日々草子 2019年末、西垣の悲劇
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2019年末、西垣の悲劇

何個入っているか、探しながら読んでみてくださると嬉しいです。

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とある12月の昼休み。
早いもので令和元年も間もなく終わろうとしているんだなあ。
色々あった一年だったと感傷にふけりながら病院の中を歩いていると、窓辺に大蛇森先生が佇んでいた。

「大蛇森先生、どうしました?」
「ああ、西垣先生。お疲れ様。」
大蛇森先生は「はあ」と溜息をついた。
「今年も残りわずかだねえ。」
「そうですね。年々、一年が早くなっていきますね。」
「そうだねえ。もうノーベル賞の授賞式だし。」
「ああ、ニュースでやってましたね。」
「今年も入江先生の受賞はなかったねえ。」
何ですと?入江?何で入江がノーベル賞?あいつ、確かに僕よりちょこっと頭がいいけれど、ノーベル賞を取るまでの研究はしてないだろ。
「えっと…入江がなぜゆえ?」
「なぜって、君は分からないのかね!!」
ギロリと大蛇森先生が睨んだ。
「入江先生ほど、自由平等博愛の持ち主はいなかろう!」
あいつはフランス革命からタイムスリップしてきたのか?
「あの、魔獣チンチクリンのために全てを犠牲にしているというのに!チンチクリンから僕らを守るために!こんな人に平和賞を与えずして誰に!」
魔獣…琴子ちゃんのことか。この人からはそう見えているのか。
「いや、あれはあいつも好きで…。」
「No!!そんなわけない!!」
耳を塞いで「アーアー」とわめく大蛇森先生。ああ、認めたくないんだなあ。

「そういえば、最近はキャッシュレスも普及しつつありますねえ。」
話題を変えよう。
「ああ、そうだね。僕はクレジットカードしか使わないけれど。」
「そうですか?僕は結構使ってますよ。」
「何とかペイ?」
「そうそう、それです。」
よしよし、話題が変わった。
「ペイねえ…あれってアプリなんだろ?」
「まあ、そうですね。」
「いっそ、僕も作ってみようかしら?」
「へ?」
「『大蛇森ペイ』とか開発してみようか。」
大蛇森ペイ?
「どこで使う予定を?」
「もちろん、使用できるのは入江先生のみ。アプリ開発して、入江先生のスマホにこっそり入れて!」
「はい…?」
なんじゃ、それ。
「あ、ポイント還元ていうのがいるんだろう?」
「え?ああ、まあ…そうかも。」
「じゃあ僕の愛のポイント10倍!」
いらねえ!!
僕の心の叫びを無視し、大蛇森妄想劇場の幕は上がる…。

**********

「大蛇森先生、僕もアプリ開発してみました。」
「入江先生も?ポイント還元は?」
「先生が10倍なら僕は100倍です。いつでもボーナスポイントです。」
「入江先生…。今更ですが、僕とこのような関係になっても平気なのですか。」
「何を言っているんですか。」
「でも先生はあの悪魔チンチクリンにすら情けをかけるほどの人なのに。聖人としてローマ教皇に認められてもいいほどの愛情を…。」
「僕は聖人よりもあなたの愛人になりたいのです、大蛇森先生。」
「そんなことを言って…後悔しませんか。」
「今の大蛇森先生のその言葉…それを聞かされたら後悔などあろうはずがありません。」

**********

そのカップリングに需要はあるのか?
僕の心の中の疑問など大蛇森先生に聞こえるわけがなく、大蛇森先生は「ああ、入江先生!!僕の生命を全てあなたに捧げよう!!」と高らかに叫んでいる。

「…何やってるんですか、廊下のど真ん中で。」
おっと!!斗南のスマイリングシンデレラの登場じゃないか!
「やあ、琴子ちゃん。今日も可愛いねえ。」
「クネクネしてる気持ち悪い大蛇森先生と一緒の西垣先生なんて珍しいですね。」
おっと、こちらも辛口!

「何だね、君は?」
「それはこっちのセリフなんですけど、大蛇森先生。やっぱり自分の脳を検査した方がいいんじゃないですかねえ?」
琴子ちゃんも負けてはいない!と、僕は琴子ちゃんが手にしている物に気がついた。
「琴子ちゃん、それってもしかして?」
二人のバトルが広がる前に僕はまたもや話題を変える。
「タピってるんです。あ、大蛇森先生はおじさんだから意味分からないですかね?」
琴子ちゃんはぶっといストローでズズズとタピオカを吸い上げながら、攻撃の手を緩めない。
「知ってるよ、タピオカミルクティーを飲むことだろ?ちゃんとした日本語を使いたまえ。」
こちらも負けてはいない。
「入江先生がコーヒーを一階のカフェに買いに行くのに付いて行ったら、『お前、飲みたがってたよな』って一緒にお金払ってくれたんです。夫婦っぽいですよねえ。」
へえ、あいつもそんなことするんだ。何だよ、やっぱり琴子ちゃんを愛してるんじゃん。
「買ってもらったというのは君の妄想で、実際はカツアゲしたの間違いだな。『入江くーん、ほら私のも支払いなさいよ、医者なんだからお金持っているでしょう?』ってやったんだろう?」
「誰がそんなこと言いますか!」
「入江先生、気の毒に…。」
「勝手に決め付けるの、やめてもらえませんかね?」
「事実を言っているまでだ。」
「何ですってえ!!」
「ああ、二人とも!!」
なぜ僕はこの場に居合わせてしまったのだろうか!

