
「本当!うん!絶対無理しない!」
そして琴子は直樹に抱きついた。
「ありがとう!私、直樹さんのお世話もこれまでどおりするから!どっちも頑張る!」
嬉しそうに話す琴子に、直樹は言った。
「それから、もう一つ約束しろ。」
「何?」
直樹の首に抱きついたまま、琴子は直樹の顔を覗き込んだ。
「これから、何かやりたいことができた時は一番に俺に言うこと。そうじゃないと夫である意味がない。」
琴子はまたもやきょとんとした顔をしたが、すぐに笑顔になり言った。
「うん!必ず直樹さんに一番に相談するね!」
そしてまた直樹に抱きついた。

その夜、いつものように琴子の寝顔を見ながら直樹は昼間のことを思い返していた。
あの後、鴨屋のことを色々琴子から聞いた。啓太という男があの板前だということも知った。
「何であの男の名前が毎晩お前の口から出てくるんだか…。」
そして琴子が何気なく言ったことも直樹にはひっかかっていた。
「俺じゃお前の笑顔は取り戻せなかったのか…。」
思わず口に出した時、琴子がうっすらと目を開けた。聞かれたかと思っていると、
「…眠れないの?」
と琴子が小声で問いかける。
「いや…もう寝るよ。」
どうやら聞かれてはいなかったらしい。

「あのね…今、直樹さんの夢を見ていたの。」
そう言って琴子は笑った。
「どんな夢?」
「覚えてないんだけど…幸せな気分だから絶対直樹さんの夢だと思う。」
とろりとした琴子の表情を見て、今悩んでいたことが馬鹿みたいに直樹は思えた。
「琴子…。」
直樹は琴子の名前を呼んだ。
「…俺のこと、好き?」
琴子は閉じかけた目を驚いて開き、顔を赤らめた。
「な、何?突然?」
「好きかって訊いてるんだよ。」
怒っているわけではなく、むしろ甘い優しい直樹の表情に琴子はドキドキしながら答えた。
「…好き。世界で一番好き。」
その答えを聞き、直樹は優しく微笑んだ。
琴子も赤くなりながらも微笑んで言った。
「また直樹さんの夢を見られますように…。」
その言葉を聞き、直樹は可愛くてたまらなくなり、琴子を抱きしめた。
「俺も琴子の夢が見たい。」
そう言って二人は見つめ合って…夜は更けて行った。



☆あとがき
読んで下さりありがとうございます^^
「これ、だれ?」ってくらいの見事なキャラ崩壊…。開き直るしかないです^^;
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コメント

やっぱりスキです、このシリーズ!
もう最後の会話が(*/ω\*)
あまあまなんだけど、直樹さんの気持ちが切なくてきゅんとしました…!
琴子の夢が見たいとか、即死です(//∀//)くあああああああああ!

幹ちゃんの妄想はお客さんにまで話して現実味帯びちゃってたんですね!
しかも、直樹本人にまで喋っちゃってるし…(笑)

遂に直樹に見つかっちゃいましたね。
だけど、続けて良いって言って貰えて琴子良かったね。

自分では琴子を笑顔に出来ないのか…という直樹の気持ちが切ない……
やりたい事が見つかったら、まず夫である自分に相談して欲しいって思うのも当然ですよね。
でも「世界で一番好き。直樹さんの夢がみたい。」って言って貰えて良かったですね。
二人ともお互いの夢が見れると良いですね。

鴨屋の二人は琴子の旦那様が直樹だと知って驚愕でしょうね。
どんな反応をするんでしょう?楽しみです!
特に幹ちゃん!!

甘~い!!!でも直樹は今不安でいっぱいなんでしょうね…モトちゃんや啓太の反応も気になるし続きが待ち遠しいです!

俺のこと、好き?甘いやさしい直樹、好きです!

これからの、展開楽しみです。

幹ちゃん、次の日質問攻めだろうなぁ。てゆーか、さんざん悪口言っちゃったから、ショックで寝れない可能性大ですね。
「俺のこと好き?」って優しい顔で聞かれたら悶死します、絶対!!

コメントありがとうございます♪

haさん
お久しぶりです。
甘すぎて明らかに原作の入江くんとは違ってしまいました…
軌道を修正したいところなのですが、なかなかうまくいきません…
でも入江くん大好きのhaさんにそこまで仰っていただけてうれしいです。ありがとうございます。

眞悠さん
…なぜ!なぜモトちゃんがこんなに妄想癖のある人に(笑)
指が…指が勝手に動く~って感じです(笑)
実は…夢のくだりは書きながらふと思いついたものです。
なんか無理やり感があるなあとは思ったのですが…
いつもコメントありがとうございます^^
とても励みになります!頑張ろうっていう気持ちになります!

mayumiさん&kobutaさん
ありがとうございます。
そうですか、こんな甘い入江くんでもOKですか(笑)
よかった~♪
久しぶりに今後のあらすじをメモってみましたので…次回以降はやや、ましな展開になる…ことを祈りたいです…(笑)

くみくみママさん
悶死!(笑)
おお!そこまで言っていただけるとは!とっても嬉しいです!!!
…私も言われてみたい、そんなセリフ(笑)

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