日々草子 恩師 5
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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恩師 5

「そうそう、一つ聞いておきたいんだけれど…。」
「何でしょう?」
直樹は何が聞きたいのだろうと思った。
「君の奥さんってどんな人?」
「は?」
また唐突な質問だ。この質問形式にもずいぶん困らせられたなと、今思うと、直樹は懐かしい。
「いや、君みたいな天才で、男前で、クールで、近寄り難くて、人間嫌いな男が選んだ奥さんってどんな人だろうか、前から聞きたかったんだよね。やっぱり才色兼備なのかな?」
何だか誉められているのか、けなされているのか分からない。
「僕の妻は、勉強もスポーツも苦手で、うまくできるものは何かあるのかと言いたくなるくらい、いつも失敗ばかりしている人間です。」
「おいおい…。」
直樹のあまりの言いように慌てて教授が止めようとする。
「でも、妻は今まで僕の知らなかったたくさんのことを教えてくれました。」
直樹の言葉に、教授は「ほう?」と身を乗り出した。
「教授のおっしゃった通り、僕は数年前まで全く他人に関心を持たない人間でした。」
直樹の言葉に、教授は興味深く耳を傾け始めた。

「幼い頃から勉強もスポーツもそれなりにできて、たくさんの人間が僕に近寄ってきました。でも僕は知っていたんです。彼らが僕に近寄るのは、僕が優秀だからだということに。僕の外見だけが目当てなんです。だから僕の本性を知ると、さっさと離れていきました。だから僕は人間なんてうわべだけの付き合いだ、絶対深く人に関わるまいと思って生きてきました。」
幼い頃の苦い思い出を振り返りながら直樹は話した。

「そんな僕の外見を見て“好きだ”と言ってくる女性は結構いました。でも僕は恋愛というもの自体が馬鹿馬鹿しかったので、ことごとく断ったんです。それも相手を全く思いやることのない冷たい態度で。今思うと、自分でもひどいことをしたなとは思いますけどね。」
琴子に出会うまでの自分を思い出しながら、直樹は話を続ける。
「…そんな僕の目の前に、ある日突然現れたのが、妻でした。」
直樹は、ラブレターを差し出した時の琴子の顔を思い出す。

「ちなみに、一番ひどい返事をした相手は妻でした。」
「ひどい返事って?」
「“頭の悪い女は嫌いだ”と言ったんです。」
「それはひどすぎる…。」
さすがに教授も言葉を失くした。

直樹はそこまで話すと、コーヒーを口にした。

「妻も僕の外見だけを見て好きになったことは一目瞭然でした。だから、こいつもどうせ僕の本性を知れば、すぐに逃げていくだろう、自分が描いていた理想の人物でないことに気づけば僕のことを嫌いになるだろうと思っていたんです。」
直樹は話を続ける様子を見て、前田教授は、直樹が目の前の自分を見ているのではなく、どこか遠いところを見ていることに気付き始めた。

「だから遠慮なく、彼女には平気で冷たく接しました。さっさと僕の目の前から消えてほしかったから。だけど、僕にどんなひどい言葉を言われても、彼女は逃げるどころか、すぐに笑って、僕に話しかけてくるんです。僕が相手にしなくても、周りから何を言われても、僕の姿を見つけると追いかけてきました。」
教授は笑顔に戻って直樹の話を聞いている。

「そのうち、彼女と一緒にいるのが当たり前のように思えるようになってきました。結局彼女の術策に嵌ったのは僕だったんです。」
「奥さんの方が一枚上手だったんだ。」
「認めたくないですけどね。」
直樹はちょっと笑った。

「退屈していた僕に、“頭がいいんだから、その頭脳をたくさんの人に役立てろ”と言ってくれたのは妻です。そして、人と関わることの楽しさも教えてくれたのも彼女でした。僕自身も気づいていなかった本当の僕を教えてくれたのも妻です。」
「本当の君?」
「普通の人間が持つ怒りとか、悩むとかそういった感情が自分にもあったことです。一番驚いたのは、自分の中に、自分が一番軽蔑していた恋愛感情というものがあったことですね。それを教えてくれた彼女と僕は結婚しました。だから、僕が本当の自分でいられるのは、妻が傍にいるからなんです。教授と同じように、今こうして僕がいるのは妻と出会えたからです。」
「すごい奥さんだね、君の奥さんは…。じゃあ、尚更君は奥さんと一緒にいないとね。」
教授がコーヒーのおかわりを注ぎながら、言った。

「君が奥さんを誇りに思ってることがよく伝わってきたよ。」
「ええ。僕は妻を誇りに思っています。胸を張って世界中の人間に自慢できる最高の妻です。」
「君でものろけることがあるんだね。」
教授はそう言って、笑顔で直樹を見つめた。

「…少し、教授に似ているかもしれません。」
「えっ?」
教授が直樹の言葉に少し驚いた顔を見せた。
「妻です。教授を見ていると、妻を思い出します。」
唐突な質問の仕方、コーヒーの味、そして子供とすぐ仲良くなる明るいところ、今思うと、前田教授は琴子をどこか思い出させる。
教授は大笑いした。そして直樹に言った。
「そりゃ、すごいや!じゃ、僕と気が合うかもなあ。あ、そうそう入江先生。」
「はい?」
「君、今、奥さんのことを話しているとき、僕が今までみたことのない、とっても優しいいい笑顔だったよ。その笑顔で患者に接すればいいのに。」

