2017年10月 / 09月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫11月

2009.04.21 (Tue)

vs.イ/チ/ロ/ー


【More】

今日は休日。
目を覚ますと…同じく休みが重なった琴子の姿はもうなかった。
時計は午前11時。ちょっと寝過ぎたか。
起きて、パジャマのまま洗面所へと向かう。

「随分ゆっくりだね、今日は。」
顔を洗い終わった所で、鏡の中に琴子が現れた。
「たまの休みだし。」
何の文句がある?
「うん。そうだよね。」
何も文句がないらしく、琴子は頷いた。

「ところで…入江くん。」
琴子が俺の目を見つめて話しかけてきた。
「…そろそろ、家を出ない?」
俺は突然の琴子の申し出に一瞬、戸惑った。

家を出る…。
結婚する前もした後も、ずっとこの家で大所帯で暮らしている俺たち。共働きの俺たちにとって、かなり恵まれた環境。
それなのにこんなことを言い出すということは…琴子も俺と二人だけで暮らしたくなったのか。
自立したくなった…そんな所だろうか。

琴子と二人きりの生活。
家事音痴のこいつにとって楽ではないだろう。だが何をしようが人の目を気にせずに済む。
それに…どっちにしろ将来、俺たちはここを出なければいけないだろう。
この家は…親父が建てたこの家は、親父の後を継ぐ裕樹が住むことが一番ふさわしいからだ。
だから、今この家を出ることは、その予定がちょっと早まっただけ。

「そうだな。お前がそうしたいのなら、考えてみるか…。」
色々考えて、俺はそう返事をした。
「本当!考えてくれるの!」
「ああ。」
そんなに俺と二人きりで暮らすことが嬉しいのか。

「じゃ、そうだなあ…半年以内には。」
「半年!?」
そりゃまた計画的というか…。
「ま、半年もあれば部屋も見つかるだろう。」
「うん。一人暮らしの部屋だからそんなに大変じゃないと思うよ?」
…ちょっと待て。
今何て言った?一人暮らし?誰が?

「入江くんが出て行ったら、入江くんの部屋、この子の部屋にする予定なんだ。」
琴子はお腹を優しく撫でながら言った。
何だって?この子?
「裕樹くん!入江くん、独立してくれるって!」
そこへ裕樹がひょっこり顔を出した。
「悪いね、お兄ちゃん。“こいつ”のために。」
「何でお前がそんなことを言うんだ?」
「え?だって琴子は僕の奥さんだもん。お腹の子も僕の子。」
「…何だって!?」
俺は裕樹の言葉の意味が全く分からない。

「お前と琴子が…いつそんなことに?」
「いつって…。先週、あたしに赤ちゃんができたことが分かって、入籍したんじゃない。」
琴子の説明に、俺は裕樹を見て言った。
「お前、まだ18…。」
「お兄ちゃんらしくないね。男は18で結婚できるじゃない。」
琴子と裕樹ができちゃった結婚…。頭がクラクラしてきた。

「相手にされてないのに、お兄ちゃんを追っかけてるこいつがけなげでさ…。」
「あたしも慰めてくれた裕樹くんの優しさに段々気がついて…。」
「お前と琴子…年齢差があるだろう?」
すると、二人は顔を見合わせた。
「年齢差って…お兄ちゃん、いつの時代の人?」
「そうだよ。入江くん、イ○ローだって松○だって姉さん女房じゃない。」
…裕樹はメジャーリーガーじゃないだろ。

「入江くんが出て行ってくれたら、入江くんの部屋とあたしたちの寝室の間の壁にドアつけようね。」
「そうだな。そうすれば赤ん坊が泣いてもすぐに駆けつけられるし。」
とても幸せそうな裕樹と琴子…。

「あ、入江くん。おはよう…ていうより、こんにちはだね。」
目を開けると、琴子が俺の顔を覗きこんでいた。
「夢…?」
どうやら全て夢だったらしい。
「何かいい夢見たの?」
とんでもない夢だった。俺は息を深く吐き出す。

「どこか出かけてたのか?」
見ると琴子は外出着姿だった。
「うん!ジャーン!」
ベッドに腰掛けて、俺の目の前に何かを自慢気に見せた。
「母子手帳…。」
それは真新しい母子手帳。母親の名前の欄にはきちんと“入江琴子”と書かれている。
そうだった。先週、琴子の妊娠が分かったこと、これは紛れもない事実だった。

「区役所でもらってきたの。こういうの手にすると、お母さんになるんだなあって実感する。」
愛しそうに、大事そうに手帳を撫でる琴子。そんな琴子を見ていると俺も優しい気持ちになる。

「さてと!下でテレビ見よう!入江くんも早く着替えて下りてきてね。」
「ああ。」
何とも言えない幸福感に包まれて、俺は返事をする。
「今日はイ○ローが張本の記録を超えるかどうか、大事な所だし!」
「イ○ロー?」
その言葉を聞き、俺は先程の悪夢を思い出してしまい、複雑な気持ちになる。
「うん。裕樹くんも見てるんだよ。」
「裕樹?」
イ○ロー、裕樹…。何だ、このもやもやとした気持ちは…。

「キャッ!」
俺は琴子の腕を引っ張り、抱きしめた。
「もう少しこうしていたいな。」
「え?だ、だって、イ○ローが…。」
「イ○ローと俺、どっち取る?」
「ど、どっちって…。」
琴子は困ったように呟く。そして、
「夜、ニュース見ればいいか…な?」
とあっさりと陥落した。

