日々草子 天使と悪魔 14
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

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天使と悪魔 14

薫の容態が急変したのは、二人が仲直りをした数日後のことだった。

「…担当に戻りたいんでしょう?」
琴子は直樹に話しかけた。
「戻りたいから、ずっと薫くんの病気のこと調べてたんだよね?いつでも戻れるように。」
すっかり心を見通されていた直樹は、少し笑った。
「俺はあの子に嫌われてるからな。」
その言葉に琴子は首を振った。
「ううん。本当は入江くんのことが大好きなんだよ。見ていて分かるもの。入江くんが担当下りたとき、薫くん、がっかりしていたよ。」
琴子は後ろから直樹の首に抱きついた。
「助けてあげて。…もし無理でも、最期まで診てあげて。」
その言葉がきっかけとなったのか、翌日、直樹は薫の担当に戻った。

「君は嫌かもしれないけど、また俺が君を診ることになったから。」
元気だった頃と変わらない調子で直樹は薫へ告げた。
「な…んだ。ま…た、悪魔…先生と会うのか…。」
明らかに調子が悪そうだったが、それでも薫は苦しげに笑顔を見せた。
「手術も…俺だけど。」
父親の哲也と話し合った結果、少し状態が良くなったら即手術ということになっている。
「ふうん…。」
それだけ言うと、薫は目を閉じた。それ以上会話をする気力はないらしい。

薫が目を覚ました時、傍には直樹が座っていた。
「…今、夜なの?」
薫は直樹へ訊いた。
「ああ。」
「どうしてここにいるの?」
昼間よりは調子がいいらしい。話すことが比較的楽そうだった。
「君の様子が気になって。」
薫の様子が気になっているので、勤務が終了した後も病室についていたのだった。
「…どうせなら、琴子ちゃんが良かったのに。」
そんな薫の憎まれ口に、直樹は思わず微笑んだ。
「苦しくない?」
「大丈夫。さっきよりは楽。」
どうやら少し安定したらしい。直樹は少し安堵した。

「…どうして僕が先生を悪魔って呼んだか分かってる?」
再び薫が話し出した。
「あんまり喋っていると苦しくないか?」
直樹が気遣うと、
「平気。おしゃべりしている方が楽。」
と薫は言った。
「…さあ?」
先程の薫の質問に、直樹は答えた。それは確かに知りたい理由だ。

「僕、見ちゃったの。」
「何を?」
「先生が琴子ちゃんを叱っているところ…。その後琴子ちゃん、泣いてた。」
そういえば、そんなことあったなと直樹は思い出していた。そんなことは日常茶飯事なのだが、薫の目にはどうやら直樹が冷酷人間に映ったらしい。
「僕が大好きな琴子ちゃんを泣かせるんだもん。大嫌いだよ。」
そんな理由で嫌われていたのかと直樹はおかしくなった。

「琴子ちゃんは…僕のことを最初に“薫くん”って呼んでくれたんだ。」
「普通だろ?」
直樹の言葉に薫は首を振った。
「僕の名前…女の子みたいでしょ?だからいつも最初は“薫ちゃん”って呼ぶの、みんな。本当はそれ、とても嫌だったの。でも琴子ちゃんは最初から“薫くん”だった。だから琴子ちゃんが大好きになったの。」
そんな単純なことで琴子は薫の心を掴んでいたのかと思い、直樹は可笑しくなった。
「そんな優しい琴子ちゃんを泣かせる先生なんて、悪魔みたいだよ。」
「悪かったね。」
いつの間にか、直樹は薫とのやり取りを心から楽しみ始めていた。

「だから…琴子ちゃん、僕にちょうだい。悪魔と一緒にいるよりいいでしょう?」
突然何を言い出すのかと直樹は思ったが、笑顔を浮かべて即答した。
「だめ。」
「…やっぱり。」
薫は直樹の答えが分かっていたのか、冷静だった。
「先生より僕の方が若いよ?」
薫の言葉に思わず直樹は笑う。
「それでもだめ。」
「どうして?」
「…琴子ちゃんがいないと、俺がだめになっちゃうから。」
「…情けないなあ。」
「そうだな。情けないんだよ、俺は。…だから琴子ちゃんだけは誰にも渡せない。」
こんな幼児に何を正直に話しているのだろうと、直樹は苦笑しつつ答える。

「いいよ。僕が大人になったら琴子ちゃんを奪いに行くから。」
「君が大人になる頃、琴子ちゃんは皺皺のよれよれになってるかも知れないぞ?」
「ならないもん。琴子ちゃんはいつまでも、可愛いんだもん。先生が皺皺のおじいちゃんになっちゃえ。」
「皺皺のおじいちゃんになっても、琴子ちゃんは俺の傍にいるぞ?きっと。」
「…ふんだ。」
薫は少し疲れたのか、黙り込んだ。

「…じゃあ、違うお願いしていい?悪魔先生。」
「何?」
今度はどんなことを頼まれるのかと直樹は身構えた。
「僕を…天国にいるママに会わせて。」
その言葉を聞いて直樹は驚いた。哲也からは母親が亡くなったことは薫に言っていないと聞いていたからだ。
「冗談は…。」
直樹が言いかけたとき、
「知ってるの。ママが天国にいること。パパもおじいちゃんたちも言わないけれど。」
と、薫が言った。直樹は何も言えない。

「僕…先生にたくさん意地悪なことしたり、言ったりしたでしょう?だから絶対天国じゃなくて、先生に地獄に連れて行かれちゃうと思うんだ。地獄に行ったら、ママに会えないもん。」
「…俺は地獄へなんて連れて行かないよ。」
勿論天国にも、と直樹は思った。

「悪魔にお願いを聞いてもらうためには、心臓をあげればいいって、本に書いてあったの。」
ろくな本を読まないなと直樹は思ったが、口に出さなかった。
「だから僕の心臓を先生にあげるから、お願い聞いて?僕を天国へ連れて行って、そしてママに会わせて。」
「それは無理。悪魔の俺でもできない。」
直樹はキッパリと言った。
「先生、だめとしか言わないんだね。」
薫が口を尖らせた。

「君は地獄にも、天国にも連れて行けない、いや連れて行かない。君は手術を受けて、パパの元へ帰ってくるんだ。」
直樹は薫に顔を近づけて、厳しい調子で言った。
薫は直樹の真剣さに一瞬、ちょっとたじろいだ様子を見せたが、
「…帰れるの?」
と小声で訊いた。
「帰れるよ。」
直樹は断言した。それから、
「パパの元へ帰って、いっぱいご飯を食べて、大きくなって、琴子ちゃんを奪いにおいで。俺が相手になるから。」
と続けた。
「知らないよ…。琴子ちゃん取っちゃっても。」
「取れるもんなら、取ってみな。」
そして直樹と薫は顔を見合わせて笑った。

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☆あとがき
ラストあと一回!もう少しだけお付き合いしてくださると嬉しいです!
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