日々草子 懐かしい再会
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水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
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当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

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二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

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懐かしい再会





最後に会ったのは何年前だったか。覚えていないほど、懐かしい再会だった。
「入江くん…?」
先にその名前を呼ばれて、直樹は「えっ?」と思わず聞き返してしまった。
「あ…松本…だよな?」
「そうよ、忘れちゃった?」
松本裕子は、学生時代に比べ、いっそう華やかな女性となってそこにいた。
「久しぶり。」
「本当にそうね。ええと?」
裕子は直樹の傍に立って、じっと見上げている幼児に目を向けた。
「こんにちは。」
目線を合わせ身をかがめて挨拶をした。
「…こんにちは。」
ペコリと頭を下げるその顔は、裕子を見つめていた。が、その目は完全に警戒していた。いや、目だけではない。体全体から警報を出しているかのようである。
「お名前は何ていうのかしら?」
「…。」
子供は傍らの直樹を見上げた。
「お名前は、だって。」
父に言われたその子は「真樹」と答えた。が、その目はやはり警戒を解いていない。
「真樹くんね。私は松本裕子といいます。パパのお友達よ。」
「…。」
そう言われて更に警戒心を強めるのが、見て取れた。
「いくつ?」
真樹は手のひらを広げて見せた。
「五歳ね。今日はパパとお買い物?」
真樹はコクンと頷いた。その手にはしっかりとスーパーの袋が握られている。直樹の手にも真樹のそれより少し大きな袋が下がっていた。

「入江くんがお父さんなんて。全然想像できなかったわ。」
「俺もだよ。」
笑い合いながらも、裕子は頭の中で素早くこの数年の間に直樹に起きた出来事を想像した。確か最後に会ったのは、直樹が結婚が決まったという時で…しかし、この子はどう見てもその時の相手とは似ていないわけで。

「何を買って来たの?」
「…チョコレートと生クリーム。」
透けて見える袋の中身は、チョコレートシロップと生クリームだった。
「ママのお使いかな?」
「…ママとおばあちゃんがパンケーキ焼いてくれるの。ケーキにつけて食べるの。」
「おばあちゃん…入江くん、お母様もお元気なのね。」
「ああ。親父も裕樹もチビもね。」
「それは何よりね。」
直樹の持っているものはフルーツのようである。きっと真樹が自分も持つと言い張ったから、落としても壊れない、幼児でも持てるものを別に直樹が袋に入れたのだろう。

「それにしても、こうして女性を警戒するところは誰かさんそっくりね。」
裕子にはこの子の母親が誰だか分かっていた。
「そうなんだよな。俺に近づく女、みんなこんな感じ。」
裕子と直樹が笑い合うのを、真樹はじっと見ている。
「大丈夫よ、真樹くん。パパはママが一番大事なんだから。それは私が一番知っているわ。」
「…そうなの?」
少し真樹が警戒を解いたらしい。肩に入っていた力が少し抜けたのが分かった。
「ええ、そうよ。だって真樹くんのお顔、こんなにママにそっくりなんだもの。ママそっくりの真樹くんがパパは可愛くてたまらないでしょうね。」
その台詞が決め手となり、真樹はニコッと笑った。
「うふふ、安心すると途端に笑顔になるところも…琴子さんそっくりね。」
「そうなんだよ。本当にそっくり。」
父にちょっかいを出さないと分かったらすぐに真樹の愛想が良くなった。

