日々草子 円舞曲 4
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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円舞曲 4

鴨屋の店主、啓太は目の前に座っている女性を再び観察した。
「ここで働くって、親父さんやお袋さんにはちゃんと断ったんだろうな?」
どう見ても女学生である。親に無断で働くとか、もしかしたら地方から出てきた家出少女なんてことだったらこちらの身も危ない。
「あの…私、一応結婚しているんで。」
女性―琴子はおずおずと言った。
「え!?」
もう一度啓太は観察する。お下げ髪のこの娘が結婚しているとは見えない。
「だって、張り紙に“既婚者に限る”って書いてあったし。」
琴子の言葉を聞いた途端、啓太は表へ走り出す。
「…あの野郎!勝手なことを書きやがって!」
そして張り紙を引き剥がす。

「それで…働かせてもらえるのでしょうか?」
不安そうに琴子が聞いた時、
「ただいまあ。…あら、お客様?」
と誰かが店に入ってきた。が、その声と同時に啓太がその人間の襟首を掴んだ。
「お前は…何が“既婚者に限る”だ!俺は普通に手が足りないから募集って書いておけって言ったのに!」
「だって、独りもんの女が来たら、入江さんとられちゃうじゃない!」
今度は琴子が驚く番だった。
「入江…?」
その人間は琴子の傍へ寄り、啓太が落とした琴子の身上書を読む。
「入江…琴子さん。ん?入江?」
そしてその人間は琴子へ顔を近づけた。
「お、奥様でいらっしゃいますか?」
美人だなあと思いつつ、琴子は訊ねた。
「違う!こいつは男だ!」
啓太の声が飛んできた。
「お、男…?」
どうりで声が低いわけだと琴子は思った。

「アンタ…入江って…あの入江様の身内とかじゃないわよね?」
「ど、どちらの入江様で?」
聞かずとも琴子は気が付いていた。
「入江直樹様よ!この近くの、美術学校の首席で、伯爵家の御曹司で、まさしく貴公子の呼び名がぴったりの、あの入江様よ!」
その女…男性は叫ぶ。
「んなわけないだろうが。華族様のお身内が働きになんて出るわけないだろう。」
横から啓太が言う。
「そうですよ…。」
琴子もか細い声で同意する。ばれたら殺されると琴子は怯えた。
「入江様という方は…よくこちらに来るのですか?」
だとしたら、ここでは働けない。
男性は首を振った。
「美術学校の学生さんの通り道なんだけど、まだお見えにならないの。いつかいらしてくれるといいのだけど。」
取りあえず、無事採用されたら直樹の弁当は今より量を増やし、帰りにお腹が空いてここに寄るなんてことのないようにしなければと琴子は思った。

「あら?アンタ…前に店で居眠りしてた子じゃない?」
男性が気がついたらしい。
「え?どっかで見た顔だなあとは思ったけど…あの時の?」
啓太もまじまじと琴子の顔を見た。
「奉公先、クビになっちゃったの?居眠りなんかしてたから。」
男性―名前は幹というらしい―が気の毒そうに琴子に訊ねた。
「この人、結婚してるらしいぜ。」
啓太が説明する。
「え?こんなヒヨッ子なのに?」
幹が驚いた。
「だから…張り紙に既婚者って書いてあったから…。」
この店は何なんだろう。
「ああ、それね。だから既婚者なら入江様に変な気を起こさないだろうと思って。…このアタシを差し置いてね。」
幹が漸く張り紙の意味を説明した。

「変な気も何もないだろう。その入江様とやらは結婚してるのに。」
啓太が呆れた声を出す。琴子はドキドキしながら二人を見ていた。
「そうよ!そりゃ分ってるわよ!だけど…夢くらい見たっていいじゃない!」
幹が叫んだ。
「あの入江様の奥様よ!絶対家柄も良くて、上品で貴婦人って言葉がぴったりだと思うわ!お邸で花を抱えて微笑んでいるのよ!」
「多分そうだろうな。」
二人の会話を聞きながら、やっぱり直樹の妻はそういう人間だと誰もが思うんだろうと、琴子は直樹のかつての縁談相手だった沙穂子の顔を思い出し、肩を落とす。
「でも…こんな子にも亭主がいるなんてね。」
幹は琴子を見て呟いた。
「雇ってあげましょうよ。きっと切羽詰まってるのよ。」
その一言で琴子の採用は決まった。

「あ、あの…できれば夕方までのお仕事でお願いしたいんですが。」
「夕方?」
怪訝な顔をする啓太に琴子は説明した。
「あの、しゅ、主人が夕方に帰ってくるので、それまでには家に戻らないとまずいので…。」
「アンタ…亭主に黙って働く気なの?」
「ちょっと色々事情がありまして。」
啓太と幹は顔を見合わせていたが、人にはそれぞれ事情があるのだろうということと、昼間も忙しいのでそれだけでも手伝ってもらえれば助かるということで、琴子の希望をのむことにした。
その後色々話をしていくと、三人は年齢も同年代ということであり、琴子は二人を『啓太くん』『モトちゃん』と呼ぶことになった。

