日々草子 彼が写した風景
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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彼が写した風景

「琴子、先に外に出てるよ。」
理美の声に、「分かった」と返事した。
そして十五分後、琴子は外に出た。が、外で待っているはずの理美とじんこの姿はなかった。
「あれ?」
辺りを見回しても、二人がいる様子はない。
「どこに行っちゃったの…?」
仕方なく、琴子は二人を探しながら歩き始めた。

しばらく歩くと、直樹と渡辺の後ろ姿が目に入った。すかさず、琴子は声をかける。
「入江くん!」
琴子の声に、二人が振り返った。
「あ…琴子ちゃん?」
渡辺が驚いて目を見張る。
「へえ!舞妓になったんだね!」

そう、ここは京都の映画村。修学旅行でここを訪れた琴子は理美たちと三人で舞妓の扮装に挑戦したのだった。
「よく似合ってるよ!可愛いね!」
渡辺が直樹の方を見る。直樹は無表情のままだ。
琴子は渡辺に誉められて、嬉しかったが、直樹からも何か一言を言ってほしそうな顔をしている。
そんな琴子の表情から何かを察したのか、渡辺が直樹に言った。
「こんなに可愛いんだからさ、入江、襟替えしてあげたら?」
直樹が無言で渡辺の方を睨んだ。琴子は渡辺の言葉の意味が分かっていない。

「俺たちも何かに扮装しようか?あ、お前、越後の縮緬問屋のご隠居とか…。俺、風車の弥七になるからさ。」
渡辺の言葉に、直樹はまた睨むことで返事をした。
「でも、琴子ちゃん、一人?」
「みんなとはぐれちゃって…。」
琴子が困った顔をした。
「なら、俺たちと一緒に行動しようよ。いいだろ?入江!」
渡辺が提案した。
「本当!?」
琴子が嬉しそうな表情をする。もはや、断れない状況に自分が置かれていることを直樹は悟った…。

直樹と渡辺、その後に舞妓姿の琴子が付いていくという形で、三人は映画村を歩いていた。
「あっ!今、水戸黄門がいた!」
渡辺が叫んだ。
「弥七、いるかな!ちょっと見てくる!」
「おい、渡辺!」
直樹の声も聞かずに、渡辺は走って行ってしまった。
「ったく…。」
半分怒り、半分呆れた表情をした直樹は、琴子を振り返った。
琴子も困った顔をしている。
「あの…入江くん。」
「何?」
「入江くんも、水戸黄門が見たければ、行っていいよ…。」
「見たくねえよ!」
直樹は言い捨てると、スタスタと歩き始めた。

「入江くん、お土産買った?」
琴子が後ろから話しかける。
「まだ。」
「私、お父さんとおじさんには八ツ橋買って、おばさんには京人形にしようかと思うんだけど。」
「あ、そ。」
「裕樹くんは、京都タワーの置物か、京都のペナントのどちらがいいかな?それとも木刀の方が喜んでくれるかな?」
「…知らね。」
そんな調子で二人は歩いていた。

やがて、うるさいくらいに喋っていた琴子の声が聞こえなくなった。
直樹は不思議に思い、後ろを振り返った。
少し離れた所で、琴子がうつむいている。
しょうがないな、と直樹が琴子の方へ戻った。

「どうした?」
「入江くん…。草履の鼻緒が…。」
見ると、草履の鼻緒が切れている。
直樹は溜息をつき、琴子の前にしゃがんだ。
「入江くん?」
「草履脱いで。で、足を俺の膝の上に乗せて。」
驚きながらも、琴子が直樹のいわれたとおりにする。
「バランスとれなかったら、俺の方に掴まって。」
琴子は素直に、直樹の方に手を置いた。
直樹はポケットからハンカチを出し、鼻緒をすげ始めた。
「ほら。」
鼻緒をすげ終わった草履を、琴子の足元へ置く。
「すごい!入江くんって、本当に何でもできちゃうんだね!」
草履に足を入れながら、琴子が感嘆の声を上げた。

「ありがとう!入江くん!」
草履を履き、琴子が顔を上げた瞬間、シャッター音がした。
「え!?」
琴子の目に映ったのは、デジカメを構えた直樹の姿だった。
「今、撮った?」
「別に。」
「と、撮ってくれるならちゃんとポーズを取るから!いや、どうせなら、入江くんとツーショットを…。」
直樹の腕にしがみつく琴子の背後から、
「琴子!」
というじんこの声がした。
「バカ友の皆さんが迎えに来たみたいだぞ。」
そう言うと、直樹は名残惜しそうにしている琴子を置いて、さっさと歩いて行ってしまった。

「悪い!入江!」
その後、直樹は夢中で水戸黄門のロケを撮影している渡辺の姿を見つけた。
「見てくれよ!いっぱい弥七の写真が撮れたよ!見る?」
「…いや、いい。」
はしゃいでデジカメを操作している渡辺の姿を、直樹は呆れて見ていた。
「あれ?お前も何か撮ったの?」
直樹が手にしているデジカメを見て、渡辺が尋ねた。
「どこかいい風景があった?」
「え?」
「だって、お前、人物は絶対に撮らない、撮るのは風景だけだって言ってたからさ。」
「…別に。」
直樹はデジカメをしまった。そして、
「なあ、弥七の写真、やっぱり見せて。」
と、自分が全く興味のない話題を振って、渡辺の気を逸らせ始めた。

あとがき
二人が高校生の時のお話をまた書いてみました。
書けば書くほど、渡辺くんをおかしな方向へ持って行ってしまう…(笑)
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