日々草子 祖父襲来 6(最終話)
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事

「あ、直樹さんここにいた!」
琴子が座敷へ戻ってきた。
「もう少し眠った方がいいかもしれませんね。」
直樹の傍に座って琴子が言った。
「琴子さん…。」
祖父が琴子の名前を呼んだ。
「はい?」
「あんた、夜中に会った時とは別人ごつね。」
それを聞き琴子は不思議そうな顔をした。そして直樹を見る。直樹も首を傾げる。
「私…夜中にお爺様と会ってませんけど?」
「こいつは一度寝たら、朝まで目を覚まさないけど?」
二人の言葉を聞き、祖父は起き上がった。
「んな馬鹿な!この間、わしと廊下で出くわして、食堂で喋ったやろ!」
「だから廊下でお爺様に会ってもいないし、ましてや食堂なんて行ってません!」
「いたと!髪の毛を下ろして、格子柄の着物ば着て…!」
祖父の言葉を聞き、琴子はハッとした表情を見せた。
「格子柄…?」
そして慌てて琴子は座敷を出て行った。

少しして琴子は座敷に戻ってきた。そして祖父へ古ぼけた一枚の写真を見せる。
「おお!これこれ!この着物たい!何ね?あんた、子供ばおるとね?直樹とは再婚ね?」
その写真は琴子そっくりの女性が赤ん坊を抱いて写っているものだった。
「それ、私の母ですけど。抱いているのは赤ん坊の私です。」
「母親?」
怪訝な顔を見せる祖父に、琴子は続けた。
「私が6歳の頃に亡くなった母です…。母は格子柄の着物が好きでよく着ていたって父が言ってました…。」
琴子の言葉を聞き、祖父は写真を落とし、直樹は少し青ざめた…。

とうとう祖父が帰る日になった。
出発前、祖父は入江家の先祖に挨拶をしたいと仏間へ入り手を合わせている。祖父の後ろに琴子と直樹も座っている。

「…琴子さん。」
仏壇を見つめたまま、祖父が琴子の名前を呼んだ。
「あんたの母親の写真がないばってん。」
「あ、だってそちらは入江家のご先祖様を祀る所ですから…。」
だが祖父は言った。
「あんたのお母さんにも挨拶ばしたいけん、写真ば持ってきんしゃい。」
その言葉を聞き、琴子は、
「は、はい!」
と返事をし、嬉しそうに仏間を飛び出して行った。

「…俺たちがいくら言っても、ここに母親を並べるのは悪いからって、変な遠慮してるからな。」
直樹が少し嬉しそうに言った。

「持ってきました!」
琴子は息を弾ませて、写真立てを祖父へと渡す。祖父はそれを仏壇へと置いた。そして再び手を合わせた。
「この写真はここに置いといたらよか。」
祖父の言葉に琴子は、
「でも…。そこは入江家のご先祖様がいらっしゃるから…。」
と遠慮する。
「あんたのお母さんも、もう入江家の一員みたいなものばってん。遠慮することはなか。紀子たちも望んでいるなら尚更たい。」
「お爺様…!」
琴子は祖父の言葉を聞き、少し涙ぐんだ。
「あんたをいつも見守ってるけんね…。あんたのお母上は。」
祖父はそう言ってまた手を合わせた。
琴子は少し涙ぐみながら、後ろで手を合わせた。勿論、直樹も。
そして暫くの間、三人はその場で手を合わせていた…。

「琴子さん、土産ば車へ運んで!」
「琴子さん、鞄も!」
「はいはい!」
とうとう祖父が出発する時間が近づき、琴子は祖父に命じられるまま、荷物を運ぶため、座敷と玄関を行ったりきたりさせられていた。
「琴子さん!」
「はい!次は何を運ぶんですか?」
「直樹ば頼む。」
「はいはい!次は直樹を運ぶんですね…。」
琴子は足早に座敷へ向かおうとした。が、
「今、何て言いました?」
と立ち止まる。

