日々草子 水面に映る蓮の花 26
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プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事






「まっすぐ歩くこともできぬのか!」
柘榴は女官一人を連れて歩いていたところだった。
「申し訳ございませぬ。」
桔梗と好美は頭を深く下げて謝った。が、それで柘榴が満足するはずがない。
「桔梗は女官一人満足に育てることができぬのか。」
柘榴は好美を女官と間違えているらしい。
「柘榴殿。こちらは女官ではございませぬ。」
桔梗が口を開いた。
「何?」
柘榴はまじまじと好美を頭からつま先まで見た。
「ああ、それはすまぬ。」
口とは違ってその態度は全く謝っていなかった。
「女官というより、下女であったか。」
この言葉に好美の顔が真っ赤になった。
「宮中に仕える女官ならばもっとまともな格好をしているな。」
柘榴が供の女官に笑った。柘榴に仕える女官だけにこちらも意地悪く「はい」とうなずき笑った。その笑い声は好美の気持ちをますます落ち込ませるものであった。

「柘榴殿、無礼でございましょう。」
これに黙っている桔梗ではなかった。
「何がだ?」
「こちらは佐川様の姫君でいらっしゃいますよ。佐川様はれっきとした貴族でいらっしゃいます。」
「佐川…?」
誰だと柘榴は供の女官を見た。女官も首を傾げる。
「佐川様は二の宮様の絵の師の君でいらっしゃるお方でございます。こちらはその姫君でいらっしゃる好美様でございます。」
「何と…。」
これで態度を少しは改めるだろうと、桔梗は思った。
「…どうりで知らぬわけだ、そのような下級貴族は。」
「何ですって?」
改めるどころか、ますます好美を貶める発言に桔梗はカンカンになった。
「柘榴殿、無礼でありましょう!そちらこそ好美様に謝りなされ!」
「なぜ私が!」
柘榴は桔梗との距離を縮めた。桔梗は踏ん張って下がらなかった。
「二ノ宮様の師の君の姫君に無礼をはたらいているからです。」
「姫君、姫君と…ああ、そうか。そなた、桔梗に取り入って二ノ宮様に近づこうとしておるのか。」
柘榴は好美に攻撃の対象を変えた。
「近づこうなどと、そのようなことは!」
真っ青になって好美が叫んだ。
「似たものが集まるものじゃ。」
柘榴は吐き捨てるように言った。
「東宮様に取り入ったどこぞの貧しい貴族の娘、そしてそれに倣おうとする同じような娘。まったく、甘い餌にたかるハエがブンブンと。」
「ハエ…それはあまりに…。」
「東宮妃様に失礼でございましょう!!」
言い返そうとする桔梗より先に、好美が叫んだ。
「私のことは何といわれてもかまいませぬ。でも東宮妃様にまで。」
「もうすぐ廃妃になるのに?」
「廃妃…そんな!」
「そのようなことはなりませぬ。」
きっぱりと桔梗が告げた。
「東宮様の御心が離れたというのに?」
「そのようなことを誰が知ると?」
「宮中で皆が噂しておる。毛色の変わった娘に東宮様は飽きたのだと。目が覚めたのだと。」
「そして」と柘榴は好美を見た。
「礼儀もわきまえぬ娘が宮中に入り込むこともなくなるということよ。とにかく、謝れ。」
「…ぶつかったのは私のせいでございます。謝れと申されるのは仕方のないこと。でも、でも東宮妃様まで…。」
あの優しい琴子を侮辱されたことが好美には許せなかった。
「桔梗、謝り方を教えてやれ。」
「は?」
「土下座して、この娘に謝り方を教えるのだ。」
そうしないとここを通さぬし戻ることも許さぬとばかりの柘榴の態度である。
「桔梗様、私が土下座いたします。」
「なりませぬ、好美様。」
「ですが。」
自分のせいで琴子や桔梗がひどい言われ様なことを、好美はもう耐えられなかった。
「私が…。」
「ほう、少しは話を理解できる娘か。」
さあ、やってみろとばかりに柘榴が冷たく好美を見下ろした時である。