翌日から琴子は鴨屋で働き始めた。
鴨屋というのは、啓太の名字が鴨狩ということから付けられた名前であり、鴨料理は出さないとのこと。お惣菜が主の食事処である。
料理は啓太が主に担当し、これまた包丁さばきが素晴らしい。
幹の説明によると啓太はかなりの努力をし、この若さで店を持てたという。
琴子の仕事は配膳である。これが琴子には意外な才能があり、どれだけ食器を積み上げても落とさないという、客に驚かれる技を披露することとなった。
「まるで大道芸よね。」
幹と啓太は感心した。

数日働くだけで、琴子はこの二人が大好きになった。
何と言っても裏表がない。話していて気が楽である。あのお茶会で深く傷ついた琴子の心を癒すにはもってこいの場所を見つけ、日増しに琴子は明るさを取り戻していった。

「最近、楽しそうだよな…。」
明るい琴子を見て直樹は首を傾げていた。笑顔が増えたのは喜ばしいが一体何があったのか不思議だった。
琴子は直樹が帰宅する前に戻るので、今のところ鴨屋で働いていることは直樹にはばれていない。
「だけど…何であんなに疲れてるんだ?」
元気を取り戻したかの様な琴子だったが…なぜかベッドに入る時間は早くなっていた。
まだ仕事に慣れないということもある。
一応、直樹の夜食の世話はするのだが(相変わらず御洒落な夜食でそれは未だに直樹の不満ではある)、今までならその後も色々と直樹の傍でお喋りをしたものなのに、最近は「先に休ませて」と言い残し、ベッドへ入ってしまう。

「もしかして…俺があまりに勉強に夢中なのが不満なのだろうか?」
直樹はそう思い、たまには琴子と夜の時間を過ごそうと思った。

「あれ?もう寝るの?」
先にベッドに入っていた琴子は、後からベッドへ入る直樹を見て驚いた。
「たまにはね。」
「ふうん。」
久しぶりに一緒にベッドに入れて琴子は嬉しかったので、それとなく直樹に近づいた。
そんな琴子がやっぱり可愛くて、直樹もそっと抱き寄せる。
二人は顔を見合わせて…自然と唇を触れ合わせた。
そして直樹がそのまま、琴子の首筋へと唇を落としていったその時…。
すぴーすぴー…。
まさかと直樹は思い、顔を上げ、琴子の顔を覗き込んだ。
そこには気持ちよさそうに寝息を立てる琴子の姿が…。

「嘘だろう…?」
暫く琴子の顔を見ていたが、深い眠りに落ちたらしく目覚める気配はない。
諦めて直樹は琴子の柔らかい体を抱きしめた。
「一体何なんだよ…。」
直樹の思いになど気づくこともなく、琴子はすやすやと直樹の腕の中で寝息を立て続けた。



♪あとがき
読んでくださってありがとうございます♪
拍手のお返事、大変遅くなり申し訳ございません!
もう少しお待ちください!

…すみません、ワンパターンで。←このセリフが一体あと何回出されることやら。

※追記
ラストの夫婦のシーンは…蛇足だったかも。
早速欲を出し、失敗する女(笑)
これもあと何回繰り返されることでしょうか…。
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コメント

生殺しのような状態に置かれる入江くんが大好きだぁ~。

鴨ときたら・・・・やっぱり!
はずしませんねぇ、水玉さん。
私も生殺しの直樹に一票です!オーホッホッホッ!

ぷぷぷ!

私も「生殺し」大賛成でございます。直樹にはバンバン悩んでいただきたい!(私、直樹をいじめる会、会員だったはず)
鴨屋って、やっぱり啓太だったんですね。モトちゃんも出演してるし、ますます更新が楽しみです!

『鴨屋』は、やっぱり啓太の店だったんですね。

どの時代でも幹ちゃんは直樹のファンなのね。
直樹への妄想が、相変わらず暴走してる所が笑えます!!
琴子が奥さんってバレたらどうなるんだろ……
そして、此処でも琴子の食器重ねの特技が発揮されるんですね!

訳もわからず翻弄される直樹。
あげくの果てには、生殺し…
傑作です!(笑)
読んでて本当楽しいです♪♪

コメントありがとうございます♪

サリサリニャー(エ)マさん
生殺し…あなたのコメントから全てのコメントに凄い言葉が(笑)
そんなに気に入っていただけて感激してます(笑)

さくやさん
ここにも生殺しを喜ぶ方が(笑)
鴨…この方ははずせないでしょう!!!
オーホッホッホッ!←負けず嫌い(笑)

くみくみママさん
そうですよ!そろそろ直樹いじめの会の活動も再開しないと!!!
会長に言われているんです(笑)
いじめていじめていじめまくる~♪
…ナオキスト様に闇撃ちされること、確定(笑)
でもやめられない~♪

眞悠さん
この二人は本当に…楽しいです^^
書いていて、ああ、琴子は食器運びの名人?だったなあと思いだし、入れておきました(笑)
モトちゃんは…いい男はどこにいても探知するんです、きっと(笑)


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