日々草子 大蛇森の接吻
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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大蛇森の接吻

アイネ・クライネ・ナハトムジークが聞こえてくる…。朝か。
僕はベッドの上に起き上がった。
僕の朝はモーツアルトで始まる。今日も優雅な一日の始まりだ。
僕の寝室の壁には、特注で頼んだあの人の写真パネルが飾られている。
「おはよう、入江先生。」
そして僕はパネルに口づけをする。もちろん、何度口づけをしても大丈夫なように、唇部分にはしっかりと、ビニールコーティングが施されている。

「おはよう!入江くん!朝だよ!」
琴子の声が聞こえる…。朝から元気がいい奴。
俺はうっすらと目を開ける。琴子の顔が目の前にあった。
「…おはよ。」
俺はベッドの上に起き上がる。…視線を感じる。
横を見ると、琴子がキスをしてもらおうと、目を閉じて待っている。
「何やってんだ?お前。」
「…おはようのキス。」
俺は相手にせず、洗面所へと向かう。

洗面所での僕は、まずモミアゲに巻いたカーラーを外す。このカーラーは毎晩かかせないものだ。何と言っても、このモミアゲは入江先生の居所をキャッチする、大切なレーダーの役割を果たす。これをきちんとお手入れをしないといけない。

「入江くんって、あんまり寝癖つかないんだね。」
琴子がタオルを俺に渡しながら言った。
「誰かさんと違って、俺は寝相が悪くないからな。」
タオルを受け取りながら、俺は琴子に返事をする。琴子の顔がプクッと膨れる。
…面白い奴。

僕の朝食はフレンチトーストに、ダージリンティーが定番だ。適度な糖分は、脳によく働くからね。天才脳神経外科医の僕が言うのだから間違いない。
僕は料理が得意だ。手際よく、フレンチトーストを焼く。もちろん、二人分。そうだ、今日はグレープフルーツも食べて行こう。
…そういえば、入江先生はどんな朝食を食べているのだろう?ひょっとして、あのチンチクリンが作っているのだろうか?どんな得体の知れない怪しい物体を食べさせられているのか…。ブルッ!寒気がする。
いや、待て。あのチンチクリンのことだから、きっと朝などグースカ寝ているに違いない。
だとしたら、お母上が作られた心のこもった朝食を食べているのだろう。うん、きっとそうだ。チンチクリンが作った料理などを食べていたら、今頃入江先生は、無事ではないはず…。

「琴子!何か焦げてる!それに味噌汁が煮立ってるぞ!」
俺と琴子がダイニングに入るなり、裕樹の叫び声が飛び込んできた。
「あ、いけない!火つけっぱなしだった!」
よくこの家が今まで無事に残っていたものだ。
「貸せ!」
琴子のおぼつかない手つきを見かねて、俺はグリルの方へ足を運んだ。
「裕樹、お前、味噌汁見ろ!」
「分かった!」
「あ、あたしは…?」
「お前はコーヒーの準備してろ!」
「はい!」
こうして俺たちはそれぞれの持ち場を担当し始めた。

フレンチトースト、紅茶、そしてフルーツと完璧な朝食がテーブルに並んだ。
あっと、あれを忘れるところだった。
僕は寝室へ行き、入江先生の写真の入った写真立てを取ってきて、そして僕の席の反対側のテーブルの上に置く。もちろん、僕の愛がこもった食事も写真の前にきちんと並べる。
ああ…。いつか本物の入江先生が僕の目の前の席に座って、僕の作った朝食を食べる日が来るのだろうか?そして、その時は「瞳、おいしいよ。」と言って微笑んでくれるだろうか…?いや、そんなこと恥ずかしくて想像できない!僕は思わずテーブルの上に、のの字を書いてしまう。
先生は朝食は和食と洋食、どちらがお好みなんだろう?今度リサーチしておかねば!

「オフクロがいない時は、トーストくらいでいいのに、何で和食なんて作るわけ!?」
裕樹が箸を運びながら、文句を言う。
「だって、入江くんは和食の方が好きだから…。」
琴子が弁明する。
「入江くん、味どう?おいしい?」
俺に助けを求めるかのように、琴子が俺に話を振る。
「味噌汁、しょっぱすぎ。飯、柔らかすぎ。」
俺は正直に感想を述べる。本人の為にならないからな。
「お前、味噌入れすぎなんだよ。飯は水加減をちゃんと守れ。」
「味噌汁さ、何とか味を直そうとしたんだけど、僕の手ではどうにもならなくなってた。」
裕樹も俺の意見に同調する。
「魚は…入江くんのおかげで食べられるね。」
何とか焦げも最低限に抑えることができた。
「お兄ちゃん、今度学会に発表しなよ。」
「何を?」
「失敗作の食事を食べ続けても、なぜ胃が無事なのかって。」
「…そうだな。」
「なんなら、僕の胃のデータも提供するから。」
「…ひどい。」
そんな会話をしながら、俺達三人は朝食を済ませていく。

さて、朝食も済んだことだし、後は着替えだな。
フフフ…。今日、僕が執刀する手術は入江先生が見学するんだ。勝負服にしないと。
…このスーツと、ネクタイにしよう。
爪もばっちり。昨日、ネイルサロンに行ってお手入れしてきたばかり。何たって手元は重要。本当はハート模様のネイルアートなど施して、先生に僕の気持ちをさり気なくアピールしたいところなんだけど、職業柄、それはご法度。結局、磨きに磨きこむだけにした。
でも、磨いた甲斐あって、ピカピカだ。今日の僕は頭の先から爪先まで、決まってる!

「入江くんって、西垣先生みたいにスーツで出勤しないよね?」
琴子が俺が着替える様子をみながら言った。
「どうせ上から白衣を着るし。それに手術になったら全部着替えて、手袋まではめるんだぜ?何着たって同じだろ?」
「それも、そうだね。…あ、今日手術入ってるの?」
「大蛇森先生の手術。」
「えー!?気を付けてね。」
「何に?」
「大蛇森、手術中に入江くんに変なことして来ないよね?」
別に手術室にあの人と二人っきりというわけではない。それに目の前に頭の中を開いた人間が横たわっている傍で、襲ってきたりはしないだろう。…多分。

あ、そろそろ家を出ないと。今日は入江先生も日勤だから、一緒に病院に入りたい。先に到着して、先生が来るまで、繁みに隠れていようか。そうしたら、確実に一緒に入れるし。偶然を装って。
そんなことを思いながら、僕は玄関で靴を履く。
あ、いけない。お出かけのキスを忘れていた。玄関にも、寝室ほどではないが先生の写真が置いてある。この写真にキスをして出かけるのが、僕の出勤前のちょっとした儀式。

「じゃ、行ってらっしゃい!」
今日は一日休みの琴子が、俺を送りに門扉の所までついてきた。
「琴子。」
俺は門の外に一旦出て、琴子の方を振り向く。
「何?忘れ物?」
門扉の上から、俺は琴子の唇に軽くキスした。
「行ってきます。」

あとがき
ちょっと久し振りに書いてみた大蛇森シリーズ。
こんなの、表に出していいのか、迷ったんですけれど。
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