日々草子 天使と悪魔 9
FC2ブログ

プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

現在の御訪問者

現在の閲覧者数:

御訪問ありがとうございます

このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事

天使と悪魔 9

琴子は今日一日一緒にいた親子の気持ちを考えると、とてもそんな気分になれなかった。
「…あ、そ。」
直樹は琴子を抱いていた手を離した。
「…入江くん。」
琴子は直樹の方を見ずに、名前を呼んだ。
「入江くん、子供嫌い?」
ベッドに横になった直樹は、琴子に拒否されたショックと、昼間の看護師たちの噂の影響から、
「苦手。好きじゃない。」
と、つい答えてしまった。
「…そっか。」
琴子はそれだけ言うと、畳んだタオルを洗面所へと運ぶため、部屋を出て行った。

数日後、琴子は哲也から動物園で撮った写真をもらった。
「よく撮れてる!さすがプロは違う!」
琴子は薫と二人で写った写真を見て、褒めちぎる。それは本当によく撮れていた。
「…可愛いね。子供って。」
琴子の言葉に、
「可愛いけど苦労も多いよ。あ、あいつが病気だから言ってるわけじゃないからね。」
と哲也が言った。
「分かってる。」
家に戻った琴子は、その写真をベッドの下、薫から貰った絵と一緒にしまった。

「見て見て。」
薫が直樹が写真を見せていた。その写真は、哲也が琴子に渡したものと同じ写真で、薫と琴子が満面の笑顔で写っている。
「僕の宝物にするの!パパが撮ってくれた、僕と琴子ちゃんの写真!」
心底嬉しそうに薫は言った。
「動物園でね、僕話しかけられたんだよ。パパとママと一緒でいいねって。」
無邪気に話す薫を見ながら、直樹は少々複雑だった。
「でも、琴子ちゃんはママじゃないからね。」
そこで「琴子ちゃんがママになってくれればいいのに」という言葉が出るものだと思っていた直樹は拍子抜けした。やはりこの小さい悪魔の考えている事は理解不能だ。
「てことは、今夜あたり琴子からも同じ写真を見せられるってわけか…。」
その時はどう反応すればいいやらと直樹は思っていた。

が、何日経っても琴子は写真を直樹へ見せる気配はなかった。
それどころか、薫の話は全く家ではしなくなった。それだけではなく、あの拒否された夜から琴子は大人しくなっている。
話せば普段通りなのだが、何か余計なことを口にすまいと気を遣っている様子がありありと伝わってくる。

そんなある日、病院の外来で直樹は琴子を見かけた。勤務中なので制服姿だったが、遠くを見つめるような感じで立っている。
話しかけようかと思ったが、何だか思いつめた琴子の様子にかける言葉が見つからない。
暫くすると、琴子は仕事へと戻って行った。

「…何か俺に見せたいものがあるんじゃないの?」
とうとうしびれを切らした直樹が、琴子へ切り出した。
「別に何もないよ?」
琴子は突然何を言い出すのかといった風に直樹を見た。
「たとえば…写真とか。」
「写真?何の?」
どうやらしらを切っている訳ではないらしい。
「あのガキから見せられたんだけど。動物園での写真。」
それを聞き、琴子は「ああ」という表情を見せた。
「見せてもらったんだ。」
「てっきり、お前も浮かれて俺に見せるだろうと思ってたけど。」
「別に。見たんならいいじゃない。」
とりつくしまのない琴子の態度に、直樹は戸惑い始めた。こんな態度を取られるのは初めてかもしれない。
「…お前、何か俺に言いたいことがあるんじゃないのか?」
病院で見かけた琴子の様子を思い浮かべながら、直樹が尋ねた。
「何もないよ。」
琴子の返事は素っ気ないものだった。
「最近おかしいよな?」
顔を覗き込む直樹に、琴子は首を振る。
「全然。普通。」
どう見ても普通じゃない。

「ねえ。入江くん。」
今度は琴子が直樹の目を見つめて、話しかけてきた。
「この間、子供が好きじゃないっていった話…本当?」
突然話題が変わり、直樹は面食らったが、答えた。
「本当。」
「嘘だよね?」
「嘘じゃない。苦手。好きじゃない。」
琴子は直樹の目を見つめたが、やがて琴子は目を伏せた。
「…わかった。」
直樹の苛立ちは頂点に達し始めた。
「俺にはさっぱりわからないね。お前が俺に遠慮している理由が。」
琴子はしばらく俯いていたが、やがて顔を上げると直樹に言った。

「入江くん…。私たち、別れよう。」
関連記事

 BLOG TOP