日々草子 水面に映る蓮の花 25
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

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「あれ?」
池のほとりに兄の姿があった。信じられないことに一人で立っている。
「どうしようか…。」
声をかけていいものか。ここを通らずに自分の御殿へ戻ることもできないことはないが、姿を認めているのに挨拶もせずに引き返すのは無礼なことである。
「琴子のことがあるしなあ。」
自分が口を挟む筋合いではないが、琴子への仕打ちは弟から見ても酷いのではと思わずにいられない。倒れるまで追い込むのは兄らしくない行為であった。

「兄上、ご機嫌よう。」
結局裕樹は兄を無視することはできなかった。なんとなく声をかけた方がいいような寂しい姿だったせいもある。
「…裕樹か。」
直樹は少しだけ、微笑んだ。が、すぐに表情は翳りを帯びたものに戻った。
「鴨狩はいないのですか?」
人払いをしても、あの忠実な侍従だけは側にいるのが常であった。
「ああ、呼ぶまで下がるように命じている。お前は珍しく供を連れているのだな。」
裕樹から少し離れた所に、裕樹の侍従や女官がいた。
「はい。父上と母上の元へ行っておりましたゆえ、一人ではちょっと。」
「さすがのお前もそこは考えているんだな。」
兄や琴子の所には一人で気ままに出向く裕樹であった。
裕樹は侍従達に「後は一人で戻る」と告げ、こちらも人払いをした。そういうことができるのは次男だからである。

「父上と母上にいかなる用で?」
「ええと…最近の学問の進み具合を報告してまいりました。」
「褒めていただいたか?」
「はい。この調子で頑張るようにと父上が。」
「絵もか?」
「はい。ずいぶん上手になったと。」
「それはよかった。師の君のご指導がいいのだろう。」
「そう思います。」
「俺は師の君にしばらく出て来るなとお叱りを受けた。」
「えっ!」
兄が人から叱られるなど初めて聞いたのではないだろうか。
「なぜゆえですか?」
「自分の妻を思いやれない者に他人の命を任せられるかと言われた。」
「…。」
何と言葉を返して良いか裕樹には分からなかった。
「実際、その通りだから無理もない。」
あきらめの境地にいるような直樹である。
「琴子と仲良くできないのですか?」
おもいきって裕樹は尋ねてみた。
「仲良く…か。」
「何でここまでこじれてしまったのか」と聞いてみたかったが、それは聞いてはいけないことだと子供心に裕樹も分かっていた。
「僕は…琴子に謝りました。」
「何かしたのか?」
どうやら直樹は何も聞いていないらしい。
「前に酷いことを言ってしまって。絶対許してくれないと思ったのですが、謝ったら許してくれました。」
「よかったな。」
自分だけ許されて申し訳ない気分の裕樹は、そう言われても頷けない。

「僕、今回のことで分かったのですが。」
「ん?」
「謝るより許すことの方がずっと難しいですよね。」
「謝るより許す…。」
ずっと池に目をやっていた直樹が、裕樹を見た。
「僕が同じことを誰かに言われたら絶対許さないと思うんです。謝られても会いたくないし。でも琴子はちゃんと許してくれました。そういうことができる琴子はすごいと思います。許すことの方が絶対に難しいです。」
「そう琴子に言ってやれ。喜ぶぞ。」
「絶対言いません!」
照れて顔を赤くする裕樹を、直樹は笑った。

「遠回しに俺に謝れって言いたいのか?」
その口調は裕樹を責めているわけではなく、少し軽い感じのものだった。
「いえ、そんなことは!」
何があったのか知らないのに闇雲に謝れなどとは裕樹とて言えない。
「…お前の方がずっと大人だ。お前が東宮に立つ方が良いのかも知れないな。」
「兄上、恐ろしいことを仰らないで下さい!」
裕樹は周囲を見回した。池の周りは誰もいない。蓮の葉から蛙が飛び込む音が聞こえた。
「半分冗談、半分本気だ。」
「兄上!!」
裕樹は兄に取って代わろうなどという気持ちはない。このようなことを直樹が口にしたと誰かに漏れたら、宮中は大騒ぎである。
「俺は人としていたらないところだらけだ。」
「兄上…。」
このような弱気な兄は初めてであった。いつも堂々として自信にあふれていたのに。

「蓮の花ってすごい朝早くではないと見られないそうですね。」
話題を変えようと、裕樹は池に目を向けた。
「そうだな。」
「今度見に来ようかなあ。」
花に興味はさほどないが、とりあえず話題を続けることに裕樹は必死であった。
「水面に映る蓮の花…。」
不意に直樹が呟いた。
「え?」
「早朝に咲いて昼には閉じてしまう…水面に映る時も短いのだな。」
「そうですね。」
はかないことを口にする直樹に、裕樹は悲しくなる。

「この池の中は泥だらけなんだぞ、裕樹。」
綺麗なことを口にしたと思いきや、直樹は突然そのようなことを言った。
「泥…ですか。」
蓮の花はじっくりと見たことがないが、花と泥という組み合わせがどうも…と裕樹は顔をしかめた。
「蓮は泥より出でて泥に染まらず。」
「はい?」
また泥の話なのかと裕樹は怪訝な顔をした。
「蓮は泥の中で育って綺麗な花を咲かすんだ。」
「はい。」
「周りが汚れていてもそれに染まらない、清らかさを保つって意味だ。」
直樹は蓮の葉を見つめて続けた。
「…俺は、琴子にそのようにいてほしかったんだ。それを分かってほしかっただけなんだ。」
そして直樹は静かに裕樹の前から去って行った。
「蓮は…泥より出でて泥に染まらず…。」
裕樹は教えられた言葉を何度も繰り返した。



「…男と女が共に生きるというのは難しいものなのだ。」
裕樹の突然の発言に、春也と好美は顔を見合わせた。
「いかがなさいました?」
「ご気分でも悪いのでは?」
「お前たちは大人になれ!」
顔をのぞき込む二人を裕樹は追い払った。
「宮様が柄にもないことを仰るものですから。」
春也が呆れると、
「柄にもないとは失礼だ。僕だって深く物事を考えるんだ。」
「それは失礼いたしました。でも少しでもそこに気づかれてよろしゅうございました。」
「ああ?」
裕樹は春也を睨んだ。
「お前は知ってるとでも?」
「深くは分かりませんが、互いに思いやりを持って、時には我慢をすることも必要だということは知っております。」
「妻もいないくせに。」
「宮様だって。」
裕樹は「フン!」と足を鳴らした。
「しかし、好き合っているならば会いたくて我慢ができなくなるのが普通ではなかろうか。」
「会わなくとも心が通じていれば大丈夫でございましょう。」
「だから、何でお前はそんないっぱしなことを言うんだよ!」
「まあまあ」と好美が二人の間に入った。
「お二人とも、もうすぐ東宮妃様の御殿ですよ。」
「ああ、そうだった。」
琴子の前ではこの話題は慎まねばならない。



「お待ちいたしておりました!」
雀殿では桔梗が満面の笑みで三人を迎えてくれた。
「さあさあ、お入り下さいませ。」
桔梗に案内されるがまま入ると中には、
「三人とも、よく来ましたね。」
と、王妃が東宮妃の隣に座っていた。
「私からも三人にお礼を言いたくて。」
「本当に…助けていただきありがとうございました。」
琴子が改めて礼を述べると「とんでもございません」と春也と好美が頭を下げた。
「好美殿が女官の顔を覚えていてくれたことから、事が動き出しました。」
「いいえ、王妃様。宮様が手のあざに気がつかれたことが最初でございます。」
「春也殿も周囲にばれぬよう動いてくれて…澄子殿と連絡を取ってくれて。」
「とんでもございません、王妃様。あれは東宮様のご指示によるものです。」
「…そうでしたね。」
笑みを浮かべていたが、王妃はそっと琴子の様子を気遣った。琴子も直樹が動いてくれたことは知っている。
「東宮様に一番にお礼を申し上げねばならないのですが…。」
「兄上は忙しくしておいでだ、そのうち会えるさ。」
落ち込みかけた琴子を裕樹が明るく励ました。
「お!桔梗の餅菓子…母上の焼き菓子もありますね!!」
「おお、そうでした。たまには母の作ったお菓子も食べてほしいと久しぶりに焼いてみたのです。春也殿、好美殿の口に合えばいいのですが。」
「さあ、さあ」と王妃が勧めてくれたので、三人の子供達は王妃のお菓子を口にした。
「おいしゅうございます。」
三人が同時に同じことを口にしたのを見て王妃は「さあ、姫も」と琴子に勧める。琴子も口に運んだ。
「本当に!義母上様、とてもおいしゅうございます。」
「よかったこと。さあ、桔梗も。」
「よろしいのでございますか?」
「ええ、私は桔梗の餅菓子をいただきます。」
そして皆がお菓子を食べてはおしゃべりに花を咲かせた。



ふと、好美が鼻を動かした。
「お菓子の他にいい香りが…。」
「気づいてくれましたか。」
琴子がにっこりと笑った。
「久方ぶりに香を合わせてみました。」
「とても素敵な香りでございます。」
「ああ、女性はこういう所が楽しいのです。」
王妃がはしゃいだ声を上げて、息子を見た。
「…食べるばかりで、まったく。」
「東宮妃様も、香を合わせるご気分になられて何よりでございます。」
桔梗が嬉しそうに言うと「そうですとも」と王妃が頷いた。



ささやかなお茶会が終わり、王妃を皆で見送った。
「さて、僕たちは学問の時間だ。」
「この会のために、学問の時間をずらしていただいたのでしたね。」
「やらねばならないことはやらねばな。」
「宮様、眠らないで下さいね。」
「お前もな、春也。」
少年達は騒ぎながら、裕樹の御殿へと向かった。
「桔梗、好美殿を門までお送りして。」
「大丈夫でございます、東宮妃様。」
一人残された好美は遠慮した。
「もう道は覚えました。」
「ですが、一人で心細いのでは?」
確かに相変わらず宮中内で迷子になりかける好美であった。しかし琴子はまだ本調子ではないと好美は聞いていた。そのような琴子から桔梗を離すのは心配である。
「ほら、お土産もありますでしょう。」
王妃と桔梗が作ったお菓子を別に重箱に詰め、お土産として用意されていた。
「門まで桔梗に持たせましょう。」
「東宮女官長様に恐れ多いことでございます。」
「お気になさらずに、好美様。」
桔梗がひょいと重箱を手にした。
「さ、参りましょう。」
「頼みましたよ、桔梗。」
好美と桔梗は連れ立って、門に向かった。



「申し訳ございません、私が常に一人で歩いているばかりに。」
貴族の姫ならば供がついているのが普通である。しかし、好美は一人で歩くことを好んだし、侍女は家のことで忙しい。
「そのようなこと気になさらないで。東宮妃様も昔は好美様のようにお一人で街を歩かれていらっしゃいましたよ。」
「そうなのですか。」
「ええ。お一人で何でもおできになるしっかりとした方ですよ、好美様は。」
桔梗の励ましに好美の心は明るくなった。
「桔梗様、お土産を持たせて下さいませ。」
「まあ、いけません。門まで私がお持ちするとお約束を。」
「大丈夫です。ほら、桔梗様が仰るように私は一人でも大丈夫ですから。」
「まあ、そんな。」
キャッキャッと二人がはしゃいでいると、重箱が何かに当たった。
「無礼な!!」
重箱を当ててしまったのは、欅宮に仕える柘榴であった。


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また、変な厄介なやつにぶつかったな😁て言うか‼️また、わざと?本当😱あさましい女どもだ‼️

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