日々草子 天使と悪魔 13
FC2ブログ

プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

現在の御訪問者

現在の閲覧者数:

御訪問ありがとうございます

このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事

天使と悪魔 13

「私…もうこれ以上、入江くん…あ、旦那様の名前なんですけど、入江くんに嘘をつかせるの、辛くて。」
琴子は祖母へと話し始めた。
「嘘?」
「…私が赤ちゃんができないことを気にしていること、知ってるんです。だから子供は嫌いだなんて嘘ついて…。そんなこと絶対ないのに。苦手かもしれないけど、本当に嫌いなら小児外科のお医者さんになんてならないし、それに前、小学生に勉強を教えている時、とても楽しそうだったし。でも好きだって言ったら、私が傷つくことを知ってるから…。」
そこまで話すと琴子は涙をこぼし始めた。

「だからあいつに子供好きかって訊かれた時も、嫌いだって言ったんだけど。それが余計あいつを傷つけたんでしょうね。でも嫌いじゃないなんて言ったら、余計傷つきそうだったし。どっちにしても結果は同じだったんだろうな。」
屋上のフェンス越しに、遠くの風景を眺めながら直樹は言った。
「…もうこれ以上気を遣わせるのも辛くて。だからあいつが出て行くのも止められなかった。」
「それ、全部琴子ちゃんに話せばよかったのに。」
直樹は首を振った。
「話したところでどうなることか…。」
そしてまた溜息をついた。

「それ、ご主人に話したの?」
祖母の言葉に琴子は首を振った。
「話してもしょうがないし。これ以上気を遣わせるのはもう、私が辛くてしょうがないから。」
それを聞き、祖母は笑って言った。
「でも…あなたは話しても、きちんと返事をしてくれる人がいるでしょう?」

「話せる相手がいるだけ、いいと思うけど。」
哲也の思いがけない言葉に、直樹は振り向いた。
「俺、一人であいつ…薫を育ててるって知ってるよね?」
「ええ、まあ。」
「離婚したって知ってる?」
「知ってます。」
「それ、ちょっと違うんだよね。」
哲也は寂しそうに笑った。
「…離婚したのは事実なんだけど、それは無理矢理させられたんだ。」
その言葉に直樹は少し驚いた。

「あいつ…俺の別れた家内は、薫と同じ病気だったんだ。そんな体では子供を育てられないし。俺も今の職業に就いたばっかりで家を空けることが多かったからね。それで家内の親が俺と別れさせて、療養に専念させたんだけど…。」
そこまで話して、哲也は目を伏せた。が、すぐに上げ、
「結局、助からなかった。」
と言った。
「今でも後悔してるんだよね。どうしてあの時、俺が見るって言わなかったのかって。もうどんなに話したいことがあっても、話すことはできないし。」
そこまで話すと、哲也は直樹の肩を叩いた。

「でも…話す相手がいるって素晴らしいことなのよ?」
祖母は琴子の背中を撫でながら、優しく言った。
「私なんて…どんなに話し合いたくても、もう相手がいないのだから。」
その言葉を聞き、琴子は顔を上げた。
「二年のうち、殆ど戦争に取られていたから実質、結婚生活は一年あったかなかったか…。その間、いろいろと会話したけれど、あの人が亡くなった時、もっと色々話しておけば良かった、遠慮しなければ良かったって後悔したものよ。」
祖母は仏壇の写真立てを手に取り、静かに言った。
「あなたは幸せなのよ?話せる相手が傍にいるのだから。全部ぶつけられる相手がいるってことは本当に幸せよ?」
琴子は黙って写真を見つめていた。

数日後の夜、琴子が泊めてもらっている部屋で物思いに耽っていると、哲也の母が飛び込んできた。
「琴子ちゃん!あなた…結婚してたの!?」
「え!?」
「あなたのご主人だっていう人が下に来てるんだけど!」
琴子は慌てて玄関へと下りていった。
―――玄関には、直樹が立っていた。

「入江くん!?どうしてここが!?」
信じられないという感じで琴子が叫んだ。
「お前を迎えに来たんだよ。」
直樹が表情を変えずに言った。
「迎えって…。」
琴子の困惑を他所に、直樹は玄関に立っている哲也の両親に頭を下げた。
「妻がお世話になりました。ご迷惑をおかけしました。」
そして頭を上げ、琴子へ言った。
「荷物まとめて来い。帰るぞ。」
琴子は言うとおりにするしかなかった。

ゴロゴロとスーツケースを引いて歩く直樹の後ろを琴子は黙って歩いていた。
突然、直樹が立ち止まり、琴子の方を振り向いた。
「…悪かったな。」
突然の言葉に琴子はキョトンとした。
「え?」
「…辛い思いさせて、悪かった。」
「入江くん…?」
「ずっと一人で悩んでたんだよな。薄々気づいていたけど、何も言えなかった…。」
「そんな…。」
琴子は首を横に思い切り振った。
「私だって…入江くんに気を遣わせて、嘘つかせて…。」
そう言いながら、琴子は涙をボロボロとこぼし始める。

「だから…。」
そう言いながら、直樹は琴子を優しく抱き寄せた。
「もういいよ、我慢しなくて。全部言ってほしい。」
「うん…。あたしもごめんなさい。」
しゃくりあげる琴子を抱きしめながら、直樹は微笑んで、言った。
「…琴子。」
「何?」
「…お前、服洗えよ。」
突然の言葉に、琴子は顔を上げた。
「え?私、洗ってるよ!匂うの?」
そう言いながら袖を鼻に近づける。それを見ながら、直樹は言った。
「違うよ。俺の温もりが消えるのが嫌で服を洗わないというのは困るって思って。」
琴子は一瞬何のことだか分からなかったが、思い出したのか顔を赤くして叫んだ。
「あ!どこで聞いたの!?」
その琴子の口を直樹は自分の口で塞いだ。
そして離すと、笑顔で言った。
「何度でも俺の温もりはこうやってお前につけてやるからさ。だから服は安心して洗ってくれ。」

その夜、二人は長い時間をかけて話をした。
話題はいつかコウノトリに運んでほしい子供のこと。
琴子が顔は直樹そっくりがいいと言えば、直樹は琴子に似た方がいいと言った。
頭の出来と運動神経は、直樹に似てほしいと二人の意見が一致し、顔を見合わせて笑った。
性格は琴子に似てほしいと直樹が言うと、それでも少しは直樹の良さも受け継いで欲しいと琴子は言った。

「私ね…ずっとこうやって入江くんと話がしたかったの。」
ひとしきり話し終えると、直樹の胸の中で琴子は呟いた。
「…調べるか?」
直樹の言葉に琴子は頭を振った。
「ううん、いい。いつか来てくれるその日まで待つから。」
そんな琴子を直樹は力を入れて抱きしめた。
「いつか…来てくれるかな?」
「来るよ。いつか、必ず。」
二人は顔を見合わせて笑った。

----------------------------------------------
♪あとがき
すみません。これで終わりだと喜ばれた方…。
まだこの話、続きます。最終話ではないんです。ごめんなさいm(__)m。
キャラも崩壊しまくってるし…。

実は私は他のテキストを書かれる方に比べて、一回の文字数が半分程度なんです。
だから二回分で他の方の一回分なので、そんなに大量に書いているわけではないんです…エヘヘ
関連記事

 BLOG TOP