日々草子 鶏と猫 上
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事

鶏と猫 上


先ほどのご挨拶で、溜めていたことを口にできたのでスッキリしました。
ジャニーズの話も受けて下さった方、ありがとうございます。
どなたか応答してくれると嬉しいなあと思って書いてみたので、嬉しかったです。
そうそう、言い忘れたけど一度、復讐物も書いてみたいんですよね。
ああ、そうすると書きたいもの、まだまだ出てくるものですね。

今年のお祭りは歌謡祭ということで、終わりも見えてきたというのに今更書き始めてしましました。
私らしく、和のテイストでお届けしたいと思います。

イタズラなkiss期間2019


☆☆☆☆☆






「はい、申し訳ございません。入江先生のお話はみな売れてしまいまして…。」
手代が申し訳なさそうに客を見送る姿を、渡辺屋は見つめていた。
「入江の本は相変わらず人気のようですね。」
「はい、旦那様。」
手代がニコニコと近寄って来た。
「特に最近のニワトリが出てくるお話がよく売れております。刷り出したそばから売れていきまして。」
「それはそれは。じゃあ、続きを催促に出向くとするか。」
渡辺屋は草履に足を入れた。
「旦那様、お供は…。」
「ああ、いいよ。」
渡辺屋はいつものように手を振った。
「あいつの家に供なんぞいらないから。留守を頼みましたよ。」
「行ってらっしゃいまし」という奉公人たちの声に送られ、足取り軽やかに渡辺屋は店を出た。


「ああ、今日もやっているな。」
目当ての家に近づくと、すっかり耳慣れた声が聞こえて来た。
「入江、いるかい?」
勝手知ったる家、言葉を発しながら渡辺屋は戸を開けた。
「おう、入れ。」
奥から竹馬の友の声が聞こえた。「邪魔するよ」と渡辺屋は上がった。

「お琴ちゃん、今日も稽古のようだね。」
隣から聞こえてくる首を絞めあげられたニワトリの声に似たものを聞きながら、渡辺屋はこの家の主の直樹の隣に座った。
「よく続いているもんだ。」
「性に合ったんだろうねえ。」
机の上に積まれた、書き終えた原稿を慣れた手つきで渡辺屋は取り上げた。
「それにしても、お琴ちゃんが三味線と唄の稽古をしているからとニワトリが出てくる話を書かなくても。」
「自然と筆が動いたんだ。」
「評判が悪いのか」と直樹は渡辺屋を見た。
「いやいや、とんでもない。むしろ売れすぎて喜びの悲鳴を上げているよ。」
「それならよかった。」
「男女の悲恋、そこに絡むニワトリ…いやあ、お前にしか書けないものだ。」
「どうも。」
直樹が言っていると、「ただいま戻りました」という明るい声が響いた。

「渡辺屋さん、いらっしゃいまし。」
お琴が戻ると、その場が明るくなった。
「お邪魔してるよ、お琴ちゃん。」
「留守をして申し訳ありません。今すぐお茶を。」
「ああ、慌てないで大丈夫だから。」
「はあい」という声を残し、お琴はパタパタと台所へ向かった。

「師匠のご本、評判がいいんですか。よかった!」
渡辺屋から話を聞くと、お茶を出しながらお琴は笑顔を見せた。
「今日も続きを催促しにね。でも、あらかた出来上がっているようで安心したよ。」
「最近、師匠は筆がよく進むんです。」
「お前の下手くそな三味線と唄を聞くまいと必死なんだよ。」
渡辺屋の手土産の、いつものわらび屋のお団子をお茶菓子に休憩となった。
「まあ、失礼な。」
頬を膨らませて、お団子を食べるお琴。
「これでも、おうめ婆さんには筋がいい、見込みがあるって言ってもらっているんですからね。」
お琴の言葉に、直樹と渡辺屋が同時にお茶を噴き出した。
「ど、どうしました?」
「いや…あ、熱くて。」
「まあ、大変。」
お琴は直樹から湯呑を受け取ると、「ふうふう」と息を吹きかけ冷ました。その隙を見て、直樹は渡辺屋と目で会話する。
―― 今、こいつは何と言った?
―― 筋がいいと褒められたって?
あのニワトリの首を絞めあげる唄声が?

「渡辺屋さんも冷ましましょうね。」
直樹に湯呑を戻した後、渡辺屋の湯呑を手に取ろうとした時、
「ああ、こいつは大丈夫だ。」
と直樹の声が飛んできた。
「あら、でも。」
「大丈夫、渡辺屋は熱々が好きなんだ。もうそれはグツグツと煮えたぎったお茶がいいっていう奴だ。」
「まあ、そうなんですか。じゃあ熱いのを入れ直した方がいいかしら?」
「いやいや、大丈夫。今日はこれくらいで大丈夫だよ。」
手をぶんぶんと振ると、渡辺屋は湯呑をお琴から遠ざけた。
―― まったく、お琴ちゃんにふうふうさせたくないからって、何てことを。
直樹はしれっとした顔でお茶を口にしていた。


「…どう思う、なべ屋。」
お琴が洗濯物を取り込んでいる間、直樹が声をひそめて渡辺屋に聞いた。
「お琴ちゃんの三味線の腕?」
すると庭から「おうめ婆さん!師匠のふんどし狙わないで!」「稽古料だよ!」というやり取りが聞こえて来た。
「…今はああでも、かつては吉原で全盛を誇った花魁だ。」
「芸事に長けていないと務まらない地位まで上り詰めた人だしなあ。」
当然、三味線も長唄も腕はいい。だからお琴が教わりに出向いているわけで。
「その人があいつの、ニワトリ声を筋がいいと言っている。」
「うーん、その道の達人にしか分からない何かがお琴ちゃんにあるとか?」
「または…。」
直樹は庭を見て、お琴とおうめ婆さんがやりあっているのを確認すると声をひそめて続けた。
「…婆さんがもうろくしているとか?」
「…耳が聞こえにくくなっているってことも?」
しかし、お琴と騒いでいる所を見ると、そうは見えない。

「確認してみるか。」
「どうやって?」
直樹は渡辺屋の耳にごにょごにょと囁いた。
「…なるほど。」
機会を見計らってと二人が頷いた時、お琴が戻って来た。
「渡辺屋さん、今度いらっしゃる時お願いがあるんですけれど。」
「何だい?」
「小僧さんのふんどしでいいので、数枚持ってきてもらえませんか?うちの実家の家老のものじゃ不満らしいので。若い人のふんどしがいいのかしらね?」
「若いっていくらなんでも…。」
「おい、大店の主人に小僧のふんどし運ばせるのかよ。」
「じゃあ、私が取りにお邪魔します。」
「いや、お琴ちゃん。そういう問題なのかなあ?」
この調子で、三味線の稽古はうまく行っているのだろうか。首を傾げる直樹であった。



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