裕子はIT企業でバリバリ仕事をしており、この日も仕事でこの近くに来たところだと話した時だった。
「あっ。」
大人しく待っていた真樹が何かを思い出したのか、声を上げた。
「どうした、真樹?」
「思い出した…クラリス!」
「あら!どうしてその名前を知っているの?」
これには裕子も驚きを隠せなかった。
「クラリスって…。」
「んもう、昔入江くんのお宅にお邪魔した時に連れて来た我が家の愛犬よ。」
「ああ、そうか。」
「クラリスってお写真のところに書いてあったよ。」
「写真?ああ、そうだったわ。お邪魔した時に撮っていただいたんだった。」
「アフガンハウンドでしょ?」
「ええ、そう!すごいわね、真樹くん。犬の種類まで分かるの?」
「うん。」
「犬が好き?」
「ワンちゃんもニャンコちゃんも、動物みんな好き!」
「真樹は動物のお医者さんになりたいんだもんな。」
「まあ、そうなの!すごいわね!きっとなれるわよ。」
裕子が頭を撫でると「でもね」と真樹が言った。
「パパみたいに人間のお医者さんもいいなあって思うの。動物のお医者さんと迷ってるの。」
「パパみたいに?」
裕子は直樹を見た。
「…入江くん、お医者様になったの?」
「…ああ。」
少し照れくさそうに直樹が頷いた。
「そう…そうなのね!なんだ、どうして早く言ってくれないの?」
裕子は心底嬉しそうに、直樹に言った。
「そうよね。入江くんはやはりそれが一番似合っているわ。うふふ、琴子さんがそれを一番喜んでいるんでしょう?」
「まあね。」
「あら、嬉しそうね。」
フフフと松本が笑うと、直樹もハハハと笑った。
「クラリスは元気?」
真樹が裕子に訊いた。
「ええ、元気にしているわ。そういえば入江くん、パパのお家にもワンちゃんがいたわよね?」
「チビは元気だよ!」
「真樹の子守犬になってから、どんどん若返ってさ。」
「まあ、そうなの。そりゃあそうでしょうねえ。こんな元気いっぱいの真樹くんと遊んだら元気になるわね。」
褒められたため、真樹は一層笑顔を裕子に向けた。そして無邪気な笑顔でこう言った。
「クラリスの飼い主さんの…ケバイ人だったんだね!!」
「…け、ケバイ?」
これまで愛想のよかった裕子の目が点になった。この可愛らしい子から今、想像できない言葉が自分に向けられたのは気のせいだろうか。
「ええと…真樹くん?今、何て?」
「ケバイ人!!」
真樹は自信たっぷりに言った。
「あ、違った。ケバイ…どっち?お姉さん?妹?」
「ケバイお姉さん?妹?綾子のこと?」
どういう意味かと裕子は直樹を見た。
「俺は知らない!」
直樹はブンブンと頭と手を振った。直樹も息子の発言の意図は全然分からないのである。
「裕樹お兄ちゃんが教えてくれた!クラリスを連れて来たのはケバイ人だって!ねえ、パパ。ケバイって意味わからないの。どういう意味?」
「裕樹お兄ちゃん…とやらは入江くん、あなたの弟のことよね?」
裕子はじりじりと直樹に詰め寄り、直樹は今すぐ息子の口を縫合で閉じたくなった。



「まあ、そんなことを!」
帰宅した直樹から話を聞いた琴子は、口いっぱいにパンケーキを頬張っている真樹に「めっ」と睨んだ。
「琴子ちゃん、裕樹が悪いのよ。裕樹、あなたなんてことを!」
「まさか真樹がちゃんと覚えているとは思わなくて。」
パンケーキを食べながら裕樹は舌を出す。
「ケバイってなあに?」
「そういうこと、言っちゃだめ。」
琴子は二度目の「めっ」を真樹にした。
「でも懐かしい。松本姉、連れてきてくれればよかったのに。」
「これから会社に戻るんだとさ。あっちも名残惜しそうだった。」
「そう。でもやっぱりバリバリ働いているのね。」
琴子の懐かしそうな口ぶりに、真樹はあの「ケバイ人」は母の敵ではないことを確信する。
「ママー、次、まーくんチョコレートかける。」
「はいはい。」
二枚目のパンケーキに琴子は真樹がせっせと運んで来たチョコレートシロップをかけてやった。それを直樹はにこやかに見つめる。その直樹を更に紀子と裕樹が見つめる。
「パンケーキ、すごくおいしい!!」
口の周りを生クリームやチョコだらけにしながら真樹はご機嫌であった。

「…ここにケバイって書いてあるんだもん。」
パンケーキをお腹いっぱい食べた後、真樹はチビと一緒にあるものを広げていた。それは裕樹から借りている、絵日記であった。
「裕樹お兄ちゃんが入院した時に書いてたんだって。まーくん、お医者さんの勉強になるかもって借りたんだ。チビも覚えてる?」
「ワン!」とチビが返事をする。
「ママほどじゃないけれど、まあまあきれいな人だったよ。まつもとさん。まつもと…名前がケバイさん?」
「クーン」と、それは違うと言いたげにチビが啼いた。
「ま、いっか。」
真樹は飽きずに裕樹の絵日記をめくったのだった。


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コメント

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松本姉キター!!(゚∀゚ 三 ゚∀゚)

水玉様!

令和元年の初日にわたしの大好きなまーくんをありがとうございます!
そして琴子ちゃんの永遠のライバル、松本【ケバイ】裕子様がついにフトンに降臨。
いや〜、イリコトにはやっぱり松本姉ですよね(*´・ω・`)b
ママになった琴子ちゃんは昔みたいに大騒動は起こさないだろうけど…出来れば二人の再会も読んでみたいです。
あと、里美・じんこと直樹の再会とか、まー君の初顔合わせとか。(まだですよね?)

令和になっても水玉さんの素敵なお話が読めて嬉しいです♥️
これからも楽しみにしてますね〜(⌒0⌒)/

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あはは!子供は正直ですからね?さすがに言葉も返す言葉もないでしょね,ケバイて言葉の意味も分からないから尚更v-388

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