「ええと…あ、大蛇森先生。来週はこちらを留守にするんでしたよね?」
またもや僕は話題を変える。まったく、どうして僕がこんなことを。
「ああ、そうだよ。まあ僕くらい優秀になると他の病院から講師役を頼まれることが多くてねえ。」
大蛇森先生のご機嫌が戻り始めた、よしよし。
「やっぱり脳神経外科の第一人者ともなると!」
「まあ、そうだねえ。来月も他の病院に呼ばれて手術をね。」
「ああ、闇営業ですか。」
ズコーという音をさせながら、琴子ちゃんがとんでもないことを口にした!ちょっと、琴子ちゃん!
「何だと?」
「闇営業しに行くんですね。ばれないよう気を付けて。いや、いっそばれてほしい気分ですけれど。」
ズコーとタピオカを吸い上げる琴子ちゃん。
「闇営業ちゃうわ!!」
そしてまた怒る大蛇森先生。ああ…僕の努力が皆無に。
「ちゃんと話通してるし!院長に話しているし!」
「え?そうなんですか?なんだあ、闇営業からの解雇になるかと思ったのに。」
ズコーとタピオカを吸い上げる、吸引力抜群の琴子ちゃん。
「まあ、闇営業でも正規営業でも、教えを乞われることが永久にない君には関係のない話だけどね。」
「んまっ!!」
ストローから口を離した琴子ちゃんが怒った。
「そっちこそ、闇営業で稼いだ所得を隠したりしないように気を付けて下さいね!脱税も!」
「ちゃんと納めていますう!!」

「喧嘩はやめて!!」
どっかの歌のタイトルまで口にしてしまったじゃないか。あーあ、患者さんたちが何事かって首を伸ばし始めている!
「ほらほら!二人ともそこまで!」
ウーウーと唸り合う二人の間に僕は入った。
「ね?僕たちは医者と看護師。目的は一人でも多くの患者を救うため。同じ目的に向かって頑張る!僕たちはONE TEAM!」
「ああん?」
二人同時にガラの悪い反応をする。こういう時は息ぴったりだな!

「まったく、大蛇森は!!」
午後からの外来に向かった大蛇森先生と離れ、僕は怒りがおさまらない琴子ちゃんと病棟へ向かっていた。
「何なの、あれ!」
「まあ、まあ。」
何で僕がなだめなきゃいけないんだろうか。
「琴子ちゃん、タピオカミルクティーはおいしかった?」
「はい。入江くんに買ってもらった分、すごくおいしかったです!」
「じゃあ、味見させてもらおうかなあ?」
ちょっとくらいからかっても、今日の僕の奮闘ぶりを神様だって許してくれるだろう。
琴子ちゃんの可愛い唇に顔を近づけてみると…痛いっ!!!

「頭がパプリカ並みの空っぽの人が何をセクハラしてるんですか。」
「い、入江!」
斗南の笑わない男が、僕の髪を鷲掴みにして睨んでいた。
「入江くん!ダメよ、そんなに引っ張ったら!」
「琴子ちゃん…。」
何て君は優しいんだ。何でこんな男の嫁なんだ。
「頭はパプリカでも髪はまだ残ってるんだから、かろうじて。」
「え?ちょ、ちょっと?」
今何と?かろうじて?え?僕の髪、そんなにやばいことに?
「どういうこと?僕、もしかしててっぺんが…?」
「自分で鏡で見て下さい。」
入江は髪を解放してくれた。
「さ、帰るぞ。」
「はあい。」
「ちょっと待って。帰るって?」
「今日は午後から計画運休なんです。」
「入江くん、どこかへ寄っていく?」
「まっすぐ帰りたい。寝たい。」
「そうね、寝不足だものねえ。」
いや、計画運休って単なる有給でしょうが。というか、寝たいとか琴子ちゃんに通じてないけど、そういう意味の寝たいじゃないだろ?
これも笑わない男のセクシー発言ってやつなのか?まったく…あ、髪!髪を誰かにチェックしてもらわないと!あ、桔梗くんがいた!
「おおい、僕の髪の毛見てえ!!」
「いやですよ!!」
即答かよ、チェッ!!




☆あとがき
去年挑戦してみた流行語でお話シリーズ(?)です。
いや、今年は難しかった!!去年はすぐに思い浮かんだのですが、今年は大変でした。
ただ並べているだけじゃないかと思ったそこのあなた、いやいや、複数のお題でお話をって感じなんですよ(笑)
こだわっているのは明るい流行語を使うことです。
候補が発表された時から色々考えていて、最初は「闇営業」からゴルゴだな、いや難しいから大蛇森シリーズ、これも難しい、じゃあただの西垣先生目線というところに落ち着きました。あ、でもノーベル賞ネタは毎年欠かしたくないので、ちゃんと入れました!
あと、ノミネートされてないけれど話題になった人物や言葉も入れてみました!
もう、自分との戦いでした(笑)
そして私は未だタピれていないという…カロリー聞いたら挑戦する勇気が…。



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『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
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そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

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