日々草子 浦島…?

浦島…?

昔昔、あるところに一人の青年が海辺に住んでおりました。

その青年がいつものように釣竿を手に、海岸を歩いていると子供たちが集まって騒いでいます。
覗いてみると、子供たちが大きな亀をつついていました。
放っておこうと青年が通り過ぎようとした時、
「おいこら!無視すんなや!」
という声がしました。青年が見るとどうやら声の主は亀のようでした。
「困っている亀を助けんで行くちゅうのは、人間のすることやないやろ?」
「…関わりたくないんでね。」
「あー!他人に無関心な若者ばかりになってしもうたわ!情けない世の中や!」
亀は悲痛な叫びを上げました。それを聞き、子供たちは更に亀をからかいはじめました。
「このまま無視して行ったら、絶対後悔するで!」
うるさいので青年は、子供たちに事情を聴きました。
「僕たちが普通に歩いていたら、この亀がぶつかってきたんだ。そしたらイチャモンつけてきた…。」
「どう考えても、お前が悪いじゃないか。」
青年は呆れて言いました。でも亀がうるさいので、子供たちにいくばくかの小遣いを与え、亀を助け出したのでした。

「ああ!助かった!おおきに!」
「それじゃ、これで。」
青年が立ち去ろうとした時、亀が
「ちょっと待てや!お礼にいいとこ連れてったる!」
と、止めました。
「いや結構。」
「遠慮せんでええって。どこやと思う?竜宮城や。りゅ・う・ぐ・う・じょ・う!」
「忙しいから。」
「海の底にきれいなお城があるんやでえ。せっかくわいが御招待したる言うてんのや!」
「ダイビングの道具もないのに、海の底?そんなバカな。」
青年は呆れた視線を亀へ送りました。
「…そんなこと、この話では気にせんでええねん。」
亀も呆れた声を出します。
「ま、いいから、いいから。乗ってみ。騙されたと思って。」
しょうがないので、青年は亀の背中に乗りました。
「ほな、行くで!」
亀は青年を乗せたまま、海の中へと潜っていきました。

「あ、自己紹介が遅れたな。わいは金之助言うんや。あんたは?」
海の中は、なぜか息もでき、話すこともできます。
「…直樹。」
「ほうか。ほなよろしゅう。」
「あんまりよろしくしたくないけど。」
そんな会話をしているうちに、竜宮城に到着したのでした。

「さ、着いたで!ここが竜宮城や!」
亀の背中から降りながら、直樹は目の前の宮殿を見ます。
「何てド派手なところなんだ。」
竜宮城はネオンキラキラ、イルミネーションもふんだん、まるでパチ○コ屋のようでした。
「わいが設計したんや!」
亀が胸を張りました。「どうりで趣味が悪いわけだ。」と直樹は密かに思い、来たことを後悔し始めました。

「ええか?ここの姫さんはえらい別嬪や!驚くなあ。でもお前は手え出したらあかんで!」
亀は直樹に釘を刺すことを忘れませんでした。

直樹と亀が竜宮城の中へ入っていくと、大広間に出ました。
「あら!戻りが遅いから心配していたのよ。」
女性の声がしました。
「遅れてすんません。こいつが子供にいじめられているのを見かけて、放っておけなかったもんで、助けたんですわ。そしたらお前の家へ連れて行けとうるさくてうるさくて…ま、わいも鬼ではないさかい、連れてきてやったんです。」
事実と全く違うことをペラペラと喋る亀に直樹は腹が立ち、足で亀を蹴飛ばしました。
「こら!何すんねん!」
亀はひっくり返ってしまい、バタバタと足を動かしています。
「あらあら。ようこそ竜宮城へ。」
そこに立っていたのは、美人ではないけれど、かわいらしい顔をしている女性でした。
「うちの亀がお世話に…。」
そう挨拶しながら、女性は直樹の顔から目を離しませんでした。
「あれが、琴子姫様や!」
ひっくり返ったまま、亀が叫びました。
「さあさあ…どうぞ。今夜は宴会を開きましょう。」

その夜、宴会が盛大に開かれました。
鯛やヒラメの舞い踊り…直樹は退屈でした。
隣では、
「ちょっと!カラよ、カラ!」
とお銚子を手に琴子姫が叫んでいます。完全に酔いつぶれていたのでした。
「ねえ…あなた名前何ていうの…。」
そして酒癖の悪い琴子姫は直樹に絡みます。
「…直樹。」
答えないと永遠に訊かれそうなので、渋々直樹は答えます。
「あ、そ!太郎!太郎ちゃんていうのね?」
「な・お・き!」
「名字は浦島なのね?浦島太郎。いい名前ね!」
琴子姫は全然聞いていません。直樹は諦めて溜息をつきました。
「やっぱり来なければよかった…。」

三日間、直樹は酒癖の悪い琴子姫に付き合わされました。
そしてようやく、地上へ帰ることを許されたのでした。
「こちらをお持ちになってくださいね。」
琴子姫が玉手箱を直樹に渡そうとしました。
「いや、結構。荷物になるし。」
「遠慮なさらずに。」
「本当にいらない。」
「持って行ってよ!」
琴子姫の強引さに負け、直樹は嫌々、玉手箱を受け取りました。
「お名残り惜しいですわ…。」
琴子姫はシクシクと泣いています。直樹は一刻も早く戻りたくてしょうがありません。
琴子姫に見送られ、直樹は来た時と同じように、亀の金之助の背中に乗って海の中を進んで行くのでした。

「ええか?その玉手箱、早く開けろ。」
地上に着くと、亀が直樹に玉手箱を開けろと責め始めました。
「開けると、年をとるんだろ?絶対開けねえよ。お前、持って帰れよ。」
直樹は亀の背中に玉手箱を置きました。
「あかん!お前、開けろ!」
亀が体を揺らしました。その衝撃で玉手箱が開いてしまいました。
箱から煙がもくもくと…。

「やっぱり開けて下さったのね!」
何と煙の中から出てきたのは琴子姫でした。
「お、お前…何でここに?」
直樹は目を丸くしています。
「だって、私、プリンセス天●の一番弟子ですもの!」
「うそつけ!一番弟子でもこんな狭い所に入っていられるか!」
「じゃ、Mr.マ●ックの一番弟子ということで…。」
「お前、ハンドパワー使ってないだろうが!」
「いいじゃない!細かいことはどうでも。私、太郎さまが気に入ってしまったの。ずっとお傍にいたいんです。」
琴子姫が直樹に寄り添いながら、言いました。
「俺の名前は太郎ではない!」
「じゃ、何ていうの?」
「直樹だ。何度言わせるんだ?お前の脳みそは大鋸屑か?」
「じゃ、直樹さま。お傍に置いてくださいな。」
「断る!」
「お願い!」

結局、直樹は琴子姫の強引さに負け、一緒に暮らすことになりました。
直樹が一緒に暮らしていた老母は琴子姫を大層気に入り、いつまでも家族で仲良く暮らしましたとさ。

めでたし、めでたし。

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☆あとがき
この話と、↓の大蛇森の話と、足して2で割れば、何とかなるかなと(笑)
ごめんなさい、こちらもワンパターンで。
足を運んで下さる皆様に、申し訳ないです…。
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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