「直樹のことを頼む、と言うたと。あんた、頭だけじゃなく耳まで悪かと?」
祖父の言葉が琴子にはまだ信じられない。そんな琴子を見て、祖父は溜息をつき、そして改めて言った。
「直樹ば支えてやってほしか。あんたになら安心して直樹を任せることができると。」
漸く祖父の言葉の意味が分かり、琴子は顔を輝かせた。
「それじゃお爺様…私のことを認めてくれるんですか?」
「さすが直樹の選んだおなごたい。…あんたには負けたわ。」
祖父が笑った。
「お爺様!」
漸く認めてもらえたことが嬉しくて、琴子は祖父に抱きついた。
「ありがとうございます!私、頑張ります!」
「く、苦しか…。あんた、おなごのくせに何という馬鹿力ね!」
祖父は目を白黒させている。
「車、到着したけど…。」
直樹が車の到着を告げに来た。が、二人の様子を見て一瞬何事かと驚いたが、すぐに察し、微笑んだ。

「婆様によろしく。」
車に乗り込んだ祖父に直樹が言った。
「世話になったと。二人とも。」
祖父がお礼を言う。
「お婆様も今度はご一緒に遊びに来て下さいね。」
琴子が言った。
「今度は二人の孫に来てほしかね。」
祖父の言葉に、
「ああ。裕樹くんには今回会えませんでしたもんね。今度は直樹さんと裕樹くん、一緒に遊びに行けるといいけど。」
と琴子が返事をした。
すると、
「何を言ってると?あんたは?」
祖父が琴子に行った。

「…直樹はわしらの孫たい。その直樹の嫁のあんたもわしらの孫たい。孫二人いうのは、直樹とあんたのことたい。やっぱり最後まで察しが悪かおなごたい。」
「私も…私も孫にしてくれるんですか?」
「だからそう言うとる。」
琴子が感激のあまり目に涙を溜めていると、祖父は続けた。
「それから…サツマイモば、仰山用意しとくけん。秋にでも二人で遊びに来んしゃい。あんたの蒸かし芋ば、婆さんにも食べさせたか。」
その言葉を聞くなり、琴子は車の窓に腕を伸ばし、祖父の首に抱きついた。
「はい…!絶対、絶対に遊びに行きます!」
「く、苦しか…!首が折れる!」
祖父は目を白黒させて琴子を離そうとするが、琴子は抱きついて離れない。
二人の様子を直樹が微笑んで見ていた。

「あーあ。お爺様は帰ってしまって、何だかまた寂しくなっちゃった。でも明日の午後にはみんな戻ってくるのよね。」
気が抜けた様子で琴子が長椅子にもたれた。
「疲れた?」
直樹が琴子に訊いた。
「うん、ちょっと疲れたかも。」
何か優しい言葉をかけてくれるのかなと琴子は内心期待しつつ、直樹を見た。

「そうか。…それなら俺一人で出かけるか。」
「え?」
意外な直樹の言葉に琴子は驚いた。
「うまい洋食屋を教えてもらったから、今夜食べに行こうかと思ったんだけど。さすがにお前も疲れてるもんな。俺一人で行くから、ゆっくり休んでろよ。お疲れ様。」
そう言って、直樹は玄関へ行く。
「ちょ、ちょっと待って!疲れてない!全然疲れてない!」
慌てて琴子が後を追う。
「いいよいいよ、無理しないで。爺様の世話は大変だったし。」
「全然大変じゃないってば!直樹さん、連れてって!すぐに着替えるから!」
琴子は直樹に叫ぶと、急いで着替えをしに、部屋へと向かった。

                                            (終)
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コメント

ホンワカと

心の奥に灯がともるような最終話でした。
この感じが水玉さんの作品を貫いている芯なんでしょうね。
どこか深い所で満たされ「ああ、よかった」と安心できる。
今回も楽しませていただきました。ありがとう。

逆バージョン!

