日々草子 水面に映る蓮の花 21
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

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意味が分かっていただけるだろうか、今回はドキドキしております。

☆☆☆☆☆






それから数日後の夜。東宮殿に女官が召されたという話が後宮にあっという間に広まり、もちろんそれは王妃の耳にも届いた。

「…どうして姫が追い出されている間にあのようなことを。」
東宮がそこまで行動を起こしたことを王妃は嘆き悲しんでいた。
「王様は、もう東宮も大人なのだから親があれこれ口を出すべきことではないと仰るばかりで。結局王様も東宮もただの男ということ。」
「しかし王妃様。冷宮にいらっしゃるとはいえ、東宮妃様はまだその座にいらっしゃいますゆえ。」
女官長が慰める。
「ええ、そうですとも。しかし、あのような東宮の傍にあの可愛らしい姫を置いておくことは幸せなことなのでしょうか。」
もう実家へ帰すべきなのではと王妃は考え始めていた。
「東宮は廃妃にするつもりなのか…。」
何を考えているのか全く分からない息子に、母は頭を悩ませるばかりである。
「…此度の女官を正式な側室と認めたら、冷宮から姫を救い出すことができるのか。」
そうは言っても、自ら冷宮へ入ったのは琴子本人である。夫が他の女を召し出すことと引き換えに元の場所へ戻るだろうか。それは辛いことに間違いない。
「王妃様、どの女官が召し出されたか調べてまいりましょうか。」
「そのようなこと、聞きたくもない!」
女官長の提案を、王妃は叫ぶように拒否した。
「誰だかなど知りたくもないわ。ああ、今頃欅宮様はさぞお喜びでしょう!」



「そうか。東宮がついに。」
王妃の想像通り、この展開を欅宮は喜んでいた。
「女官というのが気になるところではあるが、どこぞの貴族の姫を側室として募るよりは心配は少ないな。」
「はい、おそらく王妃様は正式な側室とすることを認められないはず。」
「そうなると、我ら大泉側の…。」
「はい、前の東宮妃様が再び、宮中に入られることも夢ではありませぬ。」
柘榴も上機嫌で答える。
「あとはあの娘が宮中から出て行くだけ。あれだけ言ったというのに、いつまで居座るつもりなのか。盗人猛々しいとはまこと。」
欅宮の言葉に、柘榴が珍しく笑い声を立てた。
「いかがした。そなたが声を立てて笑うなど珍しい。」
「いえ、思いのほか事がうまく運んでおりますゆえ。」
「運んでいる?」
欅宮は訝しんだ。
「どういうことだ?」
「恐れながら宮様。宮様の髪飾りの一件でございます。」
「あの娘が私に仕返しとばかりに盗んだのであろう。貧しい育ちゆえうらやましくなったのかもしれぬ。いずれにせよ、愚かなこと。」
「それは私が企んだことでございます。」
「…何?」
欅宮の顔色が少し変わった。が、それに気づかず柘榴は得意気に続ける。
「私が命じて、宮様の髪飾りを拝借いたしまして雀殿に隠しました。まさかそれがこうもうまく事が運ぶとは。」
「…。」
「そして天が欅宮様に味方していることがもう一つ…。」
「…よい。」
先程までの上機嫌をすっかり消した欅宮が柘榴の口を止めた。
「宮様?」
「…下がれ。」
主人の突然の豹変ぶりに、柘榴は戸惑いを隠せなかった。
「宮様、どこぞお体でも…。」
「下がれ。」
欅宮に睨まれ、柘榴は慌てて逃げるように前を下がった。

誰もいなくなった部屋で、欅宮は自ら立ち上がり細工が施された箱を取って来た。蓋を開けて取り出したのは、話題に上がった翡翠の髪飾りであった。欅宮はそれをじっと見つめていた。