「…それは無理ですね。」
直樹の言葉に教授は不思議そうな顔をした。

「この笑顔は、僕が妻だけに与えた特権ですから。」

その言葉に、教授は笑った。そして言った。
「まあ、その笑顔はあんまり人前でしない方がいいかもしれないしね。」
笑えって言ったのは教授じゃないかと直樹は思ったが、
「僕の笑った顔、どこか変ですか?」
と、真剣に尋ねた。
「いやいや、今の君の笑顔きれいすぎて、患者の前とはいえ、奥さんが見たら嫉妬するだろうから。だから今の笑顔はやっぱり奥さんだけの特権にしておくといいよ。」
直樹は珍しく声を立てて笑った。教授も一緒になって笑った。

「それから、入江先生。もう一つ約束してほしいんだけれど。」
教授は笑いが残ったまま、直樹に言った。
「今度、君と会う時は、必ず君の奥さんも一緒に連れていらっしゃい。君の自慢の奥さん、僕たち夫婦に必ず紹介すること。」
「わかりました。必ず、妻を紹介します。」
直樹は力強く約束した。
直樹が部屋を出る時、教授はいつものセリフを言った。
「入江先生。スマイルね!!」
笑えと言ったり、笑うなと言ったり、忙しい教授だと直樹は苦笑して部屋を出て行った。

「…くん!入江くん!!」
琴子の声に、直樹は思い出の中から現実に呼び戻された。
「ごめんね、遅れちゃって。どうしたの?何か考え事?」
ああ、琴子と待ち合わせをしていたんだと直樹は思い出した。
「いや…。ちょっと昔を思い出していた。行こうか。」
「うん。」
直樹は席から立ち上がって歩きだした。琴子が途中、足をふらつかせる。
「どうした?」
「久し振りにヒールの高い靴履いたから、うまく歩けなくて…。」
恥ずかしそうに笑う琴子はフォーマルファッションに身を包んでいる。直樹も同様だ。
「ったく、ほら。」
直樹が琴子へ腕を差し出した。腕につかまれという意味だと琴子は分かり、嬉しそうに自分の腕を直樹の腕へからませた。
「ありがとう!」
2人は目的の場所へと歩いて行った。

「あっ、あそこだね!」
琴子が目的の場所を指さした方向を直樹も見る。琴子の指の先には、
『前田武教授の神戸医科大学学長の就任を祝う会』
と大きく掲げられていた。
「でも、あたしなんかが本当に一緒に行っちゃっていいのかな?」
今朝から何回も繰り返した質問を、琴子はまた直樹にした。
「大丈夫だって。」
直樹も何回も繰り返した答えを琴子に返す。
「この前田教授って、入江くんが研修医の時に指導教官だった方なんだよね?」
琴子が掲げられた文字を見ながら言った。
「俺の恩師だよ。」
心から直樹はそう答えた。多分、自分の生涯を通して一番尊敬していく恩師だろうと。

入口が近づいてきて、琴子の緊張が直樹にも伝わってきた。琴子の表情はかちかちに固まっている。直樹は立ち止った。

「どうしたの?入江くん?」
琴子が直樹を仰ぎ見る。
「琴子…。」
「何?」
直樹が琴子を笑顔で見つめ、そして言った。
「スマイル…。」
一瞬、琴子はきょとんとした顔をした。そして噴き出した。
「入江くん、珍しいね!そんなこと言うの!」
「…でも緊張がほぐれただろ?」
直樹も笑顔で話す。それはかつて前田教授に話した、直樹が琴子にだけ与えた特権の笑顔だった。
「うん。」
「行くぞ。」
琴子を連れて、直樹が会場へ入っていく。直樹の脳裏には、あの言葉が浮かんでいた。

『今度、君と会う時は、必ず君の奥さんも一緒に連れていらっしゃい。君の自慢の奥さん、僕たち夫婦に必ず紹介すること。』
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コメント

スマイル~(○´∀`○)ノ

やばい!
妻の特権スマイル見たいよ~
琴子!羨ましい~
(怒涛の5話お疲れ様(´∀`*)グッ! 堪能致しました~)
色んな人に「♪スマイル!~」って言ってマイブームにしちゃいそう♪

ありがとうございます

美優さん
前に投稿サイト様に出させて戴いた折も、やはり特権スマイルが気になるというコメントを頂戴した覚えがあります。
うーん、私も見てみたいです…笑

神戸で直樹は素敵?な出会いをしたんですね(笑) 『スマイル~』 いいですね♪ 思わず俳優でたとえるなら (私の想像ですみませんm(__)mが)ドラン〇ドラ〇ンの〇地 を想像しちゃいマシタ 今ドラマで 『キ〇ナ』に出てくるイメージです アレでもう少し 社交的な感じかな?(笑) 違う人をイメージしてたらごめんなさい m(__)m

そうそ、スマイルですね(*^。^*)

某サイト様でも読ませて頂いてました。前田教授のように技術よりももっと本当に大切な事を教えてくれた人を恩師と呼ぶのでしょうね。そういう事なら琴子も入江君の恩師かっ?(^。^)そして「最高の妻です(キラースマイル付)」ってセリフは琴子が聞いたら、うれしくて倒れちゃいそうですね♪

ラテさん
某サイト様でも読んで下さった上に、こちらでも…!
ありがとうございます^^
これは初めてオリジナルキャラめいたものを作ったものなので、私にとっては恥ずかしいやら思い出深いやらいろいろな話です。
誰か描いてくださらないでしょうかね、入江くんの笑顔(笑)

もう・・・

なんてコメント書いたらいいのかわからない・・・。前田教授、素敵過ぎます。てか、水ちゃん、素敵過ぎます。このシリーズのアップを心待ちにしてたのだよ、実は。

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No title

琴子ちゃん、入江君が言ってることなんだもん、入江君の、自慢の奥さんは、琴子ちゃんだけなんだもん、琴子ちゃん、もっと自信を、持っていいはず、でも?やっぱり自信がないのは、琴子ちゃんなんだよね、どれだけ!入江君が、自慢の、奥さんだと話しても、かわいいv-10

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