「そのようなことをする必要はありませぬ。」
予期せぬ声が聞こえた。
「好美殿、そのようなことしなくて結構です。」
「東宮妃様!」
琴子が女官たちを連れて姿を見せたのだった。
「東宮妃様、なぜこちらに?」
これには桔梗も驚くばかりである。桔梗だけでなく、柘榴もそうであった。
「桔梗、そなたを叱らねばならぬ。」
普段の琴子とは違う、厳しい声が桔梗に向けられた。これに柘榴がニヤリと笑った。
「冷宮に行って、少しはしきたりを理解されたようですな。」
「そうだ、しきたりを学んだ。桔梗、そなたの言葉遣いは間違っておる。」
「え?」
柘榴の笑みが引っ込んだ。
「東宮妃様?」
これには桔梗もどういう意味かと理解しかねる顔をしていた。
「そなたは東宮妃の女官長です。東宮妃の女官長は王妃様の女官長に次ぐ地位。すなわち宮中の女官たちの中での序列は二位ではないか。」
「なっ…。」
柘榴が顔色を変える番であった。
「大変申し訳ございませぬ、東宮妃様。」
琴子の意図を知った桔梗が謝った。その顔は笑みが浮かんでいた。
「序列二位の女官の口の利き方ではない。」
「はい、東宮妃様。」
そして琴子は桔梗と好美を庇うように、柘榴の前に立った。その姿は桔梗ですら見たことのない、威厳に満ちたものであった。
「柘榴、そなたの口の利き方もなんだ?」
「そ、それは…。」
「私の女官長に対する口の利き方ではない。」
「…。」
「しきたり、しきたりとうるさく言うのに自分が守っていないではないか。」
「柘榴様…。」
柘榴の後ろの女官が怯えた声を出した。
「そして好美殿への態度も改めよ。」
琴子は柘榴を睨んだ。
「桔梗が申しているとおり、好美殿は二ノ宮様の師の君の姫君ですぞ。その姫君を侮辱するとは無礼甚だしい。先ほどから無礼をはたらいているのは柘榴、そなただ。」
桔梗は心の中で拍手喝采であった。
「そなたにぶつかったこと、二人は謝ったのではないのか?」
「…。」
「それでも私の義弟の師の君の姫君を侮辱することは、東宮妃として見逃すことはできぬ。これ以上無礼をはたらくならば、王妃様に申し上げる。」
「…お許しを。」
とうとう、柘榴が白旗を上げた。
「下がってよい。」
琴子は柘榴たちに命じた。柘榴はまだ何か言いたげに琴子たちを睨んでいる。
「下がれ、と申した。」
きっぱりとした、東宮妃らしい琴子の物言いに柘榴は歯ぎしりをしながら下がっていった。



「ああ…。」
柘榴の姿が見えなくなった途端、琴子の体が崩れ落ちた。
「姫様!」
慌てて桔梗がその体を支えた。
「姫様…ご立派でございました!!なんて素晴らしい!!」
まさか琴子があそこまで柘榴に言えるとは。桔梗は泣きそうであった。
「緊張したわ…もう、まだ震えている。」
琴子の手は震えていた。
「もう、姫様ったら。」
「東宮妃様、私のせいで申し訳ございませぬ。」
好美が謝った。
「本当に…本当に。」
「いいのよ、好美殿。」
二人の知っている琴子が帰って来た。
「こちらこそ、怖い思いをさせてごめんなさいね。」
「いいえ、とんでもございません。」
「ところで姫様がなぜこちらに?」
「ああ、そうだった。」
再び立ち上がった琴子が小さな包みを取り出した。
「こちらを好美殿に渡そうと思って。」
それは、好美がいい香りだと言った香であった。
「あのように褒めてくれたから、ぜひ屋敷で使ってもらえたらと思って。」
「東宮妃様が自ら…。」
ほろりと好美の目から涙がこぼれた。
「まだ二人に追いつくだろうし、直接渡したかったから。」
「はい」と琴子は好美に香を握らせた。
「ありがとうございます、東宮妃様。」
「恐ろしい目に遭ったけれど、また私のところに遊びにいらしてね。」
「はい、東宮妃様。」
「よかった!」
琴子はにっこりと好美に笑いかけた。



「でも本当に姫様、ご立派でございました。」
好美を送った後、桔梗が溜息をついた。
「あれは…自分でも驚いているのよ。」
居間に座って、琴子は信じられないという顔をした。
「桔梗と好美殿が柘榴にいろいろ言われているのを見て…私、二人を守らねばって。」
「私たちを守ってくださるなんて…そんな。」
「ううん、あの時は自然とそう思ったの。桔梗は私に仕えたせいでしなくてもいい苦労をしている。冷宮までついてきて辛い思いをさせたわ。」
「あれは私が望んだことです。」
「そう言ってくれる桔梗を今守らないでどうするって。好美殿もそう。妹の様に私に懐いてくれて。私と一緒にいるせいで二人が酷い目に遭っている。そう思った時自然と言葉が出ていたのよ。」
「そうだったのですか。」
「ええ、私は桔梗を幸せにする義務があるわ。」
「私は姫様のおそばにいるだけで幸せでございます。」
桔梗は目頭を押さえた。つられて琴子も目頭を押さえる。

しばらくして琴子は言った。
「桔梗、私ね、好美殿が裕樹様と結ばれるようにお手伝いしたいと思っているのよ。」
「まあ、素敵ですわ。」
「前は私のような辛い目に遭わせたくないから遠ざけようとしたけれど…今は違うわ。私のような目に遭わないよう、私がしっかりとしたい。そう思えたの。」
「姫様、その通りです。私もぜひそのお手伝いを!」
「ええ、お願いね。」
主従は手を取り合い、協力を誓い合った。



琴子が欅宮付きの柘榴をやり込めたという話はどこから流れたのか、あっという間に広がった。
「直樹様、桔梗いや東宮妃女官長がお目通りを願っております。」
鴨狩が居間にいる直樹に向けて声をかけた。
「直樹様、東宮妃女官長はお目通りを許されるまでここを動かぬと申しております。」
言った後、鴨狩と桔梗が顔を見合わせニヤリと笑った。
「…通せ。」
渋々といった直樹の返事が聞こえた。鴨狩が頷くと桔梗はスッと居間に入った。

「何だ、謹慎させられている俺を見たくて来たか?」
「…そのようなことではございませぬ。」
「じゃあ何用だ。」
「直樹様、いえ東宮様。東宮妃様のお噂はお耳に入っておりますでしょうか?」
「欅宮の女官をやりこめたって話か。」
「お耳に入ってよろしゅうございました。」
「それで?」
直樹は面倒そうに脇息にもたれていた。
「以前、東宮様はおっしゃいました。東宮妃様にもっと強さを身につけてほしいと。」
「言ったような言わなかったような。」
「確かにおっしゃいました。全て突っぱねるような強さを持てと。」
「それで持ったと。」
「東宮妃様は、私と好美様を助けるために強くなられたのです。あのお方は他人のために強くなるお方でございます。そこを東宮様にご理解いただきたく参上しました。」
「…。」
「東宮様のお望みの姿に東宮妃様は近づいていらっしゃいます。ですから…もう少し優しくなされてはいけませぬか?」
「優しく…するか。」
「東宮様。東宮妃様は冷宮にいらっしゃるときも、東宮様がおいでの方向を見上げて思っておいででした。」
「…琴子にそう言ってくれと命じられたのか。」
「そのようなことを命じる方ではありませぬ。全て私の一存でございます。」
「そうか。」
直樹がどこを見ているかわからぬような顔をした。少しは直樹の心に響いただろうか。
桔梗は琴子が東宮妃らしくなったこと、そして心は変わらないことを直樹に伝えたかった。
「…東宮妃でいらっしゃりたいから強くなられたわけではありません、念のために。」
「そんなこと分かってる」と直樹はポツリとつぶやいた。「え?」と桔梗は聞き返したが、直樹は何も言わなかった。

桔梗が帰った後、鴨狩がお茶を持って居間に入って来た。
「鴨狩。」
「はい。」
「お前と桔梗の仕業だろ?」
「は?」
「東宮妃の欅宮付き女官への反抗の噂だ。」
「さて、何のことか?」
お茶を置きながら鴨狩は内心舌を出していた。もちろん、二人で仕組んだことである。琴子の権威を示す絶好の機会だと思った。
「立場、逆転だな。」
「と仰られますと?」
「自信をつけた妃と自信喪失した東宮。」
「情けないことを仰いますな。」
こちらも幼き頃より気心しれた主従であった。
「その通りだろ。今度は俺が謹慎だ。あまり知られていないのがよかったけれど。」
謹慎を医師長に命じられた理由も痛いほど、自分で分かっていた。だがどうすればいいのか。
再び医療の現場に戻るために琴子に優しくすることは間違っている。しかし、このままでいいわけでもない。
「…しばし、病と称して引きこもるか。」
仮病を使うのは医師として明らかに誤っているが、今は誰とも会いたくなかった。
「琴子様が心配あそばしますよ。」
「それでも、人と接することに疲れ果てた。」
直樹は鴨狩を下がらせると、行儀悪く横になった。



「仮病…。」
鴨狩が危惧したとおり、直樹が病と称して引き籠ったことで琴子は心配した。が、鴨狩がこっそりと真実を教えてくれた。
「直樹様が謹慎だなんて…おいたわしい。」
「自業自得ともいえる」と鴨狩は思ったが、琴子に叱られることは明らかなので黙っていた。
「私が行ってもご迷惑でしょうね。会って下さらないし。」
寂しそうに琴子は笑った。
「本当は琴子様に会いたいと思われているのですよ。」
「ありがとう、慰めてくれて。」
それでも、自分のせいだろうと琴子は思った。

「自業自得よ、ホホホと高笑いされるほど性格が悪ければと思ってしまう俺は醜いな…。」
その後、鴨狩は桔梗にもらした。
「そういう性格でしたら、冷宮にいらっしゃらない。何より、東宮様に選ばれてないでしょう。」
「だよな。」
「お強くなられたと思ったけれど、やはり根本はあのようなご性格。鴨狩殿、私はもう思い切ってご実家へ行かれることをお勧めしようかと思っております。」
「ご実家へ…。」
「はい。裕樹様もそうおっしゃってくださいました。裕樹様の目からも、姫様はお可哀そうに見えるのです。」
「俺もそう思う。だけど戻られたら…。」
「…二度と宮中に戻れないかもしれません。」
直樹は琴子が愛想を尽かしたと思うだろうし、自棄になって廃妃と言うかもしれない。
「生きがいを奪われた直樹様…愛情をなくしたと思っている琴子様…。」
どうすればいいのだろうかと、忠実な侍従と女官長はため息をついたのだった。




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コメント

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お待ちしておりました。

続きありがとうございます。

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待っていました!
やっぱり大好きです。このお話。
次が読みたくてはやる気持ちと、ゆっくり丁寧に読みたい気持ちで葛藤しました。
また続きをお待ちしています。

rinさん、ありがとうございます。

待っていて下さりありがとうございます!
更新が滞りがちで本当に申し訳ないです。
そして、とても丁寧に読んで下さっている事を教えて下さりとても嬉しいです。
イタキス祭りと並行してこちらも続きを書いていけたらいいなと思っております。

紀子ママさん、ありがとうございます。

連続でのコメントありがとうございます。
そうそう、自分なら何を言われてもいいけれど大切な人を悪く言われると…というのはありますよね。
さすがの琴子ちゃんも怒らずにいられなかったというところでしょう。
これを機に自信をつけてくれたらいいなと思っておりますがどうでしょうか。
本当、これで別れたら欅宮の思うがままで高笑いが宮中に響き渡りそうです。
どうしようもない夫に琴子ちゃん、どうするのか…というか、私もどう書くつもりだったのか、また確認せねば(笑)

あゆみさん、ありがとうございます。

待っていて下さりありがとうございます。
そろそろ続き、書く準備を始めますね!
あゆみさんがあきれて見放す前に(笑)

マロンさん、ありがとうございます。

そろそろ、柘榴の嫌みもストックがなくなってきました…(笑)
語彙力のなさが露呈しつつあります。
琴子ちゃん、ここで登場です。少し威厳を見せつけることができたでしょうか。
他の皆さんもスネちゃまと言っていて…ああ、ここでの東宮さまのニックネームはスネちゃまに決まりか。
スネオのママが浮かびそう。
本当、再び心は通い合えることができるのでしょうかねえ…。

りょうママさん、ありがとうございます。

そうなんですよ、この二人居候なんですよね(笑)
居候のくせに、ずいぶん好き放題…
まあ琴子ちゃんは姑がとてもいい人なので、嫁姑問題を書きたいと思ったらこういう人を出すことになるんです。
本当、居候のくせに(笑)
琴子ちゃんは少しずつ成長して自信をつけつつあるのに、旦那様がどんとん退化していっているところが。
旦那様は浮上できるのでしょうかねえ。

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