東宮殿の女官の先導で、今宵選ばれた女官がやって来るのを鴨狩は複雑な思いで迎えた。
「鴨狩様、連れてまいりました。」
「ご苦労。東宮様はすでに寝所でお待ちだ。支度を早く。」
「かしこまりました。」
一行は別室へ入った。そこで衣装を脱ぎ夜着に着替えるのである。
やがて支度を終えた女官が出て来た。表情は俯いておりうかがえないが、その身を固くしていることは鴨狩にも伝わった。
「東宮様、女官が参りました。」
「通せ。」
そう答える直樹が夜着姿で、寝台にいるのは鴨狩にも分かっていた。鴨狩がうなずくと、女官たちが扉を開ける。そこを選ばれた女官一人が入った。そして再び扉は閉じられた。
ほどなくして、部屋の明かりが消えた。
「下がってよいぞ。」
自分の前に控えていた女官を鴨狩は下がらせた。そして1人になって静かに溜息をついた。
「前は桔梗殿と共に…楽しく宿直をしたものだったが。」
仲睦まじい二人の邪魔をせぬように、時には下世話な話などを桔梗と交わしたことが大分昔のような気がする。

翌日、夜が明けたばかりの時に女官一人が直樹の寝所から出て来た。そこに鴨狩がいたことに気づき、慌てて頭を下げた。
「昨夜の部屋で女官たちが控えているはずだ。身支度をしてすみやかに東宮殿から退出するように。」
返事の代わりに女官はまた一礼し、支度をした部屋へ向かった。その後ろ姿を鴨狩は見つめていた。



戻った女官にはそれまで暮らしていた部屋ではなく、特別な部屋が用意されていた。何もせずそこで過ごすことになるのか。これからどうなるのだろうかと不安でいっぱいだった。
どれほど経ったのか、その部屋の扉が突然開いた。その隙間から人が入って来た。
「昨日までと気分は違うであろう。」
「柘榴様。」
やって来たのは柘榴であった。柘榴は当たり前のように女官の前に座った。
「しかし、選ばれたのがそなただったとは驚いたもの。」
満足そうに柘榴は微笑んだ。そして調度品も何もない室内を見回した。
「やがてここもそれなりの道具がそろう。そして部屋の入り口にはそなた専用の女官が控えるようになるであろう。」
「…まことに、このままでよろしいのでしょうか。」
「いいも何も身に降りかかった幸運を今は素直に喜ぶがよい。」
「柘榴様。」
「そなたは今まで通り、欅宮様のために働いてくれればよいのだ。」
柘榴が得意気に言った時、先ほど扉が勢いよく、音を立てて開けられた。

「鴨狩殿!?」
立っていたのは鴨狩であった。鴨狩は冷たい目で二人を見下ろしていた。
「無礼であろう、女人の部屋に勝手に!」
怒鳴る柘榴を一瞥した後、鴨狩はその抗議を無視して部屋につかつかと入って来た。
「鴨狩殿!」
鴨狩は女官の前に立ちはだかった。何事かと真っ青な顔になっている女官の腕を乱暴に持ち上げた。その手には、はっきりと痣があった。
「やはり、そなたは柘榴とつながっていたのか。」
「鴨狩殿、理由を説明されよ!」
柘榴が女官を庇うように鴨狩の前に立った。
「この者は今は女官とはいえ、いずれ側室に上がる身。そうなると今の鴨狩殿の行為は許されることではあるまい!」
「そのような時は来ない。」
聞こえた声に、柘榴と女官が顔を向けた。二人の顔色は更に青ざめた。
「東宮様…。」
次に現れたのは直樹であった。直樹は腕を組み、じっと鴨狩が握っている女官の手、そこにある痣を見つめた。そして手を軽く振った。それを合図に鴨狩が女官を解放した。女官は痣を隠すように袖の中に手をおさめた。

「東宮様、一体どういうことでございましょうか。」
「それはこちらが聞きたいことだ。」
直樹は柘榴と向き合った。
「なぜお前がここにいるのだ?」
「それは…東宮様がお迎えあそばした女官の様子が気になって。」
先程までの威勢はどこへやら、しどろもどろになった柘榴であった。
「なぜお前が?」
「恐れながら東宮様。私とて王室にゆかりある欅宮様にお仕えする身。王室の繁栄を願っている身としては選ばれた女官がどのような者か…。」
「すでに知り尽くしているはずなのに?」
適当な理由をつけて逃げようとする柘榴を、直樹は断ち切った。
「この者がどのような家の出で、どういう人物か。それはお前が一番知っているのではないのか?」
「恐れながら、この女官は東宮妃の御殿にお仕えしていた者。私が知る由もなく…。」
「お前がこっそりと、東宮妃付にしたのだろう?それも東宮妃や東宮女官長が顔を見る機会が少ない、下級女官として。」
「東宮様、その下級女官にお情けをかけられたのは東宮様ではございませぬか?」
「何のことだ?」
開き直ろうとした柘榴に、東宮が冷たく笑った。
「俺が情けをこの者にかけたと?そのようなことしておらぬ。」
「何でございますと?」
柘榴は女官を見た。女官はガバッと平伏し、言った。
「柘榴様…東宮様の仰る通りでございます。」
「何だと!?」
柘榴は女官と東宮を交互に見て、言葉を失った。
「自分の息のかかった者が夜伽を命じられたのだ。お前は嬉しくてたまらず、この者が戻る頃合いを見計らってやって来るだろうと思ったことが当たったな。」
すぐに柘榴が飛んでくる、直樹はそう踏んで鴨狩にこっそりと女官を見張らせていたのだった。




「一晩中、書物を読んでいらしたのですね。」
東宮殿に戻り、鴨狩が散らかった書物を片付けていた。
「あの女官は身の置き所がなかったでしょうな。」
「所在なさげに隅に座っていた。さすがに気の毒になって体を楽にしていいと言ったのだがな。」
「直樹様のお情けを受けられると内心、期待していたでしょうに。」
鴨狩はからかうように直樹を見た。その表情に屈託はなかった。
「どうだか。無事に朝を迎えたときは安堵していたように見えたぞ。むしろ柘榴にどう説明すればいいのか、そちらに気を取られていたんだろう。」
「それにしても、最初に女官を選ぶと仰ったときはどうすればいいかと。」
鴨狩が話した時、「兄上!」という声が外から聞こえて来た。鴨狩がクスクス笑いながら出迎える。

「兄上、お話とはなんですか?」
ムスッとして裕樹が前に座った。まだ琴子以外の女性を兄が迎えたと信じているのである。
「もう一人来るまで待て。」
「もう一人?」
裕樹が首を傾げると、程なくして鴨狩に案内されて春也がやって来た。すごく申し訳なさそうな顔をしている。
「お前がどうして?」
「宮様…申し訳ございません!」
春也は座るなり裕樹に頭を下げた。
「春也、待て。まだ話をしていないのだ。」
「そうなのですか?」
「どういうことなんですか、兄上。」
自分だけ知らないこの状況に裕樹は不満を募らせる。直樹はそんな弟に説明を始めた。



裕樹と鴨狩が何かを探ろうとしていることは、何となく直樹は分かっていた。それはどうも女官に関係があるようなことらしい。
「いったいどういうことなんだ?」
二人は女官の名簿を欲しがっているらしい。と、いうことは誰か怪しい女官がいるのだろう。
名簿に目をつけたところまでは二人を褒めたいところである。が、その中からどうやって怪しい者を見つけるつもりなのか。
「どうも甘い考えだ。」
名簿を見ることに必死になっている二人に直樹は呆れた。が、それも自分と琴子の為だと思うと胸が痛んだことも事実だった。
表立って自分が動くと敵、すなわち欅宮に明らかになってしまうだろう。感づかれて先回りされて証拠を隠されても困る。そうなると敵を欺く方法しかない。

「…それで、女官から側室を選ぶなど仰ったのですか。」
裕樹の問いに直樹は頷いた。
「鴨狩も知っていたのか?」
「いいえ、私も最初は全然知らず、裕樹様同様ただただ驚くばかりでございました。」
「敵を欺くにはまず味方から、というだろう。」
「それで母上も?」
王妃が東宮を叱りつけた話は裕樹の耳にも届いていた。
「母上を利用したようで気が引けたが、そこまですれば欅宮も信じるだろうと思った。」

