日々草子 それは後光か逆光か
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事

「ただいま!」
「あ、啓太!お帰り!」
婆ちゃんが迎えてくれた。
今日は土曜日。そして、俺は大学受験を終え、後は結果を待つだけという日々だった。
そして、俺は受験勉強の間、なまってしまった体を動かしたくて、午前中に学校へ行き、サッカー部の後輩たちと汗を流してきたのだ。

「啓太、帰ってきて早々、悪いんだけどね。」
婆ちゃんが申し訳なさそうに声をかけた。
「ちょと保健所まで一緒に行ってほしいんだよ。」
「保健所?何かやってるの?」
俺の問いに、婆ちゃんはチラシを渡すことで答えた。
“無料の血圧・脈拍測定”
どうやら区の主催で行われているらしい。うちから保健所までは、俺の足では大したことないが、杖をついている婆ちゃんにとってはちょっと遠い。
「いいよ。着替えてくるから、ちょっと待ってて。」
俺は、婆ちゃんに付き合うため、急いで二階へ着替えに行った。

「婆ちゃん、何、それ?」
歩きながら俺は婆ちゃんが大事そうに手に持っている物について尋ねた。
「これかい…?フフフ。着いたら分かるよ。」
婆ちゃんは笑うだけで答えてくれない。

婆ちゃんの足に合わせて、30分ほど歩くと保健所に到着した。
保健所の入口に入り、会場へと入る。
「な、何だ!?こりゃ!?」
俺は思わず声を上げた。
まるでここはネズミの国かと思わんばかりの行列ができている。しかも、
「こちらのブースは1時間半待ちです!」
と拡声器を持った職員が声を張り上げている。
「隣のブースもご利用下さい。」
「空いているブースからお並び下さい。」
職員の声もむなしく、行列はどんどん増えていく。

「婆ちゃん、あっちが空いているらしいよ。」
俺は空いているブースへ婆ちゃんを誘導しようとした。
しかし婆ちゃんはサッサと行列をめがけて歩いて行ってしまう。仕方なく俺も後を付いて行く。すると、行列の最後尾に「こちらが最後尾です」と、とても血圧測定の場ではお目にかかれない看板まで出ていた。
「ここにするの?」
俺は婆ちゃんに訊いた。
「そう。ここがいいんだよ。」
婆ちゃんはどうやら1時間半並ぶ気らしい。俺はあきらめて、付き合うことにした。

「おや、カモちゃん!」
婆ちゃんに声をかけたのは、近所に住む杉田さんというお婆ちゃんだ。ちなみに婆ちゃんは「鴨狩」という名字から、「カモちゃん」と呼ばれている。
「杉ちゃん、終わったのかい?」
「終わったよ。」
「何を持って行った?」
「あたしはとっておきの栗羊羹。カモちゃんは?」
「あたしは名月堂のお饅頭だよ。」
何の会話をしているのだろう?確かに婆ちゃんは名月堂の袋をずっと持っている。
「おや、杉ちゃん、ご主人も一緒かい?」
杉田さんは旦那さんも一緒だった。
「そうなんだよ。うちのばあさんが、触ってもらえるだけで寿命が二十年延びるって言うからさ。」
旦那さんが言った。
「あたしなんて、ドキドキしちゃっていつもより血圧が高くならないか、心配だよ。」
婆ちゃんが言う。何の話かさっぱり分からない。

「何なの、一体?そろそろ教えてくれない?」
杉田さん夫婦が行った後、俺は婆ちゃんに訊いた。
「啓太、今日血圧とか測ってくれる人、どんな人か知ってるかい?」
知るわけない。さっきチラシを初めて見たんだから。
「医学部の学生さんなんだよ。」
医者かと思ってたら、学生だったのか。てことは、医大生の授業の一環かな?
「でね、シルバー会に入った情報によると、今日来ている学生さん、ものすごいいい男らしいんだよ。」
…成程。どうりで血圧が高くなると心配しているわけね。幾つになっても、婆ちゃんも女なんだね。
「でも無料なんだろ?何で名月堂のお饅頭やら栗羊羹がいるの?」
「そりゃ、あんた、少しでも顔を覚えて欲しいじゃないか。」
そう言うと、婆ちゃんは頬をピンク色に染めた…。