そうだよ。
イ○ローに俺が負けてたまるもんか。
勿論、裕樹にもな。
俺はそんなことを思いながら、琴子と唇を合わせた。



♪あとがき
先週、とある所で「イ○ローになれ!」と言われました。
なれるかなれないかは別として、こんな内容が浮かぶ私って…。
しかも、原作は冬に分かったんですよね?
捏造までする私って…。
とりあえず、日本記録おめでとう!イ○ロー!(笑)
関連記事
23:50  |  直樹&琴子  |  TB(0)  |  CM(6)  |  EDIT  |  Top↑

*Comment

★イチロー

我が家の女三人はイチローのファンです。
でも・・・でも・・・入江くんとは比べられません!!
今回も夢見の悪い入江くん。
次はいい夢が見られますようーに。
さくや |  2009.04.21(Tue) 23:43 |  URL |  【コメント編集】

本当に水ちゃん^^面白すぎですぅー♪
もう。『参ったっ』

水ちゃんの捏造話、大大歓迎です^^
むしろ水玉ワールドが拡がって行くなんて素敵だもん。

しかし、水ちゃんの書く直樹のヤキモチはツボなのです^^
『ヤキモチシリーズ』カテゴリに来るかなぁ?
うふふっ♪

さあや |  2009.04.21(Tue) 23:56 |  URL |  【コメント編集】

★イ、イ〇ローになれと?!

凄いアドバイス(?)をする方がいらっしゃるのね・・・。どのような意味でおっしゃられたのかしら?
しかし、あの人はまさしく勝負師だね。ここ一番の時の眼光の鋭さがたまらなく好きだわ。世界の北島〇介も同じ目をしている!そしてきっと、オペの時の入江くんもそんな目をしているのだと思うわ。でもイチ〇ーもやっぱり人の子だったのね・・・と思ったこの春。胃もすっかり良くなったようで、あまりにもスバラシイ記録達成にビックリです。頑張る彼に神様のプレゼントかしら?いえ実力ですよね!
しかし、悪夢にさいなまれてしまうほど琴子にぞっこんな入江くん、もう琴子以上に重症かもね(笑) そして、琴子はきっとそれに気づいていないのよね~~。かわいい夫婦~♪
アリエル |  2009.04.22(Wed) 00:23 |  URL |  【コメント編集】

★比較するかなぁ?

水玉さん、おはようございます。
直樹と琴子が家を出る?
エ~~直樹だけ。何故。
裕樹と琴子が赤ちゃんで来て入籍。
驚く直樹?
全て夢の中の出来事だったのですね。
もう驚きました。
琴子はお出かけして直樹に母子手帳を見せています。
そうなんだぁ、琴子妊娠したんですね。
おめでとう、直樹&琴子。
イチローが記録を抜くかも、裕樹も応援。
直樹、琴子のイチロー、裕樹にカチン。
イチローか直樹どっちが好きかだって
そんなの決まってると思うけど。
もうこの二人は、見ていられません。

しかし、イチロー選手はすごいです。
まだまだ記録を達成するでしょう。
張本氏は記録を抜かれて悔しいと話しておられましたが。
記録は抜かれるのです。
心を大きく持たないと。イチロー選手みたいに。
ねぇ、直樹も。
tiem |  2009.04.22(Wed) 06:47 |  URL |  【コメント編集】

★ニヤリ!!

水玉さ~ん!!
直樹のヤキモチシリーズ大好き。最高!!ブラボー!!
パチパチパチ!!!←だって私、同好会のメンバーだから。。。(笑)
イ●ローにまでやきもちを焼く程、琴子ちゃんが好きなのに
それに気付かない鈍感な琴子ちゃんがとてもかわいい!!!
っと、裕樹くん、今日はお兄ちゃんの前で琴子とお話しないほうがよろしくてよ~←私から裕樹へささやかな忠告。
けど裕樹(本人何もしていない)にヤキモチ焼く入江君も大好き!!
ゆみのすけ |  2009.04.22(Wed) 10:00 |  URL |  【コメント編集】

さくやさん
イチローファンですか!彼、侍って感じですよね!
それにしても入江くんの悪夢…よく書くなあ、私(^^ゞ

さあやさん
久々に書いたよ、入江くんのヤキモチ!
いえね、すっごーい甘甘を書きたくなったの!でもうまく書けない!こう、とろけるようなもうメロメロな話を書きたいのよ!!!
そして、お言葉に甘えて、捏造続けます(笑)

アリエルさん
イチローが記者会見で「記録を達成して見たことのない景色を見てみたかった」と言ったらしいのね。で、これは何かを目指す人間全てに言えることらしい。それくらいの気持ちで頑張れと。目標を達成するまで、「イチローめざすぞ、イチローになるぞ」と呟けと言われました(^^ゞ
単純な私はそれから「イチロー、イチロー…」と言っています(笑)

tiemさん
そうですね。かつて王元監督が記録を抜かれそうになった時、「記録は破られるものだ」みたいなことを言ってました。私はそれを聞いて懐の大きさに感動した覚えがあります。
記録を作る人は、やがて抜かれることも覚悟しておいた方がいいのかも…。抜かれた時に自分がされたように、賞賛できる人はやはり凄いと思います。

ゆみのすけさん
おお!同好会会長に誉められちゃった!(笑)
でも本当に、裕樹、何もしてないのにね…哀れ(笑)
vs.裕樹も書いてみたいです^^

皆様、コメントありがとうございました\(-o-)/


水玉 |  2009.04.22(Wed) 23:47 |  URL |  【コメント編集】

コメントを投稿する

URL
COMMENT
PASS  編集・削除するのに必要
SECRET  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲PageTop

*Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://suisen61.blog77.fc2.com/tb.php/394-3635bb76

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP |