日々草子 大蛇森の試練 前編
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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ある日のこと。
斗南大病院前に、二人の男女が立っていた。

「ここね、あの子の働いている病院は。」
女性が楽しそうに呟いた。年の頃30代くらいだろうか。かなりの美人である。
「あの子に連絡してから来た方が良かったのでは…。」
男性が不安そうに、女性に問いかける。こちらは40代くらい。こちらも世間一般に言わせると美形である。
「連絡したら、絶対来るなって言うに決まっているでしょう?黙って来た方がサプライズよ!」
女性は男性に向って怒鳴りつけた。
「それに…今日は何月何日?」
「…今日は、3月14日。」
素直に男性は答えた。
「そう。今日は3月14日。いわゆるホワイトデーと世間が呼ぶ日よ。」
それが何なんだという顔を男性はする。
「記念日にふさわしいわね…。さあ、入りましょう!」
女性はさっさと病院内へと足を踏み入れていった。男性も慌てて後を追ったのだった。

今日は土曜日なので、一般外来は休みだ。しかし休日・夜間専用入り口が開いており、見舞客などもそこから出入りしている。二人もそこから病院内へ入り、一般の待合室まで足を運び、椅子に腰を下ろした。
「…土曜っていうのはラッキーね。空いている分、探しやすいわ。」
「そりゃそうだけど…。」
男性は、相変わらず、女性の迫力に押されているようである。
「その…入江さんという人が今日出勤しているかどうか分からないじゃないか。」
男性が不安そうに言った。
「そんなの、どっちにしろこうして足を運ばなきゃ分からないことでしょう!もういい加減覚悟決めなさいよ!あなたのその気の弱いところがいらつくわ!」
まるで噛みつくように、女性は男性に言った。男性は女性の迫力に肩を縮めて黙り込んでしまう。
「さて。まずは入江さんとやらを探さないとね…。」
あれだけ怒鳴りつけたが、男性の言うことも最もだと思ったらしく、女性はキョロキョロと辺りを見まわした。

「外科病棟とやらに行けば会えるかしらね…。」
そんなことを言いながら、女性は席を立ち、病院の案内図の方へと歩いて行った。その時、女性は案内図の方ばかり見ながら歩いていたので、反対側から人が歩いてくることに気づかず、ぶつかってしまった。そして二人は同時に転んでしまった。
「ごめんなさい!大丈夫でしたか!」
女性が一体誰とぶつかったのかと、相手を見た。どうやら看護師らしい。
「こちらこそ…よそ見していたものですから。」
女性も看護師に謝る。そのあたりの常識はきちんと持ち合わせている。
ぶつかった拍子に看護師が持っていたファイル等が散らばってしまったようなので、女性も一緒になって拾った。拾いながら、女性の目に看護師のネームが目に入った。
「入江…琴子…?」
その瞬間、女性が急にひっくり返り、
「痛い!ああ痛い!」
と叫び出した。その声に、待合室から男性が飛び出してきた。
「大丈夫か?」
「大丈夫ですか?やっぱりどこか痛めてしまいました?」
琴子も青ざめて女性に声をかける。
「あ、あなた…私、足を痛めてしまったみたい!」
「足って…。」
男性がおろおろしながら、女性の顔を見る。
「待っててくださいね!すぐに車椅子持ってきますから!」
琴子は慌てて車椅子を取りに走って行った。
「…あれが入江さんよ、あなた。探す手間が省けて助かった。」
女性は琴子がいなくなった後、意味深げにニヤリと笑った。

「うーん。別にどこも悪くないみたいだけど。ちょっと打っただけじゃないかな?」
レントゲンを撮ることもなく、触診だけして、西垣は女性と琴子へ説明した。
「そうですか。よかった。」
琴子は心底安心した笑顔を見せた。
「ごめんなさい。あたしがボーッとしていたから…。」
反省する琴子を見て、女性もさすがに後ろめたくなり、
「私こそ、余所見していたからです。ごめんなさいね。」
と謝った。

診察を終えた後も、琴子は何度も女性に頭を下げる。女性も自分が悪いと頭を下げた。
しかし、ここで帰されると女性の企みが水の泡となる。女性は次の手に打って出ることにした。
「あ、でもなんかちょっと貧血みたい…。気分が。ここに来るまでのタクシーで車酔いしたからかしら…?」
女性の様子に、琴子が、
「え!大変!今日はベッドが空いてますから、少し休まれていった方がいいですね。」
と優しく勧めた。

「どうするんだい?こんな嘘ついて。」
男性が女性に心配そうに訊ねた。個室しか空いていなかったとのことで、この病室には二人しかいない。
「嘘も方便よ。それより、見たね?あの子よ!絶対!」
「…入江違いだったらどうするんだ?」
男性がまだ不安そうに訊ねる。
「間違いないわよ!入江なんて名字、鈴木や田中と違って、そうあちこちある名字じゃないわ。それに…。」
女性は傍のバッグの中から手紙を一通取り出し、
「ここに書かれているとおりの子だったし。」
満足気に微笑んだ。そしてまたバッグに手を入れ、今度は小さな箱を取り出した。
「それまで持ってきたの?」
男性はその箱を見て、目を丸くする。
「当たり前よ。これを渡さないと、何しに来たのか分からないじゃない。」
女性は箱を開け、フフフと笑った。

「あ、入江くん!」
琴子は食堂で直樹を見つけて、すぐに近寄った。
「あたしも今お昼なの…」
と言いかけて、直樹の傍に座っている人物を見て、ゲッという顔をする。
「何で大蛇森先生が…。」
そして大蛇森も琴子を見て、「せっかく入江先生と二人きりだったのに。」と思った。
大蛇森と同席するのは嫌だが、直樹の傍にはいたい。両方の気持ちを天秤にかけた結果、琴子は直樹の傍に座ることを選んだ。
「さっきね、あたしまたドジやっちゃって、人に怪我させちゃうところだったの。」
食べながら琴子が直樹に報告する。別に黙っていればいいのだが、つい何でも話してしまうのが琴子の正直なところだ。
「いつものことじゃないですか。」
呆れる直樹を代弁するかのように、大蛇森が言ってきた。琴子はムッとするが、本当のことなので何も言い返せない。
「それでね、怪我は大したことなかったんだけど、何か車酔いとかしちゃったみたいで今病室で休んでいるの。入江くん、後で診てあげてもらえない?」
琴子が直樹に頼んだ。
「…しょうがねえな。」
一応診てやるかと、結局直樹も琴子には甘い。

「何て名前?」
「えーと変わった名字なの。蛙谷…。」
琴子がそこまで言った時、大蛇森がコップを倒した。
「大蛇森先生?」
琴子が驚いて大蛇森の名前を呼んだ。大蛇森がそんなことをするなんて珍しい。
「今、何て言いました?」
「蛙谷…ですけど?先生のお知り合いですか?」
だとしたら後から何を言われるか分からない。琴子は自分の失敗を更に後悔し始めた。
「下の名前は?」
「えーと…弥生さん。蛙谷弥生さんです。」
琴子の言葉を聞き、大蛇森の顔色が真っ青になった。
「先生、気分でも悪いんですか?」
直樹も尋常でない大蛇森の様子が心配になった。
「その人…美人?」
愛する直樹の言葉も耳に入らないくらい、大蛇森は動揺しているらしい。直樹の問いかけに答えず、琴子に更に質問をした。
「ええ。とてもきれい。30代くらいでしょうか?」
琴子は大蛇森も女性に興味を持つこともあるのかと、内心驚いている。
「一人ですか?」
「いいえ。ご主人らしき方とご一緒です。そのご主人もとってもきれいな顔で…。美男美女でお似合いなんです。」
入江くんほどではないけどねと思いながら、琴子は二人を見た感想を率直に述べる。
「僕が診るから、入江先生行かなくていいよ。」
大蛇森はフラフラとしながら、席を立ち、それだけ言い残すと歩いて行ってしまった。

「何、あれ?」
驚いて琴子が直樹を見た。
「さあ…?」
直樹も何が何だか分からない様子だ。
しばらく大蛇森が出ていくのを二人で見ていたが、琴子が話題を変える。
「あ、今日の待ち合わせ、ちゃんと覚えてるよね?」
「…めんどくせえ。」
「そんなこと、言わないでよ!今日はホワイトデーなんだから!」
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