行列が少し進んだ。背延びすれば測定が行われているテーブルが見えるはず、だった。
しかし、テーブルの上には婆ちゃんたちと同じ考えと思われる人たちが置いて行った、かりんとうや、饅頭、団子等の地味な包みが、高く積み上げられている。その上、測定を終えても、その学生を囲むようにして、年を重ねた乙女たちが立っているため、俺の目には学生の顔が見えなかった。

そのうち、婆ちゃんは前に並んでいる人と話が弾み出した。俺は退屈になったので、婆ちゃんに断りを入れ、ちょっと会場をぶらつくことにした。

「君、ちょっと。」
俺は誰かに呼び止められた。誰だろうと、キョロキョロしていると、
「こっちだよ。」
更に声がした。
振り返ると、青白い顔をして眼鏡をかけた男の人がいた。どうやらここも測定ブースらしいが、彼の前には誰一人並んでいない。
「俺ですか?」
念のために確認する。
「そう、君。」
眼鏡は俺を手招きした。俺も彼に近寄る。
「血圧と脈拍、測ってあげるよ。」
「あ、でも、俺、60歳以上じゃないんですけど…。」
今日の測定は、60歳以上を対象にしている。
「構わないよ。どうせ暇だし。それに何もしないで単位をもらうのは気が咎めるからね。」
眼鏡はそう言った。…真面目な人だ。楽して単位がもらえてラッキーとか考えないらしい。
俺も暇だったので、眼鏡の言葉に乗ることにした。

「はい、血圧…うん、異常なし。脈も正常。」
何もないので、測定はあっさりと終わった。測定方法も問題なかった。どうせならこちらに並んだ方が早く終わるのに。
「あの…。」
俺は眼鏡に訊いてみた。
「ここは空いているんですね。」
ストレートに尋ねてしまった俺も俺だ。つい口が滑ってしまった。だって、一人もいないっておかしいだろう?男まであっちに並んでいるんだから。
「…君まで、僕のことを二番だって笑うのか?」
いきなり眼鏡がブルブルと震え始めた。
「に、二番…?」
何が二番?意味が全然分からない。
「いつも注目されるのはあいつなんだよ!今日も明日も明後日も!」
何だか怖いので早々に俺は退散することにした。この人、医者には向いていないと思う。誰も並ばない理由が分かった気がした。

「啓太!」
会場の隅っこで立っていると、測定を終えた婆ちゃんが来た。気のせいか、顔がツヤツヤしている。
「終わった?」
「終わったよ。いや、この世にあんな綺麗な人がいるんだね。生き神様だよ。ありがたや、ありがたや。」
婆ちゃんはまだ人だかりのある“生き神様”に向って、手を合わせた。
「じゃ、帰る?」
「ちょっと待っておくれ。太吉さんと今度のゲートボールの試合について、ついでにちょこっと話してくるから。」
そう言うと、婆ちゃんは太吉さんの元へ行ってしまった。

また一人になった俺は、大学受かっているかなあとか、斗南の看護科落ちたら、予備校通いかあとか、ちょっと不安なことを次々と考えていた。合格発表は来週だ。
「君、あのおばあさんのお孫さん?」
考え事に夢中になっていた俺に、白衣の人が話しかけた。
「え?」
俺は顔を上げたが、ライトが逆光になっていて、話しかけた人の顔が見えない。
「あのおばあさん。」
その人の言う方向には、確かに婆ちゃんが太吉さんと話している。
「あ、はい。」
「君のお婆さん…。」
「何か、御迷惑でも?」
俺は婆ちゃんが浮かれたあまりに、色々しでかしたのではないかと心配になった。
「いや。脈がちょっとおかしかったんだよね。」
「え!?」
俺は驚いた。婆ちゃんはあの通りピンピンしている。
「念のため、病院で検査を受けてもらった方がいいと思う。」
信じられない!あんないい年して若い男に恋い焦がれていても、大事な婆ちゃんに変わりはない。
「分かりました!ありがとうございます!」
俺はその人に頭を下げた。月曜にでも病院へ連れて行こう!

その後、病院にて婆ちゃんの心臓にちょっとした異常が見つかり、それからの鴨狩家は大騒ぎだった。
早い発見のおかげで、婆ちゃんは手術を受け、無事だった。

「…啓太。」
間もなく退院という頃、病院に来た俺に向って、婆ちゃんは言った。
「こんな目に合ったのって、生き神様にヤキモチを妬いた天国の爺さんが、私を呼び寄せようとしたのかねえ。」
この期に及んで口の減らない婆ちゃんだ。
「そんなことないよ。」
俺は落ち込む婆ちゃんを慰めた。
「あの生き神様…。」
婆ちゃんは続けた。
「もし私が生き神様と再婚したら、啓太はあの人を新しいお爺さんと認めてくれるかい?」

「アンタのお婆ちゃん、最高!」
幹は俺の話を聞き終えて、腹を抱えて笑い転げた。
恒例となった幹とのポーカー勝負、俺は今日も負け罰ゲームをさせられている。今日のテーマは「助かった話」だ。
「で、お婆ちゃんは、その“生き神様”と再婚されたの?」
「んなわけないだろ!」

ちなみに、シルバー会の驚くべき情報ネットワークにより、その“生き神様”は新婚ホヤホヤだということが判明したらしい。シルバー会の女性の皆さんは全員ショックで、1週間ほど、大好きなゲートボールに出てこなかったとか。

「お婆ちゃん、今もお元気なんでしょう?」
幹が涙を浮かべながら訊いた。
「元気すぎてさ。この間なんてシルバー会でハワイ旅行に行って、ムームー着てフラダンス踊ってきたよ。」
「いいじゃない。それもこれも、みんな“生き神様”の御利益よ。」
幹がまだ思い出したのか、ゲラゲラ笑い始めた。

「ところで、アンタにお婆さんの脈のことを教えてくれた人って“生き神様”だったの?」
「…脈に触んなきゃ、分からないからな。多分そうなんだと思う。」
「で、お婆さんの言うとおりの顔だったの?」
「だから、逆光でよく見えなかったんだよ。」
「それ、逆光じゃなくて、後光じゃないの?」
「そしたら、本物の神様だよ。んなわけない。」
俺はそう言って、話を締めくくった。

ちなみに、婆ちゃんは、今でも朝起きた時と、夜寝る前にいつも仏壇に向かって“生き神様、ありがとうございます”と手を合わせている。

あとがき
また書いてしまった高校生の啓太です。
とうとう、神にまでしてしまいました(笑)
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コメント

相変わらず後光のさしたる水玉さんの作品!!
それにしても、これだけの材料がそろっていて、まったく気づかずに話をしている、啓太と幹ちゃん・・・・
幹ちゃんとあろうものが・・・・┗(;´Д‘)┛きっと、はなから、想定外すぎて、候補にも挙がらないんだろうねぇーー。いつか気づいたときって言うのも見てみたい気もするなぁww

「大蛇森シリーズ」のみならず、「啓太シリーズ」まで作ってしまいましたね~。「イタズラなKiss」の主役が誰だったのか、わからなくなってしまいそうです(笑)

入江くん神の領域に達してしまいましたねぇ~^^♪大蛇森シリーズ&啓太シリーズ大好きです♪今度後夜祭でー緒に絵チャして下さあい><

啓太とおばあちゃんネタってスキだわ
うんと、ブログまで作ってもらったのに、まだ要求しちゃう私
カテゴリーに是非!全キャラのシリーズをplease

さすが入江くん!幅広いファン層ですね。
天才入江くんにかかったら、病気もあっという間に
見つけてしまうのですね。

爆笑です!

いや~水玉玉さん、毎回発想が素晴らしいです☆
入江くんが診てくれるなら私も何時間でも並ぶわあ~~(●^o^●)

コメントありがとうございます!

ヒロイブさん
そうですよ!いい加減気づけ、二人ともって言いたくなりますよね(笑)

たまこさん
啓太シリーズっていえるほど、書けているかどうか(笑)
でもありがとうございます!

あャかさん
私の方こそ絵チャでお会いできることが楽しみです。
あャかさんの絵も見たい…。

さあやさん
全キャラ!?(笑)肝心のメイン二人の話がなかなか書けなくて、悩んでいるから、サブキャラに逃げているだけなの~(笑)

chieさん
書いていて、トヨばあちゃん思い出しました。
女性はいくつになっても、素敵な男性に弱いのかも…。

haさん
何時間も並びますか(笑)?
…私も並びますよ(笑)

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