やりい!逆バージョン!
夜中の出会いは狙ったとおり琴子母でしたね!
原作の立場を逆転させるなんて楽しい!
ほんわかした終わり方で和みますよね。
また万華鏡シリーズの新作がうかばれたら、ぜひぜひUPしてくださいね。
楽しみにしています。

水ちゃんて・・・

やっぱり素敵な人だね。素敵な人じゃなきゃこういう優しいお話は書けないと思うもん。
水ちゃん流にアレンジされた原作エピソード・・・どのエピソードにも水ちゃんの原作に対する想いと敬意を感じられて、読んでいてとても嬉しくなっちゃったよ。
特に仏間でのやり取りは本当に心がじんわり暖かくなった。きっと二人のやり取りを眺めていた直樹さんは、とても優しい顔をしていたんじゃないかと思ったなぁ。嬉しかっただろうね、琴子がお爺に認めてもらえたことが。そしてそんな琴子への想いをきっと一層強めたことでしょう!!
洋食屋さんでのデート、素敵な夜になるといいね・・・琴子v-290

ところで、「洋食屋」と言う響きがたまらなく好きなアリエル・・・どんな所なんだろう・・・気になる!

感動でした。

水玉さん、おはようございます。
そうだったんだぁ。琴子にしては殊勝なことをいうから。
琴子の母上でしたか。
3人とも驚きますよね。
母上の写真も此処入江家の仏壇に祭りなさいと。
良かったね琴子。お爺様が許可してくれて。母上も入江家の一員だと。
お爺様は帰られることに。
直樹の事を支えてあげてくれと。
琴子に直樹を安心して任されると。
直樹の選んだだけのことはあると。
お嫁さんとして認められて本当に良かったね(TT)
今度は孫と一緒に来なさいと。此処で又琴子頓珍漢な答え。
もう本当に笑わせてくれますね。
でも孫として認めれたから良かったね。
サツマイモも用意しておくからと。
余程美味しかったのですね。
ふかし芋。
お爺様が帰られた後、労いの言葉を期待した琴子。
疲れた、直樹さん一人で出かけると。
上手い洋食屋があると。お前が疲れているだろうから一緒に行こうと思ったが。と。何で素直になれないんだろうね。
本当に偏屈なお方です。
でもちゃんと琴子のことフォローしていましたね。やはり琴子がすきなんだよね直樹さん。

このお話涙あり、笑いありで本当に楽しく読むことが出来ました。
水玉さんのお話大好きです。
これからも人情味溢れるイリコトお願いします。

すごい

こんばんは。

琴子、お爺さんに認められて、よかったですね。
琴子、頑張ったもんね。そして、入江君もなにげに琴子をフォロー、やっぱり、二人だわ。

笑いあり、そして涙ありのstoryで、読み終わった後、ほんわかした温かな気持ちになりました。

こんな素敵なstoryがつくれるなんて、やっぱり水玉さんはすごい。


皆様コメントありがとうございます。

さくやさん
読み終わった後に気分が良くなればと思いながら書いてますので、そう仰っていただけますと嬉しいです^^
最後まで読んでくださって有難うございました。

KEIKOさん
逆転バージョン無理ありましたが(^^ゞ
そうですね。また続きいつか書きたいです。
最後まで読んでくださってありがとうございました。

アリエルさん
いやあ、ものすごく恥ずかしいのですが!!
そんな素敵だなんて、素敵女性のアリエルに言ってもらえて恥ずかしい。でも嬉しい。ありがとう。
洋食屋…クリームコロッケとか食べられる場所?(笑)←なんというイメージ(笑)
最後まで読んでくれてありがとうね^^

tiemさん
人情味…そうですか?
そう仰っていただけるとうれしいです。ちょっと台詞だらけでしたので読みにくかったことと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございます。

るんるんさん
いえいえ。原作がベースなので、やはり原作が素晴らしいんです!その一言につきます!
入江くんのフォロー気づいて下さりありがとうございます。
最後まで読んでくださりありがとうございました。

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