日々草子 水面に映る蓮の花 23
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事

お久しぶりのこちらの更新です。続きをお待たせしてしまい申し訳ありませんでした。
続きを書くにあたって、これまでの話を読んで忘れていた伏線とか確認しておりました。回収できるか分からないのですが…。
頑張って書き上げたいと思っておりますので、お付き合いしていただけるとありがたいです。

☆☆☆☆☆




目を開けた時、飛び込んで来たものは見覚えのある粗末な天井であった。
「姫様!!」
桔梗の叫びにも似た自分を呼ぶ声が聞こえた。ここはまだ冷宮であった。女官長が来て冷宮から出る王妃からの命令を受けたことはやはり夢だった、琴子がそう思った時にまた桔梗が叫んだ。
「医師長様!姫様…東宮妃様がお目覚めに!」
ほどなくして、琴子は自分の腕に他人の指が触れるのを感じた。
「脈も落ち着かれました。ああ、顔色も一時に比べて良くなられました。」
聞き覚えのある声だった。
「桔梗…。」
ようやく桔梗の顔を見ることができた琴子は声を発した。
「姫様、三日三晩お目覚めにならずに…。」
桔梗の目には涙が浮かんでいた。その姿はまだ粗末な衣装であった。
「王妃様のお計らいにて医師長様がおいでになり、治療を。」
「医師長…師の君様が。」
琴子が少し顔を動かすと、見覚えのある温和な笑顔がそこにあった。
「ずっとお気が休まる時がなかったのでしょう。お疲れが一度に出たのですよ。」
医師長は「薬湯の準備を」と誰かに命じたようだった。桔梗以外の者がここにいることがまだ琴子は信じられなかった。

「医師長様と同じ時に王妃様もいらしたのですよ。」
薬湯を琴子に飲ませながら桔梗が話した。
「王妃様は姫様のお側にと仰せだったのですが、お目覚めになるにはしばし時がかかると医師長様の診断を聞かれてお戻りになりました。」
琴子は全然記憶になかった。
「姫様がお目覚めになられてから元の御殿へお戻りになった方がいいということでした。」
「元の御殿?」
「姫様、元の御殿へお戻りになる王妃様の御命令を受けたではありませんか。」
「夢じゃなかったのね…。」
「夢じゃございませんよ、さ、お飲みに。」
薬湯は苦いものだった。顔をしかめた琴子を見て桔梗が笑った。
「良薬は口に苦しと申しますからね。医師長様がこちらをお薬の後にと。」
それは氷砂糖であった。少し口にふくめると甘さが広がった。



「姫様がお目覚めになったら、王妃様にお伝えするようにと言われているのでした。」
桔梗「誰か」と声を外へ向けてかけた。すると女官が一人入って来た。
「王妃様が数名の女官をこちらに遣わされたのです。」
不思議な顔をしていた琴子に桔梗が説明をする。
「王妃様に、東宮妃様のお目覚めをお伝えしておくれ。」
「かしこまりました。」
「きっと王妃様がすぐに飛んでいらっしゃいますわ。」
桔梗の言葉を聞いた途端、琴子が横たえたばかりの体を起こした。
「待って。」
「姫様?」
「王妃様には…お越しになられないようにと伝えて。」
「何を仰います?」
琴子の体を支えながら桔梗が驚きの声を上げた。
「王妃様がどれほど御心配あそばされているか…。」
「それは分かっているわ。でも、桔梗。私の立場を忘れてはいけない。」
「立場とおっしゃいますと?」
「ここは冷宮。罪人の暮らす場所よ。そのような所に王妃様が足を運ぶようなことは…。」
「罪人などと…王妃様の御命令はすでに出ておりますのに。」
「でもこのような場所に王妃様がいらっしゃると、口さがない者たちが何を言うか。王妃様の御評判にも関わるわ。」
「ですが…王妃様はとても姫様のことを…。」
「私の方からご挨拶に伺うことが筋というもの。」
王妃の元へ行こうとしていた女官が困ったような顔をしている。桔梗は琴子の気持ちが固いことを理解し「東宮妃様の仰せのとおりに」と命じた。女官は「かしこまりました」と下がって行った。



「東宮妃がそのようなことを…。」
伝言を聞いた王妃は溜息をついた。
「気にせずともいいのに…。」
今すぐにでも冷宮へ飛んで行ってその顔を見たいのにと王妃は思った。
「東宮妃様のお気持ちもごもっともなことでございましょう。」
主人の気持ちを理解しつつ、女官長が慰めた。
「そうね…。」
確かに琴子が心配するのも仕方のない立場の自分であった。自分は何を言われても気にしないが、琴子が傷つくことはしたくなかった。
「分かりました。東宮妃が戻る日を待ちましょう。そう伝えるように。」
「はい、王妃様。」
女官長は女官に伝えるため退出した。



雀殿へ戻っても大丈夫だと医師長より許可が出たのは、それから数日経った頃だった。

戻る日の朝、数か月暮らした冷宮の建物の中を琴子はゆっくりと見て回った。
「姫様…。」
「こうして離れるとなると、寂しいものね。」
「私もです。」
隔たれた場所で文字通り、二人肩寄せ合って暮らした場所であった。
「ここを離れてまた雀殿に…。」
桔梗には、それを琴子が喜んでいるようには見えなかったのが気がかりだった。
「…また堅苦しい暮らしに戻るのね。」
確かに決まりの多い暮らしにまた戻る。が、琴子が不安がっているのはそれだけではなさそうである。
「姫様は…。」
「さ、参りましょう。ここから雀殿まで遠いのだから歩くと時間がかかるわ。」
桔梗が聞きたいことを琴子がそうさせないとばかりに遮るよう、明るく言った。
「あ、姫様。それならばご心配及びません。」
「え?」
「王妃様が輿を遣わして下さることになっております。」
「輿…。」
「はい。病み上がりの姫様をご心配になってのお計らいでございます。」
そのような会話を交わしているうちに、外に輿が到着する気配がした。
「さ、姫様。」
「ええ。」
こうして、二人は冷宮を後にしたのだった。



雀殿はかつて裕樹が腹を立てたような造作は取り払われ、元の落ち着きを取り戻していた。
そしてそこには、かつて琴子に仕えていた女官たちが顔を揃えて到着を待っていた。
「東宮妃様、お戻りなされませ。」
一人も欠けることなくなく、琴子を出迎えてくれた。
その先頭には、王妃が遣わした女官長がいた。
「東宮妃様、お体はいかがでございますか。」
「ありがとう…少し疲れましたが、大丈夫です。」
桔梗に支えられながら、琴子は懐かしい居間に着座した。
「王妃様にご挨拶に伺わねば。」
「王妃様より、お体をまずは大事になされてからというお言葉でございます。」
完全ではない体ですぐに挨拶に琴子は出向いて来るだろうから、それより先にと王妃が女官長を遣わせたのだった。
「ほどなく医師長が参りましょう。」
「王妃様に失礼のほど、私がお詫びしていたと伝えて下さい。」
「かしこまりました。恐れながら東宮妃様。」
「何でしょう?」
ああ、そうだったと琴子は思い出した。言葉遣いが丁寧過ぎると以前注意されたことがあった。それを女官長が再び口にするかと思った。
「やはりこの御殿の主は東宮妃様でございますね。」
「え?」
「そのお席にお座りになることが、とてもお似合いでございます。やはりここは東宮妃様の御殿でございます。」
目を細めて笑った女官長の言葉は、緊張と不安で固まっていた琴子の心を少しほぐしてくれたのだった。



王妃の気遣いをありがたく受けた琴子は、戻って二日後は挨拶に出向く仕度を命じた。
「本当に大丈夫でございますか。」
「大丈夫よ。」
とにかく挨拶だけはせねばと琴子は思っていた。
「衣装をこちらに。」
桔梗は女官に命じて衣装を運ばせ、それを琴子に着つけた。久しぶりのきちんとした衣装は琴子の体に重く感じた。
「こんなに重かったものかしら?」
「あちらでは質素な衣装をお召しでしたから。」
更に桔梗は髪飾りを運ばせる。女官はずっしりと重みのある箱を置いた。
「どちらにしましょうか。」
とにかく久しぶりに琴子が着飾るのである。桔梗は琴子を美しく仕立てることが楽しくてたまらなかった。
「桔梗の好きな物を。」
琴子とて、忠実な桔梗が楽しそうにしていることは嬉しいのである。
「ではこちらにしましょう。」
冷宮でも桔梗が手入れを欠かさなかった髪である。戻った今は香油をたっぷりと含ませているので更に輝きを増していた。
「姫様、ご気分が?」
桔梗が髪飾りをつけると琴子の顔がしかめられた。
「いいえ。久しぶりだからやはり重さを感じて。」
「そうかもしれませんね。これでも軽い物を選びましたが…。」
病み上がりの体を気遣うことを桔梗も忘れてはいなかった。
「きちんとした格好に早く慣れねばね。」
「御無理なさいませんよう。」
それでも着飾った琴子を先頭に歩くことは、桔梗を始めとする女官たちは誇らしかった。

琴子が挨拶に出向くということで、王妃の御殿にて王と王妃はそろって待っていた。王は優しい労わりの言葉をかけてくれ、琴子は恐縮するばかりであった。
忙しい王が出て行ったあと、王妃が近寄った。
「ああ、姫。よく戻ってくれました。」
「義母上様…。」
王妃に抱きしめられ、琴子は涙をこぼした。その涙を王妃が指ですくう。
「あのような所で暮らさせたことを許しておくれ。」
「勿体ないことでございます。それに私から申し出たことでございます。」
「そこまで追い詰めたのは私が至らなかったため。」
「違います、義母上。どうぞお顔を上げて下さいませ。」
「もうこれからは辛い目に遭わせません。」
「そのお気持ちだけで嬉しゅうございます。」
王妃の優しさは変わらなかった。


「東宮様の元へこのまま参りましょう。」
王妃の御殿を後にして、琴子は言った。
「東宮様にもお詫びを申し上げねば。」
「東宮妃様…。」
琴子の顔が強張っていた。
「義父上、義母上にご挨拶をしたのだから東宮様にもご挨拶せねば。」
確かに琴子の言うとおりである。が、桔梗は心配だった。できれば体がもっと良くなってからの方がいいのではとさえ思う。しかし、挨拶をせねば琴子が落ち着かないことも確かであった。
「分かりました。」
一行は東宮の御殿へと向かった。

「東宮妃様!」
琴子の姿を見つけて、鴨狩が飛んで来た。
「お帰りなさいませ!」
「鴨狩も元気そうね。」
「東宮妃様は少しおやつれになりましたか?無理もないことですが。」
「雀殿に戻れることになり、安堵して力が抜けてしまったみたい。」
鴨狩を安心させるため、琴子は無理に笑った。もちろん、鴨狩もその心中は分かっていた。
「直ちにお取り次ぎをいたします。」
鴨狩は小走りで直樹の元へ向かった。

「直樹様!琴子様が!琴子様がおいでですよ!」
直樹はいつものように書物を読んでいた。そしてそこから顔を上げようとしなかった。
「直樹様?お通しいたしますよ。」
「通すな。」
「は?」
鴨狩は耳を疑った。
「直樹様?」
「通すなと申した。二度言わせるな。」
「…なぜです?」
「…理由はない。」
「ないのになぜお会いに?琴子様はどれほど直樹様に…。」
「…下がれ。」
直樹は一度も鴨狩の顔を見なかった。その決意が固いものだと知った鴨狩は唇をかみしめ、部屋を出た。

「東宮様はただいま…。」
「…通すなと仰ったのね。」
琴子は鴨狩の顔を見た途端、直樹の返答が分かっていた。
「…お読みにならねばいけない書物が山のようにございまして。」
それは鴨狩の嘘だと誰もが分かった。
「分かりました。」
琴子はそして続けた。
「鴨狩、気を遣わせて悪いことをしました。」
「とんでもございません…。」
鴨狩は琴子が可哀想で涙が出そうだった。
「…戻りましょう。」
そう言って、琴子は背を向け歩いていく。見送る鴨狩に、桔梗が今すぐにでも噛みつきそうな顔を向けた。鴨狩は桔梗にその顔をされるのは仕方のないことだと思った。

「桔梗。」
「はい。」
「鴨狩を責めてどうするの?」
「…でも。」
「鴨狩は気を遣ってくれたでしょう。あとで謝っておきなさい。」
「…はい。」
歩きながら琴子に叱られた桔梗であったが、それでも悔しいことと直樹への憎しみは消えなかった。あんまりな態度ではないか。琴子が何をしたというのか。
雀殿へ戻り、琴子は座った。
―― 直樹様はまだお怒りなのだわ。
直樹に酷い言葉をぶつけたのは自分である。冷宮へ行ったことで直樹が許してくれたわけではなかった。
―― そんな気持ちで冷宮へ行った自分に更に怒っているのだろう。
きっと当てつけで冷宮へ行ったと思っているに違いない。そう思われてもしょうがない。

「…姫様?」
気づいたら琴子は倒れていた。
「姫様!これ、だれか医師を、医師を呼んでまいれ!!」
「だ、大丈夫…。」
久方ぶりに気の張った挨拶と、直樹に対する緊張感、拒まれた絶望感で病み上がりの琴子は再び寝込んでしまったのだった。





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アーア?全く‼️馬鹿直樹😵

お待ちしておりました~!!

水玉様お久しぶりです~!
東宮夫妻のお話首を長くして待ってました~。
まだまだ琴子ちゃんは辛い状態ですね~(T_T)
早く幸せいっぱいの二人が見たいです。
これからもぜひ頑張ってくださいね!
気長に待ってます❤

六華さん、ありがとうございます。

こちらこそお久しぶりです~!!
待っていて下さってうれしいです。
久しぶりに続きを書いて、こうしてコメントいただいてお待たせして本当に申し訳なかったと反省しきりです。
又お付き合い下さるとうれしいです。

なおちゃんさん、ありがとうございます。

読んで下さりありがとうございます。
そうなんです、本当にお馬鹿ですよね!

ひまわりさん、ありがとうございます。

待っていて下さりありがとうございます。
そうなんです、本当に3ヶ月も経ってしまって…でもこうして更新直後からコメントいただけて、すごくうれしいです。
お体大丈夫でしょうか?本当に精神的な苦しみというのは体に出ますよね。
人間の体って不思議なものだなあと思います。
そうそう、衣装の実質的な重みではなく立場とかを感じたんでしょうね。
それに慣れる頃が果たして来るのか。
ま~直樹様はお子様だから、当分ため息の連続かと。

たまちさん、ありがとうございます。

いえいえ、とんでもないです。
私の方こそ更新滞っていること申し訳ないです。
分かります、私も夏の暑さにバテバテです。
コメントのことはどうぞお気になさらずに、お体を大切にして下さいね。

マロンさん、ありがとうございます。

もう意地張っているので、絶対駆けつけないと思って。
ここで駆けつけたらここまでこじれることはなかったでしょうし。
辛い暮らししていて、そこから抜け出したと思いきや拒まれるわ…完全にアウトだなと思いました。
耐えるばかりの琴子ちゃんが哀れで、救ってあげたいような気持ちです。

りょうママさん、ありがとうございます。

いえいえ、こちらこそ早速のコメントありがとうございます。
お待たせして申し訳ありませんでした。
この宮中って心安まるところがありませんよね。そこがいろいろなストーリーを作れる醍醐味でもあるのですが。
深い溝は埋まらないし、本当、実家に帰ればと思いまして次の回ではその台詞を入れてみました。
実家に帰った方が幸せかもしれませんねえ。

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