日々草子 恩師 1
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
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そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

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恩師 1

どうして、子供というのはこんなに泣くことができるのだろう?目の前で泣き叫ぶ子供を見ながら直樹は何度か疑問にしたことを、また考えていた。
研修医としてこの病院へ赴任してきて1か月。小児科医をめざす直樹にとって子供の扱いはある程度覚悟してきたが、これ程苦労するとは考えていなかった。
「先生にちょこっと診てもらおう、ね、治してもらおう。」
看護師のなだめる優しい声など目の前の子供の耳には全く入っていない。そして、この体はグラスファイバーか何かで出来ているのかと思いたくなるくらい、自由自在に曲がる。いや、暴れると言った方が正解だ。看護師は診察しやすいようにその体を支えようとするが、とんでもない方向へ動く体はなかなか捕えることができない。

そもそも、今目の前にいる子供はまだましな方だ。この子供は直樹が器具を取り出した瞬間に泣き出したから。ひどい子供は、診察室に入って直樹の姿を見た途端に泣き出す。もっとひどい子供は待合室にいる時から泣きわめいている。毎回毎回泣かれると、自分がまるで悪者になった気分になる。強敵は子供だけではない。付き添ってくる母親もパニックに陥っている例が多い。
「お子さんはいつから痛いと言い出しましたか?」
そう尋ねても、返ってくる言葉は、
「昨日は何も食べてないんです!大好きなオムライスだったのに!」
と答えになっておらず、看護師に落ち着いてとなだめられる始末である。

そして、小児科医の戦いは外来だけでなく、病棟でも繰り広げられる。
病室に入っていっても、ベッドの上で暴れることをやめない子供、昨日はちゃんと診察に協力してくれたのに、今日は布団にもぐったまま出てこずに診察を拒否する子供、そしてやはり、直樹の姿を見た途端に泣き出す子供…。そんな子供たちの回診を終える頃にはまだ1日の半分が過ぎただけだというのに、ぐったりと疲れる。

そもそも、直樹は子供が苦手だ。苦手というより、接した経験がない。年の離れた弟は直樹に似て、小さなころから手がかからず、兄を崇拝しきっているので困らせられたことは全くなかった。子供が苦手というより、数年前まで直樹は自分以外の人間に興味というものがなかった。だから現在医者になっていること自体、当時から考えると不思議だ。そんな直樹が小児外科を志望していた理由は、裕樹の入院時に知り合った子供が小さいのに何度も入退院を繰り返す辛い姿を見て、何とかしてあげたいと思ったことだ。もっともそれを指摘したのは琴子だったが。
「一般の外科に移った方がいいかな…?」
珍しく直樹が弱音を吐く。こんな調子では、琴子を泣かせてまで神戸に来た意味がないのではと悩む毎日であった。

空いた時間を利用して、直樹は琴子に電話をした。慣れない生活の疲れを琴子の声で癒したかった。
「あーっ!入江くん!!」
受話器の向こうの声は元気がよく、聞くとホッとする。が、
「今ねー、じんこと理美と夕希ちゃんが来ててね、それでね、あたしと入江くんの運命の出会いを聞かせてくれって…」
「…かけるんじゃなかった。切るぞ。」
「待って!切らないで!」
焦る琴子の様子が面白くて、ついからかってしまう。でも、来客中ならゆっくり話ができない。
「入江くん、今夜帰れるの?」
「ああ、今夜は家に戻れるな。」
「じゃ、あたしから夜に絶対かけ直すから!絶対待ってて!ね!」
琴子にそう約束させられて、電話は終わった。

その夜、直樹は帰宅後、琴子からの電話を待ちながら、ラックの上に飾られている2つの写真立てに目を向けた。一つは琴子に無理矢理持たされた結婚式の写真。一人暮らしの男の部屋に結婚式の写真なんてちょっと恥ずかしいが、飾らないと琴子のがっかりする顔が浮かんでくるので、一応飾ってある。そして、
「この顔が最高なんだよな…。」
笑いながら手に取ったのは、もう一つの写真立て。中に入っているのは高校の時、家で開かれたクリスマスパーティーの時に、紀子に言われて初めて琴子と2人だけで撮った写真だ。顔を真っ赤にして、緊張している琴子があまりに面白くて、わざと体を寄せてからかった。そして、最後、直樹は、
『教えてよ。“へいらっしゃい”って言い方。』
と琴子の秘密のバイトをからかい、琴子の体が恥ずかしさのあまりに直樹から離れた瞬間、シャッターが下りたのだった。
だから、写真の中の2人は面白がって微笑む直樹と、真っ赤になって直樹から遠ざかる琴子の横顔だ。でもこの真っ赤になっている琴子の顔が直樹の一番好きな琴子の顔なので、琴子に内緒でこの写真を持ってきたのだった。持ってきていることが琴子にばれたら、即刻この写真は取り上げられることは間違いない。
「まだかよ…。」
電話を見ながら、直樹は琴子と話すことが待ち遠しかった。

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コメント

No title

i琴子ちゃん、大好きな、入江君が、琴子ちゃんの電話を、首を、永~くして待っていますよ。

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