毎日女官の名簿を眺める主人に溜息をついていた鴨狩であったが、ある日直樹から真実を打ち明けられた。
「それで私が、裕樹様が手に痣のある女官が怪しいと仰っていたことを申し上げたのです。」
「それが本当に欅宮の手先ならば、あとからこっそりと雀殿に入ったのではないかと思ったんだ。」
そのためには、宮中に保存されている名簿と、元の名簿を比べることが一番いいと直樹は鴨狩に打ち明けた。元の名簿は控えが女官たちを選んだ琴子の後見人である澄子の元にあるはず。
「ただ、澄子殿にどう使いをだすべきかが思案したところだ。」
鴨狩以外に確実に信頼できる者はいない。が、鴨狩を使いに出すと目立つ。

「もしかして…。」
そこまで話を聞いた裕樹は、傍らの春也を見た。
「そう。お前の忠実な友ならば信頼できると思ったんだ。」
春也は裕樹と対等に会話ができるほど頭もよい。そして性格もしっかりしている。
直樹の命を受け、鴨狩はこっそりと春也を呼び出し話をした。
「私ならば宮様のお相手として宮中に出入りもしておりますし、叔母の元に行くことも不思議がられませんから。」
それでも直樹は鴨狩を通し、くれぐれも注意するように、不審な点があればすぐに言うようにと念を押すことを忘れなかった。
「澄子殿は春也の話を聞き、快く名簿を貸してくれた。もっとも澄子殿の性格だからこそ、きちんと控えの名簿を作っておいたのだろう。」
それを春也が鴨狩へ渡し、鴨狩が直樹へ渡した。二人で比べた結果、元の名簿にない名前が一人、宮中の名簿に記されていた。
「おそらく、人事担当の女官の誰かを丸め込みうまく忍ばせたのだろう。人事女官長も知らなかったに違いない。」
そこまで話して、直樹は裕樹と鴨狩を見た。
「お前たちは…どうやって怪しい女官を見つけるつもりだったんだか。」
直樹の言う通りであり、裕樹と鴨狩は恥ずかしさで顔を赤くして俯くしかなかった。
「宮様、黙っていて申し訳ございませんでした。」
春也が裕樹に謝った。
「春也を叱るな。裕樹に黙るよう命じたのは俺だから。」
「言ってくれてもよかったのに…。」
「宮様は東宮様が側室を迎えられる不安でいっぱいでいらしたので。」
「そりゃそうだよ。」
「確かに、私も途中までは不安でいっぱいで。もっとも東宮様の狙いを伺った後も、うまくいくのか心配でした。あの夜も私の表情から誰かに気取られまいかと必死でございましたから。」
鴨狩が東宮妃に同情していることは誰もが知っていることである。だからこそ、直樹にその気が全くないことを知りつつもそこは失望した振る舞いをせねばならなかった。
「でも、これで色々明らかになるのですね。ならば僕は構いません。」
これで欅宮たちは勢力をなくし、琴子は冷宮から戻る。裕樹も春也もそう信じて疑わなかった。
が、そう簡単に行くだろうかと直樹は訝しんでいた。そして琴子が戻って来たとして、自分たちの仲が元に戻るのか。
―― 全く想像がつかない…。
喜ぶ裕樹とは裏腹に、直樹の心は一向に晴れる気配はなかったのである。



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直樹のやってることは、マッチポンプっていうんだよ
もっと早くに手を出して、琴子ちゃんを助けてれば、こんな大事にならなかったのに、火をつけたのは柘榴の配下だけど、その隙を与えたのは直樹の冷たい態度でしょう?
大火事になってから消火したって、アンタの手柄だとは思わない
可哀相な琴子ちゃん
琴子ちゃんの哀しみは、直樹が事を解決したって、心のキズとしてずっと残る

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今頃やったって、琴子精神的に立ち直れるか⁉️
でも元サヤになってほしい。
直樹次第ね

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