日々草子 水面に映る蓮の花 22
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

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最新記事

登場人物の名前(春子じゃなく澄子だった)を間違っていることを教えて下さりありがとうございました!
私も書きながら「何か違う気がする」と思っていたのですが(確認しなかった自分があほでした)。
訂正できてよかった!本当にありがとうございます。

☆☆☆☆☆





「春也様。」
裕樹の御殿へ向かう時、好美が春也の姿を見かけたのは側室騒動から10日ほど経った頃だった。
が、好美に声をかけられても春也は反応しなかった。
「春也様。」
好美がもう一度声をかけると、春也はようやく気づいて「好美殿」と足を止めた。何か考え事をしていたらしい。
「宮様の御殿へ向かわれるのですか?」
「はい。春也様も?」
「そうです。一緒にまいりましょうか。」
二人は並んで歩き始めた。
「宮様はいかがお過ごしでしょうか。」
春也は騒動から宮中に姿を見せていなかった。
「はい。ご機嫌よろしく…と申し上げたいところですが。」
好美が言葉を濁した。
「…でしょうね。話は私の耳にも入っておりました。」
「ご気分が変わればと、珍しい絵巻などをお持ちしておりますが、それでも宮様の御心は晴れないご様子です。」
好美はこの日も絵巻を抱えていた。
「お好きな物を見てもご気分が変わらないのはよほどのことですね。それにしても、好美殿は本当に宮様に尽くしておいでですね。」
「いえ、私なぞ。」
好美は顔を赤らめて手を振った。と、激しく振りすぎて絵巻物が落ちてしまった。
「宮様は…。」
絵巻を拾ってやりながら、春也が言った。
「兄上様と女人のお好みが似ていらっしゃると思いますよ。」
「え?」
「ただ、兄上様以上に宮様は鈍感でいらっしゃる気がします。」
春也は好美に絵巻を渡した。
「…私なぞ、身分が違いますから。」
「そんなことありません。好美殿は宮様の絵の師匠の姫君ではありませんか。」
「姫君など呼ばれるようなことは決して。その証拠に私は付き添いの侍女がおりませぬ。」
確かに、絵の師匠に父親が抜擢されたとはいえ、好美の実家の暮らしは変わった気配はなかった。それでも昔よりは余裕ができたとは聞いているが。
「きっと、大貴族の姫君がお妃に選ばれます。私はいいのです、絵を通して宮様とつながっていられるだけで。」
そこまで話した時、裕樹の御殿が見えてきた。話はそこで終わった。




「…気分がいいわけないだろう。」
裕樹はやはりご機嫌斜めであった。
「そもそも、どうしてお前は今まで姿を見せなかった。」
「申し訳ありませぬ。色々ありまして。」
「色々、ねえ。」
「はい、色々と。」
「まあいい。それにしても腹が立つ、ああ、腹が立つ!!」
裕樹はひっくり返って足をばたつかせた。
「何で、あのババアたちがお咎めなしなんだよっ!!!」

裕樹が腹を立てるのも無理はなく、一連の悪事が欅宮一派の手によるものは明らかであるはずだった。
琴子が直樹に依頼されて調合した香を途中ですり替えたのも、欅宮の髪飾りを琴子の御殿へ忍ばせたのも、すべて欅宮一派の考えだと分かっていた。にもかかわらず、欅宮はあの女官一人のしたことと主張したのである。
それも、女官本人がすべて自分がやったことと言い張るからそれ以上何もできない。結局、女官一人が宮中からの追放処分となったことで、この事件の幕は引かれたのである。
「本人が一人でやったと言い張っていますしね。」
春也も悔しい。
「追放くらいで済ませて、母上も甘い。」
「仕方がありません。あの女官は指図を受けて動いたことは明白。でも証拠はない。下っ端女官は逆らえないことも王妃様はよくお分かりなのですから。」
「でも、東宮妃をあんなところへ追いやったことは大罪だろう!」
「それは分かっております。王妃様は見せしめに女官を極刑に処すようなお方ではございません。それは宮様が一番ご存知でしょう。」
「宮様、きっと王妃様も悔しくお思いです。王妃様は東宮妃様を大切に思っておいでなのですから。」
春也と好美が交互に裕樹をなだめた。
「あーあ!今頃、あのババアは笑いが止まらないんだろうよ!」
裕樹はゴロゴロと部屋の片隅まで転がって喚き続けた。



裕樹が喚いていた頃である。
「宮様…この度はまことに申し訳ありませぬ。」
柘榴がひたすら頭を下げていた。

「…。」
欅宮は黙り込んでいた。それが自分の犯した失敗のせいだと思い柘榴は顔を上げられない。
「…あの者には、どう言いくるめた?」
ようやく欅宮が口を開いた。
「は、はい。金子を。」
「金子、か。」
「左様でございます。あの者の実家は貧しく借金も多額。そこに目をつけて私が命じたものですから、借金を返せて当面の暮らしができる分の金子を握らせれば問題ないかと。」
「それで素直に追放されたというわけか。」
それを責めるつもりは欅宮にはなかった。今までこうして金で人を操って来た。それも大泉のやり方である。
そして何とか柘榴を庇うことができた。自分が引き渡さないと主張して、王妃の追及を止めることができたのである。
「王妃があの性格だから、そなたは救われたのだ。王妃に借りができてしまった。」
「は、はい。」
王妃が自分と同じ性格であれば、柘榴だけでなく自分の身も無事ではなかったはず。
「誠に申し訳ございませぬ。」
「しばらくは身を慎まねばならなくなったな。」
「申し訳ございませぬ。」
「柘榴。」
一層厳しい声を欅宮は発した。
「…そなたを庇うのは、これが最後と思え。」
「はい!」
これは本当の主人の気持ちだと柘榴は覚悟した。もう失敗は許されないという意味だろう。しかし、欅宮はそういう意味だけで言ったわけではなかった。



