日々草子 君子豹変
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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君子豹変

「A組の展示なんて、絶対つまらない。」
「文化祭の準備に時間を取られないように、芸術の時間で作ったものを展示しているだけだってよ。」
理美とじんこが文句を言った。けれど、琴子は、
「じゃあ、私一人で行くからいいよ。」
と二人の制止を振り切って、A組の展示会場へ向かった。

「えーと、入江くんの作品は…。」
展示会場は二人が言ったように、誰一人いなかった。書道の作品、美術の作品が並べられているだけである。
「確か、書道を選択してるのよね…。」
書道の作品の展示コーナーへ足を運ぶ。

「あった!」
壁に掲げられた作品。下に「3-A 入江直樹」と名前が貼ってある。
「…何て書いてあるの?」
琴子の目の前に掲げられた作品は、達筆すぎて理解できなかった。
近づいてみる。
「?」
離れてみる。
「?」
琴子は作品の前を行ったり来たりしながら、考えた。
「分かった!あまりに達筆すぎて、きっと掲示する人も読めなくて、逆さまに貼っちゃたのね。」
琴子はそう言いながら、逆さまに見ようと頭をおもいっきり傾けた。

「…自分の作品は自分で貼ったんだけど。」
背後から聞こえた声に、琴子は驚きのあまり、体のバランスを崩した。

「お前って本当に馬鹿。」
「入江くん!」
思いがけない所で直樹に会えて、琴子は喜んだ。
「もしかして、私を待ってたとか?」
「んなわけないだろ。渡辺と待ち合わせ。」
「そっか。」
琴子はがっかりした。が、すぐに気を取り直して直樹に尋ねた。

「ねえ、これ何て書いてあるの?」
「お前に説明したって絶対分からねえよ。」
「教えてよ。」
食い下がる琴子に、直樹はやれやれと言った感じで答えた。
「…君子豹変。」
「クンシヒョウヘン…?」
やっぱり分からないだろうという顔で直樹は琴子を見た。
「えっと、どういう意味…?」
「教えない。」
直樹はそっぽを向いてしまった。
琴子は多分聞いても分からないだろうなと自分で思ったのか、それ以上は尋ねなかった。

「あ、ねえ!これ渡辺くんの作品だよね。」
琴子は美術の作品コーナーの前に移動した。
「これなら、何だか分かるね。これってカリフラワーでしょ?」
琴子の指の先の、紙粘土で作られた渡辺の作品を見て、直樹は何も言わなかった。
「え、違う?じゃあ、ブロッコリーかな?」
琴子が悩んでいる時、会場に渡辺が入ってきた。
「入江、待たせたな!…あれ、入江の同居人の、えーと、琴子ちゃん!」
「こんにちは。渡辺くん。」
渡辺が琴子の傍に近寄った。
「渡辺くんの作品、すごいねえ。カ…。」

「見てくれた!?結構うまくできたと思うんだよね。俺の顔!」
「え…?」
琴子が慌てて作品に目を戻す。よく見ると、作品の前に「自分 3-A 渡辺○×」というプレートが出ている。そして作品を凝視すると、目、鼻、口とおぼしき点々が付いていることに琴子は気がついた。
「いや、結構苦労してさ。ほら、この前髪のくせ毛の部分とか!」
そう言って渡辺は自分の髪の毛を触ってみせた。
「似てるでしょう?」
ニコニコ笑って話す渡辺に、琴子は、
「う、うん…。そっくりかな、なんて。」
と消え入りそうな声で答えた。
「絵とこれ、どちらを出そうか迷ったんだよね。で、入江に見せたらこっちがいいって言ってくれたから。」
琴子が直樹の方を見ると、直樹は二人と視線を合わせないようにしている。心なしか笑いを堪えているようだ。

直樹は思い出していた。
『入江、文化祭に出品する作品、どっちがいいかな?』
渡辺の机に並べられたのは、紙粘土製の白菜(直樹の目にはそう映った)と、裕樹の絵日記の方が遥かにマシではないかと思える、人間の顔らしき絵…。

『この絵は…。』
『それ、お前の顔だよ!タイトルは“私の友”!』
俺って、こんな顔をしているのか…?もう少し、マシな顔だと自分では思っていたが、もしかして他人の目に映る俺はこの程度の顔なのか…?直樹は絵を手にして呆然としていた。

何だ、この丸い輪郭は。そして、これは目か…?そうすると、口と鼻はこれ…。ちょっと待て、俺の髪の毛はこんなに逆立っていないだろう?そして、こんなに少なくない…考えていることが渡辺にばれないようし、直樹は表情を変えないように努力した。

『いや、お前の髪の毛も結構難しかったよ。ここだけに、2時間かかっちゃった。』
これで2時間…。全体で何時間かかったのだろう…?もはや直樹には渡辺の顔を見ることはできなかった。

『こっちの紙粘土がいいと思う。』
直樹は答えた。それで、この白菜・ブロッコリー・カリフラワー渡辺像が展示されることになったのである。

「迷ったといえば、俺、美大とW大、どちらへ進もうか迷ったんだよ。でも美術の先生に相談したら、W大の方が絶対いいって言うから。琴子ちゃん、どう思う?」
「…私もW大の方が渡辺くんには合っていると思うな。」
琴子はそう答えることが精一杯だった。

「渡辺、吹奏楽部の演奏、そろそろ時間だろ?」
「あ、そうだった。」
渡辺が腕時計を見た。
「二人とも、これから体育館…?」
「そう。吹奏楽部の演奏聴きにね。琴子ちゃんはこの後どうするの?」
「あ、私、そろそろ店番だった。」
琴子のクラスは金之助主導のもと、タコヤキ屋をやっている。

「F組は勉強する必要ないから、準備に時間をたっぷりかけられるもんな。」
直樹が嫌味を言った。
「高校最後の文化祭だもん。思い出に残るものにしたいじゃない。」
琴子が反論する。
「まあまあ。後で入江と一緒に食べに行くね。」
渡辺が呆れながら、二人の間に割って入った。
「本当?」
「渡辺!」
琴子と直樹の声が同時に発せられた。
「来てくれるの?」
琴子の目が輝いてきた。
「絶対、行かねえよ!渡辺、行くぞ!体育館!」
直樹が怒って会場を出て行ってしまった。ごめんねと謝りながら、渡辺も後を追った。
そして琴子も店番をするために、自分のクラスの会場へと急いだ。

「なあ、入江?」
早足で直樹の後を追いながら、渡辺が声をかけた。
「何だよ?」
直樹が不機嫌な声を出した。
「…お前、何であんな言葉選んだの?」
「あんな言葉?」
「…君子豹変。」
「別に、頭に浮かんだのをそのまま書いただけだよ。」
「ふーん。」
やがて二人は、体育館へ到着し、席を確保することに夢中になった。

※君子豹変
君子は過ちがあればすみやかにそれを改め、鮮やかに面目を一新する。
俗に、考え方や態度が急に一変することに使われる。(広辞苑より)

あとがき
ラブラブな二人を書きたかったのですが、全然ならなかった…。
この作品はUPする前に、小さな先生にチェックをお願いしました。
小さな先生、いかがでしょうか?
先生のもとへお送りしたときより、若干、加筆修正を加えてみましたが…。
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