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2009.04.08 (Wed)

天使と悪魔 10


【More】

直樹は一瞬、琴子の口から何が出たのかが分からなかった。
「今、何て言った?」
つい聞き返した。
「別れようって言ったの。」
どうやら本当に言ったらしい。
「何で?」
とりあえず、理由を聞こうと直樹は思った。
「入江くんのことが大好きだから。」
琴子の口にした理由を聞き、直樹はますます謎に包まれた。
「意味が全く分からないな。」
率直に自分の気持ちを口にする。
「俺のことが好きなら、別れたくないって思うのが普通じゃないのか?」
「うん、普通はね。」
琴子は真剣そのものだ。自分が何を言っているのかが分からないという感じではない。
「でも…今のまま一緒にいていいのかなって思うから。」
いつものように泣きながら不満不平をぶつけてくるわけでもない、冷静な琴子に完全に直樹は困惑していた。

「…じゃ、好きにすれば?」
本心とは違うことを口にしたのも、そう言えば泣き叫ぶだろうかと思い、そうすればもっと琴子の本心が分かるかと思ったのだった。
「うん。そうする。とりあえず、少し距離を置きたいの。私は明日休みだから、荷物まとめてここ出ていくね。」
琴子はあっさりと直樹の言葉を受け入れてしまった。
「どこ行くんだよ?」
ここには知り合いはいない。泊めてくれる場所もないはずだ。
「どこか…安いホテルでも探す。」
「分かった。」
どうやら本気らしい。琴子の好きにさせるかという思いと、どうしていいのか分からない思いで直樹は琴子の望みを受け入れざるを得なかった。

翌日、出勤した直樹を見送った後、琴子はさっさと荷造りをし、マンションを後にした。
「…どこに行こう?」
ホテルといっても、どこが安いのかも見当がつかない。
琴子は荷物を手に、公園のベンチに座った。
「好きにすれば…って、言われたな。」
昨夜の直樹の様子を思い出し、琴子は溜息をつく。
「止めてほしかったわけではないけれど…。最後までこんな関係か。」
噴水をしばらく見つめていると、肩を叩かれ琴子は顔を上げた。
「哲ちゃん!」
そこには哲也が立っていた。
「今日は休み?」
琴子の隣に腰を下ろしながら哲也が尋ねた。哲也の目に、琴子の傍に置かれたスーツケースが目に入った。
「…旅行にでも行くの?」
旅行に行くのなら、こんな所で座っているわけはない。それは哲也にも分かっている。
「あ、えーと…。」
どう誤魔化そうかと琴子は必死で考えた。
「あの…住んでいたマンションが水漏れしちゃって。それでしばらくどこかに避難しないといけないんだけど、ホテルを探そうにもどこがいいのか分からなくて…。」
琴子の話を黙って聞いていた哲也は、
「それなら…家に来る?」
と口にした。

「まあ!琴子ちゃん!」
哲也の家は哲也の両親、それに祖母がいる家だった。どうやら祖母の面倒を見る為に、哲也が大学生の頃、両親はここに越してきたらしい。
「お久しぶりです。おじさん、おばさん。」
懐かしい顔ぶれと再会でき、琴子は嬉しかった。
「すっかり大人っぽくなっちゃって…。」
と哲也の母が溜息をつけば、
「最後に会ったのは…琴子ちゃんが引っ越した時だから高校生の時だな。」
と哲也の父が懐かしそうに目を細める。
「それが看護師さんになって、私らの孫の面倒を見てくれているとは…。」
いつまでもいてくれて構わないと、両親も初めて会う哲也の祖母も琴子を歓迎してくれた。

その晩の夕食は琴子のために御馳走を作ってくれ、賑やかだった。琴子も父の近況などを問われるままに話す。
「琴子ちゃん、そろそろ結婚する年齢よね?」
哲也の母が聞いてきた。
「ええ…まあ。」
琴子は曖昧に答える。
「誰かいい人いないの?」
「いや…なかなか…ねえ?」
困る琴子に哲也が助け舟を出した。
「看護師さんは仕事が忙しいんだよ。男と遊んでいる暇はないんだよ。なあ?」
「そうよね。大変なお仕事よね。」
哲也の母が納得する様子を琴子は複雑な思いで見ていた。

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☆あとがき
本当にすみません!ワンパターンで!!!
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