日々草子 入江法律事務所 59
FC2ブログ

プロフィール

水玉

Author:水玉
『イタズラなkiss』のほかには『ゴルゴ13』が好きです☆
多数あるイタキスの二次小説の中で邪魔することなく、ひっそりとマイペースで我が道をゆきつつ生息しております。
そっと見守っていただけたら嬉しいです。

※当ブログに掲載されている文章及びイラストの無断転載・使用はご遠慮下さい。

現在の御訪問者

現在の閲覧者数:

御訪問ありがとうございます

このブログについてのお願い

当ブログは、『イタズラなkiss』の二次創作をメインとしておりますが、時折管理人の趣味や日々の出来事についての記事も書いております。

原作者様や関係各位とは一切関係ありません。

二次創作については、いわゆる原作の隙間をぬった作品もありますが、主人公以外のキャラクターをメインとしたものや オリジナルキャラクターが出てくるものもございます。

そして、原作と違った時代(平安や明治やその他の時代を舞台にしております)、異なる設定(主人公を医者と看護師じゃない職業にしております)で書いてあるものが多いですが、原作を冒涜しているつもりは全くございません。

二次創作が苦手という方及び原作のイメージと合わないと思われる方はどうぞお引き取り下さいますようお願いいたします。

コメント及びメールなどでの苦情及び批判は公開、非公開を問わず、私へ告げることはご遠慮いただけますよう、お願い申し上げます。

このブログ及び掲載されている話が嫌いだと思われたら、黙ってあなた様の中から、このサイトの存在を消去していただけますよう、お願い申し上げます。

最新記事






法廷を無事終え、直樹は立ち上がり鞄を手にした。ふと傍聴席に目をやると、琴子が隣に座っていたと思える女性に何やら渡しているのが見えた。
「落とし物でも拾ってやったのか?」
法廷を出て歩きながら、直樹は傍らに駆け寄ってきた琴子に尋ねた。
「落とし物?」
「何か渡してただろ。」
「ああ、あれは銀テです。」
「銀テ?」
「ほら、こういうの。銀テープのこと。」
琴子はビヨーンと銀色のテープを引っ張って見せた。
「これ、先生のメッセージを入れて作ったんです。コンサート終了後にはファンと分け合うのが…って、先生?」
琴子の話を最後まで聞かず、直樹は走り出し、相手の女性からそれを奪い取って戻って来た。

「お前は何でこんなもんを人様に!!」
「だってえ。」
「しかもこのメッセージ、この間お前が書け、書けとうるさくせがんで渋々書いたやつだし。」
『来てくれてありがとう』とテープに自分の筆跡が表示されているのを、直樹は苦々しく見た。こんなことに使われると知っていれば絶対書かなかったものを!
「苦労したんですよ。色々作り方調べて…。」
「その苦労を仕事に生かせ、仕事に!」
「まあ、まあ。それより今夜は久しぶりに先生のお宅で夕食ですね。」
「ああ、そうだった。」
「先生からの提案なんて珍しいですね。うちのお父さんまで一緒になんて。」
「まあ、もうすぐ身内になるんだしな。」
今夜の夕食の席で、直樹はあることを皆に言おうと決めていた。



「結婚式についてなんだけど。」
紀子と琴子が一緒に作った夕食もほぼ食べ終え、それぞれの父親たちは晩酌でいい気持ちになっている時、直樹が徐に口を開いた。
「色々考えてみたんだけど、ハワイで身内だけで挙げるっていうのはどうかな。」
「ハワイ!?」
琴子は初めて聞く直樹の考えに驚いた。
「ハワイって、あの?外国の?常夏の?」
「そう、そのハワイな。」
琴子と式場を回っても、なかなかピンとくるものがなかった。それは琴子も同じようで「ここがいい!」という決め手がないらしく、具体的な式場の名前が二人の話題に上がることはなかった。
「ホテルで披露宴って考えると、どこまでの関係者を招待するかとか、ほとんど付き合いないのに義理で呼ぶ客が出てくるとか、席次はどうするかとか、細かいことが出てくるだろうし。そんなことに頭悩ませるくらいなら、本当に祝ってほしい人たちだけの結婚式で十分じゃないかなって。」
直樹は自分の考えをのべると、琴子を見た。
「といっても、これは俺が一人で考えたものだから。もちろん、琴子はそれは嫌だって思うなら遠慮なく反対してくれ。お前が喜んでくれないと式を挙げる意味がないからな。」
「先生…反対なんて…そんな…。」
琴子は頭をぶんぶんと振った。
「先生がそこまで考えてくれるだけで…ハワイ…はい、ここにいる人たちだけで十分です!」
琴子も正直、自分がホテルで盛大に披露宴を上げる姿が想像できなかった。が、直樹のアイディアを聞いた途端、今までぼんやりとしていたものがはっきりと形になって現れてきた。
「私はハワイでいいです!ハワイがいいです!」
「そっか。」
琴子の偽りのない返事に、直樹はホッとした。そして親たちを見た。
「私は…お兄ちゃんが…琴子ちゃんのことを考えて式を挙げるというその姿勢だけで…。」
紀子は涙ぐんでいる。
「そうだな。直樹が、式を挙げるだけで。」
重樹も頷く。
「…え?」
想像していた反応とやや違うことに、直樹は少し驚いていた。
「だって、ねえ。」
紀子が重樹を見る。
「直樹のことだから、婚姻届に一人サインして、琴子ちゃんにあとは任せたってなるんじゃないかって。」
「こことここに書けばいいからって、鉛筆でマルつけて琴子に渡しそうだもんな、お兄ちゃん。」
裕樹までそんなことを言う。
「先生、出してきましたよ~って琴子が事務報告しているところを想像してたからさ。」
「何か…どっかで誰かが同じようなことを過去に言っていたような。」
自分は家族にまでそう見られていたのかと、直樹はショックを受けていた。

「ハワイか…俺は外国は初めてだなあ。」
重雄が笑った。
「大丈夫だよ、アイちゃん。ハワイは結構日本語が通じるんだ。」
「そっか。なら安心だ。イリちゃんも一緒だもんな。」
どうやら重雄にもハワイ挙式は快く受け入れてもらえたらしい。


「ハワイかあ。素敵…。」
琴子は琴子ですでに心がハワイに飛んでいるようである。
「先生と波打ち際を散歩して…琴子、待てよ。先生早く!なあんて追いかけっこして。」
「何?」
「二人で砂に名前書いて、でも波がそれをすぐ消しちゃって。だけど、俺たちの愛は波に消されないからなって先生が言ってくれて。」
「ちょっと待て、ちょっと待て。」
直樹は琴子の妄想のスイッチを切った。
「この平成も終わろうというときに、いやたぶん式を挙げる時は令和だろうに、そんな時に昭和チックなことをやらねばならないんだ?」
「ええ!やりましょうよ!」
「やだよ。」
「ケチ~じゃあ、式が終わった後に先生、私を抱き上げてクルクル回ってくれます?それしてくれるならいいです。」
「はあ!?」
「二人で笑いながらクルクルと。」
「やだよ!」
「お兄ちゃん、それくらいしてあげなさいよ!」
「そうだぞ、直樹!」
なぜか紀子と重樹が琴子に加担しだした。
「今はね、男子は4回転は当たり前!5回転もする時代よ!」
「それスケートの話だろうが!」
「大丈夫です、先生!私、先生が5回転したいというならば目が回らぬよう明日からバレエ教室に通います!」
「バレエ習う目的じゃねえよ、それ!」
「式場回っていた時は、先生の希望に私が寄り添おうとしてたじゃないですかあ。」
琴子が口を尖らせた。
「俺の希望って、そんなもんあったか?」
「ありましたよ!先生はもう、何も身につけない全裸で結婚式を挙げたいって。コーディネーターさんが猛反対したから断念しましたけど。」
「おい、それは!!」
「まあ、お兄ちゃん。相変わらず変態弁護士なのねえ。」
「まったく、仕事ばかりしてないでちゃんと世間の常識を学んでだなあ。琴子ちゃんが苦労しそうだ。」
「ちょっと待って!それが実現してたら僕たち参列者も全裸ってこと?」
「そういうことになるわね、裕樹くん。だって私と先生が全裸でゲストが服を着てたらバランス取れないでしょ?」
「やだよ、それ!それがしたいなら、お兄ちゃんと二人、山奥で式挙げてこい!」
「私の希望じゃなくて、先生の希望だったの!」
「いや、俺の希望じゃなくて…」と言いかけて、直樹はハッとなった。刺すような視線を感じる。直樹はそちらを恐る恐る見た。
「全裸…式…ほう…。」
酒に酔っているのか、それとも心底直樹に呆れているのか、重雄の目が完全に据わっていた。
「あ、あの…お義父さん…。」
「…まだ式を挙げていないのに、なれなれしく義父と呼ばないでもらえるか?」
「す、すみません。」
ああ、またこのパターンかと直樹は頭を抱える。

「そうだ、お義母さん!」
「まあ、琴子ちゃん!今、お義母さんって呼んでくれた?」
「あ、すみません。まだ結婚してないのに…。」
「ううん、いいの、いいの。」
「琴子ちゃん、わしのこともお義父さんと呼んでくれないか?」
「お義父さん!」
「いいなあ!」
「ねえ!息子二人だとオフクロって呼ばれるから!琴子ちゃんの可愛い声でそう呼ばれるとすごく嬉しいわ!」
「本当だねえ!」
自分と重雄の周囲とは正反対、琴子と両親はほんわかとした雰囲気である。
「お義母さん、入江家のしきたりとかありますか?あったら今のうちから勉強しておきたいなって。」
「まあ、琴子ちゃん!そんなものはないわよ。強いていうなら、いつもニコニコ明るい琴子ちゃんでいてくれることかしら?」
「そうそう、琴子ちゃんがいるだけでわしらは幸せなんだよ。」

「あ、あの…おと…おじさん?」
直樹は何とかこの雰囲気を変えようと、努力を始めた。
「何だね?」
「あ、相原家のしきたりのようなものは…。」
「鳴門の渦に飛び込んで魚を捕まえてくること。」
「…はい?」
「ふんどしくらいは身につけてもらうがね。君は自分のものを周囲に見せて自慢したいようだが、残念ながら俺はそれを見たいという趣味はないんで。」
「い、いえ…俺もそんな…お見せして自慢するような大したものでは…。」
「ま、鳴門の渦に飛び込んで来て。」
「そんなことしたら琴子を…。」
「琴子?」
ギロリと重雄は直樹を睨んだ。
「俺は気安く琴子と呼び捨てにされるために、娘を育ててきたわけじゃないんだが。」
「あっ、すみません。ええと、琴子さんが…。」
「琴子が何だと?」
「鳴門の渦に飛び込んだら、琴子さんが未亡人になってしまうかと…。」
「そこは大丈夫。」
なぜか重雄は親指を出して見せた。
「籍を入れなければ問題なし!未入籍ならば琴子は未亡人にならず新たな幸せを探せるから。」
「そんな…。」
ぐびぐびと酒を飲む重雄を見ながら、直樹はどうかこれは酔いが生み出している台詞であるようにと祈らずにいられなかった。



「すみません、お父さん寝ちゃって。」
「いいのよ、とても気分が良いってことよ。うちのパパだって。」
重雄と重樹はソファにそれぞれ倒れ込んで眠ってしまった。そこに毛布をかけるのは紀子と琴子である。
「琴子ちゃんも泊まっていくでしょ?」
「いいんですか?」
「もちろん!あ、何ならお兄ちゃんと同じ部屋にする?」
ムフフと笑う紀子。
「いやいやいや!!」
なぜかそれを強く拒絶したのは、直樹であった。
「まだ、まだ結婚前だから、俺たち!」
「あら、お兄ちゃんにそんな慎み深いところがあるなんてねえ。」
「相原のおと…おじさんが大切に育てた琴子さんだから!」
「琴子さん?先生、何ですか、その呼び方は?」
「あ、いや。」
つい重雄の前の口調がまだ残っている直樹であった。
「とにかく!そういうことで!」
「はあい、先生!」
琴子も無邪気に賛成する。
危ない危ない。琴子と同室で休んでも、この長い付き合いでキス以上のことをしたことないのだから、結婚まで我慢できる自信はある。が、同室で一晩過ごしたと重雄が知ったら…。
「俺は三枚おろしにされて、東京湾に流されるかもしれない…。」
「三枚おろし?先生、お魚食べたくなりました?」
「え?いや、大丈夫。」
「そうですか?私、先生が好きなものを作りたいから、何でも言って下さいね!」
「サンキュ。」
ああ、この無邪気な笑顔。このためには重雄に罵られることくらい我慢できる。

「じゃあ、和室にお布団敷いて、琴子ちゃんはそこで休んでもらいましょうか。」
「はい、お義母さん。」
「ああ、いいわあ!」
はしゃぎながら和室に向かう紀子と琴子。直樹は二人を見た後、軽くいびきをかいている重雄を見た。
「…嫁姑問題はないのに、なんで婿と舅問題はあるんだろうか。」
全て琴子の勘違いが元になっているというのに…直樹は深い溜息をついたのだった。





関連記事

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP