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2009.04.07 (Tue)

天使と悪魔 5

「琴子ちゃん、いじめられてたの?可哀想…。」
父親の話を聞いて、薫が目に涙を溜めて琴子にすがり付いてきた。

【More】

「僕がいたら、守ってあげられたのにね。いじめっ子から。」
「薫くん…。」
薫の優しい言葉に、琴子ももらい泣きしかねない表情だ。
「大丈夫よ。いじめられてなんていなかったから。」
「本当?いじめっ子を庇ってるんじゃないの?」
「ううん。大丈夫。薫くんは本当に優しいんだから!」
そう言って琴子は薫を抱きしめた。

「何だ、この光景といい、雰囲気は…。」
当の“いじめっ子”、直樹は三人の様子を冷ややかに見ていた。
「悪かったな。いじめっ子で。」
「…え?」
直樹の独り言に哲也が振り返った。
「何か仰いました?先生。」
「いいえ。何でも。」
馬鹿馬鹿しくて付き合っていられないと、直樹は早々に退散した。

「だってあの頃の入江くんは意地悪だったもん。今もだけど。」
エレベーターの中で琴子があっけらかんと言い放つ。
「金ちゃんが誤解するのも、無理ないよ。本っ当にひどかった。」
その頃の直樹を思い出したのか、琴子は眉を寄せる。
「そりゃ悪かったな。」
どうも調子が狂う。
薫の担当になってから、明らかに琴子が直樹の前に強気な態度に出るようになった気がする。
電話は一番、カステラ二番ならぬ、薫が一番、直樹が二番といった感じである。
「やっぱりガキは嫌いだ。」
ついそんなことを口走ってしまい、琴子を見る。するといつもなら、
「じゃ、何で小児外科選んだの!」
と食いつくはずなのだが、今日は目を伏せたきりだ。今日に限ったことではない。最近、直樹が子供のことを話すと同じような態度を取ることが多い。
「…やっぱりな。」
琴子の様子を見ながら、直樹は心の中で呟いた。

「パパのお髭、すごかったでしょ?」
薫が直樹に自慢げに話しかけた。
「お髭、ね。」
直樹は哲也のモジャモジャな髭を思い出していた。
「僕も大人になったら、パパみたいに髭モジャモジャになるの!やっぱ男は髭モジャモジャだよ。」
直樹は思わず、自分の顎をそっと撫でる。もはや男失格かよ、と思いつつ。
「…悪魔先生はお髭ないんだね。」
「ないよ。」
「…女みたいな顔。」
薫はそう感想を述べると笑った。
「先生、お化粧するといいかも。パパに勝てるかも。」
こいつは昔の自分を知っているのかと一瞬思ったが、直樹は自分をかろうじて落ち着かせた。
「君のパパに勝ったって…。」
別にいいことないしと直樹は思った。
「うん。勝つことは無理だけどね。キャハッ!」
そう言って、薫は笑って布団へ潜り込んだ。

「お前のパパは、琴子を高校へ合格させたけど、所詮F組にしか入れられなかったんだよ!俺はあいつを100番以内に、それも1週間で入れたんだ!俺のほうが教える才能はずば抜けてる!」
と、叫びたかったが、またもやかろうじて抑える。

「あ、可哀想だから、悪魔先生に見せたげる。」
布団から這い出してきて、薫は写真を直樹の前へ広げた。
その写真はライオン、キリン等、子供の好きな動物の写真だった。
「これね、パパが撮ってきてくれたの。」
「ああ。カメラマンだっけ。」
哲也の職業を直樹は思い出す。
「うん。僕が病気でお外になかなか出られないでしょ?だからパパがいっぱいお写真撮ってきてくれるの。」
そう言って写真を楽しそうに見る薫は、普通の可愛い子供だ。
「そっか…。」
何だかんだいっても、病気で生活を制限されているのだ。我慢ばかりで辛いだろう。直樹はちょっと薫が可哀想になった。
「…怒って悪かったな。」
そう直樹が思ったのもつかの間だった。

「…そういえば、パパね、琴子ちゃんのオムツ替えたことあるんだって!」
薫の一言が直樹を再び怒りへと駆り立てたのだった…。

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☆あとがき
あくまでこちらはリクエストが元ということだけは、しっかりと覚えて書いております(笑)
いくらリク主様のご好意で好き勝手にやらせていただいているとはいえ…(^^ゞ
こ、後半…ラブラブになると思うから、もう少し我慢して下さい…m(__)m

※追記
ひとりよがりの文章になってないかと心配になり、一旦下げてましたが…。
意味、分かりますでしょうか?ちょっと心配なのですが…。
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