もっとも悪いことだけではなかった。
「王妃より東宮妃への命令を言い渡す。」
冷宮で女官長が王妃からの命令を読み上げていた。その前に琴子と桔梗は頭を下げ座っている。
「直ちに謹慎を解き、冷宮より退出すること。そして雀殿へ戻ることを命じる。」
命令を聞きながら桔梗は涙をこぼした。ようやく、この日が来たのである。
「…よくぞ、今までご辛抱あそばされました。」
命令を読み上げた後、女官長は膝をつき琴子を労わった。
「王妃様もご心配されておいでです。本当に、よくご辛抱を。」
「女官長、桔梗を褒めてやって下さい。」
琴子が後ろの桔梗を振り返った。
「桔梗が付いてきてくれたからこそ、支えてくれたからこそ生きていられました。」
「桔梗、そなたもよく頑張りましたな。」
「勿体ないお言葉でございます。」
桔梗が褒められ琴子は喜んだ。が、すぐにその表情は陰った。なぜ冷宮から出られるようになったのだろうか。突然の女官長の来訪にも驚いたし、命令にも驚いている。
「女官長、聞いてもいいですか?」
「はい、何なりと。」
「なぜ突然退出命令が出されたのです?」
「それは…。」
直樹が側室を迎えたことで、もうどうでもよくなったのか。ここに押し込めておくことも外聞が悪いのでとりあえず戻すことになったのだろうか。
「東宮様のご尽力あってのことでございます。」
「東宮様の?」
「はい。実は…。」
女官長は直樹が動いた一件を簡単にまとめて話した。
「まあ、東宮様が!」
桔梗は琴子に笑いかけた。
「東宮妃様、東宮様がそのように!では、女官長。側室の件は?」
「それもすべて東宮様がすべての目を欺くために謀られたこと。」
女官長はニッコリと笑った。
「東宮妃様は元のように、東宮様と仲睦まじくお過ごしになればよろしいのです。」
「仲睦まじく…。」
琴子は呟いた。と、同時に今までのことが頭の中に渦巻く。今までのように、そんな簡単に自分たちの距離は縮まるものだろうか。
「そのようなことが…。」
できるのだろうかと続けようと思った琴子の体がガクリと傾いた。
「姫様!?」
桔梗が呼ぶ声がだんだん遠くなる。琴子の意識が遠のいていく。
「東宮妃様!」
「女官長、東宮妃様はこのところ食事が喉を通らなくていらして。」
「何ていうこと!」
と、二人の会話が交わされる。
「すごいお熱ではありませぬか!!」
女官長は控えていた女官たちを走らせた。



「東宮様、王妃様が…。」
「入ります!」
鴨狩の案内を遮り、王妃は直樹の部屋に入って来た。直樹は一人書物を読んでいた。
「私の使いにそなた、なんと答えた?」
王妃のこめかみは怒りのあまり震えていた。
「…東宮妃の診察はできぬ、と。」
冷宮で琴子が高熱を出して倒れたという知らせは王妃の元にすぐに届いた。王妃は冷宮にすぐに出向くよう直樹に命じた。が、直樹はそれはできないと答えてきたのである。
「そなたは医師の修行をしているのではないのですか!」
「しておりました。」
「しておりました…?」
その言い方が王妃は気になった。
「どういう意味です?」
「私は師の君である医師長に、医療行為を禁じられております。」
「何ですと?」
「禁じられております。ゆえに診療行為はできませぬ、母上。」
「ならば…診療行為はせずとも傍に飛んでいきなさい!」
怒りの激しさに、鴨狩が顔を真っ青にしたほどだった。が、直樹は顔色を変えずに言った。
「私が行くことを、琴子は喜ばないでしょう。」
「何ということを!」
王妃は呆れ果てた。この期に及んで、まだそのようなことを言うのか。これが、あの、側室騒動を起こしてまで琴子を助けようとした男なのか。
「…我が息子ながら、何を考えているか分からぬ。」
残念ながらこれ以上、時間を費やす暇はない。頭を振って王妃は部屋を出た。
「医師長をすぐに冷宮へ!」
「はい、王妃様。」
「私も今から参ります。」
「はい、王妃様。」
母の一行の足音が遠ざかるのを、直樹は黙って聞いていた。



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やっと、誤解が溶けたと思ったら😢そんな規則なんて😆気にしない、入江君だと思った( -_・)?だけど

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19〜22話まで、一気に読みました!まるでドラマを見ているようで…
水玉さんは本当に文才があるなと思いました。
ドキドキハラハラして、そこらへんの小説より楽しいです!
私はこのシリーズが大好きなので、壮大になっても良いですし、長時間かかっても良いので、どうか二人がまた幸せになりますように…と思いながら、続きを待たせていただきます(^^)

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琴子が倒れたのは、懐妊していて、それがきっかけで仲直りというようなお話をかいて頂きたいのですが